フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 歌手・俳優のいしだあゆみさんが亡くなりました。ちなみに、私の父親は、若い頃にいしだあゆみと佐良直美が好きだったみたいでした。昔の人なので、誰が好きとはいいませんでしたが、なんとなくテレビにいしだあゆみか佐良直美が出ると嬉しそうでした。
 私にとっても、いしだあゆみは好きな女優の一人でした。その特徴といえば、「華やかさと切なさ」「光と影」を同時に表現できるところだったと思っています。訃報を伝えるニュースには倉本聰が出演して、『北の国から』のエピソードを語っていました。その作品の中でも、離婚して子どもを手放した女性の悲しみが描かれていました。私が特に記憶に残っている作品は、テレビドラマ『だいこんの花』(1970-1977年)と映画『男はつらいよ 寅次郞あじさいの恋』(1982年)です。
 『だいこんの花』は今から思うと不思議なシリーズでした。「竹脇無我演じる息子と森繁久彌演じる父親の親子2人暮らし」という設定だけが変わらないまま、息子の結婚相手だけがシリーズによって変わっていきます。つまり、主演2人はいつも同じなのに、毎回またリセットして新たな設定で息子の結婚相手を迎える、という話でした。その第1シリーズの結婚相手は川口晶、第2シリーズの結婚相手は関根恵子、第3シリーズの結婚相手はまた川口晶、第4、第5シリーズの結婚相手がいしだあゆみというわけです。
 川口晶演じる女性の前職はお手伝いさん(当時の呼称、今なら家政婦さん)、関根恵子演じる女性の前職は栄養士、それに対していしだあゆみ演じる女性の前職はバーのホステスでした。森繁久彌演じる父親は、ホステスと恋仲になる息子に反対しますが、それを押し切って二人は結婚します。詳しくは省きますが、この設定が3人の女優のイメージを物語っています。「水商売」「男にだらしない」と偏見で見られることの多い職業を描くことで、いしだあゆみの持つ「華やかさと切なさ」「光と影」が表現された名作でした。ちなみに、『だいこんの花』の脚本陣の一人は向田邦子でした。
 『男はつらいよ 寅次郞あじさいの恋』の方は『男はつらいよ』シリーズの第29作。この作品でもいしだあゆみは、子どもを預けて一人で働く未亡人・かがりを演じていました。寅次郞に思いを寄せるようになり、かがりの方から勇気を出して寅次郞を鎌倉に誘います。ところが、珍しく女性の方から好意を寄せられた寅次郞の方が動転して、つれない態度をとってしまい、かがりは落胆して身を引く…という筋でした。この作品でもいしだあゆみは、恋に破れる美しい未亡人を演じて、「華やかさと切なさ」「光と影」を体現して見せました。
 俳優の私生活にはあまり関心はありませんが、いしだあゆみは、事実婚だった萩原健一の数々の不祥事の後に萩原と別れることになりました。その際の記者会見(1984年)で「大恋愛の末に結ばれた人なので、できるならもう一度、惚れさせてもらいたい」と語ったことも強く印象に残っています。いや、さすが。そんなこと言われたら惚れてまうやろ!

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 今週火曜日に3月11日を迎え、東日本大震災から14年が過ぎました。
 このブログで何度も書いたように、私自身はその時間に飛行機に乗っていたため、東日本大震災を体験していません。しかし、この大惨事を自分なりに受けとめ、たとえば「フィクション作品から考える時間/記憶/記録」(『学びの扉をひらく―時間・記憶・記録』)のような考察文を発表しています。また、各地で震災の記憶や資料をどのように残そうとしているか、継続的に調査をしています。そのようすは、2年前のこのブログなどに書きました。今回は、その後の写真を加えます。
 たとえば、各地では震災の被害にあった学校を保存したり、伝承館を建設したりして、震災資料を残そうとしています。ただし、そうした保存にはさまざまな気持ちが交錯することも周知の通りです。一方で「震災の被害の生々しい建物を見るのはつらい」という意見もあれば、また一方で「震災の被害や犠牲を忘れないように建物を残したい」という意見もあります。そんな中で、それぞれの自治体がどのように震災の記憶と記録を残していくのか、その経過をこれからも見続けていきたいと思っています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



↑ 石巻市門脇小学校跡


↑ 石巻市・みやぎ東日本大震災津波伝承館


↑ 宮城県南三陸町・防災対策庁舎跡


↑ 気仙沼市復興祈念公園


↑ 気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館(気仙沼向洋高校跡)


↑ 陸前高田ユースホステル跡


↑ 陸前高田市・東日本大震災津波伝承館


↑ せんだい3.11メモリアル交流館内部展示


↑ 仙台市立荒浜小学校内部

※写真はいずれも私(宇佐美毅)が現地で撮影しました。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 他人の夢の話ほどつまらないものはありません。それを承知で私の夢の話を書きます。
 今朝、酒井和歌子が夢に出てきました。島崎和歌子じゃないですよ。昔の美人女優・酒井和歌子です。それにしても、まったく理由がわかりません。特に好きな女優として意識したこともありませんし、酒井和歌子が出演した映画やドラマを最近見直したこともありません。なんてこったい!見直したというなら、数週間前に大原麗子が出演していた『雑居時代』を少しだけ見直したので、大原麗子が夢に出てくるならまだ理解できますが、なぜ酒井和歌子だったのか、自分でもまったく理由がわかりません。
 さらにどうでもいい話を続けます。夢の中の設定はこうです。ホテルの朝ごはん会場みたいな場所で、何時から何時までの間に自由に朝食をとるようなシチュエーションでした。私が一人で朝食をとっていると、酒井和歌子が目の前の席に座って食事を始める…という夢です。「あ、女優の酒井和歌子だ」というのではなく、ただの知り合い程度として、挨拶してお互いに朝ごはんを食べる、というだけの夢でした。
 なんで酒井和歌子なのか、目が覚めてから考えてみたのですが、出演していた代表作、有名作品がなんなのかすら思い出せません。それで検索してみたところ、私が一番印象に残るとしたら、学園青春ドラマ『飛び出せ!青春』(1972-1973年)ではないかと思います。そこで酒井和歌子は、いわゆるマドンナ先生を演じていました。しかし、そのことすら、検索してやっと思い出す程度なので、自分でもなぜ夢を見たのか不思議です。
 というわけで、今回はまったくまとまりのない、オチもない、どうでもいい話でした。専門家の方、夢分析とかしないでくださいね。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 『深夜食堂』は何度もシリーズ化されたテレビドラマ(有料チャンネル含む)作品であり、映画化もされています。私のブログでも、以前にハルオ・シラネ(コロンビア大学日本学)教授が『深夜食堂』に関心を持っているということで、シラネ教授とその話をした体験について書いたことがあります。
 『深夜食堂』は、新宿歌舞伎町近くと思われる路地にある食堂の話です。開店時間は深夜0時から朝まで。独身の中年男性(小林薫)が1人できりもりする店で、そこに通う客たちの話が毎回1話完結で語られます。
 その内容も味わい深いのですが、今回は『深夜食堂』のキャスティングについて書きます。プライムタイムに放送される作品ではありませんし、制作予算が特に潤沢な作品とは思えません。ですから、それほど有名とは思えない俳優が重要な役を演じることもあります。また、少しなつかしい俳優がその回の主役級の役を演じることがあります。たとえば、りりィ(シーズン1・第9話)、馬渕晴子(シーズン2・第3話)、つみきみほ(シーズン3・第8話)といった俳優になつかしさを感じながら、私は作品を見ました。
 そして、それ以上に配役に驚いたのが、あがた森魚(あがたもりお/シーズン1・第5話)と宮下順子(シーズン4・第6話)でした。2人とも、私はその回の終わりまで誰だかわかりませんでした。あがた森魚が演じたのは、今ではもうほとんどいなくなった「流し」(酒場に出入りして、客のリクエストに応じて歌う職業)の老人。カラオケ全盛の現代では考えられない「流し」という職業が、過去にはあったのです。「味のある歌を歌う俳優だなあ」と思ったら、その流しの老人がタイトルエンドであがた森魚(「赤色エレジー」などの歌手)とわかって、飛び上がるほど驚きました。
 宮下順子が演じていたのは、食堂常連の老人・忠(チュー)さん(不破万作)の初恋の人。「もともととても綺麗だったお婆さん」という役で、私も「もとは綺麗だったお婆さん役にぴったりの女優さんだなあ」「よくこんな女優さん見つけてきたなあ」と思って見ていたら、なんと宮下順子でした。宮下はピンク映画・日活ロマンポルノ作品に多く主演し、その後も名脇役女優として活躍しました。
 あがた森魚も宮下順子も知らない若い読者の皆さんにはわかってもらえないと思いますが、ずっと見ていなかった有名歌手や俳優をこの『深夜食堂』で見たときには、なんともいえない気持ちになるものなのです。『深夜食堂』はそもそも少しわびしい、もの悲しい雰囲気を持つ作品です。その雰囲気に長年見ていなかった俳優の存在がぴったり重なる…。そういう意味で、『深夜食堂』のキャスティングには深い味わいがあると思いました。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




ドラマの舞台となった長野県松本市薄川周辺
(2014年宇佐美撮影)

 ひとつ前のクールのドラマですが、『マイダイアリー』について書きます。この作品については、私の以前のブログの中で「そこで語られている「言葉の重さ」に驚かされました」と書きました。それはまだ初回を見たくらいの段階の印象でしたが、全回見終わって、その印象はより強いものになりました。「私は包み紙とリボンだよ」とか「私たちはちゃんといるよ」とか「繋いだ手はけっして離してはいけなかった」とか、そういった言葉のひとつひとつが、見終わって強く印象に残ります。
 ところで、これらの言葉は、現代的にいえば「くさいセリフ」でもあるかもしれません。でも、それでいいのでしょう。このドラマが描いているのは、「短い言葉」「軽快なテンポ」を重視する現代の軽い風潮の中で、それに抗い、立ち止まって、昔からある青春群像を問い直そうとすることなのだと考えます。
 青春群像ドラマは多々ありますが、ここでもっとも想起される作品は『白線流し』(1996年~)です。「白線流し」は岐阜県高山市の斐太高等学校の伝統行事ですが、ドラマでは松本市の架空の高校が舞台になっていました。教員志望の女子高校生(酒井美紀)と天文台で働くことを夢見る定時制高校生(長瀬智也)を中心とした青春群像的でした。教員志望の大学生(清原果耶)と理系・数学を専攻する大学生(佐野勇斗)という構図にも共通点があります。
 そして、それ以上に共通するのは「時代遅れ」ともいえる青春群像ドラマだということです。『白線流し』が放送されたのはいわゆるバブル崩壊期。バブル景気期の華やかな「トレンディドラマ」全盛期を経て、「いまさら?」と思えるようななつかしい青春群像ドラマが『白線流し』だったのです。その現代版が『マイダイアリー』だったのではないか、というのが私の考えです。そういう作品を現代に制作・放送してくれた『マイダイアリー』のスタッフ・関係者に私は敬意を表したいと思います。

※『白線流し』は私の好きなドラマのひとつです。長野県に講演で招いていただいたときに、わざわざ松本市に足を伸ばしてロケ地を訪ねてきたほどです。冒頭の写真はそのときのものです。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。






コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 NHKの夜ドラ『バニラな毎日』の評価が高いようです。
 白井葵(蓮佛美沙子)はパティシエとしての修業を積み、洋菓子店を開きますが、経営はうまくいきません。そこへ料理研究家(永作博美)が現れ、「一人のためのお菓子教室を開く」という提案をされ……という話です。
 大胆などんでん返しも、華やかな恋愛も、豪快なアクションシーンもありません。お菓子を作ることで、それぞれの客の心が少しずつ癒やされていく…そんな静かで真面目なドラマです。
 私は常々「NHKは民放が制作するようなドラマを作るべきではない」ということを発信しています。受信料で運営するNHKが民業を圧迫するべきではないと考えています。その意味からいえば、『バニラな毎日』はまさにNHKが制作するべきドラマ作品といえるでしょう。ドラマはまだ中盤ですが、未見の皆さんは、今後再放送されるときにご覧になることをオススメします。

 ところで、主演の蓮佛美沙子は、過去にもNHKドラマで重要な役割を演じています。それ以前にも出演はありますが、私が最初に注目したのは『聖女』(NHK、2014年)でした。主演は広末涼子で、広末初の悪女役でした。その広末によって恋人を翻弄されるのが蓮佛美沙子演じる看護師でした。ドラマのタイトルは「聖女」ですが、主人公は実は「悪女」という設定で、それと対照的なのが蓮佛演じる女性でした。
 また、朝ドラ『べっぴんさん』(NHK、2016~2017年)では、主役・芳根京子の姉役を演じました。優秀でしっかり者で英語の上手な女性の役でした。他にも多くのNHKドラマに出演しています。しかしながら、朝ドラのヒロインにはいまだに選ばれていません。これは何故なのでしょうか。
 ここからは私の独断的な意見です。蓮佛美沙子が「好感を持たれる」「演技が上手い」というのは誰しも認めるところですが、それだけに安定感がありすぎる、ともいえるのかもしれません。安定感がない方がいいとはいいませんが、「この人がこういう役を演じたらどんなドラマになるのだろう」という期待感、ドキドキ感というものも、長期放送の朝ドラには必要なのかもしれませんす。その面からいえば、蓮佛美沙子はどんな役でもそつなくこなすだろう、と思われているように思います。先に引用した『聖女』にひっかけていえば、それまでさわやかイメージだった広末涼子が『聖女』で悪女役を演じたような、イメージの大きな脱皮というものが蓮佛にはなかったともいえます。
 大切な役を次々に演じてきた蓮佛美沙子が、今後もそういう安定的な路線を進んでいくのか、それともどこかで「あっと驚く」ような役柄を演じるときが来るのか、蓮佛美沙子の今後の役と演技に注目していきたいと思っています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




  
 先週に続いて私のゼミの行事の報告です。先週報告した同窓会は、これまでの全卒業生を対象とした同窓会、今週報告のお別れ懇親会は、今年度の4年生と3年生を対象とする会です。ですので、今週紹介するお別れ懇親会の方が規模は小さめです。ブログに書くのが遅れましたが、実施したのは1月中旬のことでした。
 ちなみに、お別れ懇親会に先だって、その日は朝から4年生の卒業論文口述試験をおこないました。4年生からすると、日中に口述試験を受けて、夕方からはお別れ懇親会に出席する、という流れになります。学生の方は1人20分以内の面談ですが、面談する私の方は丸一日がかりの大仕事です。その日程とそれぞれの卒業論文テーマをここに紹介しておきましょう。学生氏名はここでは省略します。

10:00 
『鋼の錬金術師』の中に余所者はいるのか
10:20 
湊かなえ「母性」論
10:40 
文学研究題材としてのRPG―物語享受の構造と文学研究の可能性
11:00 
富野由悠季『機動戦士ガンダム』―理想郷への言及―
12:00 
辻村深月『ツナグ』論
12:20 
「ひらいて」論
12:40 
竹久夢二の表現研究論
13:00 
『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』論
14:00 
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』論
14:20 
住野よる『君の膵臓をたべたい』論
14:40 
『あしたのジョー』で描かれる反抗心
15:00 
伊藤計劃『ハーモニー』論
16:00 
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』論 
16:20 
新海誠監督作品における「フィクション」と「災害」について
16:40 
鳥山明『ドラゴンボール』論

17:30~ お別れ懇親会

  
 これだけヴァラエティに富んだ論文が並んでいるので、それを査読する私の方もたいへんですし、ましてやそれらを一日で口述試験をするなど、もはや人間わざを超越しているのではないか(?)と、自分でも思うくらいです。
 というわけでこの日はへとへとではありましたが、一日かけての面談の後にお別れ懇親会をおこないました。4年生とは卒業式を残すだけで、これで実質的にはお別れです。その意味では寂しいものの、思いがけず花束や色紙をもらって、寂しいと同時に嬉しくもあったお別れ懇親会でした。卒業する皆さんの今後の活躍と幸運を祈ります!

  
※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )





 2月になりました。大学の授業は1月が学期末なので、試験・レポートや採点などもあり、その他に私のゼミの3年生4年生とのお別れ会があり、加えて、私のゼミの全卒業生向けの同窓会もありました。いろいろあってブログに書ききれないうちに月もかわってしまいましたので、今回は同窓会のことを書きます。このところ3週連続でテレビドラマ批評を書いていましたし、まだ書くべきドラマ作品もあるのですが、遅くなりすぎてしまうので、今回はイベントについて書きます。

 
 1月18日に私のゼミの同窓会がおこなわれました。特定の年度の同窓会ではなく、歴代の卒業生全体を対象とした同窓会です。もともと私のゼミ同窓会は4年に一度開催していたのですが、コロナ禍で中断していました。今回は復活初回で、7年ぶりの開催となりました。
 ただし、卒業生への連絡にはたいへん苦労しました。原則としてメールで連絡をしているのですが、7年という期間が空いたことで、多くの卒業生との連絡がつかなくなってしまいました。今回来てくれた卒業生の中にも、「直接連絡が来なかったけど、同級生からこの会のことを知らせてもらいました」という人が多くいました。今回新たにメールアドレスのリストを作り直しましたが、この7年で連絡がつかなくなってしまった多くの卒業生のことを思うと残念でなりません。もしこのブログを見てくれる卒業生の中で、今回の同窓会の連絡が届かなかった人がいたら、ぜひとも私に連絡をください。
 そういう連絡の苦労はあったものの、当日は30年以上前の卒業生から現役の4年生まで、70人以上の卒業生が中央大学多摩キャンパスに集まってくれました。また、私の教え子4人が、事前の連絡から当日の飾り付け、受付、司会まで手伝ってくれましたので、私だけではできないようなあたたかい同窓会にしてもらえました。

 70人以上の卒業生が来てくれたので、限られた時間の中で一人ひとりの卒業生とゆっくり話せませんでした。そのことは参加者には申し訳ないのですが、元気な顔を見せてくれた卒業生たちには心から感謝したいと思っています。次にいつ開催できるかはわかりませんが、次の機会にもぜひ多くの卒業生と再会できれば、私にとってそれ以上の喜びはありません。卒業生の皆さんも私自身も健康に気をつけて、次の機会にぜひまたお会いしましょう。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 このところ、学部ゼミのお別れ懇親会や、ゼミ卒業生の同窓会などイベントが続いています。その報告も書きたいのですが、また内容を整理できていませんし、テレビドラマ感想を書いている期間でもあるので、もう1回だけテレビドラマのことを書きます。

『御上先生』(TBS系、日曜21時)


 文科省の官僚(松坂桃李)がある事情から高校の担任教員になるという話。TBS日曜劇場といえば、『VIVANT』とか『海に眠るダイヤモンド』とか、おおがかりな話が多い印象がありますが、それが「学園ドラマ」ですか、と最初は思いました。しかし、見てみると、これはよくある学年ドラマではありませんでした。たしかに今まででも、『女王の教室』『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』『ここは今から倫理です』など、型破りな人間が学校にやってくる話は多々ありました。しかし、今回の主人公像はかなり強烈です。私は学校関係者なので、多くの学園ドラマを見ると、「こりゃだめだ、学校のことがなんにもわかってない」としらけた気分になる作品も多くあります。この作品も非現実的だとは思いますが、この主人公の言動には目を見張らされる思いがありました。ただ、余談を一つ。「文科省のエリート官僚」という文言が番組HPにありましたが、昔私の知人は「『文科省のエリート』は言葉の矛盾だ。文科省にエリートはいない」と言っていました。あくまで個人の感想です。

『アイシー』(フジテレビ系、火曜21時)
『秘密~THE TOP SECRET~』(フジテレビ系、月曜22時)

2作品一緒ですみませんが、同じくフジテレビ系で、同じく特殊能力・特殊技術を駆使した事件解決ものです。『アイシー』はカメラアイを持つ女性刑事(波留)が主人公。一度見たものは写真のように記憶する能力を持ちます。『秘密』の方は死者の脳から死者の見たものを再生できる技術を用いた捜査班(板垣李光人・中島裕翔)が主人公です。私はもともと事件解決ものにあまり興味が持てず、かつ事件解決もので唯一興味を持てるのはは犯罪者の心理という人間です。なぜなら、犯罪をしてはいけないというのは誰でもわかっているのに、それをやってしまう、そこにこそ人間らしさがあると思うからです。なので、特殊能力・特殊技術を駆使して事件を解決する、という設定は、残念ながら私の趣味には合っていないようでした。

『アンサンブル』(日本テレビ系、土曜22時)

 恋愛トラブル専門女性弁護士(川口春奈)は、現実主義者で、かつ自分自身は恋愛にはまったく関心がない。そこへ「人のためになれる仕事」として仕事に取り組む男性弁護士(松村北斗)があらわれる、という設定。正反対の考え方の二人にやがて恋の予感……というあたりには既視感がかなりあります。昔からこの手の作品が嫌いではありませんが、何か新しさを出してくれないと、私は離脱してしまうかもしれません。

『晩餐ブルース』(テレビ東京系、水曜深夜)

 テレビ東京系の深夜ドラマ、そして食べることがテーマとくれば、もはや『孤独のグルメ』以降にすっかり定着したお得意の飯テロシリーズか、と思って見始めました。ん? 実際見てみると、これまでの軽いノリとは異なっています。「仲間との食がテーマの、疲れた心を癒やすヒーリングストーリー」なのだそうです。これは意外でした。たしかに「疲れた心を癒やす」作品だと思います。ただ、心が疲れている人には時間の余裕もないので、こうした「ヒーリングストーリー」を見ている余裕があるのかどうか。時間といえば、いくら友だちの料理人がていねいでやさしい料理を作ってくれるからといって、家に行ってから料理を作り始められるというのは、私は嫌だなあ。先に作っておいてほしい。いや、そういうことを言っているようでは、私には「癒やされる」資格がないのかもしれません。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 1日遅れましたが、恒例のテレビドラマ批評を続けます。作品が多いので、簡単な感想だけでご容赦ください。ただし、今回は「あれ、こんな作品あったなあ」という既視感を盛りこんで書いてみました。

『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜22時半)

 ただのさえないおじさん(角田)にしか見えないのに、実は特別な力を持った宇宙人で、女性3人組(市川実日子、平岩紙、鈴木杏)にいろいろ突っ込まれる、という設定。全体がゆる~いコントのよう。あまりにも普通の人々と普通の生活が描かれているのに、そこに宇宙人という突拍子もない要素が加わることで、不思議な空気感が生まれています。ちなみに『ブラッシュアップライフ』のスタッフ再集結ということで、SNS上の考察が盛り上がっているようです。

『フォレスト』(テレビ朝日系、日曜22時台)

 同棲1年のカップル(比嘉愛未、岩田剛典)。幸せそうに見えて、実は2人とも秘密を抱えている…という話。謎が少しずつ解かれていく、というドラマは近年多く、SNS上での謎解き合戦に発展するケースもよくあります。とはいえ、私はSNSにも加わりませんし、毎週次の謎を楽しみにする余裕もないので、残念ながらあまり興味が持てません。

『119、エマージェンシーコール』(フジテレビ系、月曜21時)

 医療ドラマは過去多々ありました。命を救おうとする人々の活躍はそれだけで十分に視聴者を引きつけますが、いささか飽きてきてもいます。この作品は、直接の医療従事者ではなく、コール対応者に焦点をあてていることがオリジナルです。私自身は、医療ドラマにあまり興味を持てませんが、医者でも救急隊員でもない医療従事者ならではの葛藤を描く点は評価したいところです。

『問題物件』(フジテレビ系、水曜22時)

 家に関するドラマで、最初の方に本多力が出てくるので、『家売るオンナ』みたいな作品を勝手に想像して見ていたら、殺人事件だったの!ってビックリしてしまいました。実際にはミステリードラマでした。謎解きドラマにはあまり関心が持てないのですが、『ガリレオ』の湯川先生ふうの変人ぶりを示す主人公(上川隆也)にはさらなる謎がありそうで、そこには少し興味をひかれました。

『財閥復讐~兄嫁になった元嫁へ~』テレビ東京系、月曜23時台)

 題名通りのドロ沼復讐劇。韓国ドラマっぽいという印象なのですが、「貧富の差」「復讐」を描くとなぜ「韓国ドラマっぽい」と感じるのでしょうかね。それは社会構造や国民性と関係があるのですが、その話は長くなるのでここでは割愛。そういうのが好きな人向けのドラマであることは確かです。

『まどか26歳研修医やってます!』(TBS系、火曜22時)

 研修医を描くドラマも多々ありました。古くは『輝く季節の中で』(医大生)、近年なら『泣くな研修医』『祈りのカルテ』など。その意味では既視感ありありです。ただ、過去作に比べると、研修医の置かれた状況も、主人公の研修医(芳根京子)の性格設定も、たしかに「イマドキ」ではありますので、見どころがあるとすればそのあたりかと思います。

『御曹司に恋はムズすぎる』(フジテレビ系、火曜23時)

 「恋愛ドラマにはその時代によって描き方の違いがある」「現代の恋愛ドラマの定番は恋愛苦手人間の恋愛」ということを何度も書いてきました。その意味ではきわめて現代的ドラマではあります。とはいえ、近年にも『世界一難しい恋』(2016年)というとても似たドラマがありました。『世界一難しい恋』の主人公(大野智)は恋愛苦手の資産家社長で、設定が似すぎています。『世界一難しい恋』のヒロインは波留でしたが、そこに小池栄子という重要な役柄の秘書がからんでいました。単純になりがちな構図なので、小池にあたる重要人物が『御曹司に~』にはたして登場するでしょうか。

『法廷のドラゴン』(テレビ東京系、金曜21時)

 将棋で奨励会の上位まで進んだことのある女性弁護士(上白石萌音)が主人公。法律問題を考えるのに、いちいち将棋にあてはめて考える、というのが作品のミソです。私は将棋はあまりしませんが、囲碁好きですし、ものごとを囲碁・将棋、あるいはスポーツ競技にあてはめて考えることはよくありますので、親近感はとても感じます。しかし、ドラマ内容をよく考えると、将棋にあてはめてみる必要がないのが難点です(それを言っちゃあおしまいよ、か)。とても細かいことですが、字幕をつけていたら、途中で「定跡」って出てきました。囲碁をする人間からすると、ここは「定石」と表記するのですが、将棋では「定跡」といいます。将棋と囲碁の違いの一つです。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。ですが、今回は1日遅れの日曜日になってしまいました。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 「1~3月期のテレビドラマ(2025)・その2」は、1月18日(土)掲載予定でしたが、当日遅い時間まで所用があり、ブログが書けませんでした。全国〇万人の愛読者の皆さま、もう1~2日お待ちください。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 1~3月期のテレビドラマの放送が続々と始まっています。その感想を書く恒例のテレビドラマ感想シリーズ第1回です。とても1回で書ききれないので、まずはプライムタイム作品からぼちぼち書いていきます。

『べらぼう』(NHK、日曜20時)

「江戸のメディア王・蔦屋重三郎」と評されることの多い人物の大河ドラマ化。初回はもっと軽いところから入るかと思いきや、吉原遊郭の苦境や親しい遊女の死を描く、なかなかの重い出だしでした。森下佳子が脚本を担当する作品ですから、ヒューマニズムを前面に打ち出した作品になると予想していましたが、それはその通りでした。蔦重が吉原をなんとかしたい、遊女たちの苦境を救いたいと苦悩するありさまが強く描くのは、まさに森下脚本の特徴だと思います。主人公だけが、なぜか現在からタイムスリップしたかのように、江戸時代の価値観からかけ離れて現代的な意識を持っているようにも見えますが、それを差し引いても、見る価値は十分にある作品といえます。

『プライベートバンカー』(テレビ朝日系、木曜21時)

大金持ちの資産管理を任される仕事(それがプライベートバンカー)を描く作品。何億円と何十億円とか、私には縁のない世界が描かれていて、これはこれで楽しめました。プライムタイムのドラマというのは、できるだけ多くの人に見てもらおうとしているので、それほどターゲットを絞ってはいないのですが、その中でも「どなたでもどうぞ」的に作られていると感じました。自分はドラマ視聴の上級者だと言いたいわけではないのですが、多少気になるところはありました。詐欺を仕掛ける側と仕掛けられた側が実は片方が知らなかった兄妹関係だった、なんて話がいきなり出てくるのはどうなんでしょう…。緻密な作りとはいえない気がします。また、大金持ちのチョイ役を演じていたのがZOZOの前澤友作だそうですが、私は誰だか知らなかったので、大金持ちっぽくない(あまり富裕層に見えない)役者さんだなあ、と思って見ていました。実際の現実世界で大金持ちであることと、フィクションの中で大金持ちっぽく見えることは別のことで、後者よりも前者をとるというのは、意地悪くいえば、作品の質よりも話題作りを優先したということになるのかもしれません。作品として面白いとは思いますが、いくつか私の好みからは外れるところがありました。

『日本一の最低男』(フジテレビ系、木曜22時)

 主人公は、昭和的価値観のためにテレビ局プロデューサーをやめざるを得なくなり、次の区議会選挙で巻き返そうとしている計算高い男(香取慎吾)。選挙での好感度のために、嫌いな子育てをあえて演じることにして、死んだ妹の家族を引き取る…という話です。子どもと暮らしているうちに次第に人間として変わっていく…というのは昔からよくある設定。古くは『パパと呼ばないで』、近年でも『マルモのおきて』などの成功作が多々ありました。現実だけではなく、フィクションの世界でも子どもの力というのは絶大で、朝ドラなどの長期放送作品で子役を長く起用しないのは、子役時代が長すぎると視聴者が子役に感情移入してしまい、主役が登場しにくくなってしまうからです。それだけ子どもはフィクション作品内でも重要な存在で、それによって大人が変わらざるを得ないという設定には、人の心を動かす普遍的な力があるということでしょう。ただし、過去の話題策に比べて今作の特徴は、主人公が単純なダメ男ではないという点。意図的に子どもを利用しようとする計算高い男が主人公になっています。そのため、初回で既に子育てに目覚めて、甥っ子たちを愛し始めている…と思わせておいて、実はそう簡単には変わっていきません。そのあたりの複雑さを今後も注目して見ていきたいと思います。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 皆さま、今年もこのブログをよろしくお願いいたします

 さて先日、関西ローカルのバラエティ番組(読売テレビ)に出演しました。中央大学出身の若いディレクターさんが企画したバラエティで、『ガウディがやってきた』という番組中の『オズにマユリカ』というコーナーです。人気お笑いコンビのオズワルドやマユリカが出演しています。関西ローカル番組ですし、既に放送は終了していますが、Tverでどなたでも見られます。

https://www.ytv.co.jp/gaudi/
https://tver.jp/episodes/eptbwtoub6

 この番組の趣向として、『ガウディがやってきた』の中にいくつもコーナーがあって、それがコンペ式になっています。TVer再生数やX投稿数などによって審査され、1位になるとそのディレクターさんがさらに次の番組を制作させてもらえるとのことです。
 ということで、このブログをご覧の皆さんにTVer再生やX投稿に協力していただければありがたいです。もちろん、この内容の拡散も大歓迎です。
 ただし、収録までわからないかったのですが、かなり品のない回答連発でした。事前に台本を読んでいるときは思いませんでしたが、番組を見ていただくとわかるように、実際には下ネタ連発でした。それでも収録中は笑いっぱなしで、芸人さんのテンションの高さ、即興の会話術には驚かされました。

 番組としては少し品がないですが、中央大学出身のディレクターさんを皆さんで応援してあげていただけるとありがたいです。ちなみに収録場所は中央大学経済学部学生図書室です。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 今年最後の土曜日、今年最後のブログ更新となりました。
 今年のまとめというほどのことは書けませんが、近年の私の傾向について書こうと思います。年齢とともに、若い頃は「俗」なものとして退けていたものに、次第に自分が還っていくように感じています。
 そのいい例が『男はつらいよ』シリーズです。若い頃の私は、ワンパターンの人情喜劇としてこの映画を軽んじていました。「軽蔑」すらしていたのかもしれません。しかし、次第にその世界は何か人間の本質的なものを含んでいるように感じられてきました。『男はつらいよ』シリーズだけではなく、『武士の一分』や『たそがれ清兵衛』など、山田洋次的な世界、松竹的な世界といってもいいかもしれません。そういう世界全体を見直したい気持ちが次第に高まってきたのです。
 他の例を挙げれば歌謡曲もそうです。若い頃は特に、歌謡曲の歌詞が低俗だと思って軽んじてきました。しかし、たとえば阿久悠(『津軽海峡冬景色』『勝手にしやがれ』など)やなかにし礼(『石狩挽歌』『時には娼婦のように』など)の書く詞は、現代から見れば問題があるのかもしれませんが、やはり多くの人を引きつけるだけの魔力のような力があったのだ、と思うようになりました。
 私の研究分野であるテレビドラマでいえば、最近『パパと呼ばないで』などの石立鉄男主演のシリーズが思い出されます。私は『雑居時代』が一番の好みでしたが、『パパと呼ばないで』も『水もれ甲介』もリアルタイムで見ていました。その世界を今見直すと、やや「情に訴える」作り手の意図が露骨すぎるようにも感じられますが、やはり毎回ほろりとさせられるものがありました。
 話は少しそれますが、シリーズ主演を務めた石立鉄男が実生活ではひどく喧嘩っ早い豪放な性格だったことは、一般にはあまり知られていないかもしれません。庶民的で人情味あふれる役を演じることが多く、お茶の間の人気者だった石立鉄男の実像は、あまり広く知られない方がいいのかもしれません。そういえば『雑居時代』のヒロインだった大原麗子についても、その流布しているイメージ(「少し愛して長く愛して」の可愛らしい女性のイメージ)と実像の違いがときに語られることがあります。それとの対比でいえば、『男はつらいよ』の渥美清は、実像を徹底して外に見せない俳優でした。車寅次郞のイメージを壊さないためなのか、映画のスタッフや共演者たちにすら、なかなか実生活を明かそうとしませんでした。どちらがいいとはいえませんが、どちらにしても、「俗」に見える世界に託したイメージというものは、それだけ多くの人びとの心の中にある価値観や願いを強く反映しているともいえるように思います。
 若い頃に価値を感じなかった世界をいとおしく思うようになること。それを「老い」といえばいえるのでしょうけど、そうした変化に今は大切につきあっていきたいと思っています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。今年もこのブログを読んでいただき、ありがとうございました。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







 先週に続いて断捨離の話です。私の実家の整理を進め、持ち物の大半を処分しました。その中に母方の祖父の木工細工がありました。

 私の母方の祖父は、伊豆伊東在住の船大工でした。私が会っていた祖父は、既に引退したお年寄りでしたが、かつては弟子をおおぜい持った大工の棟梁だったそうです。その腕を活かしてなのか、晩年に写真のような木工細工をいくつか作って、我が家に持ってきてくれたのでした。そういう工芸品なので、処分するに忍びない気持ちもありましたが、自分の物すら持ち続けられないので、残念ですが、今回処分させてもらうことにしました。

 一方、私の父方の祖父は、東京芝で履物店を営んでいました。早くに亡くなったので、私は会った記憶がありません。父によれば、砲弾を足に落として片足が不自由だったために、座ってできる商売として履物店を選んだとのことでした。なお、その父親(私の曾祖父)は、福井県から東京に出てきて、愛宕山の鐘撞きをしていたと私の父から聞いたことがありますが、確かな話かどうかはわかりません。ただ、福井県勝山市の近くにある東遅羽村という地域(現在は鹿谷町東遅羽口)から東京に出てきた人であることは確かなようです。その地域には私も行ったことがありますが、今なお、その地域に住む人の約半分は宇佐美という苗字を持っています。
 私の父は、自分の父親(私の祖父)を強く尊敬していたようで、しばしば祖父の話を聞かされました。私の父は企業に勤めた人ですが、気質としては商人気質を強く持った人で、その性格は私の祖父から受け継いだようでした。

 今回は2人の祖父のことしか書けませんでしたが、2人の祖母のことはいずれまた書いてみたいと思います。
 母方の祖父母が伊豆伊東の人だということは、私の中にはありますが、私の子どもたちの気持ちの中にはほとんどないでしょう。父方が福井県をルーツに持つ人たちだったということも、私の中にはありますが、私の子どもたちの気持ちの中にはほとんどないことでしょう。それでいいのですが、せめて私が生きている間は、母や母の両親(私の母方の祖父母)のこと、父や父の両親(私の父方の祖父母)のことをときどきは思い出してあげようと思いました。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土曜日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 前ページ