ほぼ週二 横浜の山の中通信

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蒲蒲線は実現しない!

2015年04月10日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

JR蒲田駅と東急蒲田駅はすぐ隣ですが、京急蒲田駅はそこから東に1Km弱離れています。身軽でも急いでいる時に歩くのは時間がもったいないし、荷物を持っているとさらにしんどい。京急バスも頻繁に通りますが、バス停まで少し歩くので、歩いたほうが速いような、バスに乗るのも中途半端な距離です。

 

現在、東急東横線沿線から羽田空港に電車で行くとすると、横浜に出て京急に乗り換えるか、JRを乗り継ぎ品川に出て京急に乗り換えるかで、少し遠回りになります。JRで浜松町へ行ってモノレールに乗ると、さらに遠回りです。東急沿線の一部の駅から直通バスも出ていますが、時間が読めないのがね。羽田に比較的近いエリアにもかかわらず、まあ不便といえば不便かな?

 

この1Km弱離れた東急蒲田駅と京急蒲田駅の間を、東急多摩川線を延伸して繋ぐ構想が蒲蒲線です。そうすると、東横線沿線から多摩川線(昔の目蒲線の南側半分)を介して繋がります。蒲蒲線のさらなるメリットは、東急東横線とメトロ副都心線を介して直通運転している東武東上線と西武池袋線沿線の人の乗換が少なくなり便利になること。

 

 

 

(補遺 2024.6.20)-----------------

誤解を受けそうなところがあるので、説明を追加します。

通称蒲蒲線は、大田区の説明によると、一期と二期に分かれています。一期は東急蒲田駅から京急蒲田駅付近まで、二期は京急蒲田駅付近から延伸し、京急蒲田駅の先で京急空港線に乗り入れるという構想です。大田区からルートと費用の具体案が出ているのは一期だけで、二期の方はほとんど白紙です。上の地図の蒲蒲線は一期だけを示しています。

 

一期では、東急多摩川線を東急蒲田駅から道路の下を延伸して、京急蒲田駅付近に造る駅に至ります。羽田空港へは、この駅から京急蒲田駅まで移動して乗り換える必要があります。

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しかし、この蒲蒲線の実現には問題が多過ぎる。

 

①東急の東横線・多摩川線は狭軌、京急空港線は標準軌なので、通常の方法では電車は直通できません。その対案は三つありますが「帯に短し、たすきに長し」です。

1)フリーゲージトレイン

軌間に合わせて車輪の間隔が自動的に変わる電車。ここ数年では非現実的。

2)京急空港線を3線軌条にする

狭軌用と標準軌用の3本のレール(1本は共用する)を敷いて、狭軌と標準軌の電車を走らせる方法。3線軌条は昔から使われている技術ですが、3線化する費用が上乗せになり、線路の保守コストも割高です。

   入生田駅の三線軌条

3)同じホームからの乗換

直通は止めて、同じホームで東急と京急を乗り換える。技術的ハードルは低いが、高い金をかけて乗換の手間がかかるとは。

 

②京急は減収になる。

蒲蒲線が出来れば、京急本線の乗客が東急東横線・多摩川線に流れることになる。東急東横線・多摩川線の乗客は増えるが、京急空港線はトントン、京急本線の乗客は減るので、東急は増収、京急は減収でしょう。 

 

③東急と京急は戦時中に統合されて「大」東急になっていたので、京急側にわだかまりがある。これは私の勝手な推測。

 

④建設費用が1000億~1200億円と、繁華街の地下に建設するため距離の割に巨額。

東急と京急は建設費の負担は無いが、2社で毎年約30億円を何十年間かで返済していく試算が出ています。東急と京急の返済金の負担割合は?

 

⑤JRが対抗する計画を出してきた

上に書いた通り、東急東横線は、メトロ副都心線を介して東武東上線と西武池袋線と繋がっています。今までは、東武東上線と西武池袋線の沿線の人が羽田空港に行く場合、(多分)池袋駅でJRに乗り換えて品川に出ていますが、蒲蒲線ができるとJRに乗り換えしなくなる。これに対抗して、JRは埼京線からりんかい線の一部を通って新線で羽田空港に至る計画を発表しています。

 

という訳でメリットもあるが、デメリットも多い。一番の問題は、蒲蒲線が出来れば京急は減収が見込まれるので、毎年返済する約30億円全額を東急が負担した(まず負担しないでしょう)としても京急は不利です。この計画を推進する話は東急側と大田区から出ているようですが、京急側から積極的に出てこないのは当たり前! それに京急は長年かけて蒲田駅と空港線の高架化工事を完成させたばかりだし。

 

鉄道評論家と言われる人がオリンピックバブルに踊ったのか、蒲蒲線について、あ~だこ~だと書いています(しかも経済系のメディアに)が、鉄道会社は自分の利益にならないことをやる訳ない。今出ている景気の好い話はいずれも東急側からの話で、京急としては苦虫を噛みつぶしているのでは? 結局余計に話をこじらせているような気がする。それとも、この話は実現性が無いとわかっていて、適当に書いているのかな?

 

最近になって、JR東日本の社長が羽田空港へのアクセス線建設に弱気と伝えられています。これは即ち蒲蒲線の計画がとん挫しているからでは?

この計画を進めるには、それぞれにメリットがあるようにしないと無理です。

 

2015.04.10

 

最近の報道によると、蒲蒲線もJRの羽田空港へのアクセス線も2020年までには作らないと決まったようです。理由は、工事が間に合わない事、既存の交通で旅客需要をまかなえることだそうです。

2015.07.10

 

(追加 2024年6月21日)

2023年4月のJR東日本の発表によると、羽田空港アクセス線の工事を6月に着手し、2031年度の開業を目指します。羽田空港アクセス線へは、山手線の西側から、山手線の東側から、りんかい線からの三方向が合流する計画ですが、2031年の開業は山手線の東側からだけです。ということは東京駅方面からのルートを優先するようです。

 

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