ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

【今回の歌舞伎鑑賞教室の概要】1

2005-07-25 23:53:14 | 歌舞伎



鑑賞教室の画像

開演のアナウンス後、客電が落ち

(この真っ暗になる!というのは、学生や子供たちには
それだけでワクワクする事象のようで、この時点で歓声が上がったり
客席がザワザワ~っとしたり・・・
2回の「社会人のための~」では、過去の色々な観劇体験からか?
このあたり特に反応はなし。次回、“チョン・パ”で開けるのも
印象的で良いかもしれない~~)

幕が開くと、舞台の背景はミッドナイトブルーといった色合いの星空。
廻り舞台に埋め込まれている大小さまざまのセリが
段差をつけ上がっている状態で、その中のひとつに春猿さんが
客席に背を向けて「しゅんえん」と名入の番傘を差し立っています。

それぞれのセリを昇降させながら見せつつ、盆廻し。
春猿さんが私たちの正面に向き直ったところで盆を止め、
すべてのセリも下がり舞台がフラットに。
この1分にも満たない時間で、
盆とセリの機構を効果的に印象づける演出。

春猿さんが、来場への謝辞や歌舞伎ワールドへ皆様を誘いますという
挨拶をされているところへ、花道揚幕から笑三郎さんの声が上がり、
同じように名入の番傘を差し、下座に乗って花道より登場。
これで、揚幕から声があがったり、
花道にフットライトが点いたりすると、
ここから演者が登場するのだ~
ということがなんとなく理解されるワケですね。
冒頭から、とてもキャッチーな構成。

観客がこの出端の下座を聴いたところで、
まずは、歌舞伎音楽の説明からという流れに持っていき、
「今、笑三郎さんが登場したときに聞こえてきた音楽は?」
との春猿さんのフリで、黒御簾(下座)について説明。
普段は御簾内での演奏であるが、それでは分かりにくいので
本日は特別に舞台に登場して頂きましょうと、
舞台センターの大ゼリから、
銅鑼・笛・太鼓・大太鼓・三味線方さんが登場。

(再度セリを使うところがミソ♪)

下座は登場人物の登・退場を知らせたり、台詞バックとなったり
効果音を作ったりするとの解説のあと、
ここで、笑三郎さんの「ネタ」が始まります\(^o^)
(当ブログでは本日解禁★(^o^)/)

【笑】「最近テレビを見ていて気づいたのですが、とある芸人さんの
   音楽の使い方が、歌舞伎の下座の使い方に似ていると。
   誰だと思います?」
【春】「芸人さんといっても、最近テレビには
   沢山の芸人さんが出ているから分かりませんね~何方ですか?」
【笑】「それでは、私がその方のネタをここで、やってみたいと思います。
   この方です~」

と、ヒロシさんが使っている音楽が流れ
(この曲のイントロ部分がちょっと流れただけで、場内大爆笑!!)
殆どバラエティを見ない私でもヒロシさんは知っていましたが、
このウケ具合で、かなり人気のある方なのだな~と再認識。
そのまんまヒロシさんのネタを、笑三郎さんが披露します。
まさか、『歌舞伎鑑賞教室』で、というギャップと相まって
ここは本当に毎回大ウケでした。
一本目のネタは「ヒロシです~」でやるのですが、
二本目は「コウジです~」で始まり、ここで春猿さんの、
「コウジというのは、笑三郎さんの本名です。」と合の手が入り…
ネタは、一週間替り?くらいだったのでしょうか?
前楽と楽ではまた替わっており、
そして楽日は午前・午後でネタが異なり、スペシャルサービス!?

ペッピーノ・ガッリャールディの「Che vuole questa musica stasera」
↑↑こちらを聴きながらどうぞ!(邦題:ガラスの部屋)

ヒロシ篇)「ヒロシです。デートの時間には
     少し遅れて行くのがいいと聞き
     5分送れて行きました。もう、居ませんでした。」
     「ヒロシです。生活感のない部屋にしようと、
     部屋のものを捨てました。生活出来ませんでした。」
コウジ篇)「コウジです。昨日鑑賞教室が終わったあと、
     楽屋口を出たとき、女子高生が手を振っていたので、
     笑顔で振り返しました。人違いでした。」
     「コウジです。国立劇場の正面玄関を出たところで、
     数人の女子高生に、写真撮ってください~と云われたので、
     いいですよ、と(←ちょっと気取って云う)ポーズをキメました。
     カメラを渡されました。
     マジっすか~?」
 
などなど。あれ?結構もう忘れちゃたな~。文言は多少違うかも・・・
楽は午前は前日の地震を取り入れたネタもありました。
ネタ特集のためメール・書き込み乞う(笑)  
  
ヒロシさんの物真似が終わった後、春猿さんが
「でも、これのどこが歌舞伎の下座音楽の使い方と似ているのですか?」
と質問しますが、それに対し
「ヒロシさんは、冒頭、ちょっと音楽を聴いてから、
台詞(ネタ)を喋りだす。歌舞伎の台詞も、最初、音を聴いてから
喋り始めるので、その辺りが似ていると思うのです。」 
と、笑三郎さんが回答されます。
そして、歌舞伎でやるとこんな感じです、と、毎回1本目のネタを
下座に合わせ歌舞伎の台詞調で実演。これはこれで、非常にウケてました。

こうして、テレビで馴染みの芸人さんのネタを用いることによって
「歌舞伎の解説」だからといって、決して難しいことでもなく
なんか、面白いお兄さんたちだな~と、ぐっと客席を巻き込んでいく。
(私も巻き込まれましたが。)

下座の効用では、もう、ひとつ、ドロドロを会場に聴かせ
「これはある動物が登場する時の音です。なんの動物か分かりますか?」
という質問を、毎回、客席に投げかけます。
日によってですが、結構、子供さんが元気に答えてくれることも多く
まあ、だいたいはイラスト筋書きにもあるので「きつねー」と
返って来るのですが、21日に観た友人によると、
客席のあちこちの子から複数の回答があり
「へびー!!」とかブタ?かば?だったかな?
普段は絶対出ない動物(蛇って動物?)名の数々に、この日ばかりは、
お二方とも「えっ!?」と一瞬たじろがれたとか(笑)
そういう客席との応答なども用いて
どんどんと、舞台と客席の親和感を高めていきます。

下座の次は義太夫の紹介。上手のチョボ床の御簾が上がり、
義太夫は、役者さんの演技に付随するもので、
心理や動作、または、舞台で進行している場面の季節や時刻
情景などを語っていると説明されます。これも
「今は夏です~とか、午後二時半を過ぎたところ~(開演後の
現在の時刻を云うことによって説明がより身近に感じられる)
とか、悲しい、嬉しい、怒っている、などを説明します。」と
平易な言葉で解説され、更に義太夫入りの演技を
実演するので本当に飽きさせません。

まずは、笑三郎さんが「ハッとして驚いた~」を
義太夫の語りに乗せて見せ、
次に春猿さんが「悲しくて涙がでちゃう」をやりますとの事で、
(「アタックナンバーワンですね」と、子供の日のみ
笑三郎さんのツッコミあり)

「義太夫の言葉で言うと『悲しいわいな~と涙を流す』ですね」と
笑三郎さんの補足後、春猿さんがカーっと泣いて見せます。
きちんと、女方の高い声で泣くので、模範演技(?)終了後
笑三郎さんが「その声は一体どっから出ているのですか?」
とちゃちゃを入れ
「口からです。頭のてっぺんからではありません。」
(初日頃は「お尻からではありません」でしたが、変更)
と春猿さんが返し笑いを取る~という、硬軟取り混ぜた展開。
(硬=実演の際は本イキで。軟=解説は面白楽しく♪)

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5 コメント

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び、び、び、び (HineMosNotari)
2005-07-26 14:00:21
BGM!すごいです yayaさんっ!

これこれこれ、この音楽です!

あ~ 思い出しちゃったわ あの場面!

なんか すごい臨場感?(^_^;)です!



なんの動物の登場か?客席に質問するところ、

「社会人」は恥ずかしがりやが多くて子どもたちみたいに

イキのいい返事できなかったんですよね。

しかし

>「へびー!!」とかブタ?かば?

・・・子どもの想像力って、すんばらしい。(^_^;)

ヘビ、イノシシくらいまでは歌舞伎の舞台にもいるんですけどね~。「ブタ」「かば」は・・・(^_^;)



この時の笑三郎さんたちの反応、見てみたかったな~。TVでうまい具合にその時の、やってくれないかな(^_^;)



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!(^^)! (yaya)
2005-07-26 22:37:24
>HineMosNotariさん



こんばんは~\(^o^)毎度♪

これを聞きながら国立の画像を開けて堪能して下さい。



動物各種は友人からの伝聞で、すでにうろ覚えなのですが、

へびは確か。カバだったかブタだったか・・・

なんて云っていたかなぁ~

とにかく常は出ない動物名が~



まだ、子供たちの心の中に

「狐さん」居るかな?

夏休みの絵日記の中にも。
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ありがとうございます! (あやめ)
2006-06-14 15:29:56
こんにちは。

笑三郎さん&春猿さんで鑑賞教室があったと知ったのは、今年の3月でした(去年までは学業に必死で・・・)。見たかった~、VTRは無理でもせめて写真でも、せめてネタだけでも~と思っていました。

yayaさんの臨場感あふれるレポート、読めて本当に幸せです! 今年の鑑賞教室はわりと正統派だったにもかかわらず高校生のノリはでしたので、去年劇場に入った子ども達は、さぞ歌舞伎好きになったことでしょう。笑三郎さん&春猿さん、またやって欲しいですよね。



これから、他のレポートも読ませていただきます。
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いろいろ (yaya)
2006-06-15 23:48:27
読んでくださっているようでありがとうございます~

あ~もう、一年近く前なんですね~懐かし~~

通いました、これは。



今月(06年6月)の鑑賞教室は国性爺合戦

http://www.ntj.jac.go.jp/cgi-bin/pre/performance_img.cgi?img=861_1.jpg

をやっているようですが、

これは、見た目華やかだけど、結構、初心者には

物語的には、どうかな?という作品だと思います。



私も、贔屓の猿之助さん、そして、玉三郎さん、芝翫さんと

豪華顔合わせで観たけれど、ちょっともたれるところもあって

正直、しんどい場面もありました…
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国性爺合戦 (あやめ)
2006-06-16 00:01:51
そうですね~。私も、「鑑賞教室」と「社会人のための~」両方行きました。学生向けにはむしろ、前半の方が(日本~トラ^^まで)わかり易かったかな・・・と。「みかた」が通り一遍だったのも、去年のレポートを読んでやはり、一工夫できたのでは、と思ってしまいました。



とはいえ、9日の「社会人のための~」では芝雀さんのクドキや苦しみの演技、そして最後に渚と二人で息絶えるところでは、私も死にそうになりました・・・。それくらいすごかった・・・。
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