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筒井義信・日本経済団体連合会会長 誕生

2025-05-30 16:25:59 | 安倍、菅、岸田、石破の関連記事
“課題解決のフロントランナーへ” 経団連 筒井新会長に聞く NHK 2025年5月29日 17時25分

「課題解決のフロントランナーとして企業がその役割を担い、将来世代への責任を果たしていく」
経団連の会長に就任した筒井義信氏はインタビューでこう決意を語った。

労使で訴えてきた賃上げが定着してきた一方、社会保障費の増加や物価高が負担となり、国民の多くは生活水準が上がったという実感を得られていない。さらにトランプ関税によって日本経済の先行きは不透明感が増している。

いま何をすべきなのか。筒井新会長に聞いた。

(経済部記者 猪俣英俊)

金融業界から初選出
生命保険の国内最大手「日本生命」で社長や会長を務めてきた筒井氏。
経団連会長はこれまで製造業の出身者がほとんどだったが、今回、金融業界から初めて起用された。
Q. 金融業界出身の経験や強みをどのように生かしていくか。
「『中長期の視点』と『日本全体の視点』の2つの視点を重視したい。人間は足元の問題にとらわれがちだが、中長期に視点を置いて取り組みたい。保険商品も非常に長期、資産運用も長期という生命保険会社の仕事の特性を反映して、こうした視点を持ち得た。

また、日本全体の視点は、全国に事業ネットワークがある仕事の経験と知識から積み上がってきた。加えて機関投資家としての位置づけも大きく、多くの企業との対話に取り組んできた。対話を通じて知った企業の努力をはじめ、身についた知識や感性も大事にしたい」
トランプ関税あっても賃上げは途絶えさせない
筒井新会長が直面する大きな課題がトランプ政権による関税措置だ。
不確実性が増す中、日本経済にも大きな影響が出ると懸念されている。
Q. 関税措置による日本経済への影響をどう見ているか。
「直接的には輸出が減少する上、世界中の国々の貿易が縮小傾向に入っていきかねない。GDP成長率で見た場合、今回の関税による影響は主要国の中で日本が一番大きく影響を受けると見ている」
Q. 日本はどう向き合っていく必要があるか。
「1つ目は長期的に見れば、トランプ大統領以降も関税措置は変わることがないと思ったほうがいい。日本経済は構造的変容に直面していて、今のタイミングをむしろ機会と捉え、これを契機に国内の投資を促進し、産業構造の転換につなげていく必要がある。

2つ目は自由貿易の理念が崩れつつある中、この自由で開かれた国際秩序の理念と行動を日本がしっかり旗印に掲げて、世界中に訴求していく必要がある。そのためには同志国をつくり、アメリカに依存してきたネットワークを多極分散型のネットワークに構築していく必要がある」
Q. トランプ関税による景気の悪化を理由に、企業が賃上げをいったん停止してしまうのではないかと心配している人も多い。
「賃金は基本的に上がっていくべきものだという思想が、長くデフレが続いてきた中で失われてきている。この思想を定着させるためにも賃金引き上げは持続させるべきだと思う。自社の状況に適した賃金引き上げという継続的なモメンタム(勢い)というのは、決して途絶えさせてはならない」
現役世代の負担を減らす
一方、賃上げの動きが続く中でも、生活水準の向上を実感できる人は少ないと言われる。
筒井氏は賃上げの効果を小さくしている背景の1つとして社会保険料の増加を指摘する。
「理念として言えば“公正公平”が大事だが、給付と負担のどちらも偏った構造になっていると思う。世代での偏り、所得層での偏りといった課題を是正していく道筋を国民に示して、的確な方向性について納得感を得る。

これは非常に難しい道筋だが、公正公平、持続可能性を実現していくためには必ず通らなければならない。税と社会保障改革について、国民の各層が間接的に参加できる会議体のようなものを作り、議論を早く開始すべきだと考えている」
Q. 経済界からは分配の前に成長が必要だ、成長がなければ分配もできないという議論があった。
経団連は分配も重視する姿勢を示しているが、分配の大切さはどこにあるか。
「私なりには成長なくして分配なし、分配なくして成長なしだと思っている。今回の関税問題の背景をとことん突き詰めていくと、やはりアメリカにおける格差の拡大というところに起点があるのではないかと思う。

日本も徐々に格差が開き、放置しておくと拡大しかねない。この格差を是正し、かつてあった分厚い中間層を形成していくことがとても重要で、分配の目線がないと、単純に経済成長しても数字だけの成長になって、中身の伴わないクオリティの劣化した経済成長にしかならないと考えている」
投資の礎は科学技術
その経済成長を左右する重要な要素として、筒井新会長はイノベーションを真っ先にあげる。
イノベーションの促進に向けて、新たに「科学技術立国戦略特別委員会」を設け、科学研究費の倍増などで産学の研究力強化を図りたい考えだ。
「日本の成長のキーポイントになるのは国内投資の促進だが、その投資のベースを作るのは科学技術、研究力だ。この研究力で今、日本は世界から徐々に立ち遅れてきている。この研究力の遅れはいずれ人材の減少を招き、さらに産業競争力の後退につながりかねない。

悪循環に入っていくという強い危機感がある。世界各国は政府が主体になって集中的な資源投下を進めているので、そこに立ち遅れてはいけない」
Q. 科学技術立国戦略特別委員会は、具体的にどういうことを目指す組織なのか。
「研究力という意味では基礎研究、応用研究があり、そして社会実装までいくわけだが、この一連の戦略を一気通貫で見て何が足りないか、大学のどこの体制を変えなければいけないか、企業のどういう戦略的投資を変えなければいけないかということを考えていく横断的な委員会として設置する。科学技術に関わる知見のある委員長の集まりで、大胆な提言をしていきたい」
お笑いのテクニックを生かす
インタビューや会見では鋭いまなざしを相手に向け、一見、堅い印象がある筒井氏だが、若手社員との意見交換を取材した際には別の一面を発見した。

「財界総理」とも呼ばれてきた経団連のトップとなるだけに、若手社員も緊張した面持ちで話すかと思いきや、終始、笑いが絶えない会話となっていた。

関西出身でお笑いが大好きという筒井氏は、話しぶりやイントネーション、間の置き方をお笑いから学んで取り入れているという。
「関西出身ですので、幼少の時からテレビのスイッチをつけると、吉本が出ていた。ここでの笑いのエッセンスのようなものが人と人のコミュニケーションの場で自然と何かしら役に立ってきているのではないかと思っている」
時勢を読む
世界情勢がめまぐるしく変化する中で日本経済の難しいかじ取りを求められる筒井氏。座右の銘を聞くと、「時勢」ということばをあげた。
「こうあるべきだという価値観を表すことばではなく、時代の流れの中でどういう意思決定をしていくかという、ある種のリーダーのたたずまいのようなものをイメージさせることばというのが私なりの理解だ。

リーダーというのはこの時代の流れに時として逆行するような判断を下す場合もある。あるいは時代の流れに沿った判断を下す場合もある。また、時代の流れからちょっと岸から上がり、流れを見る場面もあるだろう。

いずれにしてもリーダーのあり方を時代の流れの中で想像しながら日常の意思決定に取り組むという意味だ」
「世界の情勢が目まぐるしく変転をしている時だからこそ、課題解決のフロントランナーとして企業がその役割を担い、そして将来世代へしっかりと責任を果たしていく。そういう経団連を目指していくべきだと決意している」
取材やインタビューを通じて、社会の課題を自分ごとと捉えて、みずからのことばで語っていたのが印象的だった。

生命保険会社での経験から、さまざまな人の話を聞き、それを政策や提言に反映させたいと語る。

先が見通せない時代だからこそ、幅広い視点を持った筒井氏の手腕に期待したい。

(5月29日「おはBiz」で放送)
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