淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

日経MJによる「2009年上期ヒット商品番付」が発表された。

2009年06月17日 | Weblog
 この半年に一度の日経MJによる「2009年上期ヒット商品番付」、いつも楽しみにしている。
 別に、トレンド信仰主義者でもブランド一辺倒主義でもないけれど、やはり、その時代、その時代の流行は気になるし、興味が湧く。
 すでに先取りして買っていたり、持っている商品があったりすると、何となく嬉しくなる。つまりは単たるミーハーなだけだけれど・・・。

 まず、「東」である。
 横綱が、ホンダの「インサイト」とトヨタの「プリウス」。
 エコカー・ブームの先鞭をつけた2台であり、ほぼ数ヶ月待ちの状況らしい。話題性から言っても横綱は正解かも。
 僕も、プリウスが欲しい。今の車から乗り換える時は、プリウスだな、うん。

 「大関」が999円ジーンズ。
 これもかなりの売れ行きを示し、他社も安価なジーンズで追従した。

 「関脇」は、キリンビールの「フリー」。
 アルコール0.00パーセントで、僕も早速飲んでみた。
 味は、ノン・アルコールということも起因しているのか、キレがイマイチだった。少し甘みがあるし。
 ただ、一時、酒屋さんに行っても売れ切れということが多く、中々手に入らなかった。

 「前頭」では、村上春樹の「1Q84」や(まだ店頭には並んでいないようである。よほど売れたんだろうなあ)、「愛」、つまりNHK大河ドラマ「天地人」で直江兼続が被っている兜に掲げられている「愛」、それから勝間和代の一連の書籍が並ぶ。

 そして「西」。
 「横綱」は、「ファストファッション」である。
 まあ、そうだろうなあ、それしかないでしょ。「フォーエバー21」に、「H&M」。物凄い盛況だったもんなあ。
 僕も当然、東京に出向いた際、どちらの店にも足を運んでみた。
 個人的な好みもあるので、一概にどちらがいいとか言えないけれど、僕は「H&M」の品揃えが好み。店舗自体も大きいし、買いたくなる洋服がリーズナブルな値段で飾られている。
 
 「フォーエバー21」の男子売り場って、4階の一フロアだけなので、品数も少なく、これという目の引くデザインのウェアも少ないような気がする。
それに比べると、「H&M」の男子ものは、品数があり圧倒的に在庫も揃っている。

 あとは、「前頭」として、映画「レッドクリフ」や「ニンテンドーDSi」。
 この辺りは、まあ妥当なところか。

 しかし、それにしても、今、朝食はカレーがブレイクらしい。
 ハウス食品の「めざめるサラダ朝カレー」が売れている。具材がヘルシーで、朝食で一日の摂取栄養の大半を補給出来るところが人気なのだとか。

 毎朝、遅刻ぎりぎりまで寝ている人間としては、絶対にカレーは完食出来ない気がしますが・・・。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベルンハルト・シュリンクの小説「朗読者」を映画化した「愛を読む人」を観る。

2009年06月16日 | Weblog
 ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説である「朗読者」を、「めぐりあう時間たち」の監督と脚本家コンビが映画化した。
 「愛を読む人」である。

 僕は、小説「朗読者」を新潮社から出た翻訳で既に読んでいる。
 日本でも、この小説は評判となり、各誌の書評でも絶賛されていた。読んで、確かにいい小説だと思う。
 深い悲しみを伴った、歴史の重い悲劇が全体を貫いている。そしてそこに、美しくも儚い愛が流れる。

 その小説を、今度は、「リトル・ダンサー」や「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリー監督と、英国人スタッフ・キャストが中心となって映画化した。

 第二次世界大戦が終わった直後のドイツ。
 まだ15歳のマイケルは、21歳も年上のハンナと出会う。
 2人はやがてベッドを共にし、彼女に頼まれ本を朗読してあげるようになる。彼女は、何故かマイケルに本を読んで貰うことに執着し、自らが読むという行為を一切しなかった。 
 ところが、ある日突然、彼女はマイケルの前から忽然と姿を消してしまう。

 時は流れる。
 法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で再会を果たすことになるのだ。
 たまたまゼミの一環として傍聴した、ナチス戦犯を裁く法廷で、被告席に座るハンナを目撃してしまったのだ・・・。

 映画は、過去と現在を交錯させながら、ドイツの暗部を抉り出してゆく。マイケルとハンナの純粋な愛を重ねながら・・・。

 この「愛を読む人」で、第81回アカデミー賞主演女優賞をケイト・ウィンスレットが受賞した。
 共演したレイフ・ファインズは余り好きじゃないけれど、映画自体は、重厚で美しく、真正面から悲劇の2人を描く。

 ケイト・ウィンスレットがとにかくいい。
 まるで、身も凍るような厳寒の荒地に屹立している意志の強い女性のようなイメージだ。
 深い絶望と、逃れられない運命の嵐の中でもなお、独り静かに荒野を歩き続けている旅人のようでもある。
 彼女の迫真の演技がこの映画を力強いものに変えている。

 それから、何といっても監督のスティーヴン・ダルドリーである。
 彼の映画は、「リトル・ダンサー」も「めぐりあう時間たち」もどちらも素晴らしかった。
 特に「めぐりあう時間たち」。この映画は傑作である。

 そういう凄い監督が作った「愛を読む人」。
 いい映画になることは、初めから約束されていたのである。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

車谷長吉はやっぱり凄い! 朝日新聞「悩みのるつぼ」を読んで思わず唸ってしまった。

2009年06月15日 | Weblog
 作家、車谷長吉は只者ではない。
 彼の小説を初めて読んだのは、「赤目四十八瀧心中未遂」である。直木賞を獲った作品だ。
 「赤目四十八瀧心中未遂」に感銘を受け、それから彼の小説を何冊か、それからエッセイの類も読んできた。

 彼には毒のようなものがある。
 私小説作家として名を成した車谷長吉は、私小説という特殊なジャンルから生じる様々な軋轢と闘った。
 これは一概にどうこう言える話(つまりナーバスな事柄でもあり、短絡的に言い尽くせる話ではないけれど)ではないけれど、当然、「私」の「小説」である以上、実在する人間とのトラブルや訴訟騒ぎに発展する場合もあるわけで、個人的なプライバシーをどこまで小説に描けるのかが問題となってくる。
 車谷長吉は、精神的に患い、長い闘病生活を送った。
 
 小説が世に出るまで、約10年間、住み込みで働き、貧困生活も送っている。
 彼の書く小説は、凄みがある。覚悟を強いられる。生半可な気持ちで読めないのである。

 そんな彼が、朝日新聞日曜版で「悩みのるつぼ」という読者からの人生相談に対応していた(6月13日 日曜版)。
 つまり、悩み事に関する回答者としてである(毎週、回答者は代わるようだけど)。
 これが頗(すこぶ)る痛快で、面白い。

 相談者は、40代の男性高校教師。
 5年に一度程度、自分をコントロール出来なくなるくらい、女子生徒に没頭してしまうのだとか。つまり、教え子の中に好きな子が出来てしまうのだ。抑え切れない激しい情動で身悶えてしまう・・・どうしたらいいでしょうか?

 それに対する車谷長吉の回答が凄い!
 彼は言う。
 私は30代、月給2万円で料理場の下働きをしていて、その間、人の嫁に次々と誘われ、姦通事件を3件起こし(3件も起こしたということは、それなりの修羅場を迎えたということだろう)、人生と金についてよくよく解った。
 人間に生まれたということは「不幸」だということである。
 人の生は産まれたときから始まるのではない、生が破綻したときから人生は始まるのである。
 従って、破綻の人生がなくて何が人生か!
 あなた(つまり相談者)は、破綻するのを恐れている。それでは駄目だ。
 職業も、名誉も、家庭も失って、そこからすべてが見えて来るのである。だから、あなたは、その女生徒と出来てしまいなさい!
 そのとき、生とは何かが見えて来る!
 阿呆になることが一番です。

 これが回答である。
 凄い。車谷長吉は凄い。
 生半可な言葉で語っていないところが凄い。

 いい加減に語った瞬間に、あるいは茶化した瞬間に、人は奈落の底に転落する。
 だから、俺もいつか転落するに違いない。たぶん。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「プロレス・ノア三沢光晴の死、筆談ホステスへの驚き、それから濃密な昼下がり」

2009年06月14日 | Weblog
 三沢光晴が死んだ。
 プロレス・ノアの三沢光晴が、試合中にバック・ドロップを受け、そのまま還らぬひととなった。

 誰でもいつかは死んでゆく。
 どんな健康な人間でも、どんな養生をしている人間でも、不摂生な人間も、善人も悪人も、年収1億を稼ぐ青年実業家も年収200万のフリーターも、あらゆる人間は必ずこの世を去ってゆく。必ずいなくなる。

 だから死に際は肝心だ。
 でも、それは決められる事ではない。無様でも潔くても、死は死でしかない。上も下もない。
 それでも、生きている人間は、その死に逝く人の最後の姿を値踏みする。死に方によっては、それが伝説になる人さえいる。
 そして、三沢光晴は、まさしくマットの上で倒れ、そのままなくなってしまった・・・。合掌。

 テレビで、斉藤里恵「筆談ホステス」に関する特集を組んでいた。
 彼女のことは「フライデー」や他の雑誌メディアでも知っていて、特に気にも留めていなかった。
 出身が青森市で、幼い頃、耳が聞こえなくなり、そのハンディ・キャップにもめげず市内の歓楽街で水商売に身を投じ、今度は東京の銀座で、口が聞けないことを逆手に、筆談だけで接客を続け、ついにはホステス№1になったのだとか。
 その程度の知識はもちろんあった。

 しかし吃驚した。
 知っていた人だった。
 あの子が・・・嘘でしょう? それも今日聞かされた。

 すぐに本を買った。「筆談ホステス」というタイトルの本で、本屋さんに行ったら平積み置かれていて、凄い勢いで売れているらしい。
 まだ読んでいないけれど、彼女を知っているだけに衝撃度は強烈だ。幼い頃から知っているのだ。

 そうかあ、あの子が・・・あの子が今話題の彼女だったとは・・・。
 嬉しい。素直に嬉しい。
 幼い時に覚えていたからこそ、今ではまったく面影が薄れてしまっていたのである。不覚だった。

 どんなハンディを背負っていたとしても、どんな境遇に生きている人間であったとしても、あらゆる可能性が拓かれている。
 9回裏代打逆転サヨナラ満塁ホームランは必ず誰にもある。確かに、様々な不確定要素はあるにしても。
 
 日曜日。お昼まではシーツに包まりベッドの中で本を捲った。
 曇ってまったりとした午後。
 濃い目の芳醇な珈琲を飲んだような刻を刻んだ。濃密で、それでいて、とろりと溶けだすみたいな。
 

 心は絶えず乱高下する。
 俺は確かにおかしいのかもしれない。躁と鬱とが夜空を焦がす美しい花火のように現われては消えてゆく。

 夢が叶わない人がいる。
 夢が叶う人がいる。
 サマセット・モームじゃないけれど、それは「剃刀の刃」の上を歩いているような感じなのかもしれない。
 どちらに落ちても、人それぞれのさだめとしか言いようがない。

 そしてまた、すべての人々の人生が続いてゆく。
 明日も、それから明後日も・・・。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「眠れる夜のためのパヴァーヌ」

2009年06月13日 | Weblog
 結局、ほとんど一睡も出来ないまま夜明けを迎えた。
 土曜日の夜明け前、3時30分過ぎだった。
 それにしても4時前なのに、薄っすらと空が白みを帯びること、初めて知った。

 様々な想いが心の中で交錯する。
 まるで、渋谷のスクランブル交差点のようだ。こんがらかって、ぶつかって、そして何も無かったみたいに信号が赤へと変わり、今度は猛スピードで車がその上を疾走する。

 何故、こんなにも考えるのだろう?
 すべては自分の心が判断していることなのに・・・。
 仮に仕事の悩みなら、ここまで深く思い煩うこともない。

 深海の底で優雅に泳いでいる、奇怪な躯体をした水圧に耐え切った魚みたいだ。
 水面に浮かぶすべもなく、真っ暗な海底を戸惑い、彷徨っている。

 ミルク色の空が広がった。
 ただ、ぼんやりと休日の明けゆく空を見上げた。眠いような、そうでもないような。

 6時になった。
 コンビニエンスストアに出掛け、朝刊を3紙買い求め、ねぐらへと戻り、熱いシャワーを浴びてお風呂に入る。

 生きる事は苦痛に耐える事だ。
 何かを遣り過ごし、何かを失ってしまう事だ。
 心が晴れやかになる事もあれば、どっぷり悲しさに浸かる事もある。もう5年間。もう5年間じゃないか。あれから俺は何も変わらない。
 時間だけがゆっくりと過ぎてゆく。感傷も矜持も戸惑いもなく、しらんぷりして去ってゆく。
 何処にも行かず、ベッドに横たわり本を読んだ。ひたすら本を読んだ。

 昨日の金曜日は海に行った。
 風が強く、人影も無い。遠く、巨大な海の化身のような黒い巨船が水平線を横切って行った。

 携帯に何件もの電話が入った。
 やがて日が暮れた。
 独り、夜の繁華街に出た。
 金曜日の街は、飲み会に急ぐサラリーマンたちで溢れていた。

 もう飲まないと決めていたのに、えいっとバーの扉を開けた。上空1,000メートルから地上に一直線で落ちてゆく人間のように。

 また飲んでしまった。
 どうしようもなく、意志が弱い。いつも決まりごとを守らない。いい加減なんだ、いつもいつでも。
 厭になる。

 生ビールを一杯頼み、それからジントニックを2杯注文した。
 勘定を済ませ、また元来た道を引き返した。
 心は揺れる。
 秋の終わり掛けの日曜日の天気のように。
 晴れると思うと、突然雲が広がり、今度はいきなり冷たい通り雨が降り出して来る。

 悪人こそが救われるのだと、親鸞は言った。
 俺は悪人である。
 善人の仮面を被った極悪非道の悪人である。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミッキー・ローク主演、ダーレン・アロノフスキー監督の映画「レスラー」は◎!

2009年06月12日 | Weblog
 この映画は中々いい。
 ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた。
 主演のミッキー・ロークは、悲哀漂う孤独なプロレスラーの光と影を演じて、このたびのオスカーにノミネートもされた。

 粗い粒子が画面を覆い、まるでドキュメンタリー映画を観ているような感覚に包まれる。
 とにかく、ミッキー・ローク。ミッキー・ロークに尽きる。

 監督は「π」のダーレン・アロノフスキー。
 当然、この監督の手腕が映画自体を素晴らしいものにしているのだけれど、それさえ、ミッキー・ロークという稀有な、そして破天荒な人生を歩んで来た人間が演じたからこそ、この映画は活き活きと輝いているのだ。

 そして、エンド・ロールに流れるのは、ミッキー・ロークの希望によって、ブルース・スプリングスティーンが書き下ろした曲。
 ここまで決まると、言う事なし。

 人気レスラーだったランディ。
 でも、今ではスーパーで惣菜のアルバイトをしながら、月々の家賃も払えないほどの貧しい生活を送り、地方巡業のぶざまなプロレスを続けていた。

 ある日、過激なパフォーマンスと、過酷な巡業、それから長年に渡るステロイド使用がたたり、ランディは心臓発作で倒れてしまう。
 妻とも離婚し、一人娘とも絶縁状態になってしまったランディは、「命が惜しければ二度とリングには立たたないように」と医者に忠告される。
 そんな彼も、場末のストリップ・パブで働く、子持ちの女に淡い恋心を抱くのだが・・・。

 ダーレン・アロノフスキーの乾いた視点が、最後まで観る者を釘付けにする。
 余りにもリアル過ぎて、痛々しいほどのプロレス・シーン。
 そのリアリズム的手法だからこそ、まるで即興で会話しているような何気ない楽屋シーンも、妙に切なく、物悲しく感じることになる。

 モデルは、ハルク・ホーガンあたりだろうか。
 監督とミッキー・ロークは否定しているようだけれど、「ローリング・ストーン」日本版のハルク・ホーガン「インタビュー」を読んだら、本人は「俺を真似ている」的な発言をしていた。
 やはり映画を観ていると、どうしても2人が重なってしまうのである・・・。

 この映画の基底には、悲しさや切なさが流れている。
 予定調和で、ストーリーも単純だ。でも愛しさがある。孤独や侘しさが漂っている。
 「レスラー」、◎である。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「ザ・スピリット」。フランク・ミラーが監督だけど、これはちょっとなあ。

2009年06月11日 | Weblog
 フランク・ミラーっていう人は、凄い人である。
 アメリカのコミック・アーティストの第一人者というか、ヒーローものの映画制作者というか、ライターというか・・・とにかく一筋縄では語れないほど、彼がアメリカン・コミック界に与えた影響は計り知れないものがある。

 僕は「シン・シティ」が大好きだ。
 この映画はいい。
 最初に、この特筆すべき映像を目の当たりにしたときの衝撃は、今でも忘れない。
 そこから、「300 スリーハンドレッド」へと移行してゆくわけだけれど、白黒を基調としたスタイリッシュな映像美は、好き嫌いが分かれるかもしれないけれど、胸躍るワクワク感に包まれてしまう。

 今回の「ザ・スピリット」は、アメコミ界の巨匠ウィル・アイズナー原作の同名グラフィック・ノベルを、フランク・ミラー自身が実写映画化したものだ。
 一度、死から蘇った警察官が、街を守るため、悪と戦う仮面ヒーロー活劇で、ガブリエル・マクトが主演している。

 そして、宿敵となる悪役にサミュエル・L・ジャクソンが、その部下にスカーレット・ヨハンソンが扮しているのだが、2人とも快演というか奇演というか、のびのびと楽しみながら演じているのは、観ている側としても心地よい。

 物語は、愛する街セントラル・シティを守るため、犯罪者たちと戦う仮面のヒーロー、スピリットが、ある夜、闇取引の通報を受けて現場に向かい、宿敵である犯罪者オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)と、真夜中の沼地で激闘を始めるところから始まる。

 しかしスピリットは、その死闘現場に、若い頃、深く愛した恋人がいたことを知る。
 殺害された仲間が手に固く握り締めていたのが、彼が、今でも心の奥深く想っている別れた恋人と収まっている写真入のペンダントだったからだ・・・。

 映像は、今回もまた驚愕するほどの素晴らしさ。
 黒と、白と、そして鮮やかな赤が、画面の中を疾走する。
 フランク・ミラーの真骨頂である。でもこういう映像が嫌いな人も多いんだろうなあ。

 でも、映画自体はいただけない。
 スパイスのように効かせた(と、フランク・ミラーが思っている)ユーモアは白けるだけだし、特筆すべきアクションや会話があるわけでもないし、ストーリーがずば抜けて面白いわけでもない。

 本当にフランク・ミラーなの?
 やはり、この人、映画作りにだけ関して言えば、総合プロデュースとかサジェスチョンだけに徹する担いがあっている人なのかも。

 約1時間40分程度、欲求不満を感じたまま、映画は消化不良を起こしただけで終わってしまった・・・。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

村上春樹の最新長編小説「1Q84」2作を読んだ。これはまだまだ続くね、絶対。

2009年06月10日 | Weblog
 全村上春樹ファン待望の(こういう言い方もないんだろうけど、とりあえず)最新長編小説「1Q84」が遂に店頭に並んだ・・・けれど、即売り切れてしまいました。

 聞くところによると、発売日の前日、東京都内ではいち早く発売されたらしく、飛ぶように売れていたらしい。
 青森市内の書店に、たまたま発売前日足を運んだら、カウンターで若い女性の方が、店員さんに向かって、「村上春樹の新作は、明日の何時に店頭に出るんでしょう?」と焦りながら訊いているのを目撃した。
 店員さんも微笑みながら、「それだったら今日のうちに予約されたほうが賢明ですよ」と答えていたけれど、その一部始終を眺め、直感でこれは売れると思った。

 しかし、ネット上では「1Q84」について賛否両論が渦巻いている。
 新たな試みに挑んだ素晴らしい小説だというもの、また、これまでと同じワンパターンであると落胆するもの、様々である。
 個人的に言わせていただけば、僕は凄く面白かった。

 スポーツインストラクターをしながら、陰では暗殺者として生きる女性、青豆を主人公とする「青豆」編と、小説家を目指しながら数学の予備校教師をしている男性、天吾を主人公とした「天吾」編が交互に描かれてゆく。

 1984年の物語である。
 当初、まったく別々の物語としてスタートするものの、ある事件をきっかけに2人は互いに交錯し、そこに周辺で息づく様々な人間たちが絡んでゆく。
 その中で、青豆は、現実社会とは微妙に異なっていく不思議な時間の流れを、1Q84年と名付けるのだ。

 青豆の依頼者である老女主人、女主人のボディーガード、警察官のあゆみ、雑誌編集者、「空気さなぎ」という不思議な小説を書いた17歳の少女ふかえり、ふかえりの育て親、そして、天吾の年上のガールフレンドなど、それぞれ魅力的で謎に包まれた人物が彩りを沿え、物語はどこまでも広がり、止まるところを知らない。

 最初、いわゆる序盤、余りに細部の描写に拘り、読み進める事に難儀する。
 しかし。しかしである。
 少しだけその苦痛を我慢すると、あとはもう次の展開が知りたくて、ページを捲る手が速くなってゆく。

 「BOOK1」と「BOOK2」の2冊に分かれ、4月から6月、7月から9月と進んでゆくことから鑑みても、絶対、この小説、続きがあるに違いない。
 様々提示される謎も、そのすべてが解明されたわけでもない。

 あくまでも予想であるけれど、この「1Q84」、かなりの長さの小説になるのではないか。
 そういえば村上春樹、全体小説を書きたいって言ってたもんなあ。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ヒーローズ」3シーズンが始まったけれど、このドラマ余りに物語が絡まりし過ぎ。

2009年06月09日 | Weblog
 「スーパードラマTV」で、アメリカの人気テレビドラマ「ヒーローズ」サード・シーズンが始まった。
 「ヒーローズ」のファースト・シーズンは、当時の「24」や「LOST」の視聴率を上回り、全米でも大きな話題となった。

 序曲ともなるファースト・シーズンは、世界中まったく別々の地域で、何人かの人間が、突如、空中飛行や肉体の再生、また、未来を予知したり、時空を自由に操作するなど、様々な特殊能力が備わりはじめるところから始まる。
 そして、それらの超能力取得者たちは、相手の能力を奪うという強力超能力者サイラーと戦い、未来予知で知りえたニューヨークでの大爆発を阻止すべく立ち上がるのだが・・・。

 シーズンの1は、それぞれのエスパーたちの特殊能力を描きつつ、それへの畏怖や拘り、それから他人とは異なる能力を得てしまった苦悩を鮮やかに捉えていたように思う。

 ところがである。
 「ヒーローズ」は、セカンド・シーズンで急激に失速する。
 視聴率も大幅な落ち込みを見せ、脚本も途中でかなりの修正が行われたようだ。

 とにかく、登場人物が賑やか過ぎて、余りにもテンポが速く、まるで出された料理を上辺だけ片端から摘み食いをしているような感じなのである。
 たくさんの超能力者たちが次々と画面上に現れて行動を続けるから、今現在、何が行われ、全員何に向かって進もうとしているのか解らなくなってゆくのだ。

 新たなる脅威として、能力者だけが感染するウィルス、人の心に進入する「ナイトメア・マン」が現れ、「組織」の設立メンバーたちが何者かに狙われ始めるという物語展開なのだけれど、1話見逃すと、話の筋が解らなくなって来て、どうしてもストレスが起こる。

 このように書くと、「24」や「LOST」だってジェット・コースターのように次々と乱高下を繰り返し、少しでも目を離すとストーリーが解らなくなるだろうとの指摘がなされるかもしれない。
 でも、「24」や「LOST」は、まず大きな幹があって、そこから縦横無尽に細部が活き活きと描かれているのに対して、「ヒーローズ」に関しては、細部のみが細切れで描かれ(その個々のエピソード自体は面白いのだけれど)、それが寄り集まって大きな幹が出来ている。それも幹なのか枝なのか、よく解らない。

 そして今回のサード・シーズン。
 製作サイドとして、視聴率低下の原因として、混み過ぎた物語展開があると認識したようで、ある程度その軌道修正を行ったようだ。
 当然、のっけから、あっと驚くスピーディな展開にはなっているけれど、まだ2話しかオンエアされていないので、評価はまだ下せない。

 それにしても全米テレビドラマの数は凄まじい。
 韓国ドラマは勢いが衰えたけれど、アメリカドラマは今活況を呈しているようだ。
 観続けるにしても限界があるけどね・・・。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コーマック・マッカーシーの近未来小説「ザ・ロード」。気品と風格、さすがである。

2009年06月08日 | Weblog
 アカデミー賞を獲得した、コーエン兄弟による傑作映画「ノーカントリー」、その原作者でもあるコーマック・マッカーシーの近未来小説「ザ・ロード」。

 かなり評論家からも評価の高かった小説だ。
 昨年の海外小説ベストテンものでも、必ず顔を出していた。その小説がやっと読めた。
 作者であるコーマック・マッカーシーは、この「ザ・ロード」でピューリッツアー賞を受賞している。

 核戦争後の荒廃した未来世界なのか、それとも、地球の環境が何らかの影響で破壊され、人類がほとんど死滅してしまった後の冷え冷えとした世界なのか、コーマック・マッカーシーはその点を特に明かすことはしない。

 既に文明は消滅し、街は廃墟と化し、草木は枯れ果て、緑萌える豊かな大地などどこにもない世界が目の前に広がっている。
 その暗黒の荒野を父と幼い息子がふたりぼっち、ひたすら歩いている。生き残るために必要な最低限の食料や器材を入れた、ぼろぼろのカートを押しながら・・・。

 時々、憂鬱な空からは、灰色の雪が降る。
 生き残った少数の人間たちは、互いに争い、殺戮(さつりく)を繰り返し、極度の飢えから人肉を貪るまで落ちぶれていた。
 その中を、ひたすら父と幼い息子の2人は、南の地を目指して歩く。

 短絡的に言い切れば、ただそれだけの小説である。
 あとは何もない。
 ひたすら、今日食べる食物を探し、厳寒の中で、眠るべき場所を探してさまよい歩く。
 旅の途中で遭遇する、飢餓から凶暴化した人間たちを回避し、子どもを守るために暴力を使い、そして廃墟の街の中、食料を捜し求めて奔走する・・・。

 とにかく寒さと飢えが、読んでいるほうにも、ひしひしと伝わって来る。
 余りにも描写がリアル過ぎて、読んでいる途中で何度も居た堪れなくなったほどだ。息苦しくて辛くなってしまうのである。寒さが本から漂うほど。
 それほど、コーマック・マッカーシーの文章は巧い。驚嘆する。

 言葉が研ぎ澄まされていて、鋭い刃物のようだ。
 親子の交わす会話も、シンプルで、そして美しい。
 文章のお手本のようである。まるで教科書といってもいいだろう。それほど素晴らしい。
 ラストもいい。余韻が残る。悲しいほどに。

 「ザ・ロード」は、ハリウッドで映画化されるらしい。
 主演は、ヴィゴ・モーテンセンとシャーリーズ・セロンだとか。
 楽しみである。この小説は、映画にしても面白いだろう。そう思う。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「WHOLE LOTTA LOVE!」

2009年06月07日 | Weblog
 あらゆるものは過ぎてゆく。
 楽しいことも、辛いことも、悲しいことも、切ないことも、痛いことも、嬉しいことも、疲れることも、すべての感情さえ一時的な発露に過ぎない。

 すべては些細なことだ。
 すべては一夜の夢である。
 あらゆるものは、いつか終り、何もかもが、無かったように跡形もなくこの世界から消えてゆく・・・。

 土曜日。
 朝から雨が降り続く。
 絵に描いたような雨である。完璧な雨である。雨を定義しろと言われたら、この日の雨の事をいうのだろう。

 全国紙と地元紙、そのすべての朝刊を読み、何件かの携帯電話に出た。
 もう、休日なのか出勤日なのか、ほとんど境界線自体が曖昧になってゆく。

 午後からは、某ホテルのVIPルーム(初めて使わせていただきましたが)で、仕事に関する打ち合わせ。
 その合い間にも、CEOを含めた様々な方から引っ切り無しの電話が入ってくる。止めようかなあ、携帯電話。さもなければ、土日は電源切っちゃうとか(絶対に不可能でしょうけれど)・・・。

 結局、仕事の打ち合わせが終了したのは午後6時少し前。
 まだ雨が街を濡らしている。

 久しぶりのスポーツジム。
 限られた時間を有効に使わないと勿体無い。
 ランニングマシンで走り込み、腹筋と胸の筋肉を鍛えるマシンを繰り返す。

 帰宅して、キムタクの「ザ・ブレイン」を観て、何気に布団に潜り込んだら、突然、猛烈な眠気が襲って来た。珍しいこともあるものだ。

 そして日曜日。
 本当に久しぶりに10時間ほど眠った。よほど疲れているのだろうか。よく解らない。

 どんよりと曇った空だ。
 冷たいミネラル・ウォーターを飲んで気分爽快。
 車を出し、「レッド・ツェッペリン」の「Ⅱ」を大音響で聴きながら、2日連チャンのスポーツジムへ。

 ひたすら走る。
 汗が吹き出た。あとは腹筋を繰り返す。
 ジムのお風呂に入って、そのあと体重を量ったら2㌔の減。そういえば、最近、ろくに3食摂ってない。
 でも、お酒も一滴も飲んでいない。

 実は、断酒宣言をしたあとも、幾つか飲み会があった。でも一切、お酒は口に含まなかった。こうなると、一種の意地のようなものである。別に威張るような事ではないけれど・・・。

 スポーツで汗を掻いた後のミネラル・ウォーターほど美味しいものはない。
 午後の外に出たら、雲間から青空が覗いていた。
 こうして日曜日も終わってゆく。

 あとはずっと、村上春樹の「1Q84」を部屋で読み続ける。
 後半、俄然、物語が動き出して面白くなってきた。さすがである。
 しかし、この長編、絶対に上下の2巻で終わるような物語ではない。多分、まだまだ続くのではないか。

 今日中に全巻読み終えないと、朝日新聞のコラムに間に合わない。
 げっ! その原稿もあったのね!



 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「6月の東京」夜明けのホテル、村上春樹の「1Q84」、夕暮れの盛岡、小雨の青森。

2009年06月06日 | Weblog
 金曜日。
 夜明けの4時50分。
 ホテルで目が覚めた。そのままテレビを点ける。
 ルームサービスの朝刊が、もうドアノブに掲げられていた。

 毎日、毎日、浅い眠りが続いてゆく。眠っているのか、瞑想しているのか、夢を見ているのか、考え事を繰り返しているのか、よく解らない。

 そのままベッドの中で出来立ての朝刊を読み、歯を磨いたり朝風呂に浸かったりしていたら、いつのまにか時計が8時を回っていた。

 そこから携帯に電話が殺到。
 組織の人間だけではなく、様々な業種の人たちから様々なコメント。
 てんやわんや。

 ホテルをチェックアウトして外に出たら、今にも雨が落ちて来そうな空模様。
 傘を持っていないので、浜松町駅へと小走りで駈ける。

 東京駅に着いたのはいいけれど、まだ新幹線の発車時間まで一時間はゆうにある。
 東京駅の地下街でお惣菜とご飯を買い求め、近くの待合室で食事を摂った。
 この東京駅地下街に並んでいる、お弁当テイクアウトのショップは凄い。
 僕が大好きな一軒は、鰯の甘露煮とか旬のお惣菜を取り揃えているご贔屓のお店。ここは本当に美味い。

 ぺろりと平らげ、まだお腹がいっぱいにならないので、今度は、珈琲とドーナッツを取り揃えているスタンド・珈琲ショップ。
 このお店も僕のご贔屓の一軒。
 塩キャラメルのドーナッツ2個を頬張り、熱い珈琲を飲む。大満足だ。

 今回、仕事は2人で来ていて、直接新幹線内で待ち合わせということになっていたので、そのままプラットホームへ。
 新幹線では、ひたすら読書。
 読んでいるのは勿論、村上春樹の「1Q84」。
 もう既に100万部を突破したのだとか。しっかし・・・。

 盛岡駅で下車。
 最後の仕事が待っている。
 疲れがピーク。寝てないし。出来る事なら、盛岡をパスして、そのまま帰宅したかった・・・疲れる。

 ここでも深刻な議題に終始。
 夕暮れが迫る。
 それにしても最近、よく盛岡には来るなあ。なかなか素敵な街ではあるけれど。

 盛岡での仕事を終え、急いで切符を買い、新幹線に乗り込んだ。
 くたくたに疲れている。
 目を閉じて眠ろうとするのだけれど、神経が昂ぶって眠りに落ちるような状態ではない。

 あっという間に八戸駅。
 東奥日報夕刊を買い求めようとしたら売ってない。
 新幹線から、弘前行きの特急列車に乗り換えた。
 小雨が降っている。
 時計は夜の9時過ぎだ。
 青森駅に着く頃は10時を軽く過ぎているだろう。疲れたなあ、出張・・・。

 明日も仕事が待っている。
 ゆっくりと休息したい。
 土曜日かよ、もう。

 青森駅に着いた。
 小雨が舗道を濡らしている。夜風が冷たい。
 また、この街に帰って来てしまった・・・。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「6月の東京」つくばエクスプレス、六本木ミッドタウン「山中俊治 骨展」、麻布界隈の散歩。

2009年06月05日 | Weblog
 木曜日。
 東京は、朝から泣き出しそうな雲が空一面を覆っている。

 ホテルを出て浜松町からJRに乗り、秋葉原まで出て、そこから「つくばエクスプレス」。
 そこから12目の駅、「流山おおたかの森」駅まで。

 今日は、E大学の某教授との綿密な打ち合わせをしなければならない。ある意味、今日もまた重いテーマを引き摺っての面会ということになる。

 都内から埼玉の一部を横切り千葉県内に入ると、景色は一変した。
 田園地帯の中で進んでいる造成宅地、人工的な新築ビルと車の通らないのっぺらぼうとした街路、寂しそうに残っている無人島のような雑木林、それらが目の前に飛び込んで来た。

 「流山おおたかの森」で降りて、タクシーに乗り込み、E大学まで。
 人の気配がない。あくまでも無機質で、汗とか体温が感じられない。でも、それもまた街としての美しさかもしれないけれど・・・。

 大学の事務局で名前を告げ、早速、待っていただいた先生と具体的な打ち合わせ。
 やっと仕事が終り、学生送迎バスに乗って駅までの道を急ぐ。

 疲れが溜まっている。
 今日の仕事が終わったのでホテルに帰って休もうかなとも考えたけれど、折角なので六本木まで足を伸ばした。

 六本ミッドタウンの裏手、ガーデン内にある、安藤忠雄氏が設計したという「21 21 DESIGN SIGHT」で開催されている「山中俊治ディレクション『骨』展」を鑑賞。

 工業製品の骨格や、様々なオブジェを支えている「骨」を、鮮やかに際立たせる。写真、アートユニット、建築、デザイン、コンピュータ、様々な構造体が、骨格・機能という視点から、分解され、開放され、機能付けられてゆく。

 スマップの某氏が裸で駆け回り警察に保護されたという公園を通り、ミッドタウン内を少し散策した。
 ミッドタウンは大好きなスポットのひとつだけれど、この躯体のデザインだけはどうも好きになれない。

 そのまま歩いてホテルまで戻ろうと決心し、東京タワー目指して独り歩く。
 青山ブックセンター、六本木ヒルズを通り、麻布十番商店街方面を目指した。
 テレビ朝日の前を抜けて、今度は東洋女学院、ロシア大使館。

 この付近は何度歩いても飽きるということがない。
 ひっそりと静まり返った坂道、深緑の生い茂った豪奢な邸宅、素敵なブティック、洒落た珈琲ショップ、美しいフォルムのビル群、小さなお寺と神社・・・。
 南青山、赤坂、六本木、麻布。静謐と洗練と賑やかさが同居している街。

 ホテルに戻ったら、もう夜が街全体を優しく包んでいる。
 バスタブにお湯を溜め、ベッドに横になって本を読んだ。

 明日は帰るのだ。
 またあの街へ・・・。



 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「6月の東京」増上寺、芝公園の緑、横浜開港150、それから淋しそうな夕暮れの東京タワー。

2009年06月04日 | Weblog
 水曜日。
 朝7時過ぎの特急列車に乗り込んだ。
 缶珈琲と新聞を数紙買い求め、村上春樹の新作2冊を鞄に詰め込み、車窓から、だらけた朝の青森郊外が映し出されてゆく様を黙って見送った。

 また東京だ。
 2泊3日の出張である。
 正午に東京駅に到着し、宿泊するホテルに荷物を預け、早速仕事をこなす。

 横浜管内にある某大学に出向き、抱える大型プロジェクトの委員をされている先生との綿密な打ち合わせ協議をしなければならない。
 生麦という、明治維新で大きな事件があった場所まで電車を乗り継ぐ。
 駅前の、少し寂れかかった(ごめんなさい。別に悪い意味ではありません)商店街が何とも言えない風情を醸し出している。
 こういう街歩きが出来る、こじんまりとした商店街って凄く落ち着いて癒される。

 小高い山の中腹に位置するその大学まで、勾配のある坂を担当者と一緒に登り、ようやく辿り着いて打ち合わせ。
 テーブルにたくさんの書類を広げ、綿密な打ち合わせを進めてゆく。
 外のキャンパスでは、若い学生たちが笑いながら、ボールを使ってふざけながら寛いでいる。

 いいなあ。学生は。
 戻りたい・・・あの頃に。
 あの頃に戻って、もう一度新しい人生を歩んでみたい。
 そうしたら、絶対、今の人生は選択なんかしないぞ!

 かなり突っ込んだ打ち合わせを済ませ、もと来た道を引き返した。
 明日も明後日も、こうした打ち合わせをこなして行かなければならないのだ。

 少し時間があったので、回り道して「横浜みなとみらい線」に乗り継いで「馬車道駅」。
 「横浜開港・開国150周年」を記念した大博覧会が開かれているということなので、概要だけでもこの目で見ておきたかったからだ。
 2010年には、我が街にも新幹線がやってくるわけで、大きなイヴェントとして同じような記念祭を折角の機会を借りて見学することに。

 がらがらである。
 活気がない。
 第一、全体コンセプトがまったく見えてこない(気がする)。もちろん、拙速に分析なんで出来ないし、そういう立場にもないのだけれど。
 「横浜開港150周年」、一体どういう文脈で、何を声高に語り掛けたいのだろう。
 市民団体が自主的に担う様々なイベントもあって、それ自体は確かに素晴らしいとは思うけれど、それはそれとして、また別のフィールドで進めるべき部分ではないのだろうか。
 よく解らない。
 ベイサイド入場券が、なんと大人2,400円・・・。勿論、内容次第ではそれさえ安く感じられるのだが・・・。

 桜木町から電車に乗って、宿泊ホテルがある浜松町まで。
 増上寺が近い。
 お寺の境内に入って、ぶらりと一周した。
 裏手には紅色に彩られた東京タワーが聳えている。芝公園の緑が鮮やかに萌えている。

 東京。
 この夜の帳が降り切った夜の街もまた美しい。
 大好きなんだ、この街が。
 もう少し、このまま歩こうか。



 

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遂に「ビートルズ」全デジタル・リマスター版が09,9,9世界同時発売される。

2009年06月03日 | Weblog
 朝日新聞を読んでいたら、「ザ・ビートルズ」のアルバムが最近かなりまた売れ始めているのだとか。
 ランキングによれば、一番売れているアルバムが「アビー・ロード」で、次が「ホワイト・アルバム」だった。

 理由が解って、思わず納得してしまった。
 新聞記事には、買っている人へのインタビューも載っていて、今年の9月9日に全世界で同時発売される、ビートルズ 全オリジナル・ アルバム のデジタル・リマスター化を見据えて、現在発売されている旧CDを手元に持っておこうとする熱狂的ファンの動きから生じるものだったのである。

 つまり、コアなビートルズ・ファンは、アナログもCDもデジタル・リマスター版も、とにかくビートルズのアルバムは、すべて揃えておかないと気が休まらないのだろう。
 恐れ入った・・・。
 人の事は言えないけれど。

 そういうわけで(どういうわけだ?)、ビートルズの楽曲管理などを行っているアップルとEMIが、ビートルズのカタログのデジタル・リマスター盤を9月9日に世界同時リリースすることを発表した。

 リマスターは、1987年の初CD化されて以来、初めてのことである。
 オリジナル・アルバム12枚と、CD化の際に唯一アメリカ編集版を採用した「マジカル・ミステリー・ツアー」、それから、シングルやアルバム未収録トラックで編集された「パスト・マスターズvol.1」と「パスト・マスターズvol.2」の計16枚が発売される。

 そして、オリジナル・ライナー・ノーツと新たな解説書、ブックレット、全アルバムに期間限定でドキュメンタリー・フィルムがCDエキストラで収録されるという、おまけ付きである。

 絶対買う!
 それも必ずBOXセットで買う!
 何があっても買う!

 実は、僕の「アビー・ロード」のCD、傷が付いてしまって数曲飛んでしまうのである。
 車の中で聴こうと思ってCDを久しぶりに入れたら、いきなり音が飛んで、ショックで数分間呆然としてしまった・・・。
 とても悲しかった。
 
 新品を買い求める事も考えたけれど、9月9日の再発の日を楽しみにして、指折り数えて待つことに決めた。
 なので、今はビートルズのアルバムを聴く事を、少し控えている。

 どきどき・・・。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする