ほぼ週二 横浜の山の中通信

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中国はアメリカと敵対するのか?

2015年10月21日 | 国際・政治(中国)
  • 冷遇された習近平国家主席のアメリカ訪問

 

9月下旬の習近平国家主席のアメリカ訪問は、ほとんどの新聞・雑誌が冷遇されたと報道しています。オバマ大統領と習近平国家主席の会談において、サイバー攻撃に関する対応ではアメリカが強気で、南シナ海の問題では中国が譲歩しなかったようです。サイバー攻撃での米中の取り決めでも、今後の中国の対応を見ないと実際に実行するのかどうかがわからないという論調です。

 

同じ時期に訪問したローマ法王が大歓迎されたのと対照的です。このような結果から、ほとんどのメディアが中国にメリットの無い訪問と伝えていますが、富坂聡氏だけはこの訪問が中国にとってメリットがあったと書いていました? また他に、習近平国家主席のあまりの冷遇ぶりに中国側の担当者が処分されるのでは?と書いているメディアもあります。

 

今回のアメリカ訪問は素人が見てもその冷遇ぶりが際立っていますが、アメリカ訪問は中国国内でどのように見られているのでしょう? 中国メディアが情報統制したとしても、インターネットで調べれば冷遇されているのが直ぐにわかるはず。中国は「メンツ」を重んじる国とよくメディアが書いていますが、今回のアメリカ訪問はメンツを潰された格好です。中国は日本にメンツを少しでも潰されると中国外務省が下品な言葉で非難しますが、アメリカにメンツを潰された今回、中国外務省は下品な言葉で非難したのでしょうか?

 

  • オバマ大統領は中国に強硬な姿勢に変わった?

 

意外だったのは、オバマ大統領はTPP交渉が大筋合意した後、「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない。我々がルールを書き、米国製品の新たな市場を開くべきだ」との声明を出しました。

 

なんでわざわざこんな場面で、中国を引き合いに出してケンカを売る必要があったのでしょうか? TPPを批准しないと、中国に主導権を握られるよという国内(アメリカの上・下院)向けに言っているのかも知れませんが、それにしても露骨。

 

想像すると、オバマ・習近平の会談で、TPPのような貿易に関する中国とアメリカの協定を結ぼうと言う話が中国側から出たのか、あるいは中国との会談でオバマがよほど腹に据えかねたことがあったのか? オバマ大統領は、今まで中国を刺激することをしなかった(他が忙しくてできなかった?)ので、今回の発言は???という感じでした。

 

今までアメリカは中国に対して腰が引けていましたが、もしかしたら南シナ海の問題にアメリカは実力で介入して来るかも知れません。尖閣列島の領海に中国の公船が侵入して来るように、南シナ海の中国が埋め立てた人口島の周辺にアメリカの艦船が本当に入って来るかも知れない。(アメリカが人工島の周辺に出ると口では言っていましたが、私は本当にやるつもりは無いと思っていました。シリアやアフガニスタンが大変だから)アメリカは来年選挙があるので弱気を見せられないけど、アメリカ・中国とも本気になって戦争する気はないので、ジャブの応酬くらいはするかもしれない。

 

  • 中国はアメリカと敵対するのか?

 

中国は将来アメリカとどのように付き合っていくのでしょうか? 中国はアメリカの家来になるつもりはないだろうし、逆にアメリカを従えることにもならないでしょう。

そうすると、どうするか?

①アメリカとロシアの力が不十分な発展途上国のグループを作り、その親分になる

アメリカ、ロシア、中国で世界を三分するような国になり、旧ソ連のようにアメリカと対決(代理戦争)する場合もあるということ? アメリカと旧ソ連は常に利害が衝突していたので、アメリカと中国の間でも同じように争いが起きるはず。

 

②少なくとも、中国はアメリカと太平洋を二分して支配する

だから、アメリカは南シナ海には出しゃばるなということ。

 

中国は旧ソ連やロシアのように、アメリカとケンカをしたいわけでは無く、仲良くしたいと思っているように見えるけど、それは無理やね。「両雄並び立たず」です。

 

少なくとも今は実力不足なので、現状では中国はアメリカと衝突したくない。それで、南シナ海のように、アメリカが手を出さないギリギリのところで相手の出方を図っている。中国は国力がアメリカと対等になるまで、アメリカと正面切って敵対するつもりは無いでしょう。それまでは、友好的な大国として振る舞うつもり?

 

もう一つは、中国がロシアとどう付き合うのかでしょう。アメリカ側につくのか、ロシア側につくのか? 中国の新シルクロードと言われる「一帯一路」構想の「一路」は旧シルクロード沿いの国と仲良くしよう(お前の国は中国の言うことを聞けよということ)と言うことらしいのですが、これらの国の多くはロシアの影響を強く受けているので、中国が本気で「一路」構想を推し進めて来るとロシアと衝突しかねない。一方、「一帯」ではインド洋の海路を牛耳ると言う構想なので、インドとも衝突しかねない。

 

いずれにしても、中国は東に勢力を伸ばそうとするとアメリカと日本、西はロシアとインドが邪魔をするので、当面は南しかないと言うことでしょう。

2015.10.21

続きは「中国はアメリカと敵対するのか? その補足

 


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