ジャニーズ性被害告発した元タレント “問題風化させないで” | NHK 2024年10月9日 18時06分
去年、旧ジャニーズ事務所がジャニー喜多川氏の性加害を認めて謝罪した会見から1年が過ぎたことを受け、性被害を告発した元所属タレントたちが都内で会見を開き、「問題を風化させないでほしい」と訴えました。
9日、日本記者クラブで開かれた会見に出席したのは、旧ジャニーズ事務所の元所属タレントで被害を告発した志賀泰伸さんと長渡康二さん、中村一也さんの3人です。
志賀さんは「旧ジャニーズ性加害問題は風化の一途をたどっている。未来ある子どもたちを守るために声を上げ続ける」としたうえで、旧ジャニーズ事務所から社名を変更した「SMILE-UP.」の対応について、「去年10月以降、会見を行うと言いながら行わず説明がないのは不誠実だ。『補償した』で終わりではなく、全容解明がなければ再発防止につながらない」と述べました。
長渡さんは「この問題が放置されれば、僕たちの声が将来の皆さんのお子さんの声にもなりうる。被害者は補償金を受け取れば心が癒えるわけではなく、それを放置したままで幕引きさせてはいけない。まだ被害を申告しようか迷っている人はいる。長い目で見て被害者の声を聞いてほしい」と訴えました。
また会見では性被害を告発したあとひぼう中傷を受け、去年10月に亡くなった男性の妻の手紙が読み上げられ、「東山社長とはお会いしたことも謝罪を受けたこともありません。海外からしか問題が伝えられず、日本に報道機関はないのかとおかしく思います。幾重にも問題がたちはだかり道を塞がれたことに苦しみ、夫も家族も心ないひぼう中傷にあってきたが、少しでも未来の子どもたちが過ごしやすい世の中になるよう願っています」などとつづられていました。
「SMILE-UP.」は先月30日にホームページ上で、被害の申告があった999人のうち、事実確認を終えたとして524人に補償額を通知し、498人に支払いを終えたとし、「最後のお1人まで、被害救済に全力を尽くして取り組んでまいります」などとコメントしています。
ひぼう中傷も 元所属タレントたちの1年余
会見した元所属タレントたちは、性被害を告発したあとひぼう中傷に苦しみながらも、子どもの性被害をなくすため社会への働きかけを続けてきました。
中村一也さんと長渡康二さん、そして会見に手紙を寄せた二本樹顕理さんは、ジャニー喜多川氏から10代の頃に受けた性被害を去年、証言しました。
3人はその後、事務所に対して補償や救済を求めるとともに、ほかの当事者とともに子どもの性暴力の根絶を目指す団体を立ち上げました。
ことし4月には、複数の専門家を招いて一般の人も参加する催しを開き、性犯罪や性教育の現状を踏まえながら、子どもの性被害をなくすための取り組みを議論しました。
先月、中村さんはこの1年余りについて、「実際に幼少期に被害を受けたという同年代の人から『まだ告白はできていないけど勇気が出た』という声をもらうなど、少しずつ変わってきていると思う。もっと声を上げられるような社会に今後はなってほしいし、子どもが万が一被害にあったとしてもすぐに言えるような社会になってくれたらと思う」と話していました。
一方で、顔と名前を明かして告発した当事者に対するひぼう中傷が深刻な問題となり、警察に告訴状や被害届を出した元所属タレントは、少なくとも5人に上ります。
9日の会見で手紙を寄せた、性被害を告発したあとにひぼう中傷を受けて亡くなった元所属タレントの男性の妻は、7月、NHKの取材に対し「夫は亡くなっているのに、言った方は『言論の自由』だと守られるのはおかしい。こういう社会が変わればいいと思います」と語っていました。
同じく会見に手紙を寄せた二本樹さんは、ひぼう中傷から家族を守るために海外に移住しました。
6月には、国連人権理事会の会合で「ビジネスと人権」作業部会が日本での調査結果を報告し、ジャニー喜多川氏の性加害問題にも言及しましたが、二本樹さんはその場にビデオメッセージを寄せ、「被害を名乗り出たうちの1人はネット上のひぼう中傷を苦にみずから命を絶った」と伝えたうえで、「性加害の被害者は、もはや無視されたり中傷されたり沈黙させられたりすることは許されません」などと訴えていました。
9日に読み上げられた手紙の中で二本樹さんは、「ひぼう中傷対策をもっと徹底的にやって欲しかったと感じている。ひぼう中傷がなければ、仲間たちがここまで傷つくことはなかった。企業としてもしっかり事実を伝えて啓発を行ってほしい」とつづっていました。
去年、旧ジャニーズ事務所がジャニー喜多川氏の性加害を認めて謝罪した会見から1年が過ぎたことを受け、性被害を告発した元所属タレントたちが都内で会見を開き、「問題を風化させないでほしい」と訴えました。
9日、日本記者クラブで開かれた会見に出席したのは、旧ジャニーズ事務所の元所属タレントで被害を告発した志賀泰伸さんと長渡康二さん、中村一也さんの3人です。
志賀さんは「旧ジャニーズ性加害問題は風化の一途をたどっている。未来ある子どもたちを守るために声を上げ続ける」としたうえで、旧ジャニーズ事務所から社名を変更した「SMILE-UP.」の対応について、「去年10月以降、会見を行うと言いながら行わず説明がないのは不誠実だ。『補償した』で終わりではなく、全容解明がなければ再発防止につながらない」と述べました。
長渡さんは「この問題が放置されれば、僕たちの声が将来の皆さんのお子さんの声にもなりうる。被害者は補償金を受け取れば心が癒えるわけではなく、それを放置したままで幕引きさせてはいけない。まだ被害を申告しようか迷っている人はいる。長い目で見て被害者の声を聞いてほしい」と訴えました。
また会見では性被害を告発したあとひぼう中傷を受け、去年10月に亡くなった男性の妻の手紙が読み上げられ、「東山社長とはお会いしたことも謝罪を受けたこともありません。海外からしか問題が伝えられず、日本に報道機関はないのかとおかしく思います。幾重にも問題がたちはだかり道を塞がれたことに苦しみ、夫も家族も心ないひぼう中傷にあってきたが、少しでも未来の子どもたちが過ごしやすい世の中になるよう願っています」などとつづられていました。
「SMILE-UP.」は先月30日にホームページ上で、被害の申告があった999人のうち、事実確認を終えたとして524人に補償額を通知し、498人に支払いを終えたとし、「最後のお1人まで、被害救済に全力を尽くして取り組んでまいります」などとコメントしています。
ひぼう中傷も 元所属タレントたちの1年余
会見した元所属タレントたちは、性被害を告発したあとひぼう中傷に苦しみながらも、子どもの性被害をなくすため社会への働きかけを続けてきました。
中村一也さんと長渡康二さん、そして会見に手紙を寄せた二本樹顕理さんは、ジャニー喜多川氏から10代の頃に受けた性被害を去年、証言しました。
3人はその後、事務所に対して補償や救済を求めるとともに、ほかの当事者とともに子どもの性暴力の根絶を目指す団体を立ち上げました。
ことし4月には、複数の専門家を招いて一般の人も参加する催しを開き、性犯罪や性教育の現状を踏まえながら、子どもの性被害をなくすための取り組みを議論しました。
先月、中村さんはこの1年余りについて、「実際に幼少期に被害を受けたという同年代の人から『まだ告白はできていないけど勇気が出た』という声をもらうなど、少しずつ変わってきていると思う。もっと声を上げられるような社会に今後はなってほしいし、子どもが万が一被害にあったとしてもすぐに言えるような社会になってくれたらと思う」と話していました。
一方で、顔と名前を明かして告発した当事者に対するひぼう中傷が深刻な問題となり、警察に告訴状や被害届を出した元所属タレントは、少なくとも5人に上ります。
9日の会見で手紙を寄せた、性被害を告発したあとにひぼう中傷を受けて亡くなった元所属タレントの男性の妻は、7月、NHKの取材に対し「夫は亡くなっているのに、言った方は『言論の自由』だと守られるのはおかしい。こういう社会が変わればいいと思います」と語っていました。
同じく会見に手紙を寄せた二本樹さんは、ひぼう中傷から家族を守るために海外に移住しました。
6月には、国連人権理事会の会合で「ビジネスと人権」作業部会が日本での調査結果を報告し、ジャニー喜多川氏の性加害問題にも言及しましたが、二本樹さんはその場にビデオメッセージを寄せ、「被害を名乗り出たうちの1人はネット上のひぼう中傷を苦にみずから命を絶った」と伝えたうえで、「性加害の被害者は、もはや無視されたり中傷されたり沈黙させられたりすることは許されません」などと訴えていました。
9日に読み上げられた手紙の中で二本樹さんは、「ひぼう中傷対策をもっと徹底的にやって欲しかったと感じている。ひぼう中傷がなければ、仲間たちがここまで傷つくことはなかった。企業としてもしっかり事実を伝えて啓発を行ってほしい」とつづっていました。