ほぼ週二 横浜の山の中通信

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大涌谷に爆音が轟いていた (続き)

2015年05月25日 | 地震・火山

「大涌谷に爆音が轟いていた」を書いた後、あるインターネットニュースサイトに、「観光客が危険な場所で大涌谷を見上げているのはいかがなものか」という主旨の記事が載っていました。ネタにしようと再度捜したが見つからない、削除されたのかな?

 

この記事が言いたいのは

①観光客がいる付近は危険なので、規制すべき

②取材の邪魔になるので、観光客はあっちに行け

のどちらでしょう? 多分この記者は②のつもりで書いたのでしょうが、事前に規制区域の予習もしないで大涌谷に来た感じです。

 

この記事が危険と言っていたのは、県道734号線(強羅から芦ノ湖岸の湖尻へ至る道で、最も大涌谷に近い側を通っている)の下湯バス停付近のことです。ここは大涌谷のすぐ下ですが、もちろん規制区域外です。下の写真の茶色の矢印看板(「3Km先大涌谷」と書いてある)にあるように、2Kmほど行って左折すると大涌谷の展望台へ続く道になりますが、現在は規制されています。

 

この写真の左の茶色い柱に「箱根温泉供給株式会社」と書いてあるように、大涌谷の温泉造成施設を管理している会社の事務所が、バス停のすぐ右手にあります。

 

次の地図は国土地理院25000分の一の「箱根」の一部です。使用許可申請不要にするため、小さくしているのはご容赦ください。

この地図で、下湯バス停から10mほど強羅側へ戻ったCが「下湯」バス停の写真を撮影した場所、下湯バス停から県道734号線を100mほど強羅方向に戻ったDには、大涌沢にかかる橋があり、そこから大涌沢の堰堤が見えます。

 

 

Cには、砂や砂利を保管する「コ」の字形の高さ1mほどのコンクリートの囲いがあります。ここは規制区域外では大涌谷の噴気が最も近くに見える場所で、私もこの付近で撮影し、神奈川県知事もここから視察しました。TVでもここからの映像をよく見るので、ここに観光客が来ると邪魔ということでしょう。

 

地図のD地点の大涌沢の堰堤(正面)と橋(赤いポールの先)で、手前が強羅方向です。

 

 地図を見ての通り、Dは大涌谷のすぐ下にあり、小さい水蒸気爆発でも岩石が転げ落ちてくるかもしれないので危険です。今は規制区域外ですが、規制区域になってもおかしくない。もし爆発があれば、県道734号線も通行止めにして、大涌沢周辺から避難する必要があります。

この近くには旅館(地図で「上湯場」の文字の上側の建物群、今は入口にロープが張ってあり、休業中のようです)もあるし、地図のすぐ右側の枠外には別荘や企業の保養所もあるが、大涌沢から少し離れているので、噴火の影響は少し小さいかな?

 

ついでに「新噴気域」の話です。

Aは噴気が上がっていないが倒木のある場所、Bは県道脇から噴気が上がっている場所で、下湯バス停の次の上湯バス停の100mほど先にあって、樹木が立ち枯れしています。

 

県道脇には「立入禁止」の看板が立っています。

 

このような新しく噴気が出た場所は、これ以外にも数か所あって、県道脇にあるのは、ここともう1か所あります。これらの噴気している場所は、今回の火山活動で噴き出たのではなく、2001年の火山活動が活発だった時期の後に噴出した場所で、箱根の火山活動が活発化している証拠として、今までも何回かTVで取り上げられています。インターネットで捜すと以前はもっと噴気の出ていた時期があったようですが、今はわずかに見える程度です。

初めて見る人(私もそうです)は、立ち枯れしている林の中から噴気が出ているので、ビックリするかもしれませんが、この新噴気域は一時と比べて平穏化しているというべきです。

 

(まとめ)

大涌谷は火山活動が活発な場所と居住域が近く、噴火したら被害が出る可能性が高い。しかし、生活している人たちが実際にいるわけで、今以上の規制は難しいかもしれません。

噴火の兆候があったら、直ぐに逃げられるようにしておいて、とりあえず通常通りの生活をすることになるのでしょう。

ただし、場所によっては噴気の爆音が大きいので、この周辺に宿泊しようとする人は宿に状況を聞くべきです。噴気音は風評被害ではなく、本物の被害です。

2015.05.25

(追加)

インターネットを検索していたら、大涌谷近くの山を歩いた人が「ヘリコプターが飛んでいる」と書いていましたが、おそらく噴気音だと思います。

2015.05.25

2015.05.27 未確認のため、一か所削除しました

2015.06.07 一か所削除しました。

 

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