
【グラフ】遺族会会員数の推移 Ⓒ読売新聞
高齢化進む日本遺族会支部、会員減少で4割超が活動減…7団体は解散など検討 読売新聞 2025/08/15 05:00
戦没者遺族でつくる日本遺族会(東京)の支部にあたる47都道府県遺族会のうち、4割を超える20団体が高齢化に伴う会員の減少を理由に、一部の活動を中止・縮小したことが読売新聞の調査でわかった。7団体が活動休止や解散を検討していることも判明。戦争の記憶の継承が困難になっている実態を改めて示した。
調査結果などによると、全遺族会の会員総数は、令和が始まった2019年は計約57万世帯で、今年は計約35万世帯に減った。従来の活動のうち一つでも中止・縮小したのは20団体。海外での慰霊巡拝が中止されたり、国内での遺骨収集が休止されたりした。
大阪や兵庫など18団体では、中止・縮小の活動はないものの、追悼式などの行事への参加者が減った。
今後の活動方針を尋ねたところ、北海道、宮城、京都、大阪、愛媛、大分、沖縄の7団体は活動休止や解散も検討していると答えた。
日本遺族会は「結成当初、組織の中心は戦没者の父母やきょうだいの世代で、会員数が減るのは自然なことだ。遺族の記憶を伝承し、平和を希求する活動を戦後100年まで続けることを目標に掲げており、愚直に『戦争の悲惨さ、平和の尊さ』を訴え続けたい」としている。
調査は7~8月、読売新聞が日本遺族会を通じて実施し、全47団体から回答を得た。
親族を戦争で亡くした上智大学の 蘭あららぎ 信三・名誉教授(戦争社会学)の話 「会員が減ることは、戦後の日本が戦争をせず、平和だったことを表す。しかし肉親を亡くした遺族の心情は語り継いでいかなくてはならない。語り部活動に加え、各地の資料館を『記憶の場』として活用し、映像などとともに戦争の悲惨さを伝えることも必要だ」