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富士河口湖町の「ティ・エム・ワークス」:鳥が近寄りにくくなる「鳥よけ装置」を開発 → バードストライクの防止に一定の効果があるとして国内9空港が試験導入

2025-07-19 19:25:25 | 政治経済問題
鳥よけ装置を開発した轟社長(山梨県富士河口湖町で)Ⓒ読売新聞


関西空港に設置された鳥よけ装置(関西エアポート提供)Ⓒ読売新聞



空港のない山梨発、バードストライク防止期待の「鳥よけ装置」…総勢10人の会社が開発 読売新聞 2025/07/19 15:27

空港のない山梨県の小さな自動車用品製造会社が、航空業界の期待を集めている。鳥が近寄りにくくなる「鳥よけ装置」を開発したためで、航空機と鳥がぶつかるバードストライクの防止に一定の効果があるとして国内9空港が試験導入した。本格導入に移行した空港もある。エンジンに鳥が吸い込まれると出力低下を招き、大事故につながる恐れもあり、同社は「命を守るために少しでも役に立てれば」としている。(甲府支局 菅原智)

関西空港に設置された鳥よけ装置(関西エアポート提供)
 開発したのは富士河口湖町の「ティ・エム・ワークス」。総勢10人の会社だ。

 装置は鳥が嫌がる高周波の音を出し、200メートル程度の範囲で効果があるという。滑走路周辺に設置する。

 鳥取空港では2023年度、滑走路周辺で1568羽のカラスが確認された。装置導入後の24年度は1270羽で、約2割減った。

シカよけから
 轟秀明社長(60)は「航空業界に進出できるなんて思ってもいなかった」と語る。転機は18年。「シカよけ装置」の販売を始めたことだった。

 富士山周辺では当時、シカと車の衝突事故が多発していた。知人から対策を頼まれ、シカが嫌がる周波数の音が出る装置を作ると、シカが列車にぶつかる事故に悩んでいた鉄道業界からも、注文が舞い込んだ。

鳥よけ装置を開発した轟社長(山梨県富士河口湖町で)
 「他の動物にも効果があるかもしれない」。周波数を調整し、カラス被害に悩む近所のゴミ収集所に設置すると、効果てきめん。ゴミを荒らされる被害がぴたりとやんだ。

 カラス撃退などの話は岡山県瀬戸内市に伝わった。ノリ養殖場に21年、装置を設置すると、カモによる食害は例年より3割ほど減ったという。

口コミで
 23年までの5年間でみると、国内の空港では年平均で1300件を超えるバードストライクが起きている。

 鳥を寄せ付けない装置があるらしい――。評判は口コミで航空業界にも広まった。23年3月、全国で初めて石見空港(島根県)が設置。これまでに中部空港(愛知県)など9空港が試験的に導入した。

 関西空港では24年3月の試験導入後、鳥の出現数とバードストライクが減少したといい、今年6月上旬に本格導入した。担当者は「安全確保や運航遅延率の低下などのため、効果に期待している」と話す。

 「装置が生かせる可能性を探りたい」。轟さんは装置の活用領域をさらに広げたい考えだ。

 その一つが養鶏。野鳥が鶏舎に近づかないようにすることで、鳥インフルエンザウイルスへの感染防止に役立てる構想だ。

 装置の名称は「バードソニック」。販売価格は約30万円だという。


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