後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

早春の瀬戸内海の風物詩、イカナゴの釘煮を今年も頂きました

2015年03月12日 | 日記・エッセイ・コラム
イカナゴは日本各地の沿岸で漁獲される魚です。今年、瀬戸内海での解禁日は2月27日でした。
稚魚を瀬戸内沿岸部ではイカナゴ(玉筋魚)、関東ではコウナゴ(小女子)、大阪ではシンコまたはカナギと呼ばれています。
イカナゴは暑さに弱く、6月から晩秋過ぎまで砂に潜って夏眠する珍しい魚です。
関東ではコウナゴの佃煮と同じものが瀬戸内海沿岸ではイカナゴのクギ煮と呼ばれています。
今年も3月5日に友人の鈴木 裕さんの母上が精魂込めて煮たものを送って下さいました。
山椒入りのものとショウガ入りのものと2種類がハランの葉で分けてパックに丁寧に詰めてあります。特に解禁早々のまだ幼魚の高級なイカナゴのクギ煮です。
毎年、3月になると須磨にお住いの鈴木裕さんが送ってくれるのです。これを食べると、「ああ、今年も春が来た」という暖かい気持ちになり、春の陽に輝く瀬戸内海の海の風景が眼前に広がるのです。早春の季節の風物詩です。
イカナゴのクギ煮と同じものを東京ではコウナゴの佃煮と言います。味がどのように違うのか調べるために今年コウナゴの佃煮を買ってきて、ビールを飲みながら交互に食べてみました。
同じ魚ですが全く味が違うのです。須磨のイカナゴのクギ煮はかすかにフォアグラのような肝臓の風味がするのです。そして骨を感じさせない柔らかい小魚の食感です。魚の肝臓ではアンコウの肝やカワハギの肝が美味ですが、それらと一脈通じる味がかすかにするのです。これこそイカナゴのクギ煮が絶賛される原因だと今年は断定できました。
断定したといえば大げさですが、交互に東京で売っているコウナゴの佃煮を食べてみると明快に分かるのです。コウナゴにはアンコウの肝やカワハギの肝の美味成分が皆無です。その上、身が固すぎます。魚としての旨さは充分ありますが固すぎるのです。
この違いは6月から晩秋過ぎまで砂に潜って夏眠した後で、冬になり活発に餌を食べる期間の餌の味が関係していると想像しています。魚の味はその魚が食べる餌によって決まります。
最近の養殖したタイやハマチが美味しくなってきたのは餌を研究した成果なのです。以前の養殖したタイやハマチはサンマ臭かったものです。
イカナゴやコウナゴは北海道から九州まで全国各地で漁獲はされていますが、瀬戸内沿岸の淡路島や明石などの早春のイカナゴのクギ煮だけは抜群に美味しいのです。
それはさておき、下にお送り頂いたイカナゴの釘煮の写真を示します。

山椒を入れたものと生姜を使ったものの2種類です。山椒は、その生産量日本一の和歌山県有田川町で採れる「ぶどう山椒」と言う品種だそうです。
イカナゴは解禁直後のもっとも小さいシンコと呼ぶ稚魚を使います。下にその写真を示します。

釘煮を作る時は小さなイカナゴを沢山鍋に入れ、醤油、みりん、砂糖、生姜あるいは山椒を入れて煮込みます。此の時、絶対に掻き回さないそうです。繊細な魚なので動かすと壊れてしまって団子状になるそうです。
とにかく焦さないように根気よく煮詰めて、汁が完全に蒸発して無くなるまで煮詰めます。弱火、というかトロ火で炊くのです。その煮詰めた時の味加減を丁度良くするのが難しいのです。素人が作るととかく塩辛くなりがちだそうです。
鈴木さんの母上の味は上品です。その上、生姜や山椒の香りが程良くてなんとも言えない風味があるのです。料理は作っている人の性格を表わすと言いますが優雅で、その上根気の良い母上のお人柄が偲ばれるのです。
2種類の釘煮の仕切りを葉蘭でしてあるのですがその細かな切り方が本当に丁寧な事に毎年感嘆しています。風物詩のクギ煮で感じる小さな幸せです。
下に関連の写真を示します。出来たら是非イカナゴの釘煮をネットで購入し味わってみて下さい。いわゆるコウナゴの佃煮とは風味が全然違います。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
===以下に須磨の海苔とイカナゴ漁の写真を示します===
鈴木さんの母上はお正月の初詣でのおりに毎年、須磨の海苔もお送り下さいますので、その写真をまず示します。
はじめの写真は須磨の海苔で、その次の写真は須磨の海で養殖した海苔を船で収穫している様子です。
写真の出典はhttp://www.city.kobe.lg.jp/information/public/online/photo/number27/special_features/index2.htmlです。



さてその次にイカナゴの漁場の場所を示す図面です。

そして解禁日に須磨沖でオカナゴ漁を始めた漁船の様子の写真を示します。

次の写真は右の写真は初水揚げされたイカナゴです。

この二つの写真は2014年2月28日の神戸新聞(http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201402/0006742352.shtml)から転載致しました。