結局、ほとんど一睡も出来ないまま夜明けを迎えた。
土曜日の夜明け前、3時30分過ぎだった。
それにしても4時前なのに、薄っすらと空が白みを帯びること、初めて知った。
様々な想いが心の中で交錯する。
まるで、渋谷のスクランブル交差点のようだ。こんがらかって、ぶつかって、そして何も無かったみたいに信号が赤へと変わり、今度は猛スピードで車がその上を疾走する。
何故、こんなにも考えるのだろう?
すべては自分の心が判断していることなのに・・・。
仮に仕事の悩みなら、ここまで深く思い煩うこともない。
深海の底で優雅に泳いでいる、奇怪な躯体をした水圧に耐え切った魚みたいだ。
水面に浮かぶすべもなく、真っ暗な海底を戸惑い、彷徨っている。
ミルク色の空が広がった。
ただ、ぼんやりと休日の明けゆく空を見上げた。眠いような、そうでもないような。
6時になった。
コンビニエンスストアに出掛け、朝刊を3紙買い求め、ねぐらへと戻り、熱いシャワーを浴びてお風呂に入る。
生きる事は苦痛に耐える事だ。
何かを遣り過ごし、何かを失ってしまう事だ。
心が晴れやかになる事もあれば、どっぷり悲しさに浸かる事もある。もう5年間。もう5年間じゃないか。あれから俺は何も変わらない。
時間だけがゆっくりと過ぎてゆく。感傷も矜持も戸惑いもなく、しらんぷりして去ってゆく。
何処にも行かず、ベッドに横たわり本を読んだ。ひたすら本を読んだ。
昨日の金曜日は海に行った。
風が強く、人影も無い。遠く、巨大な海の化身のような黒い巨船が水平線を横切って行った。
携帯に何件もの電話が入った。
やがて日が暮れた。
独り、夜の繁華街に出た。
金曜日の街は、飲み会に急ぐサラリーマンたちで溢れていた。
もう飲まないと決めていたのに、えいっとバーの扉を開けた。上空1,000メートルから地上に一直線で落ちてゆく人間のように。
また飲んでしまった。
どうしようもなく、意志が弱い。いつも決まりごとを守らない。いい加減なんだ、いつもいつでも。
厭になる。
生ビールを一杯頼み、それからジントニックを2杯注文した。
勘定を済ませ、また元来た道を引き返した。
心は揺れる。
秋の終わり掛けの日曜日の天気のように。
晴れると思うと、突然雲が広がり、今度はいきなり冷たい通り雨が降り出して来る。
悪人こそが救われるのだと、親鸞は言った。
俺は悪人である。
善人の仮面を被った極悪非道の悪人である。
土曜日の夜明け前、3時30分過ぎだった。
それにしても4時前なのに、薄っすらと空が白みを帯びること、初めて知った。
様々な想いが心の中で交錯する。
まるで、渋谷のスクランブル交差点のようだ。こんがらかって、ぶつかって、そして何も無かったみたいに信号が赤へと変わり、今度は猛スピードで車がその上を疾走する。
何故、こんなにも考えるのだろう?
すべては自分の心が判断していることなのに・・・。
仮に仕事の悩みなら、ここまで深く思い煩うこともない。
深海の底で優雅に泳いでいる、奇怪な躯体をした水圧に耐え切った魚みたいだ。
水面に浮かぶすべもなく、真っ暗な海底を戸惑い、彷徨っている。
ミルク色の空が広がった。
ただ、ぼんやりと休日の明けゆく空を見上げた。眠いような、そうでもないような。
6時になった。
コンビニエンスストアに出掛け、朝刊を3紙買い求め、ねぐらへと戻り、熱いシャワーを浴びてお風呂に入る。
生きる事は苦痛に耐える事だ。
何かを遣り過ごし、何かを失ってしまう事だ。
心が晴れやかになる事もあれば、どっぷり悲しさに浸かる事もある。もう5年間。もう5年間じゃないか。あれから俺は何も変わらない。
時間だけがゆっくりと過ぎてゆく。感傷も矜持も戸惑いもなく、しらんぷりして去ってゆく。
何処にも行かず、ベッドに横たわり本を読んだ。ひたすら本を読んだ。
昨日の金曜日は海に行った。
風が強く、人影も無い。遠く、巨大な海の化身のような黒い巨船が水平線を横切って行った。
携帯に何件もの電話が入った。
やがて日が暮れた。
独り、夜の繁華街に出た。
金曜日の街は、飲み会に急ぐサラリーマンたちで溢れていた。
もう飲まないと決めていたのに、えいっとバーの扉を開けた。上空1,000メートルから地上に一直線で落ちてゆく人間のように。
また飲んでしまった。
どうしようもなく、意志が弱い。いつも決まりごとを守らない。いい加減なんだ、いつもいつでも。
厭になる。
生ビールを一杯頼み、それからジントニックを2杯注文した。
勘定を済ませ、また元来た道を引き返した。
心は揺れる。
秋の終わり掛けの日曜日の天気のように。
晴れると思うと、突然雲が広がり、今度はいきなり冷たい通り雨が降り出して来る。
悪人こそが救われるのだと、親鸞は言った。
俺は悪人である。
善人の仮面を被った極悪非道の悪人である。