淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「make a fresh start」

2007年03月31日 | Weblog
 3月も今日で終わる。
 4月1日の日曜日、明日からはいよいよ新年度。新しい一年間がスタートする。爽やかな春がこの街にもやって来るのだ。

 僕はこれまでにも、節目節目で、長かった髪の毛を突然バッサリ切り落として丸坊主にしてみたり、それまで持っていた数多くのCDやレコードや本や雑誌を売り払って部屋の中を綺麗サッパリ片付けたりと、自分自身を変えたくて様々な試みをしてきたように思う。
 でも、また何日、何週間、何ヶ月かすると、その志は元の木阿弥に戻ってしまい、怠惰でいい加減な日常生活へと埋没することになる。

 何ヶ月か断酒をしてみたこともあった。毎朝、6時に起床して春夏秋冬、雨の日も風の日も吹雪の日も、外を走ろうと決めたこともあった(実際やったけど)。
 そして、それらもまた長続きすることなく、結局また僕は廃頽的(そこまでではないけれど)でフヤケた、いい加減な生活へと戻っていったのである。

 別に平凡で穏やかな生活を否定している訳じゃない。
 そういう人生こそが理想だと心の底から今では思っている。特に「般若心経」を読んでからは。
 それはそれでいい。正しいと思う。

 しかし、だからといって、決してこのままでいい筈がない。それもまた確かな事実だ。
 僕は、物事が順風満帆に進んできたりすると、何故か逆に猛烈な不安に襲われてしまう。とても厄介なことに。
 自分を虐めて人生のバランスを保たないと、平衡感覚を失い、精神的に不安定な状況に陥ってしまうのである。どうしようもないほど馬鹿なことに。

 毎日のように映画やテレビを観続け、ジムに通って体を鍛え、ジョギングをし、漫画や本を読み、ゲームをやり、夜の街を徘徊し続けることに、僕はなんとなく飽きたようだ。
 それから、毎日きちんとブログ日記を書き続けてゆくことに対しても。
 心底疲れてしまった。と言いつつ、そのうちまた繰り返してゆくのだろうけれど。

 俺は自分の夢を諦めている。
 このままの生活を良しとしている。
 安易な道を求め手を抜こうとしている。
 いい気になっている。
 適当な所で休もうとしている。

 そんなことでいいわけがない。原点に戻らないと。全てを仕切り直さないと。安穏としていていいわけがない。
 怠惰で快楽主義のソクラテスならまだいいけれど、太って(肉体がという意味ではありません。念のため)、美味い料理を貪り食うような豚だけには絶対なりたくない。

 もう時間がない。
 戦いのための戦法を少し変えてみよう。もっと真剣に戦略を練ってみよう。
 どうするか? それは秘密です。

 虚構の場所では虚構の顔。
 でもその場所が、空しさだけが募る虚構のフィールドだとしても、そこに何某かの「楽しさ」や「面白さ」を見出せないとしたら、それはそれでちょっと辛いだけだろう。

 いつかは死ぬのだ。誰も彼も。
 だとしても、魂だけは売りたくないね。

 

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SM作家の団鬼六の壮絶な人生を綴った「快楽なくして何が人生」。この本もまた凄い!

2007年03月30日 | Weblog
 団鬼六の名前を始めて知ったのは、学生時代の頃だったろうか。
 日活ロマンポルノの「花と蛇」を観に行ったあたりだと思う。谷ナオミが主演していた(隠れファンでしたが・・・)。

 何か、余り深く入り込んではいけない世界だと思っていた。
 勿論、団鬼六の小説は一冊も読んだことはない。そこまでの興味はなかったし。
 ただ、隠れマニアが数多くいることは知ってしたし、小説の大家たちが絶賛していることも知っていた。

 今回、本屋さんで何気なく手に取り、ぺらぺらと捲ってみて、これは読まなきゃと初めて思ったのである。
 小説ではなくて、エッセータイプの人生訓だったのがよかったのかもしれない。

 「男にとって本物の女とは? そしてセックスとは? 末期の腎不全を患いながらも、唯一の延命策である人工透析を拒否するSM文豪・団鬼六が、破滅的快楽の境地へと向かう! 人生の価値を問い直す、現代社会へのメッセージ」だそうである。
 本の帯の宣伝文句によれば。

 一読してみると、やはりこの宣伝文句のとおりでした。
 いやはや。何とも。壮絶かつ凄まじい。
 エロ満載ジジイということは読む前から分かってはいたけれど、ここまで「性」に執着する人も凄い。

 団鬼六の座右の銘がまたいい。
 「何しょうぞ、くすんで一期は夢よ、ただ狂へ!」。室町時代の歌謡を綴った「閑吟集」からの一節である。
 僕もこのフレーズは大好きだ。
 どうせこの世は馬鹿騒ぎ。一期など夢でしかない。それなら狂ったものが勝ち。勿論、本当に狂ってしまったらどうしようもないけれど。

 放蕩人生といったら、ただそれで終わってしまうけれど、この人の恋愛人生は尋常ではない。愛人、恋人程度はなんのその、大酒飲みで遊びの限りを尽くし続ける。
 飲み屋を経営する傍ら4人の愛人ホステスの間を行き来するわ、人工透析をしないと絶対に死ぬと分かっていながら断固拒否を決め込み酒を飲み続けるわ、友人の会社社長と「快楽教団」なる新宗教団体を旗揚げすべく奔走するわ・・・。

 とにかく破滅への道をひた走る。
 しかし、本人はそういうマイナス思考が全くない。確かに厭世的で廃頽的ではあるものの、ひたすら享楽だけを求めて生きている。

 こうなると何か清々しささえ覚えてくる。
 ここまで徹底的に快楽を追求するのであれば、ある意味で天晴れだとも読んでいるうちに感じるのである。

 まずは一読をお奨めします。
 別にSM小説ではないし、ある一人の作家の生き方を綴った軽い読み物だと思えばすんなり読めるのではないか。

 世の中は広い。
 「快楽なくして何が人生」。
 それもまたアリですよね。





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「酒井家のしあわせ」。映画はイマイチだったけれど、お笑いの「友近」が抜群にいい。

2007年03月29日 | Weblog
 コメディアンで名を売った人たちが、映画でシリアスな役をやると、ほんと素晴らしい演技をみせる。本当に上手い。

 例えば、先日惜しくも亡くなった植木等を筆頭に、頭に浮かんだままに名前を挙げると、ハナ肇、ビートたけし、伊東四郎などなど。
 最近では、森田芳光監督の「間宮兄弟」でキネマ旬報ベストテン「新人男優賞」を受賞した、お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅もこの中に入るかもしれない。

 アメリカでも、ジャック・レモンやウォルター・マッソーなんて、コメディ映画で大成功をおさめ、その後、渋い演技派に転向しているし、そういう例は大変多い。

 「酒井家のしあわせ」は、本作が長編デビューとなる呉美保監督が、2005年サンダンス・NHK国際映像作家賞日本部門を受賞した、本人自らの脚本を映画化したものである。
 その映画の中で母親役を演じたのが、お笑いタレントの友近。
 因みに、父親役にはユースケ・サンタマリア。この人だって、ロックから出て来た人ではあるものの、ずっとテレビのヴァラエティ番組で笑いをとってきた人間である。

 関西地方のある小さな街で暮らしている家族、酒井家。
 母の照美(友近)と、父の正和(ユースケ・サンタマリア)は再婚で、中二の息子は照美と前夫の連れ子だった。
 それから下の娘は、再婚した2人の間にできた子供で、中二の長男とは父親違いの兄妹ということにもなる。

 前半、酒井家の日常が静かに綴られてゆく。
 朝の慌しさ。
 幼い長女はダラダラと遊ぶように朝食のメニューを採っているし、長男は何度「起きなさい」と叫んでもベッドの中から出て来る気配はない。

 母親役の友近の演技が活きる。
 何気ない仕草、周りの家族たちへのテキパキとした指示と注意。忙しい朝の何気ない雰囲気が、彼女の演技によっていい塩梅で膨らんでゆく。
 彼女のお笑いは、よくテレビで観るけれど、様々なキャラクターを使いこなしながら観客たちを沸かせていて、今回もそういう蓄積が上手に生かされているようだ。

 この前半部がとてもいい。
 酒井家の平凡な日常生活を、呉美保監督は枯れた感覚で淡々と撮っていてとても長編デビュー作とは思えない力量。
 長男の若さゆえの苛立ち、初恋の予感、父親の仕事、母親の家事、周辺を蠢く人々・・・。
 これらを優しい眼差しで捉えてゆく。

 ところがである。
 後半部、映画は動き出す。
 父親が、ホモ・セクシャルであることをカミングアウトして、家を急に出て行ってしまう。
 ここから急に映画はウエットでお涙頂戴モードにと変化するのだ。

 まあ、後半戦に大きなヤマ場を築きたい気持ちも分からないではない。
 でも、前半のゆったりとした、ほのぼのムードはここで一気に壊れてしまう。確かに好みの問題もあるから、これがいいという人もいるかもしれない。
 僕は×。

 しかしそれはそれとして、友近はいいね。
 これからも、どんどん映画に出演すべきだ。絶対にいい演技者になれると思う。
 コメディアンは侮れない。



 

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観客は俺独り! でもCGアニメ映画「ハッピーフィート」はとても素晴らしかった!

2007年03月28日 | Weblog
 色々あって疲労もピーク。
 言いたい事は山ほどあるけど、ここはじっと耐えるしかない。それにしても、何故人は人を知らず知らずのうちに傷付けているのだろう?
 そんな人間でも、ひとたび組織を離れると、独りの優しい場所に戻ってゆくんだろうなあ。
 組織は人間の心を縛る。

 オフィスを出ると、外はもうすっかり暮れていた。お腹は空いているけれど、そのまま何も食べずに映画館へと向かう。
 チケットを買って場内に入った。温かい珈琲も買った。席数は200以上あるだろうか。ところが、その広い場内に、たった俺ひとり。あとは誰もいない。
 ええーっ? 客が俺だけ?

 まあ、映画館に入って、たった独り切りで映画を観たことはこれまでに何度もあったので別に驚かない。でも余り気持ちのいいものじゃない。
 極端に満員で、お喋り満載というのも疲れるけれど、誰も客のいないがらんとした館内で独りぼっち観る映画も何となく物悲しい。

 映画は「ハッピーフィート」。
 この映画、絶対観たかった。予告編でもCGが半端じゃなく美しかった。それとミュージカル仕立てというのも嬉しい。

 南極に暮らす皇帝ペンギンたちの世界を歌と踊りで綴るミュージカル・アニメーションである。これでもか、これでもかというくらい、往年のヒット曲が皇帝ペンギンたちによって歌われる。
 マイケル・ジャクソン、アース・ウインド&ファイアー、クイーン、フランク・シナトラなどなど、名曲の数々が南極の自然を鳥瞰しながら圧倒的な迫力を持って流れてゆく。圧巻である。
 たとえ、これがフルCGアニメの世界だろうと、しばしの間、そんなことは頭から吹っ飛んでしまう。
 それくらい凄い。

 主人公の声には「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッド。そのほかに、ヒュー・ジャックマン、ニコール・キッドマン、ロビン・ウィリアムズ、ブリタニー・マーフィら超豪華スターが声優を務める。
 全員が驚くほどの美声を披露していて、そのことからも、映画を観るなら絶対に吹き替え版ではなく字幕スーパー版を堪能すべきである。
 監督は「マッドマックス」や「ベイブ/都会へ行く」を撮ったジョージ・ミラー。2006年度のアカデミー賞においては、ディズニーの「カーズ」を抑え長編アニメ賞を受賞した。

 南極の皇帝ペンギンの国。
 あるペンギン夫婦の間に生まれたマンブルという男ペンギンは筋金入りの音痴。この皇帝ペンギンたちの暮らすコミューンでは、歌う事が自分自身を主張することに繋がり、歌えないペンギンは一種の異端者扱いをされてしまうのだ。
 ところが、この主人公ペンギンのマンプルは、歌の代わりに誰にもマネの出来ないような華麗でハッピーなステップを踏んでしまう。
 つまり、ハッピーフィート!

 音痴の烙印を押され仲間はずれにされてしまったマンブルは、ひょんなことからアデリー・ペンギンである5人組の「アミーゴス」と出会い、一緒に、魚が取れなくなってしまった原因究明の旅に出る。

 とにかく一見の価値あり。
 CGの素晴らしさ。そして息を呑むほど美しいカメラ・ワーク。馴染みのある楽しい音楽。最初から最後まで飽きる事がない。
 この映画、絶対お勧め!

 観終わったあと、とても幸せな気分にさせてくれる。ストレスも吹き飛ぶね絶対。
 出来れば夏に観たかったけど。




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「DILEMMA ZONE」

2007年03月27日 | Weblog
 昨日は仙台。
 仙台駅で新幹線を降りたら空気の暖かさがまるで違う。コートを羽織るのさえ気が引けてくる。太陽の輝きも心なしか強いようだ。

 某省庁が進める某計画案についての某連絡会議を某所で。
 春の陽気に誘われるように、杜の都を歩きながら目的地へと向かう。少し時間があるので昼食を採ろうと繁華街の「牛タン屋」を覗いたけれど、何処も昼時で超満員。
 仕方がないので牛丼の「吉野家」で何年振りかの「牛丼大盛りツユダク」に生卵をぶっ掛け、結局、牛は牛でも安価で済ませる。

 某省庁が進める某計画案についての某連絡会議を某所で行い、終了後、何処にも寄らずに帰りの新幹線に乗り込んだ。何か最近、いつも新幹線に乗っているような気がする。

 予め車内で暇つぶしに読もうと鞄に詰め込んだ何冊かの漫画を取り出し、次々と読破。
 井上雄彦の「バカボンド」24巻と25巻、二ノ宮知子「のだめカンタービレ」と矢沢あい「NANA」の何れも最新刊、惣領冬実「チェーザレ」の1巻と2巻、石川雅之の「もやしもん」1巻から5巻。
 これらを一冊ずつ読んでは鞄に入れ、また新しいコミックを取り出す。

 隣に座っているサラリーマンが、少し軽蔑した眼差しでチラチラとこちらを見下しているような気配。
 いい歳をした男が新幹線の中で漫画なんかを夢中で読みやがって・・・そんな感じの顔である。勿論、あくまでも醸し出す雰囲気がそうだというだけなんですが。
 悪うござんすね、大の大人が漫画をひたすら貪り読んで!

 こっちも相手の読んでいる雑誌をチラチラと盗み見る。
 ふーん。「週刊ダイヤモンド」に「アエラ」ねえ。別にいいけど。大して変わらないと思うのですが。
 
 一気に漫画を読み終えた頃、新幹線は八戸駅に到着。
 ホームに出ると、さすがに寒い。こんなにも違うんだあ。時計を見ると夕方6時。日が暮れ掛かっている。
 駅のキオスクで「週刊現代」を買い求める。

 何が読みたいか。
 当然でしょう。
 18歳年上男性との草津温泉旅行と、帰りの首都高での車内喫煙を報じられた元「モーニング娘。」の加護亜依ちゃんについての記事に決まってるでしょうが。私はミーハーなんで。
 ふむふむ。しかしなあ・・・。

 ここまで徹底的に張り込んでスクープをものにした記者も記者だけど、この18歳年上男性(記事を読むと有名芸能人とも交流がある人らしいが)の脇が少し甘過ぎないか。
 2人してお風呂から出て来た所を泊り客に見られた瞬間、加護ちゃんは思わず顔を背けたという描写もリアルだけれど、もう少し交際男性が彼女をかばうなど、様々な配慮を施すべきだった。
 まあ。逢いたいときって周りが全く見えない、その気持ちも確かに分るけど。

 所属事務所はお泊り喫煙発覚後、加護ちゃんとの契約を解除したらしい。
 加護ちゃん、「フライデー」に喫煙写真を撮られて謹慎処分になっているから、二度目はやはりキツイかも。でもまだ19歳、まだまだ復活のチャンスはあるような気もする。

 突然、黄信号に出くわした運転手が、車を停止させるかどうかを悩む区間のことを「ジレンマ・ゾーン」と呼ぶらしい。
 そのまま進んだとしても赤信号までには信号を抜けきれないが、その逆に、信号前で停止するには距離が少し足りないという、とても微妙な場合。これは、人によってその判断が分かれる部分だ。
 なので、追突事故が多発する。

 もしも、あの時ああしていたら、あの時、選択を別なほうに変えていたら、こんな事故にはならなかったかも・・・。そういう事って、人生には数多く発生する。ちょっとした判断ミスが大惨事を引き起こすことさえあるのだ。

 脇の甘さ。
 これがまた曲者である。いやほんと。




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「無智亦無特 似無所得故」

2007年03月26日 | Weblog




        悟りを得るための智慧というものもないし
        また悟るということもない

        得るべきところなど 何もないからである


                              「般若心経」Ⅲ




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遂に完結、全米大人気TVドラマ「LOST」シーズン2! って全然完結してないじゃん!

2007年03月26日 | Weblog
 全米で大人気を誇るTVドラマの「24」。
 確かに面白いけれど、それをも凌ぐほどの人気なのが「LOST」。
 そしてその「LOST」、日本では地上波でのオンエアがないためにDVDでレンタルするしかないんだけれど、遂に「シーズン2」がこのたび完結した。

 でも当然の事ながら、謎は深まるまま、シーズン3に突入するようだ。
 アメリカ本土では「シーズン3」がオンエアされ、日本でも一部某ペイTVで5月から放映される事が決定している。

 とにかく、このドラマ、ジェット・コースターの如く、一瞬たりともテレビから目が離せない。
 ちょっとトイレまでとか、ちょっと珈琲沸かしながら観ようなんて思ったら、その何分間後には全く違った展開になっていて、前後の文脈が掴めなくなってしまう。そういう意味では、「24」シリーズや「デスパレートな妻たち」と同類か。

 ストーリーは、これまでに何度もこのブログで語ってきたので、詳細は少し省略するけれど、オーストラリア発LA行の飛行機が南の島で突然墜落をし、42人がサバイバル生活を余儀なくされる。

 ところが、一向に捜索隊は現われない。
 島ではとても奇妙な事が次々と起こる。
 南国には絶対いない白熊が、突然ジャングルから現われて襲って来たかと思うと、鉄製で作られた地下要塞のようなものがあったり・・・。

 誰かが潜んでいるような気配も濃厚だし、助かった乗客たちも一人一人が何らかの秘密を持っているようだ。
 美味しいオカズのてんこ盛りというか、豪華なバイキング食べ放題というか、次から次へと謎が提示されてゆく。

 事情通によると、「LOST」は「シーズン4」あたりで打ち止めになるらしい。そりゃあそうだろう。余りにも物語を引っ張りすぎると、ちょっと収拾がつかなくなるに決まっている。
 脚本家は、落としどころを間違えると大変なことになるんじゃない?

 まさか「全ては単なる誰かの夢だった」とか、島自体が某国家の「巨大実験場」だったとか、そういう有り触れたオチなら熱狂的なファンから非難轟々だろうから。

 この「LOST」を面白くしている一つに、島に取り残された人間たちの謎に満ちた過去と、誰かと誰かが何処かで繋がっているという展開にある。
 物語は一話完結という手法を取って、サクサクと進んでゆくのだけれど、毎回誰か一人にスポットライトを当てて、過去と現在を焙り出して行く。
 そこが面白い。

 ただ、何度も繰り返すように、謎を引っ張りすぎて物語が複雑に絡み過ぎ、最後はどう決着をつける気なのか予測不可能なところだろう。
 本当に全ての謎が明らかにされるのだろうか。
 尻切れとんぽに終わらなければいいんだけど・・・。

 「シーズン2」も、結局何の結論も出ないまま終わってしまった。
 さあ、次は「シーズン3」である。
 期待するしかないでしょう。
 ここまで観ちゃったんだから。



  

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どんよりと曇った日曜日の朝、Mr.Childrenの新作「HOME」を聴いてみた。

2007年03月25日 | Weblog
 僕は、Mr.Children、いわゆるミスチルの熱狂的なファンというわけではない。

 勿論、過去において好きな曲はたくさんある。アップテンポでソリッドな曲、それからメロディ・ラインが美しくて歌詞が素晴らしい曲・・・。
 でも、何故か一歩距離を置いて聴いてきたように思える。
 アルバムも、ベストの2枚を持っているだけだ。

 そして、今回また新作が発売された。
 当然、オリコン初登場第一位である。売れないはずはない。結構大物アーティストの新作が発売されていたにも係わらず、ダントツのトップ独占。
 ちょうどタイミングがよく、映画「どろろ」も大ヒットしていて、そのテーマ曲に「フェイク」がシングル発売されていたことも起因しているだろう。
 まあ、そうじゃなくても売れたでしょうけどね。

 早速、CDショップで買い求め、聴いている。
 これまでに先行シングルされていて、耳になじみの曲も収録されている。
 「箒星」、「フェイク」、「しるし」。
 どの曲もいい。

 Mr.Childrenの戦略ってなかなか上手で、アップテンポなナンバーをシングルで発売したあとには、当然スローなラブ・ソングを持ってくるなど、緩急織り交ぜた展開をしていて、ファンをいい意味で裏切っている。

 熱狂的なファンも多いけれど、何と言ってもその歌詞の内容がみんなの共感を得ているのではないか。
 現在置かれているその状況からの脱出、あるいは逃走。息苦しい時代の閉塞感への苛立ちや葛藤。
 そういうものを破壊し、そこからもう一段ステップアップするための応援歌(嫌な言葉ではあるけれど)として捉えているのではないかと思う。
 助走をするためのカンフル剤と言った方が正しいかもしれない。

 僕は、Mr.Childrenでは「ランニング・ハイ」(このアルバム収録曲ではありませんが)のようなアップテンポの曲が大好きだ。
 余り彼らのスローナンバーは好みじゃない。

 しかし今作。
 数日前の「ブログ」にも歌詞を掲載したんだけれど、アルバム8曲目の「やわらかい風」という曲が、もうとにかく素晴らしい。
 この曲を聴くためだけに「HOME」を買ったといっても過言ではない。

 歌詞がいいのである。
 それに対して、優しくて穏やかなメロディが乗っかってゆく。
 好みもあるので、あくまでも個人的な嗜好でしかない。でも毎日繰り返して聴いている。

 今日は、曇空の日曜日。
 憂鬱な空が広がっている。
 でも僕はMr.Childrenの「やわらかい風」を聴く。
 そして、心が少しだけ温かくなってゆく・・・。



 

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カルト的な人気を誇る黒沢清監督によるホラー映画「叫(さけび)」を観る

2007年03月24日 | Weblog
 映画監督の黒沢清。
 お堅い雑誌で特集を組まれ、我が国のインテリゲンチャたちにも絶大な支持を受けているようだ。
 そのカルト的な人気を誇っている監督の最新作を観た。

 各新聞の映画評、専門誌でもこの「叫」は評価が高い。
 疲れた体に鞭打って、休日の夜、仕事の合間を縫って映画館に駆けつけた。シネマ・ディクト、意外にお客さんが入っている。確かに評判作だもんなあ。

 これまでも、「CURE キュア」や「ドッペルゲンガー」で、年間ベストテンの常連だった黒沢清監督。
 再び役所広司を主演に迎えて贈るミステリー・ホラーの新作が「叫」。
 不可解な連続殺人事件を追う一人の刑事が、やがて過去の記憶の迷宮に迷い込み、混乱と恐怖によって壊れてゆく、その姿を映画は追う。

 まず雰囲気がいい。
 重苦しくて緊張感が漂う割には、映画にストレスは感じられない。
 暗い画面なのに、妙な明るさがあるのだ。勿論それは、否定的な意味では決してない。

 殺人事件が発生する。
 若い女性が、何者かに、泥が混じった水溜りの中に顔を押し付けられて殺される。
 その捜査に当たるのが役所広司扮する刑事だ。よれよれのコートに、無精髭。そして長く伸びた髪。よく雰囲気が出ている。
 ところが、何故か現場に自分が着ていたコートに付いていたものと同じボタンが落ちていた。それから死体そのものにも自分の指紋が・・・。

 状況証拠は自分に不利なものばかり。
 俺が殺人者? しかし見覚えがない。そしてその後、第二、第三の殺人事件が起こる。同じ手口に同じ状況。
 被害者は何れも海水を飲み込んでいて、溺死で発見されるのだ。そして、その加害者はすぐに発見される。
 自分ではなかったようだ。
 それでは、第一の殺人犯は誰なのだろう? また、何故全てが同じ溺死なのだろう?

 ラストは、当然どんでん返し。
 そうきたか。確かに納得はする。

 とにかく黒沢清。雰囲気作りが上手い。
 ホラーとして観ればイマイチ怖さは希薄している。でも、ミステリー仕立ての良質なサスペンス映画として捉えると確かに面白い。
 全編、いいムードで進行する。

 東京の華やかな開発地帯の、その裏側に存在している寂れた影の部分。
 陰鬱で廃頽的で寂びれた、痛々しい原風景。その周辺で発生する猟奇的な殺人は、ホラーのかたちを取りながら、実は人間の不快孤独から発生したものであることを映画は語ってゆく。

 だからこの映画にはストレスがないのである。
 基盤がしっかりしているということだろうか。上辺の怖さを否定しているからだろうか。
 つまり、映画の幹がしっかりしていて揺ぎ無いのである。

 この映画、ホラーではない。



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愛ってこんなにも深遠で至福?ブリギッタ・ロート編「愛のアフォリズム」を読んでみた。

2007年03月23日 | Weblog
 愛である。
 この永遠なるテーマこそ、古今東西、あらゆる芸術家のみならず、この世に生まれ出た全ての人間たちが、格闘し、心酔し、もがき、苦しみ、苦悩し、叫び、歓喜したものはないだろう。

 言い切れば、人は愛のみで生きていける。
 というか、全ての基底に流れているもの、それは愛である。
 映画も文学も絵画も音楽も、その真ん中で厳然と輝いているもの、それが愛である。

 集英社新書「愛のアフォリズム」。
 この本、面白い。
 ウフフ・・・そんな感じで、読みながら思わず微笑んでしまうのだ。

 マリリン・モンロー、カサノヴァ、ベンジャミン・フランクリン、ニーチェ、ムンク、ルソー、ベケット、ジャン・ジュネ、フロイトなどなど・・・。
 それから、ロシアとかフランスとかイギリスとか、様々な国の「愛」に関する格言、箴言、つまりアフォリズムが余すことなく列挙されている。

 この本は、「第1章 恋ごころ」、「第2章 とまらないこの気持!」、「第3章 愛すること」、「第4章 揺れる想い」、「第5章 愛の現実」、「第6章 男と女」、「第7章 快楽の追求」、「第8章 ああ、結婚! 」と分かれている。
 そして、そのどの章から読んでも面白く、しかも「うーむ」と唸ってしまうような示唆に富んだ名言がいっぱい綴られているのだ。

 例えば・・・
 「いっこうに飽きのこない唯一のご馳走、それがキスだ」(グラッペ)とか、「愛とは楽しく感じられる唯一の奴隷状態だ」(バーナード・ショー)とか、「横っ飛び(浮気のこと)でいちばん素敵なのは、助走のときだ」(詠み人しらず)とか・・・。

 しっかし、この世に生まれ、そして死んでいった人、みんなそれぞれ「愛」について考え、悩み、傷ついてきたんだなあということがよく分かる。
 この本を編集して纏め上げたブリギッタ・ロートという人は、ハンガリー生まれのドイツ人ジャーナリストなのだとか。そつなくこの本を造り上げている。

 休日の夜、こんな本をのんびり読み込む時間って、まさに至福のときだ。
 サクサク読めて、しかも面白いし、ためになる。
 美味い珈琲を啜りながら、近くに甘いドーナツなんかがあれは最高だ。

 「なぜ今の夫と結婚したのか、ほかの人には説明できます。でも、自分自身には説明できません」。
 うーむ。深いですなあ。
 「セックスとは、感情が運動に変換されたものです」。
 ははは・・・。

 まあ、とにかく、こういう感じで全編に格言。アフォリズムが満載。
 でも、これだけ様々な解釈や考え方によって、「愛」は語られ育まれてきた。
 いやはや、何とも。

 愛ですか・・・。愛。



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「春寒」

2007年03月22日 | Weblog
 3月だというのに寒い日が続いている。
 今日も、朝から小雪がはらはらと空中を漂い、灰色の重そうな雲が空を覆っている。

 19歳の年齢に対してマスコミから詐称疑惑として指摘され、それを前面否定していたグラビア・アイドルの夏川純が、「申し訳ありません。私の本当の年は1980年生まれの26歳です」と突然発表したらしい。

 まあ、数年のサバ読みは芸能界では日常茶飯事で、これまでも多くの年齢詐称が繰り返されてきた。でも7歳はちょっとなあ。
 「ほしのあき」みたいに、ちゃんと30歳だと認めているグラビア・アイドルもいるのに。何れ暴露されるのは分かり切ったことだろう。担当事務所の姿勢が甘過ぎる。
 しかし。10代の男性に愛されるタレントになるために19歳と偽ったっていうその理由もよく分りません。

 結局、市内で開催されている「世界女子カーリング選手権 2007」は今日で第6日目を迎え、日本代表の「チーム青森」は、最終戦となる予選リーグ第16ラウンドでアメリカと対戦し、7-1で勝って通算成績を4勝7敗とした。
 でも、これで決勝リーグへの進出はなくなってしまった。残念だ。

 月曜日は丸一日、「世界女子カーリング選手権 2007」会場でプレス対応の手伝いをしていて、「チーム青森」のメンバーたちが来場したり退場する際、ビデオカメラを回して彼女らの行動などを撮影していたので(勿論、公認で)、ことのほか愛着も強かったのに・・・。
 決勝リーグ出場は叶わなかったけれど、次回はその夢を果たして欲しい。

 なので、会場手伝いを終えて久しぶりにオフィスのディスクに戻ってきたら、連絡事項が書き込まれたポスト・イットがパソコンの前にペタペタ貼られていた。
 あの案件に、この案件。それに連絡先が記されたメモ・・・。

 その中にピンク系の可愛い封筒が混じっていた。
 奇異に思って中の便箋を取り出して読んでみると、先日、匿名の封筒に入れて銀製品を贈って来た、その送り主の方らしい。
 丁寧に、匿名で送らざるを得なかった趣旨と、大切に使っていただきたい旨の言葉が綴られてある。
 ありがとうございます。大事に使わせていただきます。この場を借りて、心からのお礼を言わせてください。

 とにかく僕は映画館で入る予告編が大好きで、仮に予告編だけを観ていても飽きないくらい楽しみにしている。
 だから、家のパソコンでよくするのが、ハリウッドのメジャー映画会社のホーム・ページにアクセスして、まだ上映されていない新作映画の予告編を観ること。これがまた楽しくて仕方ない。

 最近、いいなあ、早く観たいなあと思ったのが、今年の夏に全世界で上映されるブルース・ウィリス主演の「ダイ・ハード4.0」の予告編。
 約12年ぶりとなる大ヒットシリーズの最新作である。監督はケイト・ベッキンセール主演のアクション・ホラー「アンダーワールド」を撮ったレン・ワイズマン。
 いやあ、ゾクゾクしてしまう。
 当然、予告編が素晴らしくても本編が全く頂けないというケースもあるにはあるけれど、上手い予告編を観ると、もう本編が観たくて観たくて体中疼いてくる。

 「ダイ・ハード4.0」、「スパイダーマン3」、「パイレーツ・オブ・カリビアン3」、「トランス・フォーマー」などなど、今年の春から夏にかけて近年稀に見る超大作が目白押し。
 今年の映画興行収入が、もしも前年度よりも落ち込んだなら、ハリウッドの映画業界は危機的な経営転換を迫られるだろうとまで言われている。
 今年のアメリカ映画興行のサマー・シーズンには目が離せない。

 しかし今日も寒い。
 暖冬から今度は一転、寒さが連日続いているので、桜の開花も平年並みになるそうな。
 そういえば何か最近、四季の感覚が曖昧になってきてるよなあ。

 夕方からは冷たい雨に変わった。



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「広瀬香美」コンサートツアー2007、「GIFT+幸せは冬にやってくる」を観に行く。

2007年03月21日 | Weblog
 その昔、いわゆるバブル全盛期の頃、冬のゲレンデで流れるBGMの定番といえば、ユーミンと広瀬香美の2人で決まりだった。
 若い恋人たちは、広瀬香美が歌う、等身大の恋愛模様を自分たちに重ね合わせ、そしてその曲をスキーの行き帰りの車の中、大音響で流しながら、2人だけの世界観にどっぷりと浸かり続けたのである。

 その曲の中でも、1996年に作られた「Dear...again」は、日本音楽史上に残る永遠の名曲、ベスト・オブ・ラヴソングなのではないか?
 それほどまでにこの曲は完成されている。完璧と言ってもいい。

 ・・・遠く離れている恋人同士。
 遠距離恋愛で、しばらくお互いに会っていない。寂しさが募って来る。いつになったら会えるのだろう? そういえば、もうすぐクリスマス・イヴがこの街にもやって来る。その時には2人、会えるだろうか。イヴの日にはどうしても会いたい。会って2人だけの白い夜を過ごしたい・・・。
 だから、クリスマス・イヴには絶対帰って来てね・・・。

 これを、ミディアム・スローの美しいメロディと供に、広瀬香美は圧倒的な歌唱力で歌い上げるのである。こんな美しい曲、ちょっとない。

 そして、青森初上陸の「広瀬香美」コンサートツアー2007、「GIFT+幸せは冬にやってくる」。
 正直に言うと、行くか行くまいかずっと悩んでいた。
 ナマでコンサートを実感してみたいという気持ちと、仕事の忙しさも手伝って面倒臭さも芽生え、自分の中でちょっとした葛藤が始まってゆく。
 ところが当日、友人Hの好意でチケットを入手。即刻、コンサート開場まで駆けつけた。

 6時半ジャストに開演。
 MCが本人の声で流れ、会場が暗くなると、大きな紙のドアをぶち破って、広瀬香美が登場!
 いきなり立て続けに古いヒット曲を熱唱する。おいおい、随分最初から飛ばしますねえ。

 バックバンドは、リード・ギターにベース・ギター、ドラムにエレクトロ・ピアノの4人編成という至ってシンプルな仕立て。それにバック・コーラスの女性2人が加わる。
 バンドを背にして大きなスクリーン。
 そこに、曲のイメージと合わせて様々なイラストや写真が映し出されてゆく。

 広瀬香美は大熱演。
 曲も、前半と後半部分にお馴染みのヒット曲を連発、スローなナンバー以外は観客全員が立ち上がって手拍子を打ち鳴らす。
 客層は若者よりも中年が目立つ。やはり、彼女の人気がピークだった1990年代に青春の真っ只中を過ごした人たちが中心のようだ。

 コンサートの中盤に、カラオケ大会モドキやピアノの弾き語りも挟め、ダレないように心掛けている点も好感が持てる。
 意外と広瀬香美、キャピキャピしていて活動的だ。これまでの印象だと、おとなしくて寡黙なイメージなんだけど。いい意味で裏切られました。

 「ゲレンデがとけるほど恋したい」も、「真冬の帰り道」も、「夏だモン!」も、全部歌った。
 改めて今回聴くと、さすがにメロディ・ラインが半端じゃない。どれもよく出来た楽曲だと感心する。

 そして、やりましたよ。「Dear...again」。
 もう、この曲のイントロが流れ出しただけで、目がウルウルし始めた。
 聴きながら涙が零れてしまった。不覚である。いい歳をした大人なのに・・・。

 いやあ。いいコンサートでした。
 少しステージ自体はショボイけれど、彼女の歌声がそれらの欠点を吹き飛ばしてゆく。
 しかし「Dear...again」。
 名曲です!




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トニー・スコット監督+デンゼル・ワシントン主演によるスタイリッシュ・アクション映画「デジャヴ」を観る

2007年03月20日 | Weblog
 芸術肌で、重厚かつ深遠なるテーマのもとに、次々と秀作や問題作を撮り続けている監督たちがいる。
 でもまたその一方で、絶えずヒットする映画を撮り続けることを強いられ、かつ玄人にも評価され得る内容を求められる監督たちというのも確かに存在する。
 どちらが映画史に深く名前を刻まれ、後世の映画ファンにもその名を語り継がれてゆくのだろうか?

 当然、後世にその名が残るのは、芸術的に優れ人間の心に深く突き刺さる、そんな映画を世に送り続けた監督たちである。
 しかし、果たして映画ってそういう高尚な芸術的側面だけで成立しているものなのだろうか。それは違うのではないか。

 ウィリアム・ワイラー、シドニー・ルメット、ジョン・フォード、スティーヴン・スピルバーグ、ビリー・ワイルダー、黒澤明、小津安二郎、例えばこれらの偉大な映画監督たちは、誰もが楽しめる娯楽性や大衆性と、映画が根本的に持つ芸術性との両面をきちんと捉えていた素晴らしい才能を持っていたと言っていい。
 そういう監督が好きだ。

 86年にトム・クルーズ主演の「トップガン」を大ヒットさせ、その後、スピーディでスタイリッシュな映像美で、「ビバリーヒルズ・コップ2」、「トゥルー・ロマンス」、「クリムゾン・タイド」、「マイ・ボディガード」など、次々と娯楽映画を作り続けてきたのが、トニー・スコットである。
 
 このトニー・スコット監督、何故か僕は大好きなのだ。
 そして今回、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジェリー・ブラッカイマー製作、デンゼル・ワシントン主演で作られたSFサスペンス・アクション映画が、この「デジャヴ」である。

 フェリー爆破事件の捜査に当たる主人公が、FBIが開発した装置を使って事件発生以前の時間を追体験しながら事件を解明してゆく。
 共演はヴァル・キルマー(随分、太りましたが)と、ポーラ・パットン(新人らしいけれど、今後人気が出そうな予感)。

 543人もの犠牲者を出した凄惨なフェリー爆破事件が発生したことで、捜査を開始したATF捜査官(デンゼル・ワシントン)は、FBIの特別捜査班への協力を要請される。彼は、政府が極秘に開発した「タイム・ウィンドウ」と呼ばれる摩訶不思議な機械を見せられる。
 それは、過去の特定されたエリアを自由に見ることが出来る驚くべき監視システムだった。でもこの装置には、現在から4日と6時間前の映像をリアルタイムで再生することしかできないという致命的な欠点がある。

 爆発事故の数時間前に遺体が発見された女性が鍵を握っていると確信した主人公は、このマシンで彼女の自宅を映し出し、4日と6時間前の生きていた彼女を目の当たりにして、彼女を救う事が事件解明に繋がると判断し、単身、過去へと遡る。
 そして・・・。

 過去と現在が複雑に交差してゆくその部分を、トニー・スコット監督は、独特の映像美で綺麗に、そしてハイテンションに描き切る。
 ただ、どうも個人的にタイム・スリップものって肌に合わない。
 理詰めで納得出来ないと、映画の中に深く入り込めないのである。潔癖症なのかも。なので、この「デジャヴ」にもすんなりと溶け込めなかった。

 ラストのオチも・・・うーんという感じ。
 まあ、それなりにアクションや謎解きは楽しめますが。
 どうなんだろう。トニー・スコットの次回作に期待ってところかな?




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「やわらかい風」

2007年03月20日 | Weblog

     やわらかい風が吹いたら ふと目を瞑って
     元気で過ごしてるかな?
     そんなことを思うんだ

     君の自転車の後をジョギングして
     かけてく遊歩道 それで嬉しかった

     何気なく笑い合えたな 会話なんてなくたって
     忙しく過ごしているかな?
     風邪なんかひいていないかな?

     君が抱いていた悲しみ 寂しさ もどかしさ
     何もしてやれなかったなあ それが悔しかった

     もっと大きな器で もっと優しくて
     そういう僕なら君を救えたろうな

     世知辛い時代だとアナウンスされてるけど
     君と過ごした時間があるから 僕は恵まれてるって言える

     始まりも終わりも どこかあやふやで
     頭の切り替えが 上手くいかないまんま

     何気なく笑い合えたな 今もそうならいいな
     忙しく過ごしているかな?
     誰かと出会っているかな?

     やわらかい風が吹いたら
     また目を瞑って
     元気で過ごしているかな?
     そんなことを思うんだ

     やわらかい風が吹いたら
     やわらかい風が吹いたら

                        「Mr.Children」







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週刊ヤングサンデーで好評連載、間瀬元朗の「イキガミ」。この漫画、意外と面白い。

2007年03月19日 | Weblog
 もしも、あなたの命があと24時間しかなかったとしたら? 何をする?

 多分これまで一度ぐらいは、友達なんかと語った事のあるテーマの一つではないか。あるいは、一人ぼんやりとそういう想像を巡らせた事が絶対あるはずだ。

 もしも、あと寿命が24時間で尽きるのなら、その時は、この世で一番愛する人と一緒に過ごしたいとか、思い出に残る美しい風景を眺めながらその場にずっと佇んでいたいとか、一度も食べたことのない逸品を家族で食してみたいとか・・・。
まあ、そういう話で盛り上がって、結局笑い話で終わってしまう。そんな感じだろうか。

 前にも何度か書いた事があるけれど、哲学者のハイデガーは「死への先駆的決意性」という言葉で、「死」と「生」の問題を語っている。
 ハイデガーは人間が「在る」ということを問い続けた人である。「私はどのようにしてこの世界に『在る』のか?」。
 自分がここに今「在る」という意識は、その人間を不安にさせる。それは何故か?
 当然だろう。それを人間はきちんと説明出来ないからである。ただ、この世に僕たちは「在る」。そして、何れ「死」を迎える。それは絶対に回避することは出来ない。

 漫画「イキガミ」は、中々面白い。
 漫画家の間瀬元朗という人については、この「イキガミ」を読んで初めて知った。東野圭吾氏の原作を漫画化したという事を何かで聞いたことはある。でも、まだその漫画は読んでいない。
 絵的には、特に斬新性はなく、あくまでもオーソドックスな描き方をしているけれど、内容はどうして、過激なテーマを難なくこなしていて小気味いい。

 日本に、「国家繁栄維持法」という法律が出来る。
 勿論、漫画の世界での話なのであしからず。
 この法律は、国民に「生命の価値」を再認識させ、「生きる緊張感を絶えず持ち続けさせる」ことによって、国の繁栄をより確かなものにしようとする試みで、国民は全て小学校入学時に「国家繁栄予防接種」なるワクチンを投与される。
 そのワクチン注射器のうちの約0.1%に混入されている超小型カプセル。これが18歳から24歳に達すると突然作用し始め、それは体内で破壊し、その人間を必ず死に至らしめる。

 だから、全体の0.1%の人間は死の宣告を受け、それは死ぬ24時間前に国家の「配達員」から本人に直接宣告されることになる。
 その通知が、「逝紙(いきがみ)」と呼ばれる死亡予告証だ。 およそ1000分の1の確率で選ばれた者は、紙を貰ってから24時間後には死んでしまう。
 つまりこの物語は、死の宣告を受けた者たちの、僅かに残された運命を描くドラマということになる。

 「残り一日の人生を、死を宣告された人間がどのように生きるのか?」
 このテーマだけで当分持つだろう。ネタには絶対に事欠かない。これだけで、もう勝負は決まったようなものだ。漫画家、間瀬元朗の勝ちである。
 このような美味しいテーマを掲げて仮に面白い漫画にならなかったら、よっぽど作家の才能がないと言い切っても罰は当たらない。

 漫画「イキガミ」は、不定期連載ながら人気があるらしい。当然です。
 それまでは死んだようにしか生きてこなかった若者、学校でイジメにあって、その事をトラウマのように抱えて生きている若者、様々な人間模様が数話完結のかたちで進んでゆく。

 「死んだつもりで生きてみろ!」「闘うなら、今闘え!」などなど。少し陳腐だけれど真っ当なセリフがこの漫画の中で踊っている。
 余り深刻に読まなくても、この漫画、暇潰しに読むというスタンスで大丈夫。

 たまには漫画も面白い。




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