燃えるフィジカルアセスメント

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かかりつけ医に期待すること

2015-06-22 | 徳田語録

 今回も賢い選択からお送りします。

本題の前にこちら、メルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」も宜しくお願いします。

 もともと、日本の「かかりつけ医」は、継続して診ている患者さんが亡くなられるときは夜中でも来て「ご臨終です」といわれていました。わたしの祖祖父は自宅で夜中に亡くなりましたが、かかりつけ医の先生がすぐに駆けつけてくれたことを記憶しています。

 私の知り合いの眼科医は、自分自身の携帯電話番号を自分の患者全員に教えています。患者さんからの信頼感が強くなり、とても評判がいいということです。

 ティアニー先生(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)も自分の携帯番号を外来患者全員に教えているそうです。2年前に、医学書院主催のセミナーをティアニー先生をお招きして開催しました。その開始直前に、米国の患者さんから電話が入り、適確なアドバイスを与えていました。

 かかりつけ医も複数医師によるグループ体制をとると、夜間や休日などでも対応できると思います。

 ポリファーマシーが問題となっています。くすりもりすく。薬の副作用のリスクが増えています。ポリファーマシーの要因の一つが、複数診療科受診です。ポリファーマシー処方を受けている患者さんを調べてみました。ひとりの患者が4~5つの診療所や病院の診療科を併行受診していることが多いことがわかりました。そこで、かかりつけの先生はどなたでしょうか?と尋ねても、だれがかかりつけ医かわからないことが多くなっています。

 薬の副作用と思われる症状で患者さんが入院しても、われわれ病院総合内科医が困るのは、どういう薬をいつからどの容量で飲んでいるのかわからないことです。かかりつけ医がいればそれがわかると思います。

 今、日本では病院の勤務医不足が問題です。一方で、診療所を開業されている医師は増えています。そこで私は「オープン・システム」の部分的な導入がいいのではないかと考えています。これは、シンガポールなどではすでに実施されています。

 開業している医師が自由に使えるベッドを病院が確保する。開業医がフォローしている患者は基本的に開業医が主治医となる。もちろん、開業医は病院に張り付いていることはできませんから、病院総合内科医が「チーム医療」メンバーとして、診断と治療の補助に入るのです。入院診療は主治医制から主治医グループ制とするのです。

 救急外来では、診療所の医師も、月に数回は当直や日直に入る。救急診療のスキルも維持できますし、病院勤務医の負担も減ることになります。できれば、当直制度も廃止して、夜間医師(nocturnist)を雇用するとよいでしょう。病院だけで解決策を考えるのではなく、地域全体で医療活動をシェアするのです。

 今回は以上です、話変わってしかし沖縄県では梅雨明けしたにも関わらず、この三日間は大雨になったそうです、県内はハーリー(爬竜船競走)が盛んなこの時期に雨が降ると困りますね、まだまだこれからが本土は雨が続きますので情報には気をつけて下さい、では次回に。

臨床推論の総論ルールがたった1時間でたのしく完全理解できる、

「マンガ臨床推論~めざせスーパージェネラリスト~」も宜しくお願いします。

 久しぶりに沖縄の海の風景でもどうぞ、

          

こんなとき、フィジカル: 超実践的! 身体診察のアプローチ
徳田安春
金原出版

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