燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

認知症の原因と予防の真実

2015-06-24 | 養生訓

 今回から個別の病気について考えていきましょう。

本題に入る前にこちらのメルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」をお願いします。 

(1)認知症を起こす病気 

 認知症を起こす病気はアルツハイマー病だけではありません。他の原因、とくに治療可能な病気に注意しましょう。鑑別は、病歴と診察所見が重要です。

1)        治療不可能な認知症

 アルツハイマー病などでは、症状の進行を遅らせる可能性のある治療(ドネペジルなど)はありますが、基本的には治癒や回復させることはできません。ドネペジルなどの薬剤には副作用のリスクもあります。

 ●アルツハイマー病

 ●脳血管性認知症(脳梗塞など)

 ●レビー小体型認知症

 ●ピック病・前頭側頭型認知症

 ●ヤコブ病

 ●進行性多巣性白質脳症

2)        治療可能なこともある認知症

 これは、あくまで可能なこともある、ということです。というのは、ある程度進行すると、治療しても回復しないこともあるからです。ですので、早期認知症の鑑別診断は重要です。一度は受診して、鑑別診断を受けさせましょう。

●内科的な治療で治療可能なこともある病気

  ・甲状腺の病気:甲状腺機能低下症

  ・ビタミン不足:B1、B12、ナイアシン欠乏など(飲酒者に多い)

  ・慢性感染症:梅毒、HIV、クリプトコッカス、トキソプラズマなど

  ・高カルシウム血症

  ・中枢神経系リンパ腫

●外科的な治療で治療可能なこともある病気

  ・慢性硬膜下血腫

  ・正常圧水頭症

  ・脳腫瘍

  ・傍腫瘍症候群(内臓固形腫瘍などによる免疫反応による)

(2)脳血管性認知症を予防するための健康生活5カ条

 脳梗塞による脳血管性認知症の予防には、健康的な生活習慣(禁煙、運動、肥満予防、健康的な食事)と定期的な血圧測定と血圧コントロールが重要です。すなわち、病気にならないための「健康スタイル」を身につけることが重要です。このためには、次の5カ条をお勧めします。

第1条:禁煙する

第2条:適度な運動と睡眠をとる

第3条:カロリーと栄養のバランスがとれた規則的な食事をする

第4条:節度ある飲酒をたしなむ

第5条:日々のストレスをコントロールする

 食事内容では、緑黄色野菜や豆類、そして魚類の摂取が勧められます。脳梗塞の最大の原因である高血圧症の予防のためには、塩分は1日6グラム以下に控えるように努めましょう。

 また、心房細動は脳梗塞を起こすことがあります。「心臓がドキドキする」などのように、動悸がするとき、リズムがまったくバラバラ(不規則的リズム)であれば、心房細動の可能性があります。そのときは、近くの「かかりつけ医」へ受診して相談しましょう。

(3)脳を使う生活をしましょう

 頭は使えば使うほど良くなるといわれています。生涯中の学習期間が長いほどアルツハイマー病の発症を遅らせることができるという研究結果が、最近報告されました。読書や日記、パソコンなど、常日頃から脳を使うような生活スタイルをお勧めします。ちなみに、脳トレなどのゲームでの認知症予防効果のエビデンスはありません。 

 今回は以上です、話変わって、いよいよW杯女子サッカーカナダ大会は決勝トーナメントが今日から始まります、なでしこジャパンは前回のような躍進はできるのでしょうか、課題の得点力は克服できるのでしょうか、とにかく応援しましょう、では次回に。

臨床推論の総論ルールがたった1時間で楽しく完全理解できる、

「マンガ臨床推論~めざせスーパージェネラリスト~」も宜しくお願いします。

こんなとき、フィジカル: 超実践的! 身体診察のアプローチ
徳田安春
金原出版

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« かかりつけ医に期待すること | トップ | 腹部のフィジカル:特別手技編 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

養生訓」カテゴリの最新記事