ふぇみにすとの雑感

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大学全授業の3割を英語で開講って

2007-12-14 22:31:18 | 教育問題
教育再生会議の三次報告で、大学の全授業の3割を英語で開講せよと明記されたらしい。

NIKKEI NET記事より。

教員採用、社会人2割に・教育再生会議、バウチャーは試験実施
 教育再生会議(野依良治座長)がまとめた三次報告の最終案が11日、明らかになった。教育の幅を広げるため、教員免許を持たない社会人の参入を推進。2012年までに教員採用数の2割以上を目指すことを掲げた。大学の全授業の3割を英語で実施することも明記。賛否両論あった「教育バウチャー(利用券)」制度は全国一律の実施は見送り、国が公立学校を対象にモデル事業を実施することで決着した。下旬に福田康夫首相に提出する。
 社会人の積極登用は、ビジネスマンや研究者など各界の専門家を教壇に立たせることで教育水準の向上に寄与することを狙った。現在も都道府県の教育委員会が「特別免許状」を発行して採用できるが、慎重な教委が多い。特別免許状なしでも優秀な人材であれば非常勤講師などで登用するよう提言した。(07:04)


しかし、どうやって実現するんだろうか。日本の大学で、英語で授業ができる教員って、英語担当のひとや、数少ない外国人教員以外、どれくらいいるんだろうか。それとも、このためにがんがん今後、外国人教員や、海外で学位をとってきた人たちを雇う計画でもあるのか。でも現状を考えてみても、その雇われる教員たちは相変わらずの任期付だとか、非常勤だとかで搾取しようと考えていそうな感も。教育再生会議だもんな。もし、英語が下手な日本人教員が、わけのわからない英語で講義することになるのだとしたら、それを聞かねばならない学生たちはかなり辛いだろうとも思う。

私が学部で行ったICUでは、専門科目の約三割が英語で開講されている。要するに、全国をICUなみにしようという計画なのではないかと思う。しかし、これって大変なことではないだろうか。どうやってこれを実現するつもりなんだろう。

英語で専門科目を受講するのに、ICUでも1、2年次(私のときは1年次のみだった)に集中英語講座をこなさなくては、日本で育った学生たちがそれらの授業についていくのは無理だった。おそらく、3割英語授業を実現させるためには、日本じゅうの大学における英語講座の数を増やし、集中的に教育しなくては成り立たないのではないか。

そして、ICUでの集中英語講座が終わった後でも、日本育ちの学生たちは、できることなら英語開講科目は避けて履修しようとする傾向があったと思う。少なくとも私はそうだった。

それでもやむをえず、いくつか英語開講科目を履修した。まあ結果的になんとかなったとはいえ、大変なときもあった。一般教養の英文学の授業をとったとき(今から考えれば、よくも英語開講の英文学なんてとったものだ。何を考えていたんだ私は)は、必殺日本語訳が手にはいるようなメジャーな文献ではなく、超マイナーなアイルランドの戯曲を扱っていて、ちんぷんかんぷん。ついでにアイルランドの方言満載だったらしく、さっぱりわからないままに学期が終わった。

論理学の授業はアメリカ人教員担当だったが、英語のみではあまりに日本人学生の理解度が低いということで、その教員がたまたまバイリンガルの人だったことから、日英バイリンガル授業と化した。結果として、どちらかの言語だけでカバーできるはずの量の半分しかこなせなかったのではないかと思う。

初夏に訪問した日本の某大学で聞いたところでは、その大学では英語での授業もいくつか試みていたが、結局のところ学生の英語理解力が低いため、授業の内容レベルがどうしても低くなってしまうとのこと。そして、アメリカなどからの交換留学生は普通の日本語開講授業をとれるような日本語力がないため、英語開講授業をとる場合がほとんどだが、英語開講授業のレベルが低く設定してあるので、「簡単すぎてつまらない」ということになってしまう、、ということだった。

3割を英語授業にすることによって、日本人の英語力を高めたいという狙いがあるのだとは思うけれど、その3割の授業レベルは(主に外国人留学生をターゲットにした講座ではない限り)ほとんどの場合、下げざるをえないのではないか。

なんかぼやっと考えただけでも、問題山積みではないかと思われる案なのだが、教育再生会議だし、、てきとーな思いつきでいれて、何も考えてないのではないかという予感を、第三次報告書とやらが払拭してくれることを願いたい、、けど無理な気がする。とりあえず報告書がアップされるのを楽しみに(?)待つとするか。