畑中智晴さんの案も参考にしつつ、持論を展開していきたいと思います。
競輪の売り上げは1992年度以降、毎年減少。オートレース、地方競馬、そして競艇が対年度比で下げ止まり局面が見られた年度があったことと比較すると対照的。中央競馬も、2008年度(1~12月)はほぼ横ばい(-0.03%減)だったことを考えると、競輪だけが、いまだ減少局面の歯止めがかかっていないことがいえよう。
もっとも、2008年度については、F1、F2(一部の開催を除く)において12レース制が導入されたこともあって、1日あたりの売り上げは10%近い伸びを示している。しかし、G1、G2の下げ止まり局面は見られず、G3についても、数年前のような勢いは明らかになくなってきている。そして問題なのはF開催。特にF2は、2層トーナメント制が導入されても、赤字を解消する形にはいまだ至っていない。
加えて、主力ファン層の高齢化についてもある意味深刻。特にF開催においては、後期高齢者層に近いと見られる年代が大半を占めており、さらに、そうした年代の方々は、キャリアがン十年といったケースが大半とみられることを考えると、若者層だけにとらわれない、まさに「新規ファン」の開拓が急務だと考えられる。
ところで、競輪だけはなぜか、競輪人気回復のきっかけという話に至ると、
「昔の競輪に戻してくださ~い!」
と言う人が少なくない。しかしながら、昔の競輪とは一体いつ頃のことを指すのか?そのあたりが明確ではないことが多い。
高原永伍の全盛時代なのか?はたまた、福島、田中、阿部の三強時代を指すのか?中野VSフラワーライン時代を指すのか?いや、それよりももっと古い、吉田・石田時代なのか?松本勝明や山本清治が全盛を誇った頃なのか?
昔の競輪とはいっても、一体いつの年代なのか分からない。少なくとも、「昔」という以上、吉岡・神山時代でないことは確かだろう。
少なくとも、他競技において、例えば競艇において、彦坂・野中・北原のビッグスリー時代に戻してくれ!なんていうファンなど聞いたことがない。いや、ビッグスリー時代があったことさえ今や知らないファンも少なくないのではないか。オートレースについても、飯塚将光の全盛時代云々がどうとかいう話は、昔話としてはあったとしても、その頃のオートレースに戻してくれ!なんていう話はおよそ聞かない。
中央競馬にしたって同様。地方競馬も、一部にアラブ復活論がある程度。
そして、結果論として「見る限り、ファンも含めた、「昔」にこだわる姿勢を見せなくなった業界は、何らかの形で回復基調を果たしている。と考えると、競輪の起死回生策はまさに、「昔」という概念からの脱却を図ることではないのか。(以下、続く)