後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

戦争を絶対にしない決心の為に(1)ハルハ河の戦争を知ろう

2015年03月11日 | 日記・エッセイ・コラム
この欄で数週間にわたって、満州国だったホロンバイル草原で起きたいろいろな悲劇を書きつづって来ました。
そしてつくづく思うことは、「戦争は人間を悪魔にする」ということでした。悪魔になった日本軍が武力で満州を占領し、傀儡国家を作ったのです。怒ったソ連軍は悪魔になって満州に侵攻し、数々の殺戮とシベリア抑留を実行したのです。戦争は人間の人格を破壊します。
それなのに安倍政権は軍備を強化して、海外出兵の為の法律の整備をしつつあります。日本の運命は岐路に立っているのです。
こういう時代にこそ、人々一人一人が戦争を絶対にしない決心をすることが非常に重要です。
そこで今日から連載記事として、「戦争を絶対にしない決心の為に」と題する随筆を書いていきたいと思います。
主張したいことは、「戦争反対」とむなしく叫ぶことではなく、戦争が人間を悪魔にた実例を何度も、何度も心に刻むことが重要だと主張したいのです。
その一例として、今日は日本ではノモンハン事件として知られている「ハルハ河の戦争」を説明いたします。
この戦争は昭和14年の数ケ月間、日本軍とソ連軍の間で行われた大規模な、そして本格的な戦争でした。決して事件などと呼べべき軽々しい小競り合いでは無かったのです。
双方の損害があまりにも大きかったので、ソ連政府も日本軍の関東軍も軍事秘密という名前でその全貌は決して国民へ公表しなかったのです。
日本が壊滅的な損害をうけたということは終戦後になってから分かったことです。
そして日本側以上の甚大なソ連側の詳細な情報は、ゴルバチョフ大統領の情報公開政策以後にやっと公開されたのです。
双方の戦死者数、戦傷者数、破壊された戦車数を客観的に比較すると日本側の勝ち戦でした。戦後、司馬遼太郎の記述には日本側が大敗したと書いてあったのでその影響で日本人は負け戦と信じていました。しかし、以下の概略が示すように勝ち戦だったのです。
日本帝国側の司令官は旗小松原道太郎、そして ソビエト連邦の司令官はゲオルギー・ジューコフ でした。
戦力は、日本側は1939年の8月20日の参戦兵力は5万よりはるかに少ない数でした。そして5月の開戦以来の累計出動人数約7万5千人でした。参戦した戦車、装甲車両は 約100両でした。他に戦闘機数百機です。
一方、ソ連側は 1939年の8月20日の参戦兵力51,950人で、他に戦車、装甲車両 約1000両 も参戦しました。他に戦闘機数百機が攻撃してきました。
損害、日本軍側は戦死 8,440人、戦傷 8,864人で、失った戦車 約30輌と、撃墜された戦闘機は 約160機 でした。
一方、ソ連軍側は、 戦死 9,703人、戦傷 15,952人で、失った戦車及び装甲車輌 約400輌でした。そして 撃墜された戦闘機は 約360機 です。その他モンゴル軍でも 戦死 165人、戦傷 391人がありました。
これをご覧になって皆様はたんなる事件と言えると思いますか?これは正真正銘の戦争です。この理由で今日の題目ではハルハ河の戦争という表現を使っているのです。
この戦争の詳細は、「ノモンハン事件」:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6 に出ています。
そして客観的な研究も以下にあります。
立命館大学、Tumurbaatar Narmandakh 著、「ノモンハン事件(ハルハ河戦争)の歴史的研究―共同研究の経緯―」http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/622/622PDF/narmanda.pdf

戦争は人間を悪魔にします。人格も破壊します。ですから絶対にしない決心をしておくべきです。しかし静かに決心し、心はいつも明るくすることも非常に重要です。この連載記事の挿絵は毎回花の写真と決めました。静かで明るい気持ちになって頂くためです。今日の花は昨日、小金井公園で撮った梅の花々です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)