以前のブログ「ペアプログラミングだと、生産性・品質が本当に上がるのかを、認知心理学的に考える(その1)」の続き。
■■前回の話のまとめ
「ペアプログラミングが、生産的だ!」と主張するとしたら、どんな点で生産があがったまたは、品質が上がったって、証明しないといけないと思うんです。で、「どんな点」というのを、ちょっと上げてみると。。。こんなかんじ。
(1)生産量が上がる
(2)品質があがる
(3)1人では思いつかなかったことが思いつき、できるようになる
(4)専門分野が違う人たちが協力して、1つのことができるようになる。
ここで、認知心理学的に考えると、(1)は、2人でやると、2倍になるか、(2)は、2人でやると、バグが2分の1にへるか?というと、そうはならない。これを、社会的手抜きという(こういう社会的手抜きが起こるというのが、社会心理学の実験で数多くある)。
でもかりに社会的手抜きが起こっても、(3)や(4)が起きるので、やっぱ、ペアプログラミングは効果あるんじゃない??って、普通思うよね!
ところが。。。。
で、話が止まってた。
で、問題は(3)、(4)なんですけど、この前、放送大学大学院の認知過程研究を見たら、これについて、意外なことが書いてあった&しぶーい実験がしてあったので、今日は、そのご紹介なのであります。
■■(3)について、「文殊の知恵」は生まれるのか?
(3)の「1人では思いつかなかったことが思いつき、できるようになる」、これは、いわゆる、3人寄れば、文殊の知恵というやつですよね。で。この効果があるから、協業のメリットがある(ペアプログラミングもメリットあり)と考えますよね。。ところが。。
「認知過程研究」のテキスト(以下、「テキスト」と書きます)P143にあるんだけど、以下の実験を行うと、衝撃的(>_<!)な結果が。。
<<実験>>
(1)5人のグループをつくる
(2)5人個人個人にある幾何の問題を解かせる
(3)そのあと、5人で話し合って、幾何の答えをまとめる
(4)その結果と、(2)の結果を比較する。
(2)の結果については、グループによって
・5人とも解けた
・4人解けて、1人わかんなかった
・3人解けて、2人わかんなかった
・3人解けて、3人わかんなかった
・1人解けて、4人わかんなかった
・5人とも解けなかった
に分かれる。当然。
で、もし、文殊の知恵となるのであれば、5人とも解けなくっても、みーんなで話し合えば、解ける!っていうことだよね。。
ところが。。
5人とも解けなかったチームのうち、みんなで話し合って解けたのは、12チーム中、1チームしかない。つまり、ほとんど、文殊の知恵は、期待できない
それどころか。。。
この問題は、だれか1人とければ、グループでは、解ける!っていうことになりますよね。
したがって、「1人解けて、4人わかんなかったチーム」においては、グループの正答率は、100%になるはず。。ところが。。73%にしかならない。。
つまり、せっかく解けた人がいても、その能力をグループとしては生かせない(能力をつぶしてしまう)という話っすね。
これを、ペアプログラミングに当てはめて言うと、2人が話し合って、解けない問題が解決できる可能性は低く、それどころか、相手の能力をつぶしてしまう可能性もある。
ということですね。
ということで、(3)の効果は???(この実験から言うと、X)
3人よれば、文殊の智恵どころか、つぶしあい
げ、話が長くなってしまったので、この辺で、きります。
ちなみに、予告。「(4)専門分野が違う人たちが協力して、1つのことができるようになる」かどうかは、「隠れたプロフィール」といわれ、これは、意外な結果。。でも冷静に考えると、「そーだよねー」という結果になります。
覚えていたら、また今度書きます。