燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

けいれん7 連載 その75

2014-09-07 | 症例集

 今回は痙攣の「行うべき処置または行ってはならない処置」について考えていきましょう。

 痙攣発作がまだ続いている状態で来院した場合には、必要に応じて蘇生のABCDを行う。

 酸素を投与しながら、静脈ラインを確保する。 また、痙攣時には誤嚥のリスクがあるため、顔面を側方に向けるようにする。 痙攣発作に対する第一選択薬は、ジアゼパム(0,2mg/kg)などのベンゾジアゼピン系薬剤である。

 ベンゾジアゼピン系薬剤でコントロールできない場合には、フェニトイン(20mg/kg:成人最大量は1,000mg)の経静脈的投与のローディングを行う。 フェニトインは生理食塩水に混注して、原則として1mg/kg/分を超えないように、ゆっくりと点滴静注する。 急速に投与すると、房室ブロックなどの副作用をみることがある。 ただし、アルコール離脱痙攣に対しては、フェニトインを使用せず、ベンゾジアゼピン系薬剤(±マグネシウム製剤)を使用する。

 細菌性髄膜炎の可能性がある場合には、血液培養を2セット採取後、抗菌薬を経静脈的に投与する(受診後1時間以内)。 この場合、腰椎穿刺前でも投与してよい。

 肺炎球菌性髄膜炎では、ステロイドを規定量投与してよいが、細菌性髄膜炎ステロイドパルス療法の適用はない。

 髄膜炎で頭蓋内圧が亢進していた場合でも、グリセオールやエダラボンが有効であるというエビデンスはない。

 脳炎を疑う場合には、アシクロビルを投与開始し(10mg/kgを8時間ごと)、髄液中ヘルペスウイルスDNA-PCR検査が陰性であることを確認するまで投与継続する。

 病歴より焦点発作や側頭葉てんかんを疑う場合、成人では器質的脳障害(腫瘍、動静脈奇形、外傷後瘢痕など)が原因となっていることがあり、頭部MRIなどによる評価が必要である。

 今回は以上です、次回でこの痙攣シリーズ最後です。

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