公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

どうなる?公営競技

2005-11-22 00:16:18 | 公営競技論

下記に挙げるような問題は当初はメールマガジンだけで行なってきましたが、公営競技の今後を大きく揺るがす問題であるだけにブログでこれから取り上げていくことに決めました。これからも頻繁に取り上げていきたいと思います。

というわけで、メールマガジンのほうは一応その役割が終わったと判断して休刊を決めました。

19日に発表された政府の公営競技に対する骨子は次のとおり。

公営ギャンブル 地方競馬を共同法人化 競輪・オート統合 政府改革案

 政府は十八日、ギャンブルにかかわっている公営競技関係の四特殊法人改革で、地方競馬全国協会(NAR)を解散し、主催する地方自治体の共同出資で設立する地方共同法人に衣替えする方針を固めた。年末に閣議決定する行政改革の重要方針に盛り込む。競輪の日本自転車振興会(日自振)とオートレースの日本小型自動車振興会(日動振)は統合のうえ公益法人化し、日本中央競馬会(JRA)は日本銀行や日本赤十字社と同様の認可法人とする。低迷が続く地方競馬は共同法人化によって、レース内容の向上が見込める一方、競馬場の廃止が加速する可能性もある。

 公営競技関係法人は競艇の日本船舶振興会(日本財団)を含め五法人。政府の特殊法人等改革推進本部は、公益法人の日本財団を除く四特殊法人について「国の関与をできるだけなくす」前提で組織見直しに着手し、民間人で構成する同本部参与会議で議論してきた。

 地方共同法人は、複数の自治体が共同して業務運営を行う法人で、国は出資しない。NARを共同法人化するのは、地方競馬の採算が極度に悪化しているためだ。地方競馬はかつて地方財政を潤してきたが、趣味の多様化に加え、高コスト体質が響き、昨年度は主催者すべてが赤字。合計の赤字額は百八十九億円に達し、足利、高崎、宇都宮の三場が昨年から今年にかけて廃止された。

 NARは馬主や競走馬の登録、調教師や騎手の免許交付を行っているが、各競馬場の運営には直接関与していない。このためNARを監督する農水省は十月三日の参与会議で「NARを改組し、自らが運営できる組織にしたい」と提案。参与からも地方共同法人化がベストだとの意見が相次いだ。

 共同法人化すれば、全国規模で騎手や競走馬の移動が容易になり、レース内容の向上が見込めるほか、集中投資による施設改善や大規模な宣伝活動も可能だ。しかし、出資額や運営をめぐって自治体間の対立が生じる懸念があるほか、リストラによって廃止される競馬場がさらに増えそうだ。

 一方、JRAは自身が主催者であるため参与会議で「ギャンブルの民営化は暴力団の介入をもたらしかねない」との認識で一致。国が主体的に設立する特殊法人から認可法人に移行するが、実態は大きく変化しない。

 また、日自振と日動振は黒字の競技場があり、地方共同法人化には黒字の自治体から「メリットがない」との反発が出ることが予想され、地方共同法人化は見送られた。日動振はオートレースの事業規模が競輪よりも小さいため「対等合併にならない」と反対しているが、参与会議では事業内容がほぼ同じとの理由で統合化すべきだとの意見が大勢を占めた。

(産経新聞) - 11月19日3時1分更新

この骨子は概ね評価している。つまり、国側も公営競技に対する意欲がまだまだあるという内容だからだ。

オートレースに至っては、参与会議は「消滅」さえも示唆していた。日本小型自動車振興会の財務内容を見れば分かることだが、損益計算書では完全に赤字が出ている。その原因は何と言っても交付金の大幅なる減少。しかもピーク時と比較して3分の1程度にまで売り上げが落ち込んでいてなおかつそれに歯止めが利かないとなればやっていく意味がないからだ。

だが参与会議は競輪との統合案を提案し、オートレースの消滅は免れた。官僚をはじめとする役人は天下り先が減少することから猛反発したらしいが、それは現状をあまりにも見ていない証拠。

そして一番問題なのが地方競馬。ついにNARを解散させて共同化への道へと進むことになったわけだが、確かに前々から懸念されている南関東4場のみ、いや、究極的には大井競馬だけしか生き残れないのではないかという話も現実味を帯びている。

つまり共同化とはいっても今すぐにできるわけがなく、恐らく郵政民営会社のように少なくとも2年はかかることだろう。そうなるとその間に廃止を決意するところも出てくるのではないかということもいえるわけで・・・

10日にホッカイドウ競馬の全日程が終了した。「Aiba」というミニ場外の効力が大きかったのか、3年連続で売り上げアップを果たした。しかし当初の目標額には達せず、相も変わらず赤字の垂れ流し状況は変わっていない。

それでも高橋はるみ北海道知事は今年度がホッカイドウ競馬再生5カ年計画の最終年ということもあって場合によっては撤退、つまり「廃止」も示唆していたわけだが、3年連続で売り上げアップ、それも今年は昨年・一昨年と続いたコスモバルクのフィーバーの恩恵がなかったにもかかわらずアップさせたことを評価し、来年度の開催継続に前向きな姿勢を示した。

続いて問題となっているのが高知競馬。既に競馬存続のために税金を投入していることから毎年もう「後がない」状況となっているが、こちらも橋本大二郎知事が競馬存続の方向性を変えておらず、また四半期の状況を見るとあの「ハルウララ」がいずとも多少の経営改善が見られるようになった。ただ、累積赤字を解消するにはもちろん至っていない。

岩手競馬はどうやら累積赤字が120億円を突破する勢いであり、しかも県議会での突き上げも厳しいようだが、こちらのほうは経営改善はまだこれからといった段階。漸く旧競馬場の売却ができるということだし、これまでむざむざと投じてきた過剰資産を売却する方向も模索している。また、ソフトバンクが岩手競馬のWeb中継を行なうようになった。

ホッカイドウ、高知、岩手がとくに地方競馬では最も危ないところであるわけだが、むしろ心配なのは名門である名古屋・笠松といったところ。

笠松競馬は本来ならば廃止されていた「はず」であったが、結果的に今年度の様子を見て来月あたりまでに来年度の開催継続か否かを判断するという。

廃止推進派で、競馬廃止を「花道に」引退をしたかった梶原前知事に代わって岐阜県知事となった古田肇知事だが、上半期において2100万円の赤字を出したことについては苦汁の顔を見せ、競馬存続が厳しいという考え方も表明している。

また、名古屋競馬は既に2008年度までに黒字の見通しが立たない場合は廃止も視野に入れている。その打開策として今年JBCが開催され、名古屋競馬場の1日あたりの売り上げレコードも記録したみたいだが、果たしてその勢いが通常の開催でもあるかどうかということがいえるわけで、しかもJBCクラシックにおいては「後味の悪い」面もさらけ出してしまったために一部ではその運営方針に疑問の声も上がっているみたいだ。

もちろん、九州や兵庫といったあたりや福山も予断を許さない状況だし、南関東とて大井以外の3場ははっきりいって厳しい。

だがもし今ある地方競馬を一場でも廃止するということになったら共同化という意味合いはなさないのではないか。

その一例は、「平成の大合併の邪魔」扱いをされた上山競馬であり、2003年11月に廃止されたが、その後結局は競馬場跡地問題がネックとなって山形市に合併話を蹴飛ばされた。その上競馬開催がなくなって以後、上山温泉に来る客はめっきり減り、旅館の廃業も相次いでいるとか。

しかも上山競馬の経済効果は何と年間200億円ほどあったという。その10分の1強でしかない累積赤字のために競馬をやめるわけになったんだが、実は掲示板でも取り上げたように、競馬場跡地問題が思うように進まなかったため、当時の高橋和雄山形県知事が、県議会の了承もなく自らの裁量で20億円以上の「穴埋め」を企てたことが明るみになった。そんなカネがあるんだったらどうして自らが競馬開催を肩代わりしなかったのかと疑問が残るというもの。加えてインターハイで優勝実績もある明新館高校馬術部を廃部に追い込みかけたこともニュースになった。

他の廃止された場については上山のような「すったもんだ」の事例はないようだが、少なくとも、競馬を廃止するとなると相当の「覚悟」が必要なことは言うまでない。中津のように、鈴木一郎前市長が突然年度締め間際に廃止を表明したばかりか、「逆ギレ」してこちらのほうが逆に赤字分を穴埋めしてもらいたいぐらいだとして、ろくに補償問題にも触れなかったことから廃止後も訴訟問題がこじれたが、漸く先ごろ、新貝正勝現市長が福岡高裁の和解案を受け入れ、解決の方向へと向かうことになった。

また補償問題については、新潟県営競馬も結局は泉現知事が最終的に取りまとめざるを得なかった。

つまり、公営競技というのはやめた後のほうが大変なのである。西宮・甲子園競輪の問題については、先ごろ甲子園土地企業が兵庫県市町競輪事務組合を相手取った訴訟で「敗訴」にはなったが、もともと甲子園競輪1場存続案が言われていた中で急な廃止決定だったことは否めないとして1億円あまりの補償は必要という神戸地裁の判決がだされた。

さらに一番厄介な「阪急電鉄」の訴訟問題がまだ残っている。

管理者である西宮市は大まかに言って日本競輪選手会・近畿自転車競技会・甲子園土地企業・阪急電鉄と何と4団体から訴えられているのである。しかも判決の出ていない阪急電鉄以外はいずれも「控訴」ないしは控訴を表明している。その裁判費用というのは無論「税金」で出ているわけであろう。となると、競輪開催では赤字の穴埋めは税金ではできないといっていたくせに、いざ裁判となると税金を使うことになるのか?

そのあたりを考慮に入れねば、はっきりいって公営競技をやめなかったほうがいいってことになりかねない。そういった意味から考えて、参与会議、ひいては政府の公営競技への骨子はそのあたりの意味合いも含まれているのかもしれない。

なお、引き続き公営競技の今後の問題についてはおって取り上げて行きたいと思う。

コメント (2)
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