ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

マクベス雑感2

2006-02-05 21:23:58 | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
以前、ローマのガイドさんが、フォロロマーノの脇を走行中
カエサル(シーザー)の銅像が見えてきたところで
(え~行ったことある方は思い出して下さい。
右手にフォロロマーノ、正面にコロッセオを見る道)
「【帝王切開】とは、彼がこの方法で誕生したので名づけられています。」
と説明してくれました。

英語名でCaesarean sectionと辞書などには出ていますが、
この時は確か、
「なので帝王切開は、英語ではシーザリアン・オペレーション
/Caesarean operationと云います。」との説明があり、
「へぇ~へぇ~」と(まだ、トリビアなかったけど)と
妙に納得したものでした。後にこれは

>ラテン語 sectio caesarea をドイツ語に訳す際に、
>caesarea(切開する)を
>誤ってローマの将軍カエサルと訳したことからとも、
>カエサルが帝王切開により誕生したからともいう

との諸説も知りましたが、今回マクベスを見て、
帝王切開で生まれた人間には、何か特別な力が備わっているのかしらん
と、マクダフがマクベスに勝てる理由を調べようと
検索してみた結果、このラテン語からドイツ語に訳す際のミス、
という節も、

>「帝王切開」に関する間違った間違い訂正

だそうで(ややこし~)詳しくはこちらを。

ま、帝王切開の語源は置いといて、
月満ち足りず母の腹を破って(←だったかしら。今度は松岡版が迷子~)
生まれたマクダフの勝てる理由は?
と、ちゃかちゃかっとですが、検索かけてみたけれど
迷信とか言い伝えでも、帝王切開術で生まれた子に特別な力や能力がある、
という方向での記述は見当たらず…
単に、この物語り内での事だけだったのかしら。
王位に関わる主題なので、「“帝王”切開」と
何か意味を掛けているのかと思ったのですが。

何かこのあたりご存知の方は教えて下さい\(^o^)

マクベス東京公演2

2006-02-05 20:40:54 | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
2月5日、本日は昼公演。
陽射しがあると云っても、やはり寒い一日。

昨日の東京公演初日より固まっている舞台でした。

特に、マクベス夫人の笑也さん、私が観た4回の中では
台詞も立つようになってきていて、本日が一番良い出来映え。
ブレスがおかしいのでは?と思えた処もある程度改善されていた。

昨日残念だったのは、照明操作のミスで
最後、ぱっと消え漆黒の闇が生み出されるはずが
逆に照明が点き明るくなってしまった。
それからすぐ消されたのですが…
この「ぱっと(消える)」の間が、凄く気に入っていたので
(もう、この一瞬で世界観が変わるくらいの良い演出。)
この作品に入れ込んでしまっている私は、
う~ん今日のお客様に、あの瞬間を体験して貰えず残念!
とまで、思ってしまう始末。←大きなお世話…
でも、ホント、紫さんの所作と照明のタイミングが
バッチリ合ったときは、快感!!

ということで、本日はそのあたりもオッケーでした。
ただ、この点に関してはりゅーとぴあの方が元が明るいので
消えたときの暗さは際立つ。

喜之助さんのマルコムは、観る度に調子が上がっていて良いです。

右近さんは、本当に実力のある役者さんだな~と
なんか、あらためてこんな言い方をするのも失礼なくらいなのですが、
この道具立てもない、削ぎに削ぎ落とされた逃げ場のない能舞台で
一幕、二幕と芝居を、緩むことなく引っ張っていく力量に感嘆します。
(福田訳本がスイスイ読めたのは、新潟初日右近さんの芝居を観たお陰♪)

バンクォー役の谷田さんも、目の色ひとつで心理を表現する
素敵な役者さんです。口跡もいいし、立ち姿も綺麗。
押し出しもあり、マクベスが畏れる気持ちが良く分かります(笑)
味方である限りこれ以上頼もしいものはないけれど、
敵に回したら、壊滅的に恐いと。
他の人物たちには、その高い地位や身分に対する邪な気持ちから
敵意を抱くワケだけど、バンクォーに対しては存在そのものに恐れを
感じるのだと思う。そのことがよく伝わってくる造形です。
シェークスピア作品を中心に(専門に?)
舞台に立たれてらっしゃるようで、台詞が耳に心地よく乗ってきます。

魔女さんたちも、安定した手堅い演技。
いや~ホントに恐れ入ります。
幕間にご近所の席の方からも「見入ってしまうわ…」という
賞賛の声が漏れてきました。
皆さん、もの凄く若そうなので、演劇のキャリアから云ったら
周囲を大ベテランに囲まれての舞台でしょうけれど、
少しも臆することなく、きっちりとした芝居で
マクベスの運命を操っていることも、
あの、大きく迫力のあるバンクォーを絞め殺す場面も
絶対的に彼以上の力を持ち、彼女たちの方が命の支配者である事を
その小さな身体から湧き出る、ある意味溌剌とした造形で魅せてくれる。

他のストレートプレイで
あるいは欧米の演出で、こうした魔女や妖精を
どのように見せているのか、とても興味が出てきました。

今回の魔女の意匠は、日本だからこそのオリジナリティもあるし
普遍的な、自然界・魔界への畏怖も表現されているので
是非、海外に持っていって欲しい~!!と思ってます。
っていうか、先週、文化庁と国際交流基金にコンタクトしましたよ(爆)
ま、贔屓目もあるかもですが、これまで私が海外で観た日本発のもので
心底素晴らしいっ!!と思ったのは、猿之助さんの訪欧公演と山海塾。

そして、このマクベスの演出は、
オリジンである欧州の国々でこそ、
より、その独創性が理解されるのではないか?と…

文化庁も国際交流基金もそれぞれのスキームで
日本の演劇を海外に出す際の助成を行っており
でも、それは「推薦」ではダメなんですね。
主催団体なりプロデューサーなりが「応募」して
初めて選考され、助成の対象になるそうです。

他薦はなしとの公式見解ですが、この作品を観て、スバラシイ~!!
と思った方は関係各位に是非ご推奨のほど(笑)

「マクベス」東京公演初日

2006-02-05 00:48:05 | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
なんで新潟より寒いの~!というくらい寒い本日、
東京公演の初日が開けました。

梅若能楽院会館、夜道を歩いたせいもあるけれど、結構分かり難い場所でした。
私がどんくさいだけか?と思っていたけれど、会場で会った友人や
顔見知りの方々とお話しても、同様のコメント。
東中野周辺に土地勘のない方は(→それは自分)、
余裕を持ってお出かけください。
見たところ、能楽院の近くまで来るとお店がないので、
退社後直行で夕食現地調達予定!とか
おやつ求む!の方は、駅周辺や途中のコンビニ等でお求め下さい~。

会館は、一階のロビーも、二階の能楽堂も寒いです。
コートを着たまま観劇していた人も居ました。
もしこの寒気が続くとしたら、
観劇予定の方は厚手のショールなど防寒のお支度を~。

古い建物なので、りゅーとぴあとはまた違った趣があり
特に、能舞台は、長年人の手で丁寧に磨かれてきたことや
その舞台に立った演者の想いが、密かに留まっているような
何か、親密さを与える雰囲気。
内子座とか(たぶん金丸座とか)の感じ?
かなり客席数も少なく、全体的にこじんまりとしている。
そのためか、照度をさらに落とした演出で、
また、舞台正面の上手下手に置かれた下方からの照明が
面灯りのような効果をもたらし、魔女さんたちは更に怖く
登場人物たちの深淵も、より、浮き彫りにされるような意匠。

本日は、笑三郎さん、段治郎さん、春猿さん、弘太郎くんの
お姿を見かけました。どんな感想を持たれたのでしょうね。

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