2017/04/17 2017年トラック世界選手権 4月16日(日) 大会最終日レポート
自転車トラック種目の世界選手権最終日は16日、香港で行われ、女子ポイントレースに出場した2015年のロンドン大会銀メダルの上野みなみ(Ciel Bleu 鹿屋)は最下位の22位だった。
大会第1日の12日に出場したスクラッチ以来のレースとなった上野は序盤に不運に見舞われる。前を走る他国選手が転倒。「よけられるかと思ったけど、迷った」と巻き込まれて落車した。ただその後もレースに戻り、後半は積極性を発揮。残り約30周で逃げを仕掛け、残り20周で2位となり3ポイントを獲得。ただ、あともう少しでラップして20得点というところで粘れず、後退し「逃げられたのは良かったけど、足が足りなかった。目の前に(集団が)あったのに我慢できなかったのが悔しい」。ここで集団につけなかったのが終盤に響いた。「つけていれば休めた」はずが、結局集団に飲み込まれ、そのペースにもついていくことができず。最後は「たぶん初めて」という周回遅れまで経験し、レースを終えた。1月の練習中に右鎖骨を折って手術を受け、十分な練習を積めなかったことも粘りを欠いた要因かもしれない。今までと違い「すごい緊張した。昨日(15日)の夜くらいまで緊張した」という世界の舞台は、本来の力を発揮できずに終わった。
日本勢は昨年のロンドンに続き2大会連続でメダルなしで終わった。決して満足いく結果ではないが、希望の光がなかったわけではない。短距離では男子チームスプリントで第1走者にリオデジャネイロ五輪BMX代表の長迫吉拓(岡山県連盟)が入って活性化。第2、3走者の新田祐大や渡邉一成(ともに日本競輪選手会)とのチームはのびしろがある。中・長距離では女子オムニアムに出た20歳の梶原悠未が可能性を感じさせた。エリミネーションで2番目に除外されてしまったが、最終のポイントレースで世界と張り合う意地を見せた。
短距離部門のブノア・ベトゥヘッドコーチは今回の成績に「これが現実であって受け止める」と言い訳をしない。その上で「結果としては最悪に見えるけど、自分としてはこんなものかと。論理的には普通。これで一番に移籍を残そうとは思えない。短い期間でやってきたことでは、ここで成績を残すことはできない。みんな焦っているけど、段階を踏んで強くなるのが普通のこと。この世界レベルにはマジックはない」と続けた。世界を知っている名伯楽だからこそ、言葉に重みがある。ただ、そのベトゥコーチと中距離部門の飯島ヘッドコーチが今後に向けて口をそろえたのは、今後のチームジャパンとしてのあり方だ。「これからの3年は関係者全員が自分のことではなく、日本のことを考えて仕事をしてほしい。それぞれができることを出し合って強いチームをつくっていきたい」(ベトゥコーチ)。東京五輪までまだ3年なのか、もう3年なのか。五輪という晴れ舞台で最大限の成果を得るために、無駄にできる時間はない。
【選手のコメント】
上野「逃げられたのは良かったけど、足が足りなかった。目の前に(集団が)あったのに我慢できなかったのが悔しい」
「結果としては最悪に見えるけど、自分としてはこんなものかと。論理的には普通。これで一番に移籍を残そうとは思えない。短い期間でやってきたことでは、ここで成績を残すことはできない。みんな焦っているけど、段階を踏んで強くなるのが普通のこと。この世界レベルにはマジックはない」
というか、日本の選手は世界選手権が一体どんな大会なのかさえ、はっきりと認識できてないんじゃないか。
ところで、フィギュアスケート界とトラックの世界は「よく似ている」という話がある。Wikipedia に書いてあったな。
というのは、フィギュアスケートもトラック同様、シーズン最後の大会は世界選手権であり、それはオリンピックの開催年(シーズン)であっても変わらない。
ま、フィギュアスケートの場合は、世界チャンピオンにアルカンシエルのようなものが贈られることはないが、翌シーズンが終わるまで、その種目の「王者」としての名を残し、また注目を一身に浴びることになる。つまりは、その選手を中心に、翌シーズンの世界選手権が終わるまで「回っていく」ということ。
言い換えると、ボクシングの世界チャンピオンみたいなもんで、その間、いくら他の国際大会で勝ったからといって、「世界選手権で勝たねば本物ではないねぇ」ということがいえる。
さらにいうと、中野浩一がV10の最中はまさにそんな大会だった。
ところが、今の日本の選手は、世界選手権をオリンピックの「予選」と考えているふしがある。
はっきりいって、そんな考え方では、何年やっても世界選手権で結果など出るわけがない。
一方、ここ2大会のオリンピックの結果を見る限り、その年の世界選手権の結果がほぼストレートに反映されている。
要するに、ロンドンオリンピックを前にして、世界選手権も出場要件が厳しくなったので、世界選手権がダメだったから、オリンピックで捲土重来を期す、ということができにくくなっているのである。また、そのようにできる選手が(少ないながらも)いたとしても、決まって世界選手権で金以外のメダル獲得ないし、入賞レベルには到達している選手ばかりである。
よって、ヴェトゥ―が言っている話は、いきなりオリンピックを見ようとするな!、まずは年度シーズン最後の世界選手権を目標に置け!、ということなんだろうと思う。
自転車トラック種目の世界選手権最終日は16日、香港で行われ、女子ポイントレースに出場した2015年のロンドン大会銀メダルの上野みなみ(Ciel Bleu 鹿屋)は最下位の22位だった。
大会第1日の12日に出場したスクラッチ以来のレースとなった上野は序盤に不運に見舞われる。前を走る他国選手が転倒。「よけられるかと思ったけど、迷った」と巻き込まれて落車した。ただその後もレースに戻り、後半は積極性を発揮。残り約30周で逃げを仕掛け、残り20周で2位となり3ポイントを獲得。ただ、あともう少しでラップして20得点というところで粘れず、後退し「逃げられたのは良かったけど、足が足りなかった。目の前に(集団が)あったのに我慢できなかったのが悔しい」。ここで集団につけなかったのが終盤に響いた。「つけていれば休めた」はずが、結局集団に飲み込まれ、そのペースにもついていくことができず。最後は「たぶん初めて」という周回遅れまで経験し、レースを終えた。1月の練習中に右鎖骨を折って手術を受け、十分な練習を積めなかったことも粘りを欠いた要因かもしれない。今までと違い「すごい緊張した。昨日(15日)の夜くらいまで緊張した」という世界の舞台は、本来の力を発揮できずに終わった。
日本勢は昨年のロンドンに続き2大会連続でメダルなしで終わった。決して満足いく結果ではないが、希望の光がなかったわけではない。短距離では男子チームスプリントで第1走者にリオデジャネイロ五輪BMX代表の長迫吉拓(岡山県連盟)が入って活性化。第2、3走者の新田祐大や渡邉一成(ともに日本競輪選手会)とのチームはのびしろがある。中・長距離では女子オムニアムに出た20歳の梶原悠未が可能性を感じさせた。エリミネーションで2番目に除外されてしまったが、最終のポイントレースで世界と張り合う意地を見せた。
短距離部門のブノア・ベトゥヘッドコーチは今回の成績に「これが現実であって受け止める」と言い訳をしない。その上で「結果としては最悪に見えるけど、自分としてはこんなものかと。論理的には普通。これで一番に移籍を残そうとは思えない。短い期間でやってきたことでは、ここで成績を残すことはできない。みんな焦っているけど、段階を踏んで強くなるのが普通のこと。この世界レベルにはマジックはない」と続けた。世界を知っている名伯楽だからこそ、言葉に重みがある。ただ、そのベトゥコーチと中距離部門の飯島ヘッドコーチが今後に向けて口をそろえたのは、今後のチームジャパンとしてのあり方だ。「これからの3年は関係者全員が自分のことではなく、日本のことを考えて仕事をしてほしい。それぞれができることを出し合って強いチームをつくっていきたい」(ベトゥコーチ)。東京五輪までまだ3年なのか、もう3年なのか。五輪という晴れ舞台で最大限の成果を得るために、無駄にできる時間はない。
【選手のコメント】
上野「逃げられたのは良かったけど、足が足りなかった。目の前に(集団が)あったのに我慢できなかったのが悔しい」
「結果としては最悪に見えるけど、自分としてはこんなものかと。論理的には普通。これで一番に移籍を残そうとは思えない。短い期間でやってきたことでは、ここで成績を残すことはできない。みんな焦っているけど、段階を踏んで強くなるのが普通のこと。この世界レベルにはマジックはない」
というか、日本の選手は世界選手権が一体どんな大会なのかさえ、はっきりと認識できてないんじゃないか。
ところで、フィギュアスケート界とトラックの世界は「よく似ている」という話がある。Wikipedia に書いてあったな。
というのは、フィギュアスケートもトラック同様、シーズン最後の大会は世界選手権であり、それはオリンピックの開催年(シーズン)であっても変わらない。
ま、フィギュアスケートの場合は、世界チャンピオンにアルカンシエルのようなものが贈られることはないが、翌シーズンが終わるまで、その種目の「王者」としての名を残し、また注目を一身に浴びることになる。つまりは、その選手を中心に、翌シーズンの世界選手権が終わるまで「回っていく」ということ。
言い換えると、ボクシングの世界チャンピオンみたいなもんで、その間、いくら他の国際大会で勝ったからといって、「世界選手権で勝たねば本物ではないねぇ」ということがいえる。
さらにいうと、中野浩一がV10の最中はまさにそんな大会だった。
ところが、今の日本の選手は、世界選手権をオリンピックの「予選」と考えているふしがある。
はっきりいって、そんな考え方では、何年やっても世界選手権で結果など出るわけがない。
一方、ここ2大会のオリンピックの結果を見る限り、その年の世界選手権の結果がほぼストレートに反映されている。
要するに、ロンドンオリンピックを前にして、世界選手権も出場要件が厳しくなったので、世界選手権がダメだったから、オリンピックで捲土重来を期す、ということができにくくなっているのである。また、そのようにできる選手が(少ないながらも)いたとしても、決まって世界選手権で金以外のメダル獲得ないし、入賞レベルには到達している選手ばかりである。
よって、ヴェトゥ―が言っている話は、いきなりオリンピックを見ようとするな!、まずは年度シーズン最後の世界選手権を目標に置け!、ということなんだろうと思う。