( この写真は、JR池袋駅メトロポリタン出口から撮影した写真です。中央遠くに見えるのが新宿のビル街です。 いつ
もこの駅を利用して目白の仕事場へ向かっています。・・・・・・《 2014年、2月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その15
《 漫画家アシスタントが・・・・先生の批評に戸惑う・・・・!? 》
私が勤めるJプロ( ※参照 )は、噂によると編集員の評判がすこぶる悪い。( あくまで昔の話です。今で
はもう噂になる事すらありません )
それは、見込みのあるアシスタントがまったく居ない・・・・・という意味である。
あくまで、編集員が言っているらしい・・・・・という話ではありますが・・・・・かなりキビシイ。
「 J先生( ※参照 )の所のは、ダメだね 」
・・・・・つまり、アシスタントにまったく漫画家になる気がない・・・・・という軽蔑感のある噂
なのです。
確かに、私がはじめてJプロに来た時には、先輩たちがまったく漫画を描かず、勿論、出版社へ持ち込
みに行く事もほとんどありませんでした。
そのため、私も某出版社へ原稿を持って行った時に・・・・・
「 珍しいよ、J先生んとこの人が持ち込みに来るのは 」
・・・・・と言われたほどです。
Jプロには、倉さん( ※参照 )の様に10代で入ってくる人が多いために、持ち込みに行くという経験を
知らない。
そのためもあるのかどうか・・・・・・・・
とにかく、Jプロに入った当初から、どんどんモチベーションが下がり続ける傾向がみられる。
倉さんも先生の所へ来るまでは、いつも4コマ漫画を描いていたのに、アシスタントになった途端に
まるで熱でも下がる様にスッパリと漫画を描かなくなりました。
これが倉さんだけなら、彼の個性とか限界とか解釈の仕様もあるのですが・・・・・・・・多数の先
輩方が同じ様な道をたどるので、私は長年疑問だったのです。
私がJプロに入って数年たった頃、先生に質問した事があります・・・・・・・
「 先生、なんでうちのスタッフは漫画を描いて早くデビューしようとしないンでしょうか? 」
すると、J先生はニヤリと薄笑いを浮かべながら・・・・・・・・
「 俺ィはよォ・・・・優秀な奴をアシスタントに選んでるわけじゃねィ~からよォ~! 」
J先生は、確かにアシスタントを雇う時に、優秀な人材を断る事があります。
普通の漫画家なら考えられない事なのですが・・・・・・・本当に、有望な人材には褒めて褒めて
褒めまくるのです。( 決して雇わない )
「 褒め殺っしゃうからよォ~! 」
では優秀ではない人材( 普通の? )は・・・・・・・どうなるのか・・・・・・・・・・・・・?
アシスタントになった当初の倉さんも、漫画を描いて先生に見てもらった事はあったのです。
しかし・・・・・・・
「 もっと、化けなくちゃダメだ! 」
「 もっと、はじけろ! 」
・・・・・などといった意味のよく分からない批評で、「 どこをどうすれば面白くなる 」といった
具体的な話はまるでなかったのです。
結局、先生の結論はいつも・・・・・・・
「 まぁ・・・・・あせるな! 」
倉さんが聞いた先生の結論・・・・・・・・この言葉は、実は、他のアシスタントたちも同じよう
に聞かされているのです。
「 あせるな 」の意味は、「 今は、十分に勉強して力を蓄えろ! 」という意味なのですが・・・・・
当時、まだ10代だった若い彼らにとってこの言葉は・・・・・・・
「 今は、のんびり遊んでろ! 」
・・・・・に聞こえてしまったわけです!
結局、ほとんど全てのアシスタントが、この「 あせるな 」を「 のんびりしろ 」とか「 休んでろ 」
と解釈してしまったのですが・・・・・・・・さすがに、それには先生も頭をかかえます・・・・
・・・・
倉さんが勤めて数年たった頃・・・・・・・・J先生がお酒を飲みながら話します・・・・・・・・
ブランデーの入ったグラスを手に持ったまま・・・・・静かに目を閉じて・・・・・・・・・
「 『 あせるな 』っていう俺ィの言葉を皆、誤解してるな・・・・・・・ 」
倉さんは返事の仕様もありません・・・・・・・・
先生は、酒でも不味いかの様に・・・・・・・・
「 言わねェ~方が良かったなァ~ 」
しかし・・・・・・・・・・
後の祭りである。
さて、今回で、倉さんの話には区切りを付けて、次回からは、もっと古株のアシスタント体験談を書
きたいと思います。
ちなみに・・・・・・倉さんは、今年( 2014年 )で62歳、Jプロ卒の人材の中では、最も健康的で元気
に暮らしています。今は、イラスト制作や童話画中心に活動中です。
「 漫画家アシスタント 古い話で章 その16 」( 3月10日以降公開 ) へつづく・・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その14」へ戻る 】
【 ※参照 】
・Jプロ・・・・・・・・漫画家J先生の仕事場。1970年前後に東京新宿区中落合にあったマン
ションの一室。当時は、J先生専用の仕事場で、アシスタントたちは、違うアパートで仕
事をしていました。
・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊誌同時連
載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2013年現在、70歳。1969年当時は26歳。
・倉さん・・・・・・・・北九州の小倉生まれ。14歳の時に広島へ転居。1969年に17歳でJ先生
に弟子入り後、52歳までアシスタントを務めた。現在61歳、東京練馬区石神井在住。
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【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
大先生のお言葉ですものね。多分最初に誤解された方の雰囲気がそのまま次の方に伝播していったんでしょうか?最初に修正するべきでしたね。
でもブログのお話しを見ていると、いい職場だなと思うところもありますよ。J先生のお人柄とか。
お身体に気をつけて、Jプロアシスタントの出世頭になるよう頑張って下さい。
水木しげるのアシから、池上遼一、つげ義春という漫画家がでましたが、これは出版社が連れてきたもので、アシが漫画家成りしても、元の漫画家にメリットがあるわけでもないので、どうでもいいのでしょうが、
40年間、日本の漫画界のトップランナーの一角であった不二子プロ。
その初の専属アシスタントとして、『まいっちんぐマチコ先生』で知られるえびはら武司は、1954年生まれのyesどんと、ほぼ同い年だが、1973年から1975年にかけてフジコスタジオに入社。藤子・F・不二雄初の専属アシスタント(最初で最後の弟子)を務め、フジコスタジオ退社後は広告代理店に勤め、サラリーマン化してしまった。
その5年後、マイナーな出版社からの依頼でマチコ先生シリーズを描いたが、アニメ化もされたもものぱっとしなかった。
https://www.youtube.com/watch?v=5_kIaHEjhWg
そのえびはら武司のアシを勤めた、御茶漬海苔(おちゃづけのり、1960年4月12日 - )は、神奈川県川崎市出身1984年、『精霊島』(「レモンピープル」あまとりあ社(マイナーな性風俗出版社))でデビュー。
主な作品
惨劇館(1987年 - 1993年、全10巻)
姫(1991年 - 1992年、全3巻)
妖怪物語(1993年 - 1994年、全3巻)
恐怖実験室(1994年 - 1996年、全5巻)
暗黒辞典(1995年 - 1997年、全4巻)
魔夜子ちゃん(1995年 - 1997年、全3巻)
恐怖テレビ(旧名 TVO)
だが、10年で消えてしまった状態で、現在50才台半ばです。
http://ochazukenori.nobu-naga.net/
ところで、大先生の藤本は『オバケのQ太郎』(1964年)、『パーマン』(1966年)等のヒット作に恵まれるが、それ以降の『21エモン』(1968年)、『ウメ星デンカ』(1968年)、『モジャ公』(1969年)などの作品はあまりヒットせず、とりあえず、短命に終わっています。
このため、藤子スタジオのアシも、『怪物くん』(1965年)、『黒ィせぇるすまん』(1969年)、『魔太郎がくる!!』(1972年)といったヒット作に当時恵まれていた安孫子中心に手伝うようになりました。
藤本はスランプに陥り、「週刊少年サンデー」の編集長に「サンデー作家陣から外してほしい。」という手紙を送りつけるようになります。
その後、両者の関係は逆転し、安孫子は藤本の『ドラえもん』が大ヒットしたのを見て、「このままだと、藤本氏のマネジャーかアシスタントをやるしかないのでは」と内心悩んでいたと振り返っています。
まぁ、ことほど左様に、一時成功しても、破滅の危機はなんども襲い掛かってくるということになります。
J先生のアシスタント感がどのようなものか、分かるはずもありませんが、僕が話をしてもらった時には「うちはアシスタントの掛け持ちもOK。」「ここに出入りする出版社や業界の人間と顔繋ぎしろ。」「誰だろうが、漫画家なんてのはバカばっかりだから尊敬なんてするな。」・・・みたいな事をおっしゃられてました。
70年代後半からの漫画家に尊敬の念を抱く事はひとかけらもありませんが、J先生をはじめ手塚先生、石森先生、ちば先生、藤子先生等は心の底から尊敬しています。
一般の世界でも、どこかで修業を積んで独り立ち、のれん分け・・・それも簡単ではないですよね。
最初から一人で始める人もいる訳だし、漫画家も同じで、なれる人はどの道を通って来てもなるモノなんでしょう。
>Great Pumpkinさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>お身体に気をつけて、Jプロアシスタントの出世頭になるよう
>頑張って下さい。
ご丁寧なコメント、どうもありがとうございました。
ところで「出世頭」といえば、私の先輩で連載漫画が単行本になった
人がいます。私は、彼が「出世頭」だと思っているのですが・・・・・・・
(ちなみに、近々、彼の話をブログに書こうかと思っているのです)
ただ、デビューして連載がもらえても、なかなか継続していくのが大
変な様です・・・・・・・
>適当放送さん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
漫画家とアシスタントの独立につていの考察・・・・・・ありがとうござい
ました。
アシスタントがデビューできる確率は、10パーセント以上はあるかと
思いますが、連載を取れる人は、その中で3割ほどでしょうか・・・・・・
さらに、その連載が継続して10年以上漫画家として食える人はさらに
減って、結局、適当放送さんが出した数字の様に「1000人ぐらいの・・・
・・・・・アシスタントがいても・・・・漫画家になれるのは、5-10人程度」
ってな結果になりそうです。
ところで、えびはら先生のところにいたアシスタントは凄くユニークな
感じですね。
最近、えびはら先生と知り合いになり、そのうち「コーヒーでも飲みな
がら・・・・」という話になっています。
今度会ったら、アシスタントの話がしたいものだと、楽しみにしており
ます。
>テツ齊藤さん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>「漫画家なんてのはバカばっかりだから・・・・」
同じ言葉を私も聞いた事があります。「自分だって漫画家じゃないか」と
思いつつも、呪術的な説得力に圧倒されたのを覚えています。
「尊敬なんてするな」という言葉も昔、聞いた記憶があります。
>なれる人はどの道を通って来てもなるモノなんでしょう。
確かに、学歴や職業、年齢に関係なく成るべき人は成りますね。
私は、本気で『漫画が人を選ぶ』と思えてならないのです・・・・・・・・・・。
そこで、グーグルで大船渡、越前高田、気仙沼あたりに行ってみました。
大きな漁港を抱える有名な大漁師町は、広い範囲で津波に削り取られていたが、、その近くの小さな漁師町、広田崎がある半島の先のほう、例えば「広田町」では、津波にやられたのは海岸から数十メートルだけで、その先に行くと、なんの影響もない状態です。
その理由は簡単で、小さい町は、海岸から少し行くと、すぐに地面が山に向かって競りあがっているからです。
なーんだ、小さい町はぜんぜん元気じゃないの、って拍子抜けしてしまいます。
ついでに、家が立派というか、屋根が立派、まるで名古屋のお城の天守閣みたいな家がやく半分ぐらいあります。
さて、復興ですが、当初の住民アンケートで「元の町に戻りたい」という人が住民の8割でした、との市の調査結果(被災後1年)でしたが、住民のまとめ役の集計だと、「8割の住民は、もう戻らない」ということのようです。
30-40歳代の主婦連合の会合だと、「あんな恐ろしいところ、もう絶対いやだよねーー」とのこと。
名取市の大規模農地の所有者たちも、巨大堤防を作っても、こんな塩の湖みたいなところで、農業なんか再開できるわけない、との話。
行政は、堤防で一稼ぎしたい国と、市民をかき集めて、また市長として君臨したい市とその取り巻きの思惑で、形だけのアンケートで、自分たちに有利な方向に誘導したいようです。
17年前の神戸地震では2500億円の復興補助金で、「長田マーケット」が、3階建てのエスカレーターつきの商店街が出来上がったものの、最近では、その5割の商店街がシャッター通りとなっています。
巨大ビルの建設費のほか、エスカレーターの分まで、全部固定資産税,家賃等に反映されて、商売として成り立たない、ということのようです。
で、話が戻りますが、千年に一度の大地震というなら、せいぜいこれまでの堤防の壊れた部分だけ補修して、あとは、今までの土地に住みたい人は、そのまま住宅を建てさせてあげればいいのではないか、と思う今日このごろです。
なぜかというと、千年後に次の巨大地震が来るころには、日本人の人口なんて、2千万人ぐらいになっていて、そもそも東北の片田舎なんかに住民なんているの? と、疑問を感じるからです。
そんな中で、千年後の巨大地震がきても町を守れる堤防を作って、いったい何を守ろうとするのか。
くそまじめも、ほどほどにしないとね。
訳もなく・・・・レスが遅れてしまいました・・・・・・・・・・
申し訳ありません・・・・・・・!
>ジョンさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>某誌にて3つめの連載を始めています・・・・
それは、おめでとうございます!
良かったですね、ホントに!
単行本になったら、絶対に教えて下さい・・・・・・必ず新刊で買わせてい
ただきます!
>もう少し頑張って見ようと思います。
連載を持っている人の多くが「これが最後かもしれない」とか「もう
ダメかもしれない」といった気持ちに襲われながら仕事をしていると
聞いています。
連載がまさに大変な仕事なのだと思います・・・・・・・・。
私のような万年アシスタントの老兵が何を言っても始まりませんが・・・
・・・・・・
うちの師匠から聞いた言葉をそのままジョンさんにお伝えしますね・・・
・・・・・・
「何もなくても、小さな事のその一つに意識を集中させるんだ・・・」
そう言って、自分が連載漫画(読み切り連載)を描く時の意識(思考法)
を話してくれました・・・・・・
「ここに、小さな糸くずがあるとするだろ・・・・・・そしたらその糸くず
に意識を集中するんだよ・・・・・・・・そしたら、そのまわりにドラマ
が出来上がってくる!」
集中すれば、たとえ小さな糸くずからでも、それにまつわる物語が見え
てくる・・・・・・・・!
という事の様です。
私には、役立たない言葉でも、ジョンさんには役に立つかもしれません・・
・・・・・・どうでしょうか・・・・・・・・・・・・。
>ねこねこさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「年収」といっても、連載が始まって時間が経っていないと「年収」の
計算はできなかと思います。
質問が直接過ぎるので、こうした場合は・・・・・・
『一ヶ月にどれくらいの原稿を仕上げているのですか?』
と、質問した方が、答えやすいのではないかと思います。
後は、原稿の枚数に想定される原稿料(新人なら7千~1万円)を掛け算
すれば、答えは出ます。
>あんのんさん へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>今日は3月11日で・・・・・
あの日、私は午後、一人で部屋にいて、崩れ落ちる本やCDなどに茫然
としていました。
特に、思い出すのがスーパーやコンビニで商品がまったく無くなってし
まった事や、計画停電です。
津波の被害や原発事故など・・・・・日本の歴史だけではなく、日本人の意識
さえ変えてしまった様な気がします。
>行政は、堤防で一稼ぎしたい国と、市民をかき集めて、また市長と
>して君臨したい市と・・・・・・
この国は、「薬害」ではなく「役人害」で糞詰まりになった象の様になっ
ているのでしょう。
>千年に一度の大地震というなら、せいぜいこれまでの堤防の壊れた
>部分だけ補修して、あとは、今までの土地に住みたい人は、そのま
>ま住宅を建てさせてあげればいいのではないか・・・・・・
確かに、あんのんさんの書かれている事には一理あるかと思います。
私も、「かさ上げ造成」などによる新町建設などは、時間と資金の無駄
だと思います。
「防災」ではなく「避難」を優先させた街づくりをするべきだと・・・・・・
なぜなら、「防波堤」だの「防潮堤」だのが巨大津波には無力だったのに
対して、「避難」という事に徹した地域のみ被災死亡者を最小限に食い
止めたのですから。
さっさと跡地(元々家があった場所に)家を建て、港を整備し、工場を建て
て仕事をしていれば良かったのです。
後は「避難所」としての「逃げ場」だけは、各地区にしっかりと確保(新
造)しておき、(普段は、イベントや会議などに使用)、年に一度位の避難訓
練だけで、今頃は仮設住宅なんて必要なかったはずだと思います。
>千年後の巨大地震がきても町を守れる堤防を作って、いったい何を守
>ろうとするのか・・・・・・
仮に、数兆円かけて20メートル級の巨大防波堤を作ったとして、それが
何年持つのでしょうか?
海風にさらされたコンクリートが100年もつでしょうか・・・・・・?(千年な
んてもつわけない!)
耐用年数から考えても、費用対効果が悪すぎます。(役人や土建屋には抜
群の効果でしょうが!)
ねこねこさん、連載がある時の原稿料は月収50万程度です。無い時は別のアルバイト等で凌ぎますから、当然下がります。その辺で右往左往ですね。
アシスタントは、いますか。
漫画のジャンルとしては、いかがでしょうか。