淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

ベルンハルト・シュリンクの小説「朗読者」を映画化した「愛を読む人」を観る。

2009年06月16日 | Weblog
 ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説である「朗読者」を、「めぐりあう時間たち」の監督と脚本家コンビが映画化した。
 「愛を読む人」である。

 僕は、小説「朗読者」を新潮社から出た翻訳で既に読んでいる。
 日本でも、この小説は評判となり、各誌の書評でも絶賛されていた。読んで、確かにいい小説だと思う。
 深い悲しみを伴った、歴史の重い悲劇が全体を貫いている。そしてそこに、美しくも儚い愛が流れる。

 その小説を、今度は、「リトル・ダンサー」や「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリー監督と、英国人スタッフ・キャストが中心となって映画化した。

 第二次世界大戦が終わった直後のドイツ。
 まだ15歳のマイケルは、21歳も年上のハンナと出会う。
 2人はやがてベッドを共にし、彼女に頼まれ本を朗読してあげるようになる。彼女は、何故かマイケルに本を読んで貰うことに執着し、自らが読むという行為を一切しなかった。 
 ところが、ある日突然、彼女はマイケルの前から忽然と姿を消してしまう。

 時は流れる。
 法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で再会を果たすことになるのだ。
 たまたまゼミの一環として傍聴した、ナチス戦犯を裁く法廷で、被告席に座るハンナを目撃してしまったのだ・・・。

 映画は、過去と現在を交錯させながら、ドイツの暗部を抉り出してゆく。マイケルとハンナの純粋な愛を重ねながら・・・。

 この「愛を読む人」で、第81回アカデミー賞主演女優賞をケイト・ウィンスレットが受賞した。
 共演したレイフ・ファインズは余り好きじゃないけれど、映画自体は、重厚で美しく、真正面から悲劇の2人を描く。

 ケイト・ウィンスレットがとにかくいい。
 まるで、身も凍るような厳寒の荒地に屹立している意志の強い女性のようなイメージだ。
 深い絶望と、逃れられない運命の嵐の中でもなお、独り静かに荒野を歩き続けている旅人のようでもある。
 彼女の迫真の演技がこの映画を力強いものに変えている。

 それから、何といっても監督のスティーヴン・ダルドリーである。
 彼の映画は、「リトル・ダンサー」も「めぐりあう時間たち」もどちらも素晴らしかった。
 特に「めぐりあう時間たち」。この映画は傑作である。

 そういう凄い監督が作った「愛を読む人」。
 いい映画になることは、初めから約束されていたのである。




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