フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 私が勤める中央大学文学部の特別公開講座がおこなわれました。
 特別公開講座は、中央大学の附属4高校を主な対象に、近隣高や重点校を加えた行事です。いわゆるオープンキャンパスの附属高校向け行事で、文学部では毎年、13の専攻から教員各1名が模擬授業をおこないます。高校生にその授業を体験してもらい、それぞれの進路選択の材料にしてもらうというのが行事の目的です。
 私も、「朝のガイダンスで学部長としての挨拶」「2時間目に国文学教員としての模擬授業」「昼どき文学部(在学生による学部説明)の司会」「高校の先生方との懇談」などなど、一日出番がいっぱいでした。
 協力していただいた附属4高校の先生方、ありがとうございました。その他にも、
この行事について思うことはいろいろあり、書きたいことも多いのですが、今はとにかく自由な時間がとれません。本来なら7月~9月期のテレビドラマに関しても書きたいのですが、いかんせん校務多忙で、ドラマを見る時間もブログを書く時間も持つことができません。今日のところは行事の報告にとどめたいと思います。

 ※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。



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 毎日新聞文化欄記事にコメントを掲載しました。記事名は「サザエさん アニメ今秋50年 ほっとする群像劇 「変わらない」盤石の作風」で、掲載日は2019年7月6日(土)の朝刊です。

 毎日新聞電子版の記事頁はこちらです。
 ⇒ https://mainichi.jp/articles/20190706/dde/018/200/014000c

 『サザエさん』アニメのフジテレビウェブサイトはこちらです。
 ⇒ https://www.fujitv.co.jp/sazaesan/

 たかが漫画と思うなかれ。『サザエさん』はもはやただの漫画ではありません。だからこそ、この記事は、毎日新聞がかなりの力を注いだ実に詳しい記事になっています。私はテレビドラマ研究者ですので、漫画・アニメは専門分野の中心とまではいえないものの、当然研究の視界には入れています。今回取材をいただいたので、この作品は現在の日本社会の中でどのような地位を獲得しているかを中心にコメントさせていただきました。この作品が浸透してきた経緯については、多くの識者の意見があるのでそちらに譲りますが、私は現代文化論の立場から、この作品がもはや作品の良しあしや好き嫌いを超えた存在になっていることを語らせていただきました。

 テレビドラマを中心に研究をしながら、今後もこうした重要作品も視野に入れていきたいと考えています。

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 あいかわらずの通常校務に加えて、いろいろと行事の多いこの頃です。その中から写真を掲載したのは、教職課程ガイダンスのようすです。中央大学では、以前は2年生から教職課程を履修する制度になっていましたが、現在は1年生後期から履修できることになっています。そこで6月のこの時期に、後期9月からの履修を考えている学生たちのために、教職課程ガイダンスをおこないました。教職課程を履修することになると、どのような科目を履修し、実習をおこなうのか、などを説明しました。
 写真のようにたいへん多くの学生が集まってくれて、教職課程への関心の高さが見られました。実際に、中央大学から教員になる卒業生も多くいますので、私たち教職員もそれを全力で後押ししています。
 ただ、教員採用をめぐる状況については、いろいろと思うところがあります。採用試験の難易度ということからいえば、現在は一時の難しさからすれば、やや倍率が下がっている自治体が多いでしょう。教員を目指す学生たちにとっては、ある意味で追い風といえるかもしれません。しかし、教員は「忙しい」「たいへん」「親のクレームで苦労する」といったイメージが定着しつつあり、民間企業の採用状況が好調である中で、逆に教員志望者が減少しているという現状があります。教員になりやすくなっているのは、そのためともいえます。
 民間企業の採用状況がいいからそちらに行こうという人は、最初から教員の世界には必要ではないと私は思うので、この状況は教員の世界にとって悪いことではないと私は考えています。しかし、残念ながら、教員の世界に優秀な人材が集まりにくくなっていることもまた事実です。熱意と能力の両方を備えた学生をいかに教員の世界に送り出すか。それが、教職課程を担当する私たち教職員に問われているのだと思います。


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(中央大学文化講演会・練馬会場)

 毎週更新するように努力しているこのブログなのですが、今回は間が空いてしまいました。理由は、先週の6月15日(土)16日(日)と連続で講演会の講師を務めていたため、このブログを更新する時間がまったくとれませんでした。
 6月15日(土)は中央大学学術講演会で、場所は川崎市武蔵小杉のホテル精養軒、16日(日)は中央大学文化講演会で、場所は練馬区練馬駅前の練馬区民・産業会館でした。名称は「学術講演会」「文化講演会」と異なりますが、中央大学の主催で、学員会(中央大学卒業生の会)の川崎支部、練馬区支部が後援と運営をしてくださっていることは共通しています。

 実は、川崎市、練馬区ともに、講演会の講師に招いていただくのは2回目です。川崎市は昨年に続いて2年連続、練馬区は9年ぶりと、間隔はずいぶん異なります。2年連続で呼んでいただくのも光栄なことですし、9年経って再び指名していただくのもまたありがたいことでした。

 毎年こうした講演会の指名をいただいて、通算するともう何十か所にもなります。多くは学員会の地域支部からのご指名ですが、年次支部の場合や、父母連絡会から指名していただく場合もあり、講演会やその後の懇親会の雰囲気がかなり違っています。特に懇親会にはその団体の雰囲気がよくあらわれていて、そういう特徴に触れることができるのも、こうした講演会の講師を務める楽しみの一つでもあります。
 今回の川崎支部の懇親会には、昨年に続き伊藤弘・川崎市副市長(中央大学学員)がいらしていましたし、学員会川崎支部から川崎市に車椅子の寄付贈呈式があるなど、地元自治体とのつながりを強く打ち出す会合でした。一方、練馬区の懇親会の後半は、地元出身の芸人さんや歌手の方が登場するなど、たいへん華やかな雰囲気で進んで、なごやかでとても楽しい懇親会でした。

 こうした講演会は、私たち研究者が日頃の研究成果を一般の方たちに知っていただく貴重な機会でもあります。機会をいただいた支部の皆さま、当日来場された皆さまに感謝申し上げます。


(中央大学学術講演会・川崎会場)


(川崎白門会懇親会での校歌斉唱)

(学員会練馬支部の懇親会)



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 私が勤める中央大学の父母懇談会のために、沖縄県那覇市に出張しました。

 中央大学には父母連絡会という組織があり、全国すべての都道府県に支部が置かれています(都内はさらに支部に分かれます)。また、各支部でこの父母懇談会という会が開かれ、大学からも教職員が出張します。そこで、大学や学生の近況、学生の修学状況、就職状況やアドバイスなどをします。私は教員の立場からの出席なので、大学や学生の近況についてお話をさせていただきました。
 ちなみに、各都道府県ごとに支部を作っているので、当然その規模・会員数に差があります。多くの学生を入学させてくださる都道府県はもちろんありがたいですし、少ないところから入学者を出していただくのはそれもまた貴重なことです。その意味からいうと、今回は首都圏からもっとも遠い沖縄県への出張で、そこから中央大学にご子女を送り出してくださっている父母の皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。この機会に直接大学や学生のようすをご説明し、お話を伺う機会となりました。


 昨年は静岡県と愛知県の父母懇談会に出張しました。人数がとても多く、ありがたかったのですが、多くのご父母と話ができなかったのは心残りでした。今回は昨年に比べれば規模が大きくないので、もう少しゆっくりとご父母とお話しすることができました。私にとっては、ご父母のお話を直接伺うことができて、たいへん貴重な機会となりました。

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 日本臨床救急医学会の第22回総会・学術集会で講演をさせていただきました。

 http://www2.convention.co.jp/jsem22/
 http://www2.convention.co.jp/jsem22/program/program.html#p02

 小説やドラマの研究者である私が、なぜこの医療関係者の学会で講演したのか、不思議に思われるかもしれません。この学会では、毎年2名を学会外から招き、特別講演を担当してもらうということで、今回は私をその一人に指名していただきました。
 今回の学会の総合タイトルが「救急医療のリアリティー」ということだったので、私はいろいろ考えた末に、次のようなタイトルで話をさせていただきました。

 フィクションの中のリアリティー
  ――救急医療はどのように描かれているか――

 もともとは小説を中心に考えていたのですが、実は救急医療が小説の題材に取り上げられることは多くありません。それに比較して、テレビドラマなどの映像作品に描かれることが圧倒的に多く、その意味では、救急医療は文学的ではなく映像的な課題ということができます。それでテレビドラマを中心に救急医療の描かれ方を検討してみました。ただ、小説よりテレビドラマに描かれるからといって、救急医療が倫理的な課題ではないかといえばけっしてそうではなく、実は高度に倫理的でもあるという逆説的な構図になっているということを、今回の講演を通じて考えてみました。
 医療関係者の方にどれだけお役に立てたかわかりませんが、フィクションという別の世界から救急医療を見るとこうしたことが考えられるという点で、違う視点を提供できていたら幸いです。

 さて、自分の講演以外の感想ですが、新たな発見や学ぶところが多々ありました。今回参加させていただいた日本臨床救急医学会は、医師だけではなく、看護師、薬剤師、放射線技師、救急隊員ほか、11の職種の医療関係者で作る学会だそうです。懇親会にも参加させていただいたのですが、そういう学会員構成の特徴もあるのか、加藤正哉会長の人柄のせいもあるのか、予想していたよりもざっくばらんな雰囲気の懇親会で、部外者の私が出席していても、とても楽しく感じられる会合でした。
 そこで強く印象に残ったことを一つだけ書きます。懇親会の最後の方で「King of Talk」の表彰と賞品贈呈というのがありました。それが何かわからなかったので聞いたみたところ、懇親会の立食パーティーの間に11職種全部の出席者と会話をして、その名前を書き込んでもらった人の中から、会長が賞品を贈呈するというシステムになっているのだとか。
 これには感動しました。11職種がただ集まっているだけで、実際にはばらばらだというわけではなく、違う職種の間の会話、交流を重視していることが、こうした行事にあらわれているのだと感じました。そういえば後から気づいたのですが、この懇親会には「多職種間意見交換会」という名前がついていたのでした。懇親会が終わってから、その意味をあらためて実感しました。

 専門外の学会で講演するのは、構想を練るのも準備をするのも、実はかなりたいへんでした。しかし、異なる世界の学会に出席したからこその発見があり、勉強もさせていただきました。そして、楽しい時間を過ごさせていただきました。この場を借りて、加藤正哉会長と学会の皆さまにお礼を申し上げたいと思います。


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 あいかわらずの校務多忙に加えて、多少の予定外のことがあり、ブログの更新が遅れてしまいました。1週間空いてしまいましたが、その後のことを書きます。
 以前にも書いたように、テレビドラマを扱う授業でresponという授業支援システムを利用し、授業時間中に、履修者からアンケートを提出してもらっています。今回は、この4~6月期放送のテレビドラマを学生たちがどのくらい見ているか、についてのアンケートです。そうすると面白いことがわかります。
 たとえば、ビデオリサーチ社の初回視聴率の上位10位までは下記のようになります。

①特捜9     15.2%
②緊急取調室   15.2%
③集団左遷    13.8%
④科捜研の女   13.7%
⑤ラジエーションハウス  12.7%
⑥インハンド    11.3%
⑦俺のスカート、どこ行った? 10.9%
⑧白衣の戦士!   10.3%
⑨私、定時で帰ります。 9.5%
⑩執事 西園寺の名推理2 8.7%

 ところが、この日の授業に出席していた私の授業履修者128名にアンケートをとったところ、初回放送を見た人の割合は下記の通りでした。(同じように%で表示していますが、平均視聴率と授業履修者中見た人の割合とでは、意味が異なります。)

①俺のスカート、どこ行った? 30.5%
②私、定時で帰ります。    28.1%
③ラジエーションハウス    22.7%
④白衣の戦士!        20.3%
④あなたの番です       20.3%
⑥インハンド         17.2%
⑦パーフェクトワールド    16.4%
⑧ストロベリーナイト・サーガ 14.8%
⑨昨日、何食べた?      14.1%
⑩集団左遷          12.5%

 このように、一般の平均視聴率と授業履修者とでは、初回を見た割合の順位が大きく異なります。明らかなのは、『特捜9』『緊急取調室』『科捜研の女』といった事件もの、推理ものの順位が、一般視聴者よりも大学生視聴率の順位が下がることです。
 さらに、次のようなアンケートもおこないました。「2回目以降も継続して見ている作品はどれですか?」
 すると興味深いことがわかります。大学生が初回を見た作品上位10作について、2回目以降も継続して見ている人数を初回を見た人数で割ると、下記のような順位となります。

①パーフェクトワールド    90.5%
②ラジエーションハウス    82.8%
③インハンド         81.8%
④あなたの番です       80.8%
⑤私、定時で帰ります。    80.5%
⑥俺のスカート、どこ行った? 74.4%
⑦ストロベリーナイト・サーガ 63.2%
⑧昨日、何食べた?      61.1%
⑨白衣の戦士!        57.7%
⑩集団左遷          50.0%

 つまり、一般視聴率では10位以内にも入らない『パーフェクトワールド』が、大学生の間では7位に入り、初回見た人が2回目以降も見続ける割合では、なんと1位になっているということです。
 このように見てみると、世間でいわれている「恋愛ドラマ不毛の時代」「今の若者は草食系」といった定評は、必ずしも正しくはないかもしれません。もちろん。大学生128名というのは、調査サンプル数としては十分ではありませんし、私の授業を履修する大学生というバイアスがかかっているので、その点でも一概にはいえません。ただ、こうした調査で出てくる数字を丁寧に分析し、今後のテレビドラマ研究に活かしていきたいと考えています。












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 昨年『おっさんずラブ』が話題になったように、このところLGBTやそれに関連する人たちを描いたドラマが増えてきました。今クール(4~6月)ドラマでも、男性同性愛カップルの食事を中心に描く『 きのう何食べた? 』(テレビ東京系)、女装の男性教師を主人公とする『 俺のスカート、どこ行った? 』、中年男性と交際中の男性同性愛者の高校生を主人公とする『 腐女子、うっかりゲイに告る 』などが放送されています。また、作品の中心とはいえないものの、『 ミストレス~女たちの秘密~ 』(NHK)にも女性同性愛が描かれています。また、ダイバーシティの観点まで広げれば、車椅子の男性と健常者の女性の恋愛を描いた『 パーフェクトワールド 』(フジテレビ系)も放送されています。
 この傾向は、昨年あたりから顕著になってきました。昨年を振り返れば、『女子的生活』(NHK)、『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)、『弟の夫』(NHK BSプレミアム)、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)などが放送されています。ほかにも、『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日系)や朝ドラ『半分、青い』(NHK総合)にも、トランスジェンダーやゲイの登場人物が主要な役で出てきていました。
 そんな中で、特筆したいのは、『 女子、うっかりゲイに告る 』です。LGBTをドラマの単なる題材や出来事作りの要素に終わらせている作品もありますが、この作品はそうではなく、ゲイの高校生の内面をていねいに、かつ繊細に描いています。原作『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト)の力もありますが、NHKがこのテーマを真正面から描いていることにも意義がありますし、主役の金子大地、相手役の藤野涼子ともにまだ若手ながら、難しい役を見事に演じています。(この作品のことはいずれあらためて、別の機会に論じたいと思います)

 さて、こうした特徴を、日本のテレビドラマ史の中で考えるとどのようになるでしょうか。私の考えでは、現在の状況は、障がいを持つ人物を描くことが増え、その多くが人気作品となった1990年代と似ているように思います。どの時代にも障がいを持つ人物を描く作品はありましたが、1990年代は下記のような作品が特に視聴者の人気を集め、話題となりました。

 『愛していると言ってくれ』(1995年、TBS)
 『 星の金貨』(1995年、日本テレビ)
 『続・星の金貨』(1996年、日本テレビ)
 『 ピュア』(1996年、フジテレビ)
 『オンリー・ユー〜愛されて〜』(1996年、よみうりテレビ)
 『聖者の行進』(1998年、TBS)
 『君の手がささやいている』(1997年-2001年、テレビ朝日)

 これは1990年代の特徴といえます。これらのドラマを現代から振り返ってみると、その多くの作品には、「障がい→困難→努力→克服→成長」という構図が共通していたことがわかります。簡単にいえば、1980年代のバブル景気がはじけて、いわゆるバブル崩壊期となったときに、「もうバブル景気のような浮かれた気分ではいられない」「この困難な時代をどうやって乗り越えればいいのか」という社会背景を受けとめ、多くの人びとの心の中にある気持ちを集約したのが、これらのドラマだったと考えることができます。
 それを現代から振り返れば、「障がい者を都合よく使っている」という感想が出てくることも否定できません。後年、障がい者を題材にしたいわゆる「いい話」が量産され、「感動ポルノ」と呼ばれ、「障がい者を感動の道具にしている」と批判されたことと無関係ではありません。しかし、後の時代から振り返れば批判の対象にされることはよくあることです。1990年代の障がい者を描いたテレビドラマ作品の多くには、障がいをストーリー展開の道具に利用している面があり、確かに現代の眼から見れば安易な面が見られます。しかし、それらの作品が、その時代には視聴者を励まして勇気づけるという、一定の役割を果たしたことも評価してあげなければ、作品へのフェアな見方とはいえないでしょう。

 それと比較してみた場合、現在のLGBTドラマにも同様のことがいえます。
 LGBTの人たちが抱えている困難や悩みを共有することで、現代の視聴者はこれまでに知らなかった性質の心の葛藤を知り、それぞれがその葛藤を乗り越えようと努力していることを知って、視聴者は眼を開かれ、そこで見たものを視聴者は自分の勇気に変えようと努めているように思えます。
 もちろん、テレビドラマは基本的には娯楽のメディアですから、そこは面白おかしく描いていることも確かです。LGBTの特徴を単純化し、戯画化し、ドラマの演出道具にしている面も、指摘しようとすればいくらでもできます。ですから、もう少し時代が進めば、2010年代のLGBTドラマも「感動ポルノ」の一種だったと批判されるようになるかもしれません。
 ただ、そうだとしても、今のこの時代に多くのLGBTドラマが制作され、放送されたことには重要な意義があります。1990年代の障がい者ドラマも、障がい者をステレオタイプに描いた弊害は否定できませんが、一方で障がい者を社会が受け入れ、その後バリアフリーの考え方が浸透していくことに一役買った面がありました。人気ドラマに描かれることで、それまでにないほどの多数の人びとが、障がいと社会のあり方を考えるきっかけにしていったのです。そう考えると、現在の多数あるLGBTドラマにも功罪はそれぞれありますが、それらの作品を通じて、ダイバーシティの観点がさらに進んでいくことを期待することができます。そのような視点を持ちながら、これらの作品を今後も見ていきたいと思っています。

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 朝日新聞4月29日(月)朝刊に「時代映す 朝ドラ100作」という「文化の扉」(文化特集)記事が掲載され、そこに私のコメントも掲載されました。
 今回放送されている 『なつぞら』 は、「朝ドラ」(正式名称は「連続テレビ小説」)の記念すべき100作目。このことから、各メディアで「朝ドラ」を考える特集がなされています。今回の『朝日新聞』記事もその流れにありますが、新聞半頁をこの1記事に割いています。そして、その中に年表や特徴的な作品を写真入りで掲載し、落語家・林家正蔵のコメントを載せるなどの工夫に、この記事の特徴があります。その記事内容は、『朝日新聞』やそのデジタル版記事 世界でも珍しい「毎朝15分」 朝ドラ、人気安定のワケ などに譲りたいと思います。
 デジタル版の見出しになっているコメントは、私が以前から再三指摘していることです。多くの国では、朝のテレビドラマはせいぜい放送済み作品の再放送の場合が多いといえます。少し似ているのはドラマ大国の韓国で、韓国では朝9時前後から30分の帯ドラマは何作も放送されていますが、日本のように15分だけドラマを見るという習慣はありません。その意味では、世界でもたいへん珍しい放送形式と、視聴習慣です。
 この原因は、何か一つには集約できません。ただ、いくつかの理由は考えられます。まずは主婦や高齢者が他国に比べて相対的に多く、朝ドラマを見られる視聴者が多いこと。また、放送時間を繰り上げ、加えて地上波とBSの両方で放送して、視聴者によって時間を選べること。さらに、会社の朝礼や学校の朝のホームルームなど、朝の短時間のミーティングが社会的に浸透していること。こうした複数の要因が作用して、世界でも珍しい放送形態、視聴習慣が生まれ、1961年以来という長い歴史の中で定着してきたのだと考えられます。
 しかし、今後のテレビ放送はオンデマンド方式への以降が不可避となってきます。そのときに、この世界でも珍しい放送形式、視聴習慣がどうなっていくのか。テレビドラマ研究者として、これを今後の最注目の課題として考えていきたいと思っています。

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 私が勤める中央大学(文系)の授業時間が、今年から10分延びて100分となりました。そのことも多少は影響して(多少ですが)、今年から授業中に授業支援システムを使ったアンケートを適時実施することにしました。
 今までは、授業の中で「この小説を読んだことある人?」とか言って、履修者に手を上げてもらうくらいがせいぜいでした。しかし、それでは「Yes」「No」の二択しかできませんし、質問内容によっては学生の側の遠慮というのもあります。そこで、responというシステムを使い、学生が自分のスマホを経由して、私の質問項目に回答する時間を設けることにしました。
 今年の前半期の講義科目のテーマは「テレビドラマ脚本家」です。まだ授業が始まったばかりなので、授業内容に基づく質問というよりは、これまでのテレビドラマ視聴傾向を尋ねてみました。その結果の一部がこちらです。
 アンケートの対象者は私の講義科目履修者で、この日の出席者は135名です。135名という数字は、アンケートのサンプル数としては十分とは言えませんが、それでも一定の傾向を見ることはできます。たとえば、冒頭のアンケート。一般には「現代は恋愛ドラマ不毛の時代」「現代の若者は草食的」ということがしばしば言われていますが、このアンケートでは、現在全盛の推理ものジャンルにほぼ近いくらいの人数が、恋愛ドラマを見ると回答しています。こうしたことを通じて、世間一般のイメージが本当なのかどうかということを、これからも大学生アンケートを通じて検証していきたいと思っています。
 以下、いくつかのアンケート結果を示しておきます。



※テレビを見る時間の多さは、ほぼ4分の1ずつに分かれました。




※テレビのジャンルとして「ヴァラエティ・お笑い」が強いというのは、世間のイメージ通りかもしれません。ただ、ドラマも健闘しているという印象です。




※大学生アンケートということもあるのか、SNS等でも話題になったことがあるのか、『3年A組』視聴者が多いいという結果でした。私の一押しは『義母むす』なんですけどね。



※朝ドラ、帯ドラ、大河ドラマで質問してみました。キャストが若者向けのためもあってか、『半分、青い。』が強いという結果でした。大学生に『やすらぎの郷』を見てるか聞くのは、ちょっと無理でしたかねぇ。



※テレビドラマに限っての質問ですが、「録画視聴」がかなり多いことに驚かされました。オンデマンド視聴も浸透しつつあることがわかります。


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 4月から6月にかけてのクールのテレビドラマが放送されています。まだ初回だけの作品も多いのですが、始まった主な作品について、先週に続いて簡単な感想を書いてみましょう。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

 パーフェクトワールド     (フジテレビ、火曜21時) 6.9%
 原作は有賀リエの漫画。昨年映画化されたのに続く映像化作品です。現代は恋愛ドラマが人気のない時代と言われ、実際に初回視聴率も6%台でした(ただし、関西地区では10.3%)。しかし、私が古い世代の人間だからか、この作品の初回をたいへん興味深く見ました。
 高校時代に同級生だった2人、建築士の鮎川樹(松坂桃李)とインテリア会社勤務の川奈つぐみ(山本美月)。樹は大学生のときに事故で下半身不随となっています。この設定から思い出されるのは『ビューティフルライフ』(2000)でしょう。美容師役の木村拓哉と車椅子生活の図書館員である常盤貴子の恋愛ドラマで、高視聴率をとった大人気ドラマでした。
 初回を見る限り、『ビューティフルライフ』との共通点は数多くあります。しかし、もちろん共通点だけではありません。『ビューティフルライフ』は障がいを持つ人の恋愛の難しさを描いてはいますが、基本的にとても「綺麗」なドラマでした。「困難」はあってもその困難なところがまた美しく描かれていました。それに対して『パーフェクトワールド』では、樹の排泄の失敗を描く場面があるなど、けっして綺麗な描かれ方だけがされているわけではありません。詳しくは省きますが、1990年代は、障がいを持つ人物を主人公とするドラマが数多く制作され、放送された時代でした。それから20年ほどが経ち、障がいに対する社会の理解も考え方も進みました。1990年代の障がいを持つ人物を描くドラマには、障がいの困難に注目するという大きな意義があったものの、「障がい者=困難を乗り越えてひたむきに努力する人たち」というステレオタイプに描いた一面も否定はできません。テレビドラマですから、「美男美女だから」という一面はどの作品でも避けられませんが、たとえば排泄の困難といった内容までふみこんで描いているところは、1990年代のドラマとは異なった社会のあり方を反映しているものとして、私は肯定的に評価したいと思いました。

 
  わたし、定時で帰ります。     (TBS系、火曜22時) 9.5%
 原作は朱野帰子の小説。主人公は、けっしていいかげんに仕事をするわけではなく、集中して仕事をして、毎日定時に会社を出て、自分の生活を楽しむ女性・東山結衣(吉高由里子)です。その周囲には、旧来の仕事の考え方から少しも変わらない上司や先輩社員と、逆に周囲と協調できない若いモンスター社員らがいます。たしかに長時間労働の是正や働き方改革がいわれる時代にふさわしい、現代的課題を扱った作品になっていると思います。
 たしかにそうなのですが、初回を見る限りはまだその魅力が十分に伝わってきません。私は、働き方改革なんてどこの話?という猛烈な働き方を自分がしていますが、もちろん、ドラマに登場する古い考え方の上司には共感しません(というより今どきこんな上司がいたらアウトでしょう)。一方で、モンスター社員なんてものにも少しも共感ができません。といって、主人公がその間のちょうどよい存在とも思えませんでした。また、実際に残業せざるを得ないで働いている多くの視聴者は、どのような気持ちでこのドラマを見るのかとも感じました。『ドクターX』や『ハケンの品格』のように、悪役と主人公を明確に二分するのは単純すぎるとしても、初回だけではまだ痛快さ、心地よさまでは感じませんでした。次回以降の展開に期待したいと思います。

 俺のスカート、どこ行った?   (日本テレビ系、土曜22時)
 学校の型破りな先生を主人公とするドラマ作品は、これまで数多くありました。この作品もその一つ。では、どのように型破りかというと、主人公は52歳のゲイの女装家なのです。そこで、偏見や無知を持って先生に接する生徒たちと向き合い、生徒たちの目を開かせていく…というストーリー。
 近年、男性同性愛者を描くテレビドラマ作品が増えてきました。以前は男女ともに同性愛者を描くことは、テレビの世界では避けられてきました。それが近年になり、いわゆる「おねえタレント」が大量にテレビに出演するようになり、ドラマでも『おっさんずラブ』がヒットするなど、男性同性愛がタブー視されなくなってきました。とはいえ、男性同性愛はほとんどの場合、「笑いがとれる」存在として描かれています。つまり、女性同性愛は陰湿でテレビ向きではない、男性同性愛は笑いがとれるのでテレビ向き、ということになるのでしょうか。だとしたら、それでいいのかという疑問は残ります。
 一般論はそのくらいにして、この作品に戻りましょう。たしかに、ゲイの女装家の先生が生徒たちを変えていくところには期待ができます。ただ、ドラマですから、誇張や演出は多くあります。実際の学校だったら、してはいけない行為や言ってはいけないセリフがたくさん出てきます。フィクションですから、そのデメリット以上にドラマとしての楽しさと偏見を解消していけるメリットがあれば、それはそれで許されることでしょう。この作品にそれだけの価値、フィクションであることの誇張を超える意義があるか、それを今後も見て、確かめていきたいと思っています。 

 東京独身男子  
(テレビ朝日系、土曜23時) 5.7%
 銀行員の石橋太郎(高橋一生)、審美歯科医の三好玲也(斎藤工)、弁護士で事務所経営者の岩倉和彦(滝藤賢一)の独身3人男を描くドラマ。自分たちは高スペックであると自認し、「結婚できない」のではなく、「AK男子(あえて結婚しない男子)」ととらえています。というと、いわゆる「独身貴族」といった、金もあり、仕事もあり、外見もよく、恋愛も自由、という優雅な人たちをイメージしますが、3人それぞれに問題も抱えていて、「高スペックだけどちょっとイタい男たち」です。
 面白いのですが、初回の感想としては焦点がやや明確でないように感じました。簡単にいえば、かっこよく見せたいのか、かっこ悪く見せたいのか、判断に迷いました。たぶん両方なんでしょう。「高スペックだけどちょっとイタい男たち」なんですから。ですけど、そうなると憧れていいのか、笑っていいのか、気持ちがすっきりしないんですよね。私の好みとしては、もっと徹底して笑わせてくれた方がいいのに、と思いました。

 ミラー・ツインズ Season1   
(フジテレビ系、土曜深夜時) 3.9%→2.9%
 東海テレビ・WOWOW共同製作連続ドラマで、Season 1がフジテレビ系、Season 2がWOWOWで放送予定だそうです。うーん、地上波を見せておいて、続きは有料放送で、というのは近年ときどきありますし、その戦略はよくわかりますが、視聴者の都合を考えるとどうなんでしょう?
 話の中身としては、幼い双子の兄弟のうち兄だけが誘拐されて行方不明になり、その20年後を描くという設定。弟・葛城圭吾(藤ヶ谷太輔)は警察官になり、事件を捜査するうちに兄・葛城勇吾(藤ヶ谷太輔=二役)が生きていることを知る…という展開。韓国ドラマっぽい、というのか、あり得ないような展開ながら、その強烈さに視聴者を引き込もうとする作品になっています。自分だけ誘拐されたから、弟に復讐しようとするのかよ、とか、2人の間で復讐の手助けをする女(倉科カナ)何考えてるんだよ、とか。ツッコミどころは満載ですが、それは織り込み済みなのでしょう。それでもついてきてくれる視聴者向けのドラマです。

 あなたの番です  (日本テレビ系、日曜22時半) 8.3%
 日本では1クールといって、ドラマを3か月単位で放送することが通常ですが、この作品は2クール連続・半年間の放送。テレビドラマは人気が出るかどうかの当たり外れが激しいので、視聴率がとれなかった場合に話の途中で打ち切れないテレビドラマは、長期間放送しにくいという事情があります。ですので、最初から半年間放送とするのは珍しいことで、テレビ局にとってはかなりの冒険となります。
 話は、新婚夫婦がマンションに引っ越してくるところから始まります。そこで住人たちの「交換殺人ゲーム」に巻き込まれるというミステリードラマ。まず感じるのは登場人物が多いこと。交換殺人がテーマで、かつ半年間の長期放送ですから、必然的に登場人物が多くなるのでしょう。ただし、近年のテレビドラマでは、一話完結でわかりやくすくてテンポが速いものが好まれています。それに逆行するような作りになっているところが、面白いところでもあり、心配なところでもあります。
 もう一つ感じるのは、主人公夫婦に原田知世と田中圭を起用しているところ。2人とも、ミステリーとか殺人とかには似合わない穏やかの雰囲気を持つ俳優です。そこは十分に計算済みでしょう。むしろ、年齢差があるとはいえ、普通の穏やかな夫婦が信じられない世界に引き込まれていく。そういう展開にこそ、非日常を日常的に見せる仕掛けがあるように思います。


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 4月から6月にかけてのクールのテレビドラマが始まりました。まだ初回だけの作品が多いのですが、始まった主な作品について、簡単な感想を書いてみましょう。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

 ラジエーションハウス    (フジテレビ、月曜21時) 12.7%
 原作は、横幕智裕(作)モリタイシ(画)の漫画。医師免許を持ちながら診療放射線技師として働く五十嵐唯織(窪田正孝)ら、技師たちの活躍を描く作品です。勧善懲悪とまでは言いませんが、「傲慢な医師たち」と、それを支える「確かな技術と患者への熱い思いのある技師たち」という対比が明確で、エンターテイメント作品としてはよく出来ていると思います。医療ドラマは多くあるとはいえ、放射線技師たちに着目したところにオリジナリティがあります。ただ、「医師」と「技師」を対比しているのに、主人公は「医師の資格を持ち、医師としても将来を嘱望されたながら、技師として活躍する」っていうのはどうなんでしょうか。それなら、結局「技師」としてだけの人よりも「医師」の方が偉いということになりませんか。 そこは見続けて確かめていきたいと思います。

 白衣の戦士!     (日本テレビ系、水曜22時) 10.3%
 元ヤンの新米ナース・立花はるか(中条あやみ)と、指導係の先輩ナース・三原夏美(水川あさみ)のコンビを描いた病院ドラマです。はるかは、熱意はあるが要領が悪くて失敗も多い。そのはるかがしっかり者の夏美に叱られながら、一緒に患者と向き合っていきます。いわゆる「安心して見られる肩のこらない娯楽作品」で、見ていて外れはない作品です。とはいえ、あちこちで指摘されているように、観月ありさと松下由樹の出演で人気となった『ナースのお仕事』と似すぎていt、新鮮さはありません。たしかにそうなんですが、『ナースのお仕事』のパート4は2002年の放送。その後の単発放送はあるものの、連続ドラマ最終作からはもう17年。この作品を知らない若い視聴者も多いので、いくら似ててもいいのかもしれません。

緊急取調室3  (テレビ朝日系、木曜21時) 15.2%
 人気作品の第3シリーズなので、もう説明は必要ないでしょう。天海祐希演じる真壁有希子を中心とする緊急事案対応取調班の活躍を描きます。タイトル通り、取調室の中の警察官と容疑者の緊迫の対決が見もの。真壁の周囲を固めるのは、田中哲司、でんでん、小日向文世、大杉漣らの個性的な中高年男性たちでしたが、大杉が亡くなり、今シリーズからは代わって塚地武雅が加入。先日まで放送された『メゾン・ド・ポリス』と同じくオヤジたちがそろったドラマですが、本家はこちらです。テレビドラマは映像を見せるもの。だとすれば、派手なアクションなどがありませんが、その分、濃いオヤジたちがそろった絵は、それだけで十分な見ものです(「見もの」です。「見世物」じゃないですよ)。自白偏重の捜査のあり方を見直すというのが現代社会の趨勢ですが、ここでは自白がさせることがメイン。いいじゃないですか。どうせ時代遅れみたいなおじさんたちばかりなんですから(笑)、思い切り自白重視の捜査を見せてください。

 ストロベリーナイト・サーガ  (フジテレビ系、木曜22時) 7.8%
 原作は誉田哲也による警察小説。それを単発放送、連続放送、映画などで、いくども映像化されてきました。これまでは姫川玲子を竹内結子が演じてきましたが、今回は二階堂ふみが演じ、亀梨和也とW主演となります。しかし、ドラマ研究者なのに申し訳ありませんが、私はグロテスクなものや残酷なものが大の苦手です。それでも初回は我慢して見ましたが、「こういうのが好きな人もいるんだなあ」というのが正直な感想です。そんな中で、二階堂ふみの芸達者には感心しました。大河ドラマでは『軍師官兵衛』では、淀君を思い切り悪女として演じたと思えば、『西郷どん』では、奄美大島の純朴で一途な娘を演じて、まったく異なる面を見せました。どちらもこの人ならではと思わせる演技力はさすがです。『この世界の片隅に』の遊女役もまた見事でした。その演技力はすごいと思いますが、やはり来週から続けて見るのかなあ、と思うと、グロいのはちょっとつらいです。仕事もたいへんなので、やはりテレビには癒やしがほしいなぁ~(私の心の声)。

 インハンド    (TBS系、金曜22時) 
 原作は朱戸アオの医療漫画。右手が義手の昆虫学者・紐倉哲を山下智久が演じ、彼の助手になる医師・高家春馬を濱田岳が、女性官僚・牧野巴を菜々緒が演じます。確かにこの組み合わせは魅力的ですが、この設定には既視感が強くあります。理系の天才研究者と振り回される助手、そして女性公務員という組み合わせは、もはや『ガリレオ』ですっかり見慣れてしまっています。ただし、違うのは、主人公が寄生虫学者だということ。うーん、『ガリレオ』の物理学者と比べると、寄生虫って気持ち悪いわぁ(苦手が多くてすみません)。毎回、いろんな寄生虫が出てくるんでしょうか。おえ~。私は、そうでないことを願っています。

 きのう何食べた?  (テレビ東京系、金曜深夜) 3.2%
 原作はよしながふみの漫画作品。弁護士・筧史朗(西島秀俊)と美容師・矢吹賢二(内野聖陽)のゲイカップルの食生活が描かれるドラマ。テレビ東京の深夜枠には意欲的で興味深い作品が多く放送されてきましたが、それにしても、この枠で西島秀俊と内野聖陽がゲイカップル役で出演するとは驚きです。ここからはまったくの推測ですが、俳優にとって「はまり役」「イメージ通りの役」ではなく「意外な役」を演じたいという強い欲求があるのではないでしょうか。そういえば、村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくる五反田は二枚目俳優で、依頼されるのはさわやかな青年役ばかり、職業は医者とか教師ばかりを演じさせられて嫌になると嘆いていました。プライムタイムの予算も多くかかっている作品では冒険できないが、この枠なら「イメージ通り」ではない役をやらせてくれる。そんな試みの場になっているのが、このテレビ東京系の「ドラマ24」枠なのではないかと思っています。


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 『毎日新聞』 2019年4月6日夕刊にNHK連続テレビ小説 時間早めて視聴率回復 朝ドラ「なつぞら」で通算100作 高い自由度、大胆な脚色もという文化特集記事が掲載され、そこに私のコメントも掲載されました。
 今回放送されている 『なつぞら』 は、「朝ドラ」(正式名称は「連続テレビ小説」)の記念すべき100作目。このことから、各メディアで「朝ドラ」を考える特集がなされています。今回の『毎日新聞』記事もその流れにありますが、かなりの字数を割いていて、新聞としては「朝ドラ」の歴史と現在を詳しく考察しているところに特徴がありました。その記事内容は、『毎日新聞』やそのデジタル版に譲りたいと思います。

 さて、その記念すべき100作目である『なつぞら』は、今のところ好調にすべり出しているように感じます。内容は、戦災孤児である主人公・奥原なつが、父親の戦友に引き取られ、北海道の農場で暮らすところから始まります。「朝ドラ」は、1961年から始まっていることもあり、「朝ドラ」の歴史と日本の戦後史は重なり合うところが多くあります。記念すべき100作目となる「なつぞら」では、その戦後史が強く意識されているようです。
 また、主人公はやがてアニメーターという職業に就きます。スタジオジブリの人気や一昨年の『君の名は。』の大ヒットで知られるように、今やアニメーションの世界は日本の花形産業といってもいいでしょう。しかし、なつが飛び込むのはまだ創生期のアニメ産業。戦災孤児が、生活にも困る中から成長し、アニメ産業とともに夢をかなえていく…。まさに日本の戦後の復興と成長が、主人公にそのまま重なるように描かれることでしょう。

 その他にも、フルアニメーションのタイトルバックは「朝ドラ」では初めてですし、スピッツの曲も加わって、朝から癒やされます。ドラマとスピッツといえば、私は『白線流し』の頃からのファンなので、その点でも嬉しくドラマを見ています。内村光良のナレーションは悪くはありませんが、特に良いとも思えないのが、唯一弱点でしょうか。まさかNHKコント番組のメインキャストだから、内村さんをナレーターに起用したわけではないですよね。

 次週からは主人公なつのキャストに広瀬すずが登場します。今後も、なつの成長を楽しみに見守りたいと思っています。


(タイトルバックはほのぼのしたアニメーション)

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 あいかわらずの校務多忙で、このところ学校のこととテレビドラマのことしか、このブログに書いていません。それなので、少し前に行ったイタリアンのお店のことを書こうと思います。
 お店はトラットリア「クレデンツァ」。
 https://www.instagram.com/trattoria_credenza/?hl=ja
 https://rakoo.rakuten.co.jp/store/2000067618/
 東急池上線久が原駅のすぐ近くです。「駅のすぐ近く」と書きましたが、立て看板は出ているものの、入り口はかなりわかりにくくなっています。後の写真にあるように、入り口はただの階段! 公式ウェブページもないようですし、入り口からは店内の様子がわからないので、この階段を上がっていくのには少し勇気が要ります。
 上がってみると、椅子4つのテーブルが3組。店内は広くはありませんが、席を3組だけに限定しているので、窮屈ではありません。椅子2つ分のテーブルに分ければもっと組数を増やせますが、シェフが1人で厨房とフロアをすべて受け持っているので、組数を増やさないようにしているのかもしれません。その分だけ、隣の客との間に距離があるので、店内は狭くてもゆったり感じます。
 お昼は1800円のランチコースのみ。前菜の盛り合わせ、メインにピッツァorパスタ、パン2種類、デザート、コーヒーor紅茶、という構成になっています。食べてみて、この値段でこの内容ならコスパは素晴らしいと思いました。たとえば前菜。多くのお店では、前菜は盛り合わせであっても冷菜のみとしています。あらかじめ作っておいて、それを並べて提供し、前菜を食べてもらっている間にメインを料理する、というお店が多いと思います。ところが、「クレデンツァ」のこの日の前菜は、冷菜2品に加えてアランチーニ(ライスコロッケ)も出てきました。客が来るごとにその都度手間がかかると思いますが、揚げたての熱々料理が前菜に加わるのは、食べる方からすれば嬉しいことです。メインのピッツァorパスタも数種類ずつの中から選べますし、デザートも2種類からのチョイス。ピッツァは1種類の味でおなかがふくれてしまうので、私は通常あまり食べないのですが、この日食べた青のりとしらすのピッツァは、生地が薄くて軽い味わい。久しぶりにピッツァが美味しいと感じました。というわけで、1800円でこの内容は、かなりの充実した内容の料理構成といえます。
 せっかくのこの内容なので、あとはこのお店の良さをどれくらい知ってもらえるかではないでしょうか。公式ウェブページもないようですし、メイン商店街(ライラック通り)から少しだけ路地に入るので、通りがかりにふらっと、という感じにはなりません。入り口から店内が見えないので、ちょっと覗いてみようかという気になりにくい面もあります。せめて満席が空き席があるかだけでもわかると入りやすいのにな、と思ったりしました。
 料理が美味しい良いお店なので、まずは知名度が上がって、多くの地元の方たちに知ってもらえることを願っています。


(前菜3種盛り)


(2種類のパン)


(青のりとしらすのピッツァ)


(サルシッチャと揚げナスのトマトソースパスタ)


(デザート)


(これが入り口 少し勇気が必要)


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 3月下旬となり、4月~3月サイクルで動いている学校にとっては、もうすっかり年度末です。そして、大学の卒業式は中学、高校よりも遅いことが多く、私が勤める中央大学の(文系)卒業式は明後日25日(月)です。
 今年度もいろいろなことがありました。2017年11月から私が学部長と法人の理事になったため、昨年度は途中から、今年度は年間通じて、まったく時間の余裕がない日が続きました。その意味で、私が指導する学生の皆さんには迷惑をかけたところもありましたが、なんとか無事に卒業式の日を迎えられそうです。
 今年度のゼミ(学部3、4年生合同演習)の履修者は、3年生21人、4年生21人でした。あいかわらず人数が多かったのですが、おかげで、学生同士が「学び合う」という関係を持てたと感じています。その4年生の取り組んだ卒業論文のタイトルは下記の通り。これだけヴァラエティに富んだ課題に取り組んだ学生たちが一緒に学んでいるので、お互いの研究を参考にしたり、刺激を受け取りということがありました。そういう場を持てたことは、教員にとっても幸せなことでした。

【伝統的な日本文学のテーマ】
大沼健太郎 『パノラマ島奇談』論
引間哲生 宮沢賢治論 農業背景を中心に
山内美沙季 宮沢賢治論
橋本龍一郎 『風立ちぬ』にみる病が恋にあたえる効果論
笠本詩織 「金閣寺」論 ―金閣という幻想の構造―

【現代文学・ライトノベル】
柴原夏美 少女小説論
佐坂春奈 あさのあつこ『バッテリー』論
野中颯太 伊坂幸太郎論 ~叙述トリックによる作品世界の変容~
石原健太郎 小川洋子『博士の愛した数式』論
菊地夏帆 角田光代の転換点ー『エコノミカル・パレス』、『空中庭園』を経て『対岸の彼女』までー
馮楽施 有川浩『レインツリーの国』論―—「障碍者の物語」
三浦葵 有川浩 キャラクター類似論
成田大基 伏瀬「転生したらスライムだった件」論   

【国語教育】
田嶋大樹 夏目漱石『こころ』教科書掲載の意義論

【漫画・映画・ドラマ・演劇】
渡辺陽太 少年漫画における「裏切り」行為の効果研究
髙野啓太 機動警察パトレイバー the movie論
中村里乃 朝ドラ「ひよっこ」論
岡野春香 坂元裕二論
野田遥香 「ロールシャッハ」論

【その他】
隠塚智輝 ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文論
谷川汀 キャッチコピー法則論

 それぞれの卒業論文に取り組んだ経験が、卒業生のこれからの人生にきっと役立つことでしょう。皆さんのこれからの活躍に期待しています。


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