淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

コロナ禍で世界が揺れている2021年ゴールデン・ウイーク、その第2日目。

2021年04月30日 | Weblog
 寒い。
 朝から小雨がパラついている。
 朝起きて、朝食も摂らずに出勤する。いつもの平日と比べると交通量が少ない気がした。煮え切らない朝の街を、郊外にある大学へと車を走らせる。今日もまた、対面授業じゃなく、「zoom」での遠隔授業だ。

 8時には「研究室」に到着。
 あまりにも寒いので暖房を付けた。
 6階の窓から市内の東部方面が一望できる。重い雲が山々の頂上付近に垂れている。所々に咲き誇っていた鮮やかな色の桜たちも既に散っていて、あの輝きはもうどこにもない。

 一本携帯に電話が入り、メールをチェックし、何人かと軽い打ち合わせをして、お昼の会議。午後も某地銀本店に役員を訪ねる。
 読まなきゃならない授業関連の本がかなり溜まっていて、結構焦る。ゴールデン・ウイークの中で読み込まないと、あとから辛くなる。
 もう、家で「ネットフリックス」なんて観ている時間ないんですが・・・。

 ・・・と、言いつつ、結局また観てしまいました。ほんとどうしようもない。哀しいサガです。
 でも、観た韓国ドラマ、それがメチャクチャ面白かった!
 ネットフリックス独占配信ドラマ「ヴィンチェンツォ」だ。

 韓国ドラマ「ヴィンチェンツォ」、イタリアンマフィアの顧問として冷酷で無慈悲な仕事を次々とこなしてきた男、ドラマの主人公ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)が、ソウルのビルの地下深く埋められた巨額の金塊を手に入れるため、母国である韓国へと戻るところから始まる。
 ところがそのビル、再開発を計画しているバベルという財閥によって悪質な地上げが始まっていて、ヴィンチェンツォもまた、その巨大な組織との壮絶な戦いに巻き込まれてゆくことに・・・。

 いやあ、面白い。
 韓国ドラマ「ヴィンチェンツォ」、2月に「ネットフリックス」で配信されて以来、連日、ランキングの上位をキープし続けていて、最近はずっとダントツの第一位!
 ポスト「愛の不時着」とも「梨泰院クラス」かも言われていて、ネットの書き込みを見たらそのほとんどがこのドラマを大絶賛していた。

 最初は、軽い気持ちで第一話を観ていたのだが、観終わったら、もう次が観たくてたまらない。そうなると、まるでダムの決壊状態で、睡眠時間を削ってでも続きが観たくなって、今や完全に寝不足状態である。
 これだと、「愛の不時着」の時とおんなじじゃん!

 このドラマ、主人公がダーク・ヒーローでマフィア絡みということで、全編暗いトーンで終始するのかなんて思っていたけど、そこは韓国ドラマ、随所に緩い笑いを差し込んだりしながら最後まで飽きさせないドラマ作りをしている。さすがである。

 そして、この「ヴィンチェンツォ」、ソン・ジュンギの相手役のチョン・ヨビンのキャラがまたいいのだ。
 そんなに綺麗な女優さんというわけじゃない(ごめんなさい)のだが、父親が頑固だけれど優しい人権弁護士なのに、その父とは正反対な性格を持つ、韓国最高レベルの法律事務所のエース弁護士役を演じていて、そのツンデレ感がなんともキュートなのだ。

 そんなわけで、ここしばらくは「ヴィンチェンツォ」中毒が続くだろう。
 悔しいけど、日本のドラマ、韓国ドラマには到底敵わない。
 なぜなら、あらゆる要素をテンコ盛りしながら、それらが上手に交じり合って面白さを高めているだけじゃなく、一人ひとりのキャラがちゃんと立っているところが凄いのだ。
 もちろん、物語自体の面白さが半端ないのだが・・・。

 こうなると今年のコロナ禍でのゴールデン・ウイーク、巣ごもりする身にこの韓国ドラマ「ヴィンチェンツォ」が大きな救世主となってくる。
 「ヴィンチェンツォ」に関するネットの書き込みを読んでたら、【すっごく面白い!続きが観たいけど観るの勿体ないくらいで、16話からちょっと我慢してます。韓流あるあるのイライラも殆んどなくて見てて気持ち良い。最終回まで我慢して一気に観ようか迷い中。終わっちゃったらロス確実なくらい。ソン・ジュンギ初めてみたけどカッコいいし綺麗だしカワイイ】との評価があった。

 どうしてくれる? 「ネットフリックス」!
 またまた、寝不足じゃんか!!









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コロナ禍で世界が揺れている2021年ゴールデン・ウイーク、その第1日目。

2021年04月29日 | Weblog
 今日は4月29日木曜日。今日からゴールデン・ウイーク突入だ。
 ところが街はコロナの渦に巻き込まれ、騒然としている。

 青森市では昨日の28日、市内の児童福祉施設で新たなクラスターが発生し、合わせて24人の陽性者が確認された。夜の街も新型コロナウイルス感染拡大を受けて、市内本町周辺の酒類を提供する飲食店の時間短縮営業が27日から始まった。
 テレビのニュースに映し出されている時短営業終了の午後9時を過ぎた夜の歓楽街は、何処も彼処も明かりが消えていて、歩いている人もいない。

 朝、いつものように目覚まし時計代わりの「アレクサ」に起こされる。
 眠い目を擦ってテレビを点けると、テレビはどのチャンネルも、紀州のドン・ファンこと、和歌山県の資産家、当時77歳だった野崎幸助さんが18年に死亡した際、体内から覚醒剤が検出された事件で逮捕された55歳年下の元妻、須藤早貴容疑者の話題で持ち切りだ。

 亡くなった野崎幸助さん、田辺市で小さな酒店を営む家庭に7人兄弟の三男として生まれたのだとか。それが、一代で莫大な財産を築き、「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、マスコミに自宅には7億円くらい置いていると豪語し、4000人の女性に30億円を貢いだ男として有名だった。
 書かれた本の中には、70歳代に入っても1日3度の性行為を欠かさず、女性にはそのたびに30万~40万円を直接渡していたのだとも語っている。

 そういえば、ロック・バンド「キッス」のジーン・シモンズのセックス遍歴も凄まじかったらしい。あの、舌だしメイクのジーン・シモンズね。
 自らセックス依存症だったと告白し、4800人の女性との赤裸々な関係をマスコミにぶちまけていたのである。
 4800人・・・って・・・。
 まあ、「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーも、ジーン・シモンズに引けを取らないくらいに凄まじい女性遍歴だったけど・・・。

 テレビを観ているうち、あっという間にお昼になる。
 空は、一面灰色に塗りこめられ、とても肌寒そうだ。
 これまたNHKのBSPでピーター・フォークが主演して大ヒットを飛ばした「刑事コロンボ」の全作品が、現在毎週一話ずつ放映されていて、それをすべて順追って観続けているのだけれど(旧作45本と新作24本)、その第56作目を部屋で寝転がりながら観る。

 「刑事コロンボ」、あと残り、13話だ! あと13話観たら、すべての「刑事コロンボ」作品を観たことになる。
 巷ではシリーズの前半、つまり初期の作品に傑作を挙げている人が多いようだ。
 でも、果たしてそうだろうか。

 個人的には後期の作品に素晴らしい作品が多いように思う。
 この刑事ドラマは、冒頭で殺人事件が起き、犯人もその動機もすべて視聴者に提示した上で、その後、コロンボ刑事を登場させて犯人をあぶり出してゆくというワンパターンで、観ていてだんだん飽きてくるところもあるのだが、ドラマのシリーズ後半になると、制作陣も危機意識を持ってきたのか、ドラマ自体をもうヒトヒネリさせて、練りに練ったストーリー展開に舵取りしているので、そこがとても面白いのだ。
 
 大好きな回は、というか、最高傑作だと思う回は、第51話の「だまされたコロンボ」と第53話の「かみさんよ、安らかに」だろうか。
 これは面白かった!

 今日観た、第56話「殺人講義」も、コロンボがゲスト・スピーカーとして大学で講義をしているその最中に起きた殺人事件を推理してゆくという、これまたとても面白い展開で、観ていて最後まで飽きさせない。

 「刑事コロンボ」第56話「殺人講義」を観終え、エリック・クラプトンの「ライブ」CDを聴きながらパソコンに向かう。
 今にも雨が落ちてきそうな天候だ。

 それでも、海まで走ろうかな。
 明日は仕事だし・・・。










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素晴らしい日本映画を観た。映画のタイトルは「37セカンズ」。出生時、37秒間呼吸ができなかったために脳性麻痺となったある女性の再生物語である。

2021年04月28日 | Weblog
 見逃してきた映画は星の数ほどある。たぶんその中には、まだ観ぬ名作たちもたくさん埋もれてるはずだ。
 日本映画「37セカンズ」もまた、前からずっと気にはなっていたものの、これまで長い間見逃してきた映画の一本だった。

 映画「37セカンズ」、映画誌「キネマ旬報」年間ベストテンにも選ばれていたので観ようとは思っていたのだけれど、ここまで引っ張ってしまった。それを昨日の夜、やっと観ることが出来たのだ。
 「37セカンズ」、期待通りの素晴らしい映画だった。

 生まれた時、たった37秒間呼吸ができなかったただそれだけで、手足が動かない脳性麻痺となった若い一人の女性、夢馬(ユマ)の物語だ。
 脳性麻痺の夢馬(ユマ)は、離婚した母親とたった2人、同年代の人気女性漫画家の覆面ライターを引き受けながら、車椅子での孤独な生活を強いられている。
 女性漫画家は、たんに夢馬(ユマ)を漫画の作成に利用しているだけに過ぎず、彼女が漫画のほとんどを書いていることも外に隠し続け、その存在をおおやけに明かそうとはしないでいる。

 夢馬(ユマ)はある日、自分の書いた漫画を評価してもらおうと、車椅子に乗ってマイナーなアダルト・エロ漫画雑誌の編集者の元を訪ねるのだが、彼女の漫画を読んだ女性編集長は下半身が不自由なその姿を見て、「性体験をしたことがないのはアダルト漫画にとって致命的。セックスをちゃんと経験してからまた来なさい」と、彼女を無情にも突き放す。

 ここから、俄然、映画は動き出す。
 夢馬(ユマ)は、パソコンで過激なアダルトビデオを観て女性の喘ぎを模写し、自らも指を使って性の深淵を探ろうと試みる・・・。

 ややもすれば、障がい者に対する蔑視や健常者目線になるところを、女性でこれが長編処女作となるHIKARI監督、「私は障害のある方と普通に接してきて、健常者との差が分からない人間だった。女性はどうなのかと考え、脚本でウソはつきたくないと思いどこまでリアルに近づけるかが勝負だった」とインタビューでも答えているように、正々堂々、ハンディキャップのある女性に対しても、分け隔てなく真正面から切り込んでゆく。
 そこが清々しい。

 そして、現実社会でも脳性麻痺を抱えているという、主人公役の佳山明の演技がまた驚嘆に値する。初々しくてピュアな表情に観ていて唖然とさせられる。
 脇役の俳優たちもみんな魅力的だ。

 映画の後半、夢馬(ユマ)は強くなってゆく。生きることに前向きになる。綺麗になる。
 セックスを経験しようと、一人で車椅子に乗り、猥雑な歌舞伎町の街へと繰り出し、男娼を買い、ホテルへと入る。
 夢馬(ユマ)は、キスの経験すら一度もない。だから、リアルなアダルト漫画を描くために、恥ずかしさを押し殺して若い男娼にこう嘆願する。「キスしてもらえませんか」と。
 このシーンがまた素晴らしい。
 その男は夢馬(ユマ)の胸を貪りながら醒めた物言いで囁くのだ、「ごめんね、口と口のキスは出来ない決まりになってんだよね」。

 映画「37セカンズ」、上映されてから世界の映画賞を総なめにした。第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞とCICAEアートシネマ賞、それから第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でも栄えある2冠に輝いた。
 この映画の成功で、HIKARI監督はアメリカのユニバーサルの新作映画の演出が決まって、ハリウッドへの本格進出を果たすことになったらしい。

 映画のラストがまたいいんだなあ。

 この映画は、ある一人の女性の、成長の物語である。
 観た人間は誰もみな、月並みな言い方だけれど、勇気と希望を貰えるに違いない。

 参りました!







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ジャズ・ピアニスト、キース・ジャレットの名盤アルバム「サンベア・コンサート」は6枚組の大作だけど、とても透明感に溢れていて、聴いていると心が静まる。

2021年04月27日 | Weblog
 今週から大学はゴールデンウイーク明けまでの間、学生の立ち入りが原則禁止となったため、授業はすべてリモート授業となった。
 そういうわけで、月曜日も朝からてんてこ舞い。なんとか午後1時からの講義までには間に合った。

 それにしても、天気はいいのだけれど、最近肌寒い日が続いている。市内の桜もそのほとんどが散ってしまった。
 今年の桜は、ランニングしながら「合浦公園」の園内に咲いている桜を見物したのと、「桜川」という地名の鮮やかな桜並木を車の中で見ながら走り抜けた、それだけだった。まさか今年もコロナに見舞われるなんて思ってもいなかったから。
 コロナなんて一年でどうせ修復するだろうと、軽い気持ちで臨んでいたのである。恐ろしきはパンデミック!

 昨日は、午後「zoom」での授業を終わらせ、そこから青森駅前にある青森商工会議所ビルの8階大会議室で行われた定例会議に出る。
 会議が終わって、青森駅前の「ラビナ」に立ち寄り、一階のパン屋さんでパンを買って帰る(この店のゆで卵を2個も入れたサンドイッチがすんごく美味いのだ。すぐに売れ切れてしまうけど)。

 パンと総菜を入れたビニール袋をぶらぶらさせながら片手に持って、夕暮れの街を歩く。
 勤め帰りのサラリーマンたちが幾つかのビルから吐き出されてゆく。裏通りを通っていたら、前の職場で一緒に働いていた後輩職員とバッタリ出くわした。
 「おおっ。しばらく」
 「はい。お久しぶりです」
 「イヤホンでなに聴いてんの?」
 するとその職員、「あっ、これですか? 『ロキシー・ミュージック』っス」と照れ笑いをした。

 少し立ち話をしてから、右と左に別れた。
 誰もが少しずつ歳を取ってゆく。あんなに若かったその後輩職員ですら、今は組織の最高幹部の一人として名を連ねていた。まあ、ロキシー・ミュージックを今でも聴いているってことに、ちょっと嬉しくなった。

 家に帰って夕食を摂り、映画「オズの魔法使」のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前、最後となるイギリスロンドン公演時のエピソードを中心に描いた、「ジュディ 虹の彼方に」を観る。
 「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガーが、とにかく凄い。役作りのために過激な減量を行ったことが映画を観ていてよく分かる。この演技で、彼女は第92回アカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞など数多くの映画賞で主演女優賞を受賞した。

 映画「ジュディ 虹の彼方に」、いい映画だった。
 特に、ラスト「虹の彼方に」の熱唱シーンは秀抜で、鳥肌が立つほどだ。
 ジュディ・ガーランドは、ハリウッドに殺されたと言ってもいいだろう。精神を病み、何度も自殺未遂を繰り返し、ステージや映画撮影現場での遅刻や欠勤の常習犯だった。プレッシャーも半端なかったと思う。

 いい映画を観た後は、いい音楽が聴きたくなる。
 当然である。
 今宵はジャズを聴こう。
 ということで、引っ張り出したのはキース・ジャレット。「サンベア・コンサート」だ。

 この6枚組にも及ぶ日本で録音された超大作ライブ、当時、初めて買ったのはLPアルバムで、確か10枚組の7時間録音だった。ぶ厚い重い箱のようなアルバムだったのだ。そしてそれを、去年、CDアルバムに買い替えた。

 1976年の来日ライブの模様が収められていて、京都(京都会館ホール)、大阪(サンケイホール)、名古屋(愛知文化講堂)、東京(中野サンプラザ)、札幌(厚生年金ホール)の5公演が、CDにまるまる全部入っている。
 そしてそのすべてが、即興、いわゆるインプロヴィゼーション主体のソロ・ピアノ。
 個人的には「札幌」が好きだ。

 あまりに美し過ぎる。旋律が。タッチが。そしてメロディが。
 透明感に溢れ、静謐な空間が目の前に大きく広がって来る感じがする。頭の中が、綺麗な真水で洗われたような感覚にさえ襲われる。
 ジャズ・ファンだけじゃなく、クラシック・ファンにも好かれる美しい音の波だ。
 
 キース・ジャレット「サンベア・コンサート」。
 歴史に刻まれるべき、名盤中の名盤だ。







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ドラマ「ドラゴン桜」。さすが、TBS「日曜劇場」枠に一切駄作なしっ。「半沢直樹」もそうだったけど、辛い日曜日の夜にこういう熱血ドラマは元気が出る!

2021年04月26日 | Weblog
 今でも時々思い出して、大きな溜息をつくことがある。
 人間とは、かくも恐ろしいほどの上昇志向と競争心とプライドに塗れている生き物なのかと考え、その哀しいまでの「業」と、底知れない「欲」に、思わず天を仰いでしまうのだ。
 しかし一方で、ごくわずかな限られた人間だけが見ることが出来る、そんな「輝かしい場所」に辿り着きたいと思うことが人類をここまで発展させた原動力となっているのもまた、厳然たる事実であり、いい大学に入って、いい企業に就職して、他人より少しでも高い地位に就きたい、あるいは、他人を押しのけてまで最強の権力や財産を自分だけのものにしたいという、人間が持つ燃え滾るヴァイタリティこそが、今ある繁栄をこの世界にもたらしたということも実際ある。

 今でも時々思い出して大きな溜息をつくことがある・・・そのことは、何年か前にもここで書いたことがあった。
 それはこんな内容だった。すべて事実として、ある流通企業の社長だった年上の人から聞いたことである。脚色は一切していない。でも以前、ここで読んだというなら御免なさい。

 その人が東京の某私立大学に通っていたころの話だという。仮にAさんとしておこう。
 Aさんは家から仕送りがなかったことから、都内の某新聞店に住み込みで働きながら学業との両立を続けていた。朝3時に起きて朝刊を配り、日中はそこから大学に行って授業をこなし、夕方また新聞店へと戻って夕刊を配る。そのほか集金業務もあるという。

 新聞配達は過酷なアルバイトだ。
 でもその代わり、住む場所(新聞店に間借りして)と一日2食と学費のすべてを、親会社の大手新聞社が全部負担してくれる(昔は、人手不足から、そういう大手新聞社による学生従業員確保が盛んに行われていて、地方から上京して来た苦学生たちがたくさん新聞店に住み込みで働いていた)。

 そんな新聞店にB君という苦学生もいた。B君は東京大学に通っていて、同じ新聞店で働く他の大学に通う学生たちも、一生懸命働きながら東大に通うB君のために、集金業務を代わってあげたり、風邪で寝込んだりするとみんなで看病したりして、彼を4年間支えたのだという。もちろんAさんもそんな一人だった。
 確かに4年間同じ家で苦楽を共にしたら、深くて熱い連帯感が生まれるに決まってる。

 やがて、大学を卒業する時がやって来る。
 4年間、新聞配達と学業を両立するなんて生半可な気持ちで出来るわけがない。苦難を乗り越え友情が芽生えた何人かの4年生たちが、その東大生だったB君の周りに集まった。B君が長かった新聞配達期間を終え、住み慣れた新聞店から引っ越す日がやって来たのだ。

 B君は難関の国家公務員試験に合格した。警察官僚の道を進むことになったのである。
 キャリアである。もう将来の道は約束されている。ごくわずかな限られた人間だけが見ることが出来る、そんな「輝かしい場所」に遂に辿り着いたのだ。

 新しい引っ越し先に向かう荷物トラックを新聞店の前に停め、ほかの学生たちがB君を囲みながら、「よかったな」、「頑張ったね」と口々に言い合い、Aさんも「みんな4年間頑張った仲間だけど、これからは、みんなそれぞれ別の場所で生きてゆくことになる。だから、まずB、住所と連絡先を教えてくれよ」、そんなふうにB君に尋ねた。

 それに対するB君の言葉は、あまりにも強烈だった。
 「いや、住所も連絡先も、君たちに教えることはしない。だって僕は明日から君たちとはまったく別の道を歩んでゆくんだ。僕は君たちと住む世界が違うんだ。僕はエリートたる警察官僚だから」
 そう言って新しい引っ越し先へ、まるで見下したように一瞥しながら去っていったのだという。

 Aさんの話はそれで終わる。
 B君は、国家権力の頂上に立つことが出来たんだろうか? まったく新しい風景と巨大な権力と富を得ることが出来たんだろうか?
 それは分からない。

 昨日の日曜日の夜、TBS系の「日曜劇場」枠で新しいテレビドラマが始まった。「ドラゴン桜」だ。三田紀房の、原作となった「モーニング」連載の同名漫画もかなり面白かった。
 元暴走族のやさぐれ弁護士(阿部寛)が、偏差値の低い高校生たちを東京大学合格に導くというストーリーで、今回はその第2弾ということになる。
 初回だけの印象だけれど、中々面白かった。スカッとする。生徒役の平手友梨奈や高橋海人(King & Prince)もいい。さすが、TBS「日曜劇場」枠に駄作なしっ。
 視聴率は14.8%。素晴らしい数字を叩き出した。

 東京大学に合格する。それ自体がドラマになるのだ。というか、東大という肩書だけで飯が食えるという現実が、この日本には確実に存在する。

 それにしても、このドラマ「ドラゴン桜」、B氏は観てるんだろうか?








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何故、「若大将」シリーズの呪縛からいつまで経っても逃れられないんだろう? そしてまた風の強い日曜日の午後、NHKBSPで映画「アルプスの若大将」を観てしまう。

2021年04月25日 | Weblog
 拙著「キース・リチャーズになりたいっ!」の中でも少し触れていたと思うけど、とにかく僕のすべての原点というか、精神形成の源泉というか、あらゆる思考の起点というか、子どもの頃の初めての「擦り込み」というか、インプリンティング、いわゆる、『動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種』(Wikipediaから引用)というか、まあ誤解を恐れず簡潔に言っちゃえば、子ども心に漠然と感じていた「やがて来るべき未来にある光り輝く確かなもの」、それが映画「若大将」の中で描かれていた東京という「世界」だった。

 この街の厳寒の冬は過酷で辛い。
 ましてや、かなり傷つきやすく、ガラスのように脆い心を持っていた孤独な小学生にとって、祖母と2人でひっそりと暮らす冬ざれた街は、過酷で途轍もなく息苦しく、いつか必ずこんな街を抜け出したい(もちろんそれは、こんな淋しい街の惨めな生活環境から抜け出したいということ一点だったけど)、そんなことだけを漠然と考えて生きていた。

 これもまた、これまでのブログや拙著「キース・リチャーズになりたいっ!」の中で触れてきたけれど、映画「エレキの若大将」は、ゴジラやキングギドラが登場する「怪獣大戦争」を観るために出掛けた「青森東宝」の併映作品でしかなかった。特に興味もなかったのである。

 ところが、観て、凄まじいショックを受けた。
 雷が落っこちた。
 身体が真っ二つに引き裂かれてしまった。

 この「エレキの若大将」とビートルズの「ヘルプ! 4人はアイドル」、この2本で人生観が決定づけられてしまった。すべての原点である。
 この2本の映画を観てしまったことで、自分の人生観が固まってしまった。それは今でもずっと尾を引いている。

 加山雄三が主演する「エレキの若大将」は、単純で能天気な明朗青春歌謡映画である。
 そこに、過酷な人生の悲劇も、愛するものたちの悲恋も、残酷な青春の無残な姿も、一切ない。
 あくまでも晴れ渡った青空と、明るい東京の街と、弾ける大学のキャンパスや光の差し込む大教室での楽しそうな授業風景と、頑固だけれど愛すべき父親と、とてもキュートな祖母と、純朴な妹と、部活の仲間たちと、可憐で美しい恋人がいるだけだ。

 愚かで、まだ世間の荒波などまったく知らない、田舎者の幼い小学生の目に映る、スクリーンを通した先に見えた風景はどこまでも明るく、そして輝いていた。
 そうか! これが東京という街なのか!
 そうか! これが、いずれ青春という名のとても美しい季節に必ず出会うことになる街であり、恋人であり、友人であり、人生なのか!
 馬鹿で世間知らずの少年は、そういう季節がやがて自分にもやってくる、そう心から信じてしまったのである。

 目指すべき約束の地は、東京だった。そこに行けばすべてが叶う、本気でそんなふうに信じるしか、この街で生きていけなったのかもしれない。希望を持って生きるしか、心のバランスが取れなかったんだろう、たぶん。哀しいことに・・・。

 2021年4月25日、風が強く吹いている青空の覗く日曜日の午後、NHKのBSPで加山雄三主演の若大将シリーズの一本、「アルプスの若大将」が放送された。「エレキの若大将」の次に発表された作品だ。
 そしてまた、観てしまった。何十回目になるんだろう? 

 劇中セリフの幾つか、それから加山雄三が映画の中で歌う曲名、何度も繰り返し映画を観てきているので、映画自体を面白いとか面白くないとか、飽きたとか飽きないとか、そういうレベルを既に超えてしまっている。

 ここに、深い人生の機微など何もない。ここにあるのは、絶対にあり得ない青春の美しさと、眩しい人生の一コマである。映画を観て、「アホみたい!」と一喝する人間だって大勢いるだろう。わかる。十分、わかります。

 それでも、ここから抜け出せないのだ。虚構と知っていても、そんな人生なんてあり得ない馬鹿げてると罵倒されても、抜け出すことがどうしても出来ないのだ。

 僕の「東京」はまた、ずっと明るく輝いたまま、目の前で笑っている。
 諦めることが出来ない。虚構で虚栄で嘘っぱちだらけの「空中楼閣」だと理解はしていても・・・まだ。

 いつかそこに向かいたいというか弱い「ちから」だけで、いま、ここで生きている。そう思う。本当は、絶対に辿り着けない場所だと分かっているのに・・・。







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鮮やかな桜が満開に咲き乱れている「合浦公園」まで10キロrun。明日から3度目の緊急事態宣言が始まる。そして、日常だけが虚ろに過ぎてゆく。

2021年04月24日 | Weblog
 金曜日の夜、テレビ朝日系「マツコ&有吉 かりそめ天国2時間」スペシャルを観てたら、そこに有吉弘行と結婚した夏目三久が登場して、「マツコ&有吉の怒り新党」の一夜限りの再結集が行われていた。

 僕は夏目三久よりは、二代目の青山愛アナウンサーが大好きで、いつも彼女に淡い憧れを抱きながら観ていたほうだったけど、これはこれで中々面白かった。
 その後、「報道ステーション」を観てからBSTBS「おんな酒場放浪記」。

 ところが、レポーターが居酒屋の暖簾を潜り、カウンターに座って、冷たいビールを飲みながら美味そうなモツ焼きだとか凝った肴を食べてるシーンを観てたら、無性にビールが飲みたくなって、夜の11時を過ぎて歯も磨いていたけど、冷蔵庫を開けてサントリーの「プレミアム・モルツ」と「こだわり酒場のレモンサワー」の缶を取り出した。

 ベッタラ漬けと、だし巻き卵、それに「汁なし担々麺」をチンして一緒に食べる。
 ところがそこは下戸のどうしようもないところ。缶ビールを飲み干したら、もう真っ赤。それだけでフラフラだ。無理して「こだわり酒場のレモンサワー」にも手を付けたまではよかったのだが、2/3まで飲んでそこで遂にグロッキー。
 ほんと、どうしようもない・・・。

 続く日曜日。朝から天気がいい。
 午前中は所用で外に出る。
 青森市内もコロナ禍の市中感染状態で、コンビニに入るのさえも躊躇われる。所用を終えて家に帰り、着替えてランニングをすることにした。
 ちょうど時間は正午。気温が上がっている。

 ナイキの上下にランニング・シューズを履き、ソニーのウォークマンに角松敏生の2枚のアルバム「REBIRTH 1~re-make best~」と「T’s 12 INCHES」を入れて外へと飛び出した。

 いい天気だ。
 キロ5分のペースを守って走る。
 「青森県庁」前の桜は散り始めていたけれど、「青い森公園」に咲いている桜が鮮やかな桃色に光っていた。
 国道4号線を東に走る。左折して「ホテル青森」の前。街はひっそりとしていて、明るい太陽だけが燦燦と降り注ぐ。「青森銀行」本店前の温度計がちょうど20度を点滅していた。汗が噴き出る。

 コロナ禍に沈む歓楽街の「本町」エリアを避けるようにして「石森橋」。橋を登って左折する。広い湾岸道路に出たら道路脇に咲いている桜の木々もちょうど鮮やかに満開だ。
 直線道路をひたすら「合浦公園」に向かって走る。「緩傾斜護岸」を登った。

 海が広がっている。
 青い空。輝く太陽。穏やかな波。遠く、「津軽半島」と「下北半島」が見えた。
 スーツを着込んだ中年の男性が独り、海を臨む階段に腰掛けて海を見ている。その後ろ姿は少し淋しそうだ。なんか、あったんだろうか?
 人生は楽しいことより辛いことのほうが何倍も多い。

 「みちのく銀行 研修会館」の前を右折して「合浦公園」に入った。
 何処も彼処も満開の桜が咲き乱れている。何組かのカップルが手を繋いで花見をしている。子ども連れの家族もいた。それでも混雑しているというわけじゃない。

 去年の今頃はコロナの影響で、「合浦公園」自体が封鎖されていて、遠くから桜を眺め、そのまま走って戻ったものだった。今年それはない。
 「合浦公園」の東口でUターンする。アップルウォッチがそこでちょうど5キロの距離を示した。

 約1時間のランニング。距離にして10キロと少し。
 汗をびっしょりと掻いたので、終わってそのまま熱いシャワーを浴びた。
 スマホに何件もの仕事関連のメールが入っている。

 2年越しのコロナ。
 緊急事態宣言下のゴールデン・ウイークが始まる。

 そして、日常だけが虚ろに過ぎてゆく。








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映画「ホムンクルス」。山本英夫の漫画を綾野剛が主演して「THE JUON 呪怨」の清水崇が監督した話題作だけれど、ちょっとイマイチだった。

2021年04月23日 | Weblog
 それにしても、昔あんなに読み漁っていた漫画雑誌だったけど、ほんと、最近はほとんど読まなくなってしまったし、買ってもいない。
 昔は、「サンデー」に「マガジン」、「ジャンプ」は毎週必ず買って読んでたし、そのほかにも「ヤングジャンプ」や「モーニング」、「ビッグコミック」も発売日にはちゃんと買って、欠かさず読んでいたものだ。

 今は、だいぶ前に大人買いした「ワンピース」のコミックス全巻(まだ完結はしてませんが)を少しずつ読んでいるぐらいで(現在、第51巻。やっと面白くなってきた)、「ジャンプ」なんて触ったこともないくらいだ。
 最近では、「鬼滅の刃」や「キングダム」、「進撃の巨人」を読んだ程度だろうか。
 
 漫画雑誌を買わなくなり、ほとんど読まなくなってから、もうすでに10年以上は経っている。その、ちょうど読まなくなってきた時期に夢中になった作品のなかに、山本英夫の「ホムンクルス」があった。
 この漫画は衝撃的だった。コミックスも買って読んでいた。

 頭蓋骨に穴を開けると第六感が異常に研ぎ澄まされる、トレパネーション手術を受けた主人公の名越進が、手術後、自分の右目をつむって左目でだけで人間を見ると、異様な形に見えてしまうという漫画で、これには強く引き込まれてしまった。

 確かコミックスは全部で15巻あったたように思う。
 でも、今ではそのラストすら思い出せない。本自体もかなり前に処分してしまったし・・・。

 そんな「ホムンクルス」が、綾野剛の主演によって映画化された。
 制作は「ネットフリックス」である。
 なので、いつものように、まずは全国の主要映画館で短期間上映され、そのあとすぐ「ネットフリックス」で配信されるというスタイル。
 映画「ホムンクルス」が一斉配信されたのが、昨日の4月22日木曜日。
 当然、速攻で観ました。

 監督が、「スパイダーマン」のサム・ライミ監督からオファーを受け、サム・ライミがプロデューサーしたハリウッドリメイク版「THE JUON 呪怨」を監督した清水崇。
 なんとこのハリウッド版の「THE JUON 呪怨」は、北米でボックス・オフィス1億ドルを突破する大ヒットを記録したのである。日本人として初の全米興行成績1位を獲った監督となった。

 映画「ホムンクルス」。
 ある日、新宿の西口路上で車上生活を送っている名越進の前に、突然、医学生の伊藤学と名乗る若者が現れる。
 記憶を失っている名越進は、医学生伊藤の提案を受け、期限7日間、報酬70万円を条件に、頭蓋骨に穴を開けるトレパネーションという手術を受けることに同意してしまう。

 手術後、彼は街を歩きながら、ふと右目をつぶって左目だけで通行人を見てみると、そこに、異様な姿をした奇妙な人間が現れる。
 医学生の伊藤にその現象を告げると、伊藤はその現象を、「他人の深層心理が視覚化されて見えているのだ」と言い放ち、それをホムンクルスと名付ける・・・。

 漫画の世界観はそのまま映画のなかにも踏襲されている。
 異形のおぞましい人間の姿は、ほぼ原作で見たそのままで、綾野剛の演じる主人公も原作とそっくりだ。

 「おお。これは面白くなるかも」
 そう思っていたのも束の間、後半は一転して湿っぽくて、前半の乾いた感覚が急速に衰え、明かされる真相もそれほどの衝撃はない。
 あれ? こういうラストだっけ? 漫画も?

 既に原作のラストは記憶にないので、それに関しては何とも言えないけれど、前半が素晴らしかった分、後半がイマイチだった。
 でも、綾野剛はさすがに上手かったし、医学生の伊藤役の成田凌も怪演している。

 どうした? 清水崇!









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全米ドラマ「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」156話、それと2019年版10話、全166作品、すべて観ちゃいました!

2021年04月22日 | Weblog
 「シーズン1」が1959~1960年。「シーズン2」が1960~1961年。「シーズン3」が1961~1962年。「シーズン4」が1963年。そして最後となる「シーズン5」が1963~1964年。
 それから2019年に改めて制作されたリブート版「トワイライト・ゾーン」が全10話。
 アメリカのTVドラマ「ミステリー・ゾーン」のことだ。

 日本版のオープニングでナレーションされる、「これは別世界への旅です。目や耳や心だけの世界ではなく、想像を絶したすばらしい別世界への旅。あなたは今、ミステリー・ゾーンへ入ろうとしているのです」・・・
 このフレーズ、一度は聴いた人もいるかもしれない(ちょっと古いかぁ)。

 そんな、古典的名作TVドラマが、今年一月からCSの「スーパー!ドラマTV」で始まった。
 毎日である。毎日、朝の6時から一時間枠でオンエアされたのだ。一日も休むことなく。
 朝の6時から観ることはいくらなんでも辛いので、ビデオに録って、仕事が終わった帰宅後、ひたすら毎晩観続けていった。そう、日課である。

 「シーズン1」全36話。「シーズン2」全29話。「シーズン3」全37話。「シーズン4」18話。「シーズン5」36話。それに、最新作である2019年版が全部で10話。
 シリーズの「シーズン4」と2019年版だけが60分一話完結の構成で、それ以外はすべて30分一話完結である。

 このドラマ、TV史上に燦然と輝く傑作SFアンソロジー・シリーズだと思う。どれもこれも素晴らしい傑作揃いだ。
 とにかく面白い。
 不思議な世界が次々と現れる。
 SFもの、スリラーもの、ユーモアあふれる人情もの・・・。毎回、物語は斬新かつ奇抜で、観る側を最後まで飽きさせない。

 エミー賞を受賞した脚本家ロッド・サーリングが製作総指揮に名を連ねていて、ドラマのオープニングにロッド・サーリング自らが登場して、これから始まる怪奇譚の内容を簡潔に紹介してゆくのだけれど、そこがまた、みせる。

 ドラマに登場するロッド・サーリング本人がダンディでとても渋いのだが、その書く脚本もまた巧い。
 ドラマでは、何度か未来の独裁国家やファシズムの世界が皮肉まじりに描かれるのだが、アイディアやラストの「オチ」を含め、ロッド・サーリングが脚本を担当する回がやはり群を抜いて面白い。

 ノスタルジーが沸き上がる白黒の画面。昔のチープな舞台設定。古い俳優たちの演技。どれを取っても心が躍る。
 若き日のロバート・レッドフォードやジェームズ・コバーンなんかも出ていて、観ていてちょっと感動してしまった。

 僕が特に面白いと思ったエピソードは「シーズン5」第3話「二万フィートの戦慄」、原題は「Nightmare at 20,000 Feet」である。
 というか、めちゃくちゃ懐かしかった。
 実は、この「二万フィートの戦慄」、幼いころ、家のテレビで観て、マジでオシッコちびりそうになったのだ。あまりに怖くて・・・。
 なので、この回を今回数十年ぶりに観た時には、本当に懐かしさが込み上げてきた。

 ある男が、夜の飛行便で妻と家へと帰るところからこの恐怖ドラマは始まる。
 男は精神疾患の治療を受けていて、それが治って退院することとなり、半年ぶりに家へと戻ろうとしていたのだ。
 彼は飛行機の座席に座って真っ暗な外を何気なく眺めていると、そこに突然、恐ろしい化け物が翼の上に乗っかっていて、その化け物はこちらをジッと睨んでくるではないか!

 まあ、ここから恐怖の物語が始まってゆくのだけれど、子どもの頃は観ていて凄まじいショックに襲われ、観た後もなかなか眠れなかったことを覚えてる(まあ、だからこそ、今になっても鮮烈にその断片が脳裏に焼き付いているわけですが・・・)。

 約4か月間を掛けて観続けた、全米ドラマ「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」全166作品、マラソン完走したような、清々しい達成感がありました。








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