老いたりとは言え、天に向かいて咲く、さくら花。
里帰り中の姫孫ちゃん、おひとり様で1週間お泊りするという。「そんなにじいちゃんばあちゃんの家がいいの?」と意地悪い質問をすると、すかさず「ウン、死ぬまででもここがいいよ!」とのたまう。「中学校も高校も大学もここから行くの?」「ウン、いいよ」と。えらく好かれたもんだ。やがてそんなことも本気で考える時期が来るのだろうが、取り敢えず今はご希望通り甘えさせてあげよう。
そんなおしゃべりしながらの散歩道。ほぼ満開に近いソメイヨシノの古木に出会った。
決して多くではないが、昨年から今年にかけて伸ばしたであろう若い枝に、精一杯の花を付け、見上げさせるように咲いている。
かつては、大きく根を張り広く枝を張って、満開の花びらで道行く人々を楽しませたであろう大木の痕跡を残している。根っこは直径60cmは優にある。
ただ、その根っこも胴体もいまは朽ち果てて空洞に。薄い皮一枚で尚身をくねらせ、間違いなく息づいている。
老いてなお、病んでなお、大地に根を張り、新芽を伸ばし、天に向かって花を咲かせる老い桜。やりおるな~~。
雨風に耐え長年春が来れば花を咲かせて人々を酔わせ、自らも我が世の春を謳ったであろうこの桜にあやかって、しっかりと大地に根を張り、身の丈に合った枝を伸ばし、華のある生涯になるといいな。
明日は年度替わりの4月ついたち。気持ちを新たにチャレンジの1年にしたいものである。