出るのだ、寒さへ! つんのめっても、前に出るのだ!
田沼雄一は、その言葉を、まるで生き延びてゆくための呪文のように何度も繰り返し呟いた。
北の海一面に浮かぶ雪の塊が、淡い太陽の光を受けてほんの少し輝いている。
田沼雄一は、それをとても美しいと思い、ほんの一瞬雪捨ての手を休めると、両手を合わせ、ただ静かに海に向かって合掌した。
完
田沼雄一は、その言葉を、まるで生き延びてゆくための呪文のように何度も繰り返し呟いた。
北の海一面に浮かぶ雪の塊が、淡い太陽の光を受けてほんの少し輝いている。
田沼雄一は、それをとても美しいと思い、ほんの一瞬雪捨ての手を休めると、両手を合わせ、ただ静かに海に向かって合掌した。
完