春らんまん、色とりどりの花咲き乱れ、まさしく我が世の春を謳う季節。
格別な花公園などを訪ねなくても、ちょっと注意深く目を凝らせば、普通の散歩道、ウオーキングロードに愛想満面の花々がある。
これら多くの花は、その時々の寒暖にあまり左右されずにきれいに咲いて見せる。その基準は季節の移ろいを間違いなく捉えていると思えるところである。そして花は、季節到来を感じて一たび咲き始めたらちゃんと花開く。一旦花が開き始めたら途中で閉じることはない。
それに比較すると、寒さ暖かさの流れはなかなか一筋縄ではいかないように思う。
二日前にポカポカ陽気の、1枚上着を脱ぎたくなる日があったと思ったら、一気に真冬の寒さに逆戻り。慌ててセーター引っ張り出したりする。
寒暖の差はまさに行ったり来たりまた戻ったり。いろんな気まぐれ波を打ちながら、じわりジワリと本当の暖かさを連れてくる。
日本人がこれ程までに胸躍らせて待つ季節といえば春である。寒さに耐えるうつむき加減から、咲いた桜を見上げようと上を見る。自然に胸が広がり気分も広がる。
何かと気鬱なこと、きな臭い世情ではあるが、ここは一つ、咲き乱れる花に免じて気持ちよく春を迎えたい。そのためにも、もう冬の寒さは要らない。行ったり来たりせず、一方通行で暖かさに向かって欲しいなと思う。