「黄門様の知恵袋」(思い遣り、子育て、人の道)
講師 但野 正弘さん 8月26日13:30~15:15 @茨城県立図書館
昭和44年の初放送された「水戸黄門」のテレビドラマシリーズは1000回を越える人気番組。他所の方々は、水戸といえば黄門様か納豆が連想されるようだ。
水戸に生まれ育ちながら徳川光圀(1626-1700)について知らない事が多い。
講師の但野正弘さんは茨城大学卒業後高等学校教諭や短期大学の教授なども歴任した。
水戸市学会の理事・事務局長を務めている。
以前、茨城大学に国文学の塚本教授という方がいらっした。
文学の中の女性像を面白く、分かりや易く話するので有名な方であった。
但野さんのお話も面白いい、との噂を聞いていたので楽しみに出かけた。
定刻には満員の盛況、関心の高さが分かる。
入場時に渡された資料を基に話しを要約すると。
〔略歴〕
寛永5年(1628)水戸柵町で誕生。(初代藩主・頼房の三男)。
正保2年(1645)18歳『史記』の伯夷伝を読み反省・立志。
寛文元年(1661)34歳 水戸第二代藩主に就任。
元禄3年(1690)63歳 藩主引退。権中納言(黄門)となる。
〃 4年(1691)64歳 常陸太田の西山荘に隠居。
〃 13年(1700)73歳 西山荘で逝去。常陸太田・瑞龍山、水戸家墓所に埋葬。
*10代はかなりヤンチャな事もしたようだ。18歳の頃に志を立て、学問に励んだ。
*34歳で水戸二代目の藩主に就任するが、生涯を「武士の心」。
すなわち、一日一日をその日限りでいきる。『命賭け』の心であったと言う。
*30年間藩主を務め、藩政の基礎を築いた。
*隠居した晩年の10年間が『水戸黄門』と呼ばれる時代だが、殆ど遠出はしなかった。
〔儒教・『論語』の教えから〕―思い遣り
『己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ』
*「思い遣り」とは、思いをつかわすこと。相手の立場になってかんがえなさい。
〔子育て〕
*強制しないで、機会を観て納得できるように指導する事が大切。
*幼少時に聡明器用でであどもみだりにほめるべからず。14~15歳を過ぎて志が変じる事もあれば、悪いようであっても善くなる事もある。少年期~青年期の教育が大切と言う事だろう。
〔生活の心がまえ〕
『草履をば、つねに踏みそろへるように、心がくべし』
*非常時に対する心がまえ、平素に覚悟をもって行動していないといざというときに出来ない。
『無病延命は鳥獣にならふ』
*食べ過ぎず、常に腹八分目に。
*酒も飲みすぎぬこと。
〔人の道の重要さ〕
*学問と学術は違う。学問は人の人たる道を学ぶ事である。
〔仕事の心がまえと人事管理〕
*性格の異なる人たちを、長所を生かしながら、組み合わせて仕事をしてもらう。
*個性を見抜く力も必要だ。
もっと具体的でたのしい話しであった。おそらく講演会を重ね、自由自在だ。
助さん、格さんを伴なったテレビによる黄門像からの脱却は必要のようである。