公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

凱旋門賞回顧

2006-10-02 01:49:02 | 大レース回顧集

第85回凱旋門賞は、3歳牡馬の5・レイルリンクが優勝。2着に3年連続同レース出走の牝馬の4・プライド。注目かつ1番人気を背負った1・ディープインパクトは3着に終わった。

http://www.zeturf.com/en/resultats/2272-LONGCHAMP/11586-Prix-de-lArc-de-Triomphe-Lucien-Barriere

ディープのスタートの出はよく、当初は7・アイリッシュウエルズの2番手。しかしながら、3・シロッコが行きたがるそぶりを見せていたので、ディープは3番手に控える。その後ろに2・ハリケーンラン、さらにレイルリンクがディープとハリケーンを見る形でその後ろにつけ、途中でディープへのマーク策に出た。プライドは最後方からの競馬。

3角では、ディープはシロッコにほぼ並びかけ、問題のフォルスストレートでも慌てない競馬。逆にハリケーンランは手が動き始め、シロッコはほとんど一杯のような状態。

しかしハリケーンの手が動いたことで、レイルリンクのパスキエ騎手も反応。さらにプライドも仕掛けに出て直線へと向かう。

ディープは直線半ば手前でもほとんど持ったまま。手ごたえとしては十分かに思われたが、武豊騎手が追い出したところでレイルリンクが一気に強襲。さらに外からプライドもやってきて、一旦はディープは差し返してレイルを離しかけたが、G前50Mぐらいの地点で力尽き、レイルリンクが優勝。プライドがG前ディープを抜いて2着。ディープは3着となった。

2大レース3連覇がかかったハリケーンランは4着。シロッコは最下位の8着に終わった。

デビュー戦は今年4月10日のサンクルーと3歳デビューとなったレイルリンク。

http://www.sportinglife.com/racing/news/story_get.cgi?STORY_NAME=racing/06/10/01/RACING_Arc.html

しかもデビュー戦は競走中止となってしまい、2戦目からスミヨンに乗り替わったが、ここでも勝てず、結局クラシック戦線には乗れなかった。

だが5月末のサンクルーで行われたグーヴェルナン賞で2着に2馬身の差をつけて変身し、6月のリス賞で初の重賞勝ち。その勢いで7月のパリ大賞に挑み、レッドロックス2馬身の差をつけて初のG1勝ちを果たした。

レイルリンクの評価を急上昇させたのはニエユ賞

ヨームザンに半馬身差ながらも着差以上に強い競馬を見せて勝ち、また、ニエユ賞を勝った馬が凱旋門賞を制するケースがここ数年は通例化していたことから一気に評価が高まった。

今回は主戦のクリストフ・スミヨンがシロッコに騎乗のため、パスキエ騎手がテン乗りとなったが、終始前を見る競馬を心がけ、とりわけディープインパクトが仕掛ける前に動きをかけ、最後は一気に伸びた。

これまでの競馬の過程を見る限り、他の3歳馬とは違って目一杯競馬をしたというケースはニエユ賞だけであり、本格化するのは4歳になってからではないか、と思われたが、やはり、勢いが違う3歳勢の「底力」を見せ付けた格好となった。

パスキエ騎手は凱旋門賞初優勝。そしてファーブル調教師は2年連続通算7回目の凱旋門賞優勝。もちろん、調教師としては最多優勝記録であり、自身の記録をさらに更新した。

プライドはほとんど最後方のまま出を伺っていた印象で、こちらもハリケーンランが仕掛けてすぐにルメール騎手が手を動かした。ディープインパクトを最後抜いての2着は価値があるもの。

ディープインパクトの話は最後にして、4着のハリケーンラン。

今回は終始厳しい競馬を強いられ、また、ラチ沿いが強いという特性を持つこの馬の動きを他馬に完全にマークされていた格好だった。

パドックのときもイレ込みが激しく、しかも勝負どころのフォルスストレートで窮屈になる競馬にもなり、道中、この馬の持ち味であるロングスパートをかける場もなく敗戦となった。

シロッコは本馬場に入って急に馬がチャカつき、それが競馬になっても抑えきれず、ディープインパクトを見る形で競馬がしたかったのに、逆にそれができなくなってしまい、直線に入ると脚を失っていた。やはり、フォア賞の劇走からか、若干疲れが出ていたのかもしれない。

さてディープインパクト。

恐らく、この馬としては過去にない、抜群のスタートを切れたし、道中も全く問題のない動き。確かにハリケーンやレイルにマークされて厳しい競馬であったことは確かだったが、それも武豊騎手は計算に入れていたような騎乗ぶりだった。しかし。

ハリケーンランの動きにレイルやプライドが「つられる」形で反応した際、ハリケーンの前で競馬をしていたディープは、逆にその動きが見えなかったのか、武豊は直線半ばまで追い出しにかからず、その結果、先に動きをかけていたレイルやプライドに最後差し込まれた。

ただ、道中の競馬の内容は決して悪くない。むしろこれまでのレースの中で一番いい反応をしていたように思う。

しかし問題は、「日本でのような競馬」をしてしまい、結果敗戦に繋がってしまったこと。

仕掛けるタイミングが遅れているようでは、先にスパートをかけた馬にはどうしても勢いで劣る。それでも一旦は差し返して、レイルを抜き返したあたりは潜在能力の高さを示したと思われるが、例えば7年前、エルコンドルパサーが虚をつく形で思い切ってハナを奪いに行くレースを行い、その結果最後の最後までわからないといった状況を作り出したことは記憶に新しいこと。

ある意味凱旋門賞というレースは、キングジョージとはまた違って、一か八か(勝負を)かけるところはかけておかないと、今回のように足元を掬われてしまう、ということになりかねない。

ただ、だからといって今回の結果を見る限り、前哨戦を叩いておけばよかったとも思えない。要は勝った馬の執念もさることながら、勝負どころを「いつものように」決めてしまっていたんでは「勝てない」ということ。

奇跡の馬と思われたディープインパクトだが、奇跡ではない、「普通の競馬」をして敗戦したという印象が強く残った。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする