ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

七月歌舞伎座のこと

2005-04-19 17:14:49 | 歌舞伎
澤瀉一門の公演ではなく、今年、襲名興行で5月が使えない為、
例年の「團菊祭」を七月興行で、という話は、結構早い段階から聞いていましたが、
蜷川演出のシェークスピア作品というのは、意外でした。
もっとスタンダードな演目がかかるのかと思っていたので。

過去猿之助さんが、古典の新演出・復活通し狂言などで多くの試みをしていた時
それは、コクーン歌舞伎や、野田歌舞伎、そして今回掛るであろうシェークスピア
に比べれば、よほど、「古典」に倣っていたのではないかと思うのですが、
当時の“大”幹部さんたちからは、非常な反駁を買っていたんですよね。
これは私の個人的な意見ですが、単に「歌舞伎」「古典」に対する軸の違いの他に
当時、群を抜いて集客力のあった若き猿之助さんへの嫉妬も、
多分に含まれていたのではないかと思います。
もちろん、先の勘三郎さんや鴈治郎さんのように、
猿之助さんのいき方を支持して下さった方々もいらっしゃいましたが。

初演のヤマトタケルが大評判を取った時も、
(先の)勘三郎さんなどは観にいらして下さったそうですが、
ほとんどの当時の幹部さんは、実際舞台を観ることもなく
あれは歌舞伎ではない、と批判されていたとか。

時が流れて、今年七月、猿之助大歌舞伎以上に斬新と思われる演目がかかる事に
なんだか、少し複雑な思いを抱いてしまいました。

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4 コメント

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日本人ってシェークスピア好きですねぇ (紅娘)
2005-04-19 20:06:18
歌舞伎座でシェークスピアをやることは珍しいとは思いますが、演劇的に珍しいとは思えません……明治時代じゃあるまいに。
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やっぱり「タケル様の時代」 (道哲士)
2005-04-19 21:04:18
yayaさん、こんばんは。



よくこそ書いてくれました。私も言いたかった!。

でも書けなかったのですよね。yayaさんの勇気に感動しました。今年の7月は国立劇場通いですね!。



明治の文明開花とともに、新歌舞伎が生まれ、歌舞

伎を大衆から遊離させ、いまや、博物館入りかと思われる程に衰退させた○○○さんと○○○さん!。



あらゆる迫害、非難にも負けることなく、己の信念を貫き通して、歌舞伎隆盛の現在を築き上げた『三代目・市川猿之助』さんの功績は大きいですよね。



異端視されて、猿之助さんが出演するなら「私たちは同じ舞台には出ない」と・・・

劇場に出演することさへも出来ず「ならば、自主公演を」と、赤字覚悟で「春秋会公演」を続けて来られた猿之助さん。ならば、判官贔屓と応援を続けてきた多くのファンの皆さん。



ヤマトタケルの『天駆ける心』・『時代は大きく変わった』のですね。『ヤマトタケルさまの時代が来たのです』よね。
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自分ちなので(^_^.) (yaya)
2005-04-21 00:09:40
「私見」という事でお許しを~って感じで語らせていただいております(^^ゞ



役者さんには、それぞれの「歌舞伎観」があり、それぞれの「継承者」としての信念や理念があるのだとは思いますが、結構、歌舞伎見始めの頃、「猿之助歌舞伎」に対しては批判的な論評を目にしたりすることが多かったので、ハイパー歌舞伎(?)やら、納涼やコクーンでの「新演出」「新機軸」などが、フツーに好意的に迎えられているのを見聞きするたび、ちょっぴり、切なさを覚えるんですよね~。



今回も、菊之助さんが「宙乗りなども意欲的に挑戦している」と紹介されていて、かつて、猿之助さんが「猿の犬掻き」(←今読んでも酷いと思うわ・・・(-_-;)@狐忠信の宙乗りが大当りした頃)と言われたりしていた事とは隔世の感ですね。

別に宙乗りも江戸時代からあった、歌舞伎の演出のひとつなのに(と考えると廻り盆の発明といい歌舞伎ってホント、スゴイ!)その、埋もれていた演出法を掘り起こした功績に対し、自分はそのいき方を選ばない、というならまだしも、何故、そういう揶揄を言わずにおれなかったのか?という狭小さは、本当に残念でしたね。



でも、それこそタケヒコがヘタルベに言う台詞ではないですが、「それを言って何になる!」ってところでしょうか。

猿之助さんの印した道が、猿之助さんの提示したいき方が、そうとは知らずとも、当代の役者さんたちの中にもある何ものかと、リンクして行くのかもしれません。
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そういえば (yaya)
2005-04-22 22:05:51
猿之助さんと広義の意味で同世代の、たとえば、播磨屋さんや高麗屋さん、音羽屋さんらの「スーパー歌舞伎」に関する感想とかご意見って聞いたり読んだりすることがなかったような気がします。

別に大絶賛を聞きたいということではないのですが…

でも、先輩(の舞台)についての、こう教わりました、こう拝見しました、という事はあっても、あまり同輩(?)の舞台については、公的に語ったりはしないのかな…

(単に、私が演劇界等を継続的には読んでは来なかったので、見逃しているだけでしょうか?)



そして、同様に、いろいろな試みに挑戦されている当代の勘三郎さんの、スーパー歌舞伎についての、実はこう思っています(いました)、なんてお話を聞けたら非常に興味深いな~とも思ったりしています。
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