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羽田事故受け徹底されたはずの「停止」復唱、福岡空港で管制官が求めず…日航機停止線越え 読売新聞 2024/05/22 05:00
福岡空港で今月、日本航空機が滑走路手前の停止線を越えた問題で、日航機側から「滑走路手前で停止」という指示への復唱がなかった点を、管制官が「復唱確認」で指摘していなかったことがわかった。復唱確認の徹底は、東京・羽田空港での衝突事故を受けた緊急対策の主要項目の一つ。国土交通省は、各空港の管制官に改めて周知したほか、詳しい状況を調べて再発防止を図る。
日航312便は10日昼、駐機場から誘導路を経て滑走路南端へ向かう途中、滑走路につながる「 取付とりつけ 誘導路E6」で停止線を越えた。管制指示は「E6の滑走路手前で停止せよ。(その後)滑走路を走行し、(別の)取付誘導路から出て平行誘導路の走行を予定せよ」という内容だった。滑走路ではジェイエア機が離陸滑走を始めており、停止線越えに気付いた管制官の指示で両機は緊急停止した。
複数の国交省関係者によると、312便側は「滑走路手前で停止」を復唱しないまま、管制官にその後の滑走路と誘導路の走行について確認を求めた。管制官はそれに応じる形で滑走路などの走行を改めて指示したが、「停止」をすぐに復唱するよう求めなかった。312便には交信を担った機長昇格訓練中のパイロットのほか、機長と副操縦士も同乗したが、認識の誤りに気付けず停止線を越えた。
日航312便と管制官による交信のイメージ
指示・許可に対するパイロットの復唱と、それを管制官らが聞き取る復唱確認は、管制交信の基本動作。復唱に欠落や誤りがあれば、管制官は指摘して再度、復唱させる必要がある。
日航516便と海上保安庁機が羽田空港C滑走路で衝突した1月の事故翌日、国交省は緊急対策の一環として、「特に、滑走路への進入や手前待機など、滑走路の使用に関する許可・指示をした場合、復唱確認を確実に実施すること」と国内の管制官に指示していた。