とにかく朝から晩まで映画(ドラマも含め)をひたすら観続けている。
もちろんその合間に用事を足したり、年末恒例の「確定申告」のための年間収支を一件一件パソコンに打ち込んだりの作業をしているけれど、それでもとにかく、ひたすら映画を観続けている今年の暮れである。
12月に入ってからは、なんと嬉しいことにNHKのBSで「小津安二郎」監督の映画が立て続けに3本も放映された。これには狂喜乱舞した。
小津安二郎監督の作品は全部で54作ある。しかし、そのフィルムが現存しているのは37作品だ。なので、現時点で小津の映画を観ることが出来るのはたった37作の映画でしかない。
僕は37作すべて観ている・・・と思う。でも一作一作をチェックしているわけじゃないので正確には言えないけれど、ずいぶん前に「松竹」のCS「衛星劇場」で小津の現存している全作品の特集が組まれていて、その時確か全作品を観た記憶がある。
そして先日NHKで放映された作品が、「お早う」と「秋刀魚の味」と「東京物語」だった。
この作品もこれまで何度も何度も繰り返して観て来た映画だ。特に名作中の名作、世界の「映画監督が選ぶ史上最高の映画」(2012年)で第1位に選ばれた作品が「東京物語」である。
尾道から20年ぶりに東京へと出てきた老夫婦がいる。
それぞれ独立して東京で生計を立てている子どもたちの家を訪ね歩くのだが、それぞの生活に追われていて折角上京して来た両親に対して思いやりを示せない。ただ唯一、戦死した次男の未亡人だけが2人に優しい心遣いを示してくれるのだった・・・。
ラストは映画史上に燦然と輝く素晴らしさ。
この映画を観ないで「映画ファン」を語る人間を、俺は信じない。
また、「お早う」はユーモアあふれる佳作で、隣近所に住む幾つかの家族の日常を追ってゆく。
特にこれといった大きな盛り上がりもないまま物語は進んでゆくのだけれど、この映画に流れる、ゆったりとしたテンポが途轍もなく心地よい。
おならのシーンがまた笑わせる。
そして映画「秋刀魚の味」は、小津安二郎最後の作品だ。
これまた、笠智衆の父親が愛する娘を結婚へと送り出すというただそれだけの話なのだが、哀愁溢れる素晴らしい映画に仕上がっている。
会話の妙、間の置き方、すべてが計算し尽くされ、ラストの父親の悲しさへと突き進む。
小津安二郎。何度観てもまた観たくなる。時間が出来たら改めて全作品をじっくり観てゆきたい。