囲碁の一力遼3冠(棋聖・本因坊・天元)が、棋聖位を3連覇しました。
囲碁の最高位「棋聖戦」一力棋聖がタイトル防衛
囲碁・一力遼棋聖 最終第7局で3連覇達成
囲碁には多くのタイトルがありますが、そのうち7つを7大タイトルと呼び、それに序列(順位)がついています。本因坊や名人の方が伝統がありますが、現在は棋聖が序列・賞金額ともに囲碁界最高となっています。
私は2年前にこのブログで、「一力遼・囲碁新棋聖誕生を祝う」という文章を書きました。 私が一力遼推しであることの所以はそこに書いてありますので、よろしければそちらをご覧ください。
今回の棋聖戦7番勝負は実に見ごたえがありました。挑戦者は井山裕太2冠(王座・碁聖)。井山は、一力に棋聖位を奪われるまで棋聖9連覇を成し遂げた囲碁界のレジェンドです。私は一力推しですが、井山の闘いぶりも感動的でした。一力は26歳、井山は34歳。世界の囲碁界で、30代で第一線で活躍している棋士はほとんどいません。その井山が囲碁界の最高権威の奪還に向けて、3勝3敗で第7局に突入するという展開は、囲碁ファンにとってはこの上ない最高の対戦となりました。
かつて一力は何度も井山のタイトルに挑戦しては、その高い壁にはね返されてきました。その当時、一力はまったく井山に勝てませんでした。趙治勲名誉名人は、一力と井山について、「井山の才能や努力が99だとしたら、一力の才能は80くらいかもしれない。それを一力はおそるべき努力ではね返してきた」と評したことがあります。その通り、近年になって一力は、井山から棋聖位と本因坊位を奪取しました。その間の道のりを考えると胸が熱くなる思いがします。
しかし、井山は依然として高い壁であり続けています。いまだ王座と碁聖の2冠を保持し、昨年の碁聖戦ではその一力の挑戦を3対0のストレートで退けました。今の碁界は、一力・井山に芝野虎丸2冠(名人・十段、24歳)を加えた3つどもえの勢力図になっています。ちなみに、昨年の7大タイトル挑戦手合に出場した棋士のべ14人の内訳を見ると、一力4回、井山4回、芝野3回、許家元1回、関航太郎1回、余正麒1回となっています。一力・井山・芝野以外の棋士はほとんどタイトル戦に出られないのですから、いかに3人の実力が図抜けているかわかります。
しばらくは3人のタイトル争いが続くでしょう。ただし、日本の碁界のためにはさらに新しい世代にも活躍してもらわなければなりません。一力遼棋聖がより第一人者としての地位を固めていくのかどうか、それも含めて、碁界の今後に注目していきたいと思っています。
※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。