フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 2022年のテレビドラマも続々と始まっています。何回かに分けて、その感想を書いていきたいと思います。まずはプライムタイム編です。

鎌倉殿の13人 (NHK、日曜20時)

 今期の最注目作品です。鎌倉幕府の実権を担うことになっていく北条義時が主人公。三谷幸喜が大河ドラマ脚本を担当するのは3作目となりました。以前にも書いたことですが、私は『新撰組』よりも『真田丸』を評価しています。それは作品の質がどういうということではなく、三谷幸喜と歴史上の人物との相性の点で、近藤勇よりも真田幸村の方が相性がよかったと思うのです。三谷の脚本では、傑出した人よりも普通に近い人、ストイックな人よりも人間味のある人、無口な人よりもおしゃべりな人、の方がより生き生きと描いていると感じます。北条義時は、戦国武将のような歴史上の英雄ではありませんし、幕府の中でも独裁ではなく合議制を推し進めた人でもあります。これは三谷脚本が得意とする人物像ではないでしょうか。そこに期待をしています。

ファイトソング(TBS系、火曜22時)

 NHK朝ドラ『おかえり、モネ』で主演した清原果耶の民放初主演作、という意味で、大河ドラマの次に注目されている作品です。しかも、脚本は『ちゅらさん』『おひさま』『ひよっこ』を書いた岡田惠和です。清原果耶は、優等生のイメージが強いものの、同世代でも指折りの演技力の持ち主だと思います。一方の岡田惠和の脚本は、悪い人がまったく出てこない、メルヘンのようなあたたかい作風が持ち味です。その相乗作用は初回後半に既に表れていました。有望な空手選手だった女性大学生(清原果耶)が、交通事故で空手を断念。一方のシンガーソングライター(間宮祥太郎)は過去の1曲だけのヒットで一発屋と呼ばれ、今は傷心の日々。この2人が共鳴し合うところが初回の見どころです。ちなみに、ハウスクリーニング店のチラシが飛んできて目に入るところで、私は『ちゅらさん』を思い出しました。『ちゅらさん』の恵理(国仲涼子)と文也(小橋賢児)が出会ったのはまだ子どもの頃。沖縄小浜島で民宿をしていた恵理の家に、文也母子が泊まりに来たのが出会いです。こうした運命の出会いが自然に見えるのも、岡田脚本のメルヘンのような作風があってのことだろうと思いました。次回以降、花枝の幼なじみ慎吾(菊池風磨)も絡んで、3人の今後が楽しみです。

 ゴシップ!(フジテレビ系、木曜22時)

 出版社で経理部に勤務する凛々子(黒木華)は、仕事はきっちりするものの、空気(雰囲気)を読むのが苦手。その凛々子が会社のニュースサイトに異動させられ、そこでゴシップ記事を集めてページビューを稼いでいく、というストーリーです。黒木華は、お仕事ドラマから泣かせるドラマまで何でもこなせる万能俳優。その黒木の演技は見ものですが、ドラマとしての見どころはややわかりにくく感じます。凛々子に感情移入して痛快…というドラマではないので、凛々子が追いかける人間の隠れた心理を明らかにしていく…というところが眼目でしょうか。狙いがもう少しシンプルでもいいように感じます。
 ところで、凛々子の人物造形には、かなりメンタル面の症例が反映しているようです。つまり、発達障害(その中でも自閉症スペクトラム)の特徴を強く意識して、人物造形がなされていると思います。ていねいに調べてみると、ドラマの中に登場する身体的な障害は聴覚障害が多く、精神的な障害は自閉症スペクトラムが多い、という現象が指摘できます。ただ、これはたいへんセンシティブな問題を含みますので、いずれ別の機会に、あらためて考えてみることにしたいと思います。

ムチャブリ!私が社長になるなんて(日本テレビ系、水曜22時)

 八方美人の社長秘書(高畑充希)が突然、子会社の社長に抜擢されるというお仕事ドラマ。日テレ水曜22時は、『ハケンの品格』など、伝統的に「働く女性」を描くことの多いドラマ枠です。今回も、ムチャブリを連発する横暴なやり手社長(松田翔太)、優秀なイケメン後輩社員(志尊淳)、こだわりの強いレストランスタッフら、と、個性的なメンバーが勢揃いという感じです。高畑充希は30歳(先述の黒木華は31歳)。個性的かつ幅広い役柄をこなせる貴重な女優です。そのような配役面からの楽しみは多いのですが、初回を見る限り、私はあまり楽しめませんでした。「自分の職場の周囲にこういう人がいたら自分ならこういう対処をする…」といったことを真面目に考えてしまい、楽しめないのかもしれません。私の場合、どちらかといえば、ドラマの中では非日常でありたいと思います。横暴な社長に振り回される女性社員の話は、多くの視聴者から共感されるのでしょうか。あるいは、主人公が少しずつ困難な状況から光を見つけていく、そういうこれからの展開に期待するべきなのかもしれません。

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 世間的に年末年始はお休み期間というのが通常ですが、多くの大学教員にとって、年末年始は卒業論文の査読期間になっています。卒業論文の締切が大学や学部によって違うので、一概にはいえませんが、私の場合はもう30年以上、年末年始に多くの卒業論文を読み込み、評価し、コメントをまとめています。今年度は24本の卒業論文の審査を担当しました。そのリストを掲載します。順番は、文学・小説系とサブカル・映像系に分けた上で、おおまかな時代順になっています。

【文学・小説系】
木村泰矢  芥川龍之介『杜子春』論
内藤夕衣  川端康成『女であること』論
田島圭悟  「加藤文太郎」論
串田美優  小松左京 『復活の日』論
三浦泰至  山田詠美『ひよこの眼』論
熊澤りさ  森絵都 家族論
生井瑞季  重松清 いじめ文学論
加藤颯悟  『蛇にピアス』論
廣野楓花  『勝手にふるえてろ』論
小林真生  朝井リョウ『何者』『何様』論
梶原舞佑子 『乳と卵』『夏物語』比較論
大山ひかり 湊かなえ『ブロードキャスト』論

【サブカル・映像系】
蒋雨瑄   小津安二郎・侯孝賢作品研究
湯淺里幸子 手塚治虫『どろろ』論
青木菜々子 漆原友紀『蟲師』論
鹿野颯太  『MAJOR』論
園田凜太郎 ドラマ『やまとなでしこ』論 
渡邊夏帆  長編アニメーション映画『ハウルの動く城』論
土居千夏  新川直司『四月は君の嘘』論
小久保亜美 『カゲロウプロジェクト』論
金島柚茉  僕のヒーローアカデミア論
武田直之  新海誠 映画『君の名は。』論
堀部心   『きみの鳥はうたえる』論
松山みずほ テレビドラマ『カルテット』論

 コロナ禍以前は、学生が印刷した論文を冊子にまとめていました。ですので、このブログにも写真を掲載できました。→「2018年度の卒業論文」 昨年度から紙提出がなくなり、データのみの提出になりましたので、それ以降は写真の掲載ができません。
 私は紙で文章を読む方が読みやすいし、冊子にまとめる(レイアウトや装丁を含めた)作業もひとつの教育だと思うので、冊子提出がないのは残念に思います。とはいえ、紙を使わずデータのみにするというのは時代の流れですので、やむを得ないことでしょう。
 私が勤める学部では、卒業論文や卒業研究を特に重視しています。他の科目にはない学生の皆さんの主体性と研究の密度の濃さのあるのが、この卒業論文制作です。一定のレベルにみんなが到達することも大切ですが、それ以上に、個々の学生の皆さんが、この卒業論文制作を通して成長することが重要です。
 多くの学生の皆さんにとって、卒業論文制作は、一生のうちでまとまった論文を書く唯一の機会でしょう。ゼミという卒業論文制作の学びの場が、学生の皆さんにとって、他では得られない貴重な学びの機会になっていたことを願っています。

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 今回は2022年最初のブログ更新です。本年もよろしくお願いいたします。
 さて年のはじめの更新にあたって、現在の気持ちを書いていきます。あまり前向きの話ではありませんが、いかに自分のしてきたことに始末をつけるか、どのように収束させるか、ということを考えるようになっています。
 私は現職の中央大学に勤務してもうすぐ丸32年になります。私が中央大学に就職したのが32歳のときでしたので、私の生きてきたうちのちょうど半分を中央大学教員として過ごしてきたことになります。しかし、前半の32年には、子どものうちの物心つかない期間も入っていますし、中学3年間、高校3年間など、小刻みに所属が変わることもありましたから(その頃は3年間でも短いと思っていませんでしたが)、同じ組織に32年も所属している後半の人生は、前半とはまったく異なる性格を持っていて、自分の人生の大半であるかのように感じます。
 32年も同じ組織に勤めているので、これがずっと続くような錯覚を持ってしまいますが、考えてみればあと6年で定年退職となります。それをあらためて意識したのは、昨年10月末に学部長の任期を終えるときです。1号館という大学本部棟に学部長室があるので、任期中の4年間はそのスペースを使用させていただいていました。その間に本や資料が増えてしまったので、学部長室を撤収するにあたっては、個人研究室をかなりかたづけました。その作業をすることで、6年後にはその個人研究室も撤収するということを否応なしに意識することになりました。
 「個人研究室をかなりかたづけました」と書きましたが、以前にも書いたように(→「断捨離できない男/私」)、実際にはそうとう悲惨な状況にあり、「かたづけました」といっても、他の人の個人研究室に比べたら、まだまだかたづいていない状況にあると思います。それでも、本や資料をかなり処分しなければ学部長室の持ち物を運びこめない状況にありましたから、断捨離できない私にしては、主観的にはがんばってかたづけた、というわけです。この作業はけっこうたいへんでしたが、私にとっては、定年退職へのよい準備作業/予行演習になったと思いました。
 私の教員としての生活はあと6年です。命があれば、その後も研究者としての活動ができなくもありませんが、主たる教育・研究の場がなくなるわけですから、定年退職後はもはや教育者・研究者としては余生ということになるのでしょう。昨年10月から11月にかけては、学部長室と個人研究室をかたづけながら、自分の教育者・研究者としての時間が残り少ないことを意識しました。
 あと6年を無駄にしたくないですし、まだまだ教育者・研究者としての意欲は無くしていません。それでも、自分の教育者・研究者としての生活は残り少なくなっていることは確かなので、それをどのように収束させていくのか、年頭にあたってそのことをあらためて考えました。

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 「できるだけ週1回」「なるべく土日の更新」を心がけているこのブログですが、2021年最後の日曜日となりました。2021年の振り返りと2022年のご挨拶は次回として、まずは最後のテレビドラマ批評・感想を書きましょう。
 2021年に興味深いテレビドラマ作品は多々あり、私は特に朝ドラと深夜ドラマが印象に残りました。これまで書いたことと重複する部分もありますが、ここでは再度朝ドラについて書いておきたいと思います。
 NHK連続テレビ小説(いわゆる朝ドラ)の作品は個々に独立していますが、ドラマ枠として一定の型、共通性のようなものは持っています。しかし、2021年の2作品はかなり対照的でした。10月末まで放送されていた『おかえり、モネ』と現在放送中の『カムカムエヴリバディ』は、物語の進行するテンポがまるで違っていました。『カムカムエヴリバディ』は、朝ドラで初めて3人のヒロインがリレーする試みをしていて、放送半年間に物語内時間が100年進みます。当然、物語の進行するテンポは、過去の朝ドラに比較して格段に速くなっています。一方の『おかえり、モネ』は、主人公の幼少期も10年後、20年後もなく、ひたすら東日本大震災からの10年間だけに焦点をあてて、ゆっくりとじっくりと描いていました。その意味で、今年の両作品は対照的でした。
 私は『カムカムエヴリバディ』の方は現代的な手法だと感じます。近年の視聴者はテレビ以外の娯楽を多く持っていますから、過去のテレビ視聴者に比べて速いテンポの作品を求めています(気が短くなっている、という言い方もできるかもしれません)。『カムカムエヴリバディ』はあまりに展開が速く、しかも視聴者を驚かせる展開が多いことから、「昼メロみたい」という声も聞こえてくるほどです。しかし、それも現代の視聴者には一つのサービスのあり方だと感じます。
 一方の『おかえり、モネ』は、徹底してスピーディな展開を拒む作品でした。宮城県気仙沼の島部に住んでいながら、東日本大震災時に地元にいなかったことをずっと心の重荷として背負ってきた主人公が、その気持ちから立ち直すまでの過程を、時に繊細に、時に重苦しく描き続けました。その意味で、今年の朝ドラ2作品は対照的といえます。
 ただし、この2作品にも重要な共通点があります。それは「言葉の重さ」とでもいうものでしょう。『おかえり、モネ』はもちろんですが、『カムカムエヴリバディ』も展開はスピーディながら、そこで発せられる言葉には、はっと息を飲むような印象的で、心を突き刺すような力がありました(その最たるセリフは、「I hate you」でしょう)。朝ドラは私の授業や講演でもよく取り上げる題材なので、こうした相違点と共通点に注目しながら、来年も注意深く視聴していきたいと思っています。

 それでは皆さま、来年がよい年になることをお祈りしています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。昨日(日曜日)に書いてあったのですが、うっかりして、掲載が今日(月曜日)になってしまいました。








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 近頃の私は、制作費やキャストの豪華なプライムタイムのドラマよりも、力の抜けた深夜ドラマに関心が向いています。そんな中、3か月ごとのクールの入れ替え期でもない12月中旬に、新しい深夜ドラマが始まりました。それが『居酒屋新幹線』(火曜深夜、TBS系)です。
 設定はこうです。内部監査が仕事で日帰り出張の多いサラリーマン高宮進(眞島秀和)は、出張帰りに出張先の美味しい酒と料理を買って、帰りの新幹線車内でそれを楽しむ……。それだけといえば、それだけのドラマです。しかし、これは見ている方も、気軽に楽しめそうです。
 文句をいえばいくらでもいえます。テレビ東京系の深夜グルメドラマへの追随で、『孤独のグルメ』とたいして変わらない…ということも可能でしょう。あちこちの地域へ出かけるなら『絶メシ』というグルメドラマもありました。しかし、アイデアとは、まったく新しい発想、それまでに考えもしなかった発想、というものばかりではありません。むしろそんなことは何十年に一度しかないような希有な出来事です。それよりも、今まであるものをどのようにひねるのか、どれくらい模様替えができるのか、それもまたアイデアといえます。
 その意味でいえば、この『居酒屋新幹線』は、「新幹線」というコンセプトを持ち込んだだけで、十分に新しい作品になり得ています。何より、ローカルな飲食の楽しみを実名で紹介しながら、それを車中の移動時間という、一人だけの幸福な時空間に凝縮することがなされています。車中の時間というのは、通常は単なる移動のためのやむを得ない時間、短く済めばその方がよい時間です。しかし、その時間を逆に楽しみの時間に変え、車中ならではの貴重な時空間にするという発想が、このドラマを面白くしています。
 初回の青森市に続いて今後も東北地方の都市に出張することが予告されていて、東北(宮城県仙台市)育ちの私にとっては、さらに関心が高まっていきます。
高宮進は今後どこの都市で何を持ち帰って車中で楽しむのか。これはますます見逃せません。

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 NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のことは、このブログで何回も書きました。まだまだ書きたいことがありますが、今回は朝ドラの再放送について書きます。
 朝ドラは国民的なドラマであり、年数が経っても多くの視聴者の記憶に残り続けています。そんな朝ドラは現在でも優良コンテンツであり、NHKは、朝に衛星放送で、夕方に地上波で再放送しています。現在は、朝に『マー姉ちゃん』(1979年)、夕方に『純ちゃんの応援歌』(1988~89年)が再放送されています。それもいいのですが、現在の再放送で注目しているのは、NHKではなくBSトゥエルビで毎週月曜日に再放送されている『カーネーション』(2011~12年)です。
 『カーネーション』は、有名なデザイナーだったコシノ3姉妹の母・小篠綾子をモデルにした朝ドラ作品です。「女性主人公が明るく健気に成長していく」という朝ドラの定型に沿っている面はあるものの、「健気」というよりは、気が強く、自己主張が激しく、言葉遣いもがらもかなり悪い女性主人公は、NHKで再放送されている他の作品よりも現代に近い分だけ、女性を定型にあてはめる圧力が強くないように感じます。
 それにしても、NHK大阪放送局制作の朝ドラには「ダメ父親」がよく登場します。近年では『おちょやん』(2020~21年)のテルヲ(トータス松本)が「朝ドラ史上最低の父親」と呼ばれて話題になりましたが、『カーネーション』の主人公の父親(小林薫)もそうとうな「ダメ父親」でした。しかし、『おちょやん』の千代(杉咲花)が父親を憎みながらも従うことが多いのに対して、今から10年も前の作品である『カーネーション』の糸子(尾野真千子)は、父親に何度も殴られながらも、言い返して父親からの独立を勝ち取ります。(しかも作品後半には、妻子ある男性との不倫関係も描かれます。)
 この女性像は朝ドラ史上で画期的な存在であり、今見てもたいへん興味深いドラマとして再視聴に値すると感じます。一度見た作品ではありますが、またこの作品を見ながら、その意義を考えてみたいと思っています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。→といいながら今回は月曜日更新になってしまいました。このブログを楽しみにしている全国〇万人のフォロワーの皆さん(そんなにいるか!)、ご容赦ください。



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(学食の牡蠣フライカレーと塩ラーメン。いっぺんに2つ食べたわけではないです(^o^))

 先日、2年ぶり(正確には1年9か月ぶりくらいだと思います)に、中央大学の学食で食事しました。

 中央大学多摩キャンパスといえば、学食が充実していることで有名です。1階から4階まですべて異なる学食が入っていて、大学にいる時間の長い私は、朝食は2階、昼食は1階、夕食は4階…などといったアクセントをつけて、学食ごはんをおおいに活用していました。特に好きだったのが昼食時のブッフェスタイルでした。ブッフェといっても食べ放題ではなく、好きな料理を器に取って、グラムいくらで支払う方式でした。私の過去のブログにも取り上げています。
 →学食のランチブッフェ (2017.11.12)
 →学食のランチブッフェ・2 (2017.11.19)
しかし、昨年2月からの新型コロナウイルス流行のため、ブッフェどころか学食自体が休業となってしまいました。今年になってお弁当販売だけ再開したものの、私はお昼にお弁当を買いに行く時間の余裕すらなかったので、家からの持ち込みや早朝に近所のコンビニで買ってきたものを利用することで過ごしていました。

 その後お昼時間だけ学食が再開され(学食の場所で温かい食事がとれるようになり)、また、私が学部長の任期を終えて、昼休みに学食に行ける日もあるようになったので、2年近くぶりに学食で食事をとりました。

  
    (今の学食は席を離し、席ごとにアクリル板を立ててある)

 以前と違って、座席が個々に離してあり、アクリル板の仕切りが付き、一部の器は使い捨て容器になり、割り箸やスプーンは個々に包装されたものになりました。しかし、やはり温かい料理をその場で食べられるというのは、お弁当販売とは違う良さがありました。
 今コロナ感染は沈静化していますが、オミクロン株の流行といった新たな不安が出てきています。また、以前のような活気のある学食、活気のある大学キャンパスに戻ることを願っています。


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 先日書いたように、4年間の文学部長・理事の任期を終えました。それから、そろそろ1か月になろうとしています。4年間に後回しにしていたこと、おろそかにしていたことをリカバーするのに精一杯で、まだのんびりするところまでは進んでいませんが、少しずつ普通の生活を取り戻そうとしています。
 そのために欠かせないのが部屋その他のかたづけなのですが、私はこれが苦手です。そもそも物を捨てられないのです。捨てた途端に「あ、あれがあれば使えたのに…」といったことになるのが悔しくて、「もしかしたら使うかもしれない」と何でも残してしまうのです。しかし、広い学部長室をひきあげて元の個人研究室に戻る以上、それではたちいかず、やむなく大量の本や資料を捨てました(正確にいえば、すべて捨てたのではなく、所有を移したり返還したりしたものもかなりあります)。断捨離できない男である私としては、断捨離まではいかずとも、かなりの持ち物を減らした、というわけです。人間、どうしようもなければ最低限のことはするものだと思いました。







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 先週も『カムカムエヴリバディ』のことを書きましたが、今週も続けて感想を書きます。
 出だしは「いつもの朝ドラ」という印象の『カムカムエヴリバディ』でしたが、展開が早く、なおかつ朝から「泣かせる」要素が満載されています。小さな菓子屋の娘・橘安子(上白石萌音)と大きな繊維会社の長男・雉間稔(松村北斗)の互いを想い合う恋心、安子に恋していながらも兄のために兄と安子の結婚を父親に懇願する稔の弟・勇(村上虹郎)、会社のために銀行頭取の娘と稔の結婚を画策しながらも安子の人柄に惹かれて稔との結婚を許す稔の父親・千吉(段田安則)などなど…。それぞれの気持ちが痛いほど感じられて、朝から泣かされる毎日です。
 そうなのですが、ここで少し余談を。毎朝このドラマに泣かされてはいるのですが、そんな中で少しだけ妄想が浮かんでしまいました。
 一つ目は、雉間千吉が菓子屋「たちばな」を訪ねた場面。「おはぎを食べとうなって」と言う千吉に対して、材料が手に入らずおはぎを作っていないため、安子は祖父の供養に作った貴重なお汁粉を千吉に振る舞います。何か気落ちしているようすを千吉から感じ取った安子は、恋する相手の父親とは知らずに、見ず知らずの千吉にほんの僅かしか作れなかった大切なお汁粉を振る舞ったのです。その気持ちのあたたかさを感じた千吉は、稔と銀行頭取の娘の結婚を思い直し、稔と安子を結婚させることにします。この展開が、今週のキモ(肝心なところ)でした。
 そうではあるのですが、ここで妄想と邪推。おはぎを買いに来た男性が稔の父親だと安子が知っていたとしたら……。だとしたら、お汁粉を振る舞った安子の行為は千吉に気に入られるための打算的な行動だったことになります。今頃安子は、「しめしめ、うまくやったわ」とほくそ笑んでいるとか……。そんな醜い妄想をしてしまうなんて。そんなはずはない!ああ、俺はなんと心が汚れているんだ!
 二つ目は、稔の弟・勇が、稔と安子の結婚を父親に懇談する場面。勇も安子に恋しているのですが、勇は稔と安子が想い合っていることを知って、自分は安子を諦め、二人の結婚のために尽力します。会社のための政略結婚を進める父親の千吉に対して、「家のための結婚はわしがするから!」と言って、兄と安子を結婚させてほしいと父親に懇談します。ここもまた今週の泣けるポイントでした。自分の恋を泣く泣く諦めて、自分が犠牲になることで兄と安子の恋を成就させてあげたいという弟の気持ちに泣かされます。
 そうではあるのですが、ここでも妄想と邪推。兄と安子の結婚を懇願する勇の行為が、自分が会社の跡継ぎになりたいための申し出だったとしたら……。だとしたら、「家のための結婚はわしがするから!」と叫んだ勇の行為は、自分が社長になりたいための打算的な行動だったことになります。そんな醜い妄想をしてしまうなんて。そんなはずはない!ああ、俺は何と心が汚れているんだ!
 せっかくいい話だったのですが、今週は「妄想」2連発で終わりにします。

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 NHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『カムカムエヴリバディ』が2週目を終えました。1週目を終えたところで「今のところ〈通常の朝ドラに戻った〉という感想が多い」ということを書きました。ところが、もう1週間見たところ、かなり印象が変わりました。
 思えば、1週目の最後の方で既に予感はありました。通常の朝ドラよりは展開が早く、1週目の最後の方で、主人公・安子(上白石萌音)のせつない恋心が描かれ始めていました。「淡い恋心」という要素は、それ自体は朝ドラで珍しくはないものの、2週目で急展開です。想いを寄せる相手がいながら親から縁談を勧められたため(それも苦しい家業を救うための縁談でもあり)、困った安子は、想いを寄せる大学生に会うため、家を飛び出して岡山から大阪へ訪ねていきます。詳しくは書きませんが、ここからは「胸キュン」ストーリーの連続です。通常の朝ドラでも恋愛要素はありますが、朝ドラがここまでの直球「胸キュン」で来るとは思いませんでした。
 さらに朝ドラといえば「ヒロイン」に注目が集まりますが、今週の注目はヒロイン安子が想いを寄せる大学生・稔でしょう。失礼ながら、私は稔を演じる松村北斗というジャニーズ事務所所属のタレントのことを、今まで知りませんでした。ドラマの配役の多様性を考えると、私はジャニーズ事務所のタレントが多くのテレビドラマを重要な役を独占(寡占)してくることにはあまり賛成ではありません。
 とはいえ、この松村北斗の全国区・お茶の間へのブレイクは、おおいに理解できます。なにより昭和初期の学生服がなんと似合うこと! 前作『おかえりモネ』の「亮ちん」を演じた永瀬廉もジャニーズ事務所所属で、今作の稔もそうなのですが、どちらも役にぴったりの配役でした。少なくとも作品の中で見る限り、ジャニーズのチャラさ(失礼!)はまったく感じられません。永瀬廉は気仙沼の若い漁師に見えますし、松村北斗は昭和の大学生そのものに見えます。そこはジャニーズ事務所だからの無理な配役ではありません。さすがNHK朝ドラは、本当に役にふさわしいタレントを起用していると感じました。
 ということで、1週間でこの『カムカムエヴリバディ』への印象ががらりと変わりました。半年で親子3代の100年間を描くということから展開も早く、これは1回も見逃せないという気合いを入れて、今週も視聴したいと思います。

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 NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』が終了し、『カムカムエヴリバディ』が始まりました。
 『おかえりモネ』については、既に多くのことがマスコミでもSNS上でも語られています。概していえば、「低視聴率ながら作品としての評価は高い」…というコメントが多いということでしょうか。私もこの作品を評価しています。
 どこを評価するかといえば、近年の視聴者の傾向に迎合せず、むしろその逆をあえておこなっているところです。『おかえりモネ』の作風を一言でいえば、それは「言葉が重い」ということだと私は思います。近年の視聴者はスマホなどで短い動画を見ることが多くなり、1時間のドラマはもちろん、15分の朝ドラでも気持ちが持たなくなっている傾向があります。そのため、多くのドラマがテンポを速くし、短い場面ごとに見せ場や笑いの種を仕込んでおくことが多くなっています。
 それに対して『おかえりモネ』では、そうした早いテンポをまったく狙っていません。それどころか、作中人物の多くが心の傷をかかえ、その傷からの立ち直りを長い長い時間をかけて描いていきます。そんな中で作中人物たちが心の中から絞り出すようにして発する言葉には、受け取る視聴者が絶句するくらいの重さがあります。百音が亮に言う「それで救われるの?」や、未知が百音に言う「お姉ちゃんは正しいけど冷たい」など、見ているこちらがぞっとするような重い言葉がこの作品にはしばしば出てきました。こうした言葉の重さを持ったドラマは、近年ほとんど見られなくなっていました。その点に、『おかえりモネ』という作品の最大の特徴があったと私は考えています。

 一方で今週から始まった『カムカムエヴリバディ』は、今のところ「通常の朝ドラに戻った」という感想が多いようです。みんなから愛される性格のよい女の子が主人公として登場し、その主人公の幼少期から描かれ、その主人公が一生懸命になれるものに出会っていく…。そういう従来の朝ドラパターンが最初の1週間で描かれていました。
 とはいえ、3代の主人公を100年かけて描くという新しい試みのある『カムカムエヴリバディ』は、これから従来の朝ドラから抜け出していくのかもしれません。それを楽しみに、またこの作品を続けて見ていきたいと思っています。

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 4年間務めた中央大学文学部長・学校法人中央大学理事の任期が、今日10月31日までとなりました。今日をもって学部長・理事を退任します。
 学部長や理事の役割は大学によってかなり違いますので、一概にはいえません。ただ、中央大学は学部中心の大学で(一方に大学院大学という、大学院中心の大学もあります)、あらゆる意思決定に学部長がかかわり、さらに学部長が法人理事を兼ね、仕事量も責任もたいへん重くなっています。私は4年間の学部長職の前に大学院研究科委員長という大学院の責任者を4年間務めましたが、大学院の責任者を終えて学部長になるときに、「仕事量は5倍だよ」とか、「これから10倍忙しくなるよ」とか多くの人に言われました。正確に仕事量をはかるのは困難ですが、実際に学部長になって生活が一変しました。
 私がしてきた大学院研究科委員長や学部長という仕事は、会社における課長や部長などとは異なり役員のようなもので、任期を定めて選出されています。私は2年任期の研究科委員長を2期務め、2年任期の学部長も2期務めました。通算8年間の行政職の任期が今日ようやく終わったということです。
 この間の苦労話は、いずれ書いていきたいと思っています。なんせ苦労話はいくらでもありますから。ひとつだけそれをあらわすことを書くなら、この4年間はいつも仕事のことが頭から離れず、そのために電車の降りる駅を乗り過ごすことが何度もありました。難しい案件を抱えているときなどは特に、電車の中でその案件について考え出すとそこから離れられなくなり、降りる駅に着いていることに気づかないことがしばしばありました。
 同様に、早朝に(あるいはまだ深夜に)目を覚まし、そのとき扱っている難しい案件のことを考え始めてしまい、そのまま眠れなくなることもしょっちゅうでした。そうしたことは今後はあまり無くなるのではないかと(希望的に)思っています。
 ここに書いたように、しんどいことは数え切れないほどありました。ですが、しんどいときほど信頼できる多くの教員、職員が助けてくれたので、今から振り返ると、そんなに嫌な4年間だった気がしません。この4年間のような生活を続けたいかといわれれば、もちろん続けたくありませんが、それでも、この4年間があったからこそ、多くの教職員に支えていただくという貴重な体験をすることができました。その意味では、この4年間が、私にとって財産であることは間違いありません。
 4年間の学部長・理事任期、その前を含めれば8年間の行政職在任期間、多くの方たちに支えていただきました。この場をかりて心からお礼申し上げたいと思います。


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 10月~12月期のテレビドラマのうち、まだ感想を書いていない作品が多くあります。その全部というわけにはいきませんが、先週以降に始まった作品を中心に、感想を書いておきます。まだまだ校務多忙もあり、簡単な感想だけでご容赦ください。

婚姻届に判を捺しただけですが (TBS系、火曜22時) 

 「面倒くさい男」「偽装結婚」「TBS火曜22時」、とくれば当然『逃げるは恥だが役に立つ』が思い出されます。面倒くさい男の坂口健太郎、おおざっぱで割り切りの早い女の清野菜名とも、役にはぴったりです。ただ、『逃げ恥』のみくりの抱えている悩みの深さに比べると、『判捺し』の明葉は借金のためにあっさり偽装結婚をするということで、その状況も人物像もかなり違います。初回を面白く見ましたが、視聴者が作中人物に感情移入していけるのかどうか、その点がやや心配です。

じゃない方の彼女 (テレビ東京系、月曜23時) 

 不倫ドラマは多々ありますが、官能的に美化されたものか、あるいはドロドロのもつれ合いか、という場合が多い気がします。この作品はコメディ色が強いのが特徴で、真面目でさえない大学准教授を演じる濱田岳がいい味を出しています。それにしても、濱田岳が登場したときは、これほど主役を次々に演じる役者さんになるとは思っていませんでした。申し訳ないですが、『ふぞろいの林檎たち』の柳沢慎吾の立ち位置だと思っていました。(なんて言うと、濱田さんと柳沢さんの両方に失礼でした。どうもすみません。)

アバランチ (フジテレビ系、月曜22時) 

 フジテレビが、月曜21時(ゲツク)の後の時間帯に22時のテレビドラマ枠を新設! テレビドラマの視聴率が以前ほどとれなくなっている現在において、火曜21時枠廃止と引き換えとはいえ、テレビドラマを新設することは大きなニュースです。その最初の作品がこの『アバランチ』。俳優陣も豪華ですし、綾野剛の持ち味は、やはりこうした「ぶっとんだ」役でこそ発揮されると思います。(『コウノドリ』の愛にあふれた小児科医役がなぜ綾野剛だったのか、私にはよくわかりませんでした。) とはいえ、はぐれ者たちの集団が「ぶっとんだ」やり方で事件を解決していく…という設定には既視感がいっぱい。その既視感をどれだけ「ぶっとんだ」話で乗り越えてくれるかに期待したいと思います。

和田家の男たち (テレビ朝日系、金曜23時台) 

 「大石静が描く、マスコミ三世代。男だらけの異色ホームドラマ」というのが公式ホームページのイントロ文句。さはさりながら、画面が地味です。花がないです。恋愛も、ドキドキ、ハラハラもありません。正直言って「視聴率度外視」でしょうか。もしそうなら潔くて拍手喝采です。私なりの見どころは俳優陣です。相葉雅紀クンは好感度担当として、義父役の佐々木蔵之介、祖父役の段田安則ともに、かなり癖のある(癖の強い)俳優で、この3人が集まってどう化学反応が起こるか楽しみです。佐々木蔵之介といえば、シリアスもコメディも何でもいける万能俳優です。また、先日まで再放送されていたかつてのNHK朝ドラ『ふたりっ子』(大石静脚本)の段田安則はすごかったですね。熱狂的阪神タイガースファンで頑固一徹の豆腐職人ながら、妻子を捨てて演歌歌手を駆け落ちし、5年後に家族のところに戻ってくる…という役どころ。本来は出番の少ない脇役に甘んじる俳優ではないはずで、今回の「元新聞社社長で女性関係も…」という役をどう演じるか、私はかなり期待しています。


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 この1週間で10月~12月期のテレビドラマが続々と始まりました。続々と始まりすぎているのに、あいかわらずの校務多忙もあり、感想を書くのが追いつきません。ともかくプライムタイムの新作(シリーズ作品は除く)の簡単な感想だけで書くことにして、深夜ドラマは次回としたいと思います。

日本沈没 (TBS系、日曜21時) 15.8%

 よく知られた小松左京の1973年発表の小説が原作。既に2度映画化されていて(1973年と2006年)、テレビドラマ化されたこともあります(1974年)。今回はTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」に登場。原作から50年近い年月が経っていて、日本が海底プレートにのみ込まれていくという設定はそのままに、環境問題と官僚機構が重視される作品に作りかえられています。さらにいえば、「日曜劇場」放送のためか、『半沢直樹』化もしています。この枠で放送されると、『ドラゴン桜』は『ドラゴン桜+半沢直樹』に、『日本沈没』は『日本沈没+半沢直樹』になるということでしょうか。それを否定的にとらえるつもりはありません。作品が流通するということは、そのときどきの受容者の期待に応えるように作りかえられることでもあります。

真犯人フラグ (日本テレビ系、日曜22時半) 8.4%

 SNSで真犯人捜しの話題が沸騰するなど話題になった『あなたの番です』(2019年)と同じ秋元康企画の謎解きものです。初回視聴率は高くないものの、録画視聴率はかなりあるものと推測しています。私は以前から「近年のテレビドラマ視聴者は短気になってきた。続きものの謎解き作品は視聴者がじれったく感じるようになってきた。」ということを指摘してきました。ところが、『あなたの番です』や『3年A組』などのヒットによって、SNSに書き込むなど謎解きを競い合い、最終回までみんなで一緒に楽しむという視聴傾向を強くなっていきました。申し訳ないのですが、私はテレビドラマ研究者でありながら、テレビドラマを細部まで丁寧に見る時間的余裕がありません。仕事しながら耳だけドラマを聞くことが多いので、こうしたドラマを楽しむことができないのですが、SNSでさまざまな意見を交わしながら見ていくことも、テレビドラマの新しい楽しみ方の一つといえるでしょう。

SUPER RICH (フジテレビ系、木曜22時) 7.8%

 生まれたときから金持ちで、今は会社経営者となっている女性・氷河衛(江口のりこ)とその会社のインターンシップを志望する貧乏学生(赤楚衛二)の出会いのドラマ。昔は男性上位の格差恋愛ドラマが定番としてありましたが、近年は逆格差恋愛ドラマが増えました。初回はまだ設定段階ですが、大金持ちから大ピンチに転落する衛を描いて、展開がスピーディーです。これから衛がどう会社を建て直していくのか、学生君がどのようにかkわるのか、に期待が持てました。初回さえ見れば興味がわくと思うのですが、初回視聴率が低いのはやや残念です。
 配役面では、江口のりこがついにプライムタイムドラマの主役に躍り出たことに注目しています。『時効警察』の頃から注目はしていましたが、近年の『半沢直樹』や『ドラゴン桜』での重要な役どころや、深夜ドラマ『ソロ活女子のススメ』の主役を経て、ついにプライムタイムの主役です。さらに江口のりこの主演作を松嶋菜々子が脇で支えるという構図にも注目したくなりました。

最愛  (TBS系、金曜22時)


 高校3年生の朝宮梨央(吉高由里子)と大学生の宮崎大輝(松下洸平)。岐阜白川郷で好意を持ち合っていた二人が、連続殺人事件の重要参考人と刑事として15年後に東京で再会する…という物語。ドラマとはいえ、これはなかなかすごい設定です。『リバース』(2017年)のスタッフが再集結してのドラマで、その前の『夜行観覧車』(2013年)『Nのために』(2014年)を含めて、作品の雰囲気はよく似ています。ただ、『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』はいずれも湊かなえ原作小説の映像化作品。原作を読んでいると、どうしても「あの原作をどのように映像化するのだろうか」という意識でドラマを見てしまい、ドラマを独立したものとして見にくくなってしまう面があります。近年は小説や漫画を原作とするテレビドラマ作品が多数を占める中で、今回同じスタッフがテレビドラマのオリジナル作品に取り組んでいることに私は注目しています。
 主演の吉高由里子には、少女性と悪魔性ともいうべき対照的な要素が備わっていますので、この謎めいた人物を演じるにはうってつけです。今後の展開を楽しみに見ていきたいと思っています。
 ここから余談……いくら「少女性」と「悪魔性」といっても、吉高由里子の高校生役にはかなり無理がありました。しかし、私は、こうした年齢的に無理な演出も嫌いではありません。コスプレか!ってツッコミながら見るのも、それもまたドラマの楽しみの一つであります。これはほんとうに余談でした(笑)。

二月の勝者 (日本テレビ系、土曜22時)


 高瀬志帆の漫画をテレビドラマ化したのがこの作品で、題材は中学受験です。私は原作を読んでいるので、テレビドラマで井上真央演じる視点人物の設定がかなり変わっているのが気になりました。『ドラゴン桜』にも共通する徹底した現実主義が作品の根底に貫かれていて、なまじの建前論やきれいごとを見事に吹き飛ばしているところは、原作そのままです。
 とはいえ、テレビドラマというのは視覚的に「見せる」部分も重要で、受験という題材はそれに適しているのだろうか、という疑問を私は持っています。そのため、『ドラゴン桜』(2005年版)ではガッキー、長澤まさみ、山下智久らの若手スターが登場し、2021年版でも次世代スターが多く出演しました。小学生を扱う中学受験ではそれはしにくいので、どこで「見せる」要素を強めるのか、その点を含めて注目しています。


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 10~12月期のテレビドラマが徐々に始まっています。以前はプライムタイム編とか、深夜ドラマ編とかに分けたこともありましたが、今回は既に始まっている作品の中から、特に印象に残った2作品について感想を書きます。

ヤンキー君と白杖ガール (日本テレビ系、水曜22時) 

 今クールの最注目作品だと私は思います。「令和の『ビューティフル・ライフ』」とでもいいましょうか。かつて視聴率40%を超えた、2000年放送の伝説のドラマを思い出しました。『ビューティフル・ライフ』は、下半身に障がいのある図書館員を常盤貴子が、実力はあるが人気の出ない美容師を木村拓哉が演じました。障がいのある女性と健常者の男性の恋愛ドラマという点がそもそもよく似ていますし、障がいのある女性の方が気が強くて行動が主体的というのも似ています。
 ただ、設定は似ていても、この2作品の雰囲気はかなり違います。『ビューティフル・ライフ』が王道の恋愛ドラマなのに対して、『ヤンキー君と白杖ガール』はラブコメの要素が強いようです。それに『ビューティフル・ライフ』は2000年放送のドラマ。この時期は障がいを持つ主人公を描くドラマが多数放送されていました。このあたりは、私の授業でもときどき取り上げる題材でもあります。
 障がい者を描くドラマは『名もなく貧しく美しく』など古くからありましたが、バブル崩壊後1995年頃からの10年間ほどは、障がい者を描くドラマが急激に増えていきます。『愛していると言ってくれ』『星の金貨』『ピュア』『聖者の行進』『ビューティフル・ライフ』『オレンジ・デイズ』などです。しかし、野島伸司脚本の『聖者の行進』を除けば、作中人物が特別の才能を持っていたり、特別にかっこよかったりする、いわゆる「キラキラ感」はかなりありました。『ビューティフル・ライフ』も美男美女の王道恋愛ドラマであり、イケメン美容師・キムタクの抜群のかっこよさと、そのキムタクにヘアカットしてもらって生まれ変わったようにキレイになる常盤貴子は、まさに視聴者憧れのカップルでした。
 それと比較して、『ヤンキー君と白杖ガール』にはそうした「憧れの存在」といった要素はあまりありません。その分、主人公の二人は身近に感じられますし、杉咲花の演技力は既に折り紙付きです。相手役・杉野遥亮も、モデル出身ながら、『直ちゃんは小学3年生』や『東京怪奇酒』など幅広い役を演じていて、ケンカは強いが一本気なヤンキー役をうまくこなしています。恋愛ドラマそのものはいまひとつ受けない時代ながら、近年少しずつラブコメがテレビドラマの世界で復権しつつあるように思えて、この作品がその役割を果たすのかどうか、興味深いところです。
 以上のことから、今クールのプライムタイムドラマの中では、この作品にもっとも注目しています。

スナック キズツキ(テレビ東京系、金曜深夜) 

 今クールのもうひとつの注目作品がこれです。益田ミリ原作漫画のテレビドラマ化で、主演は原田知世。傷ついた人がたどり着く店は、お酒を置いていない不思議なスナック。その代わり、美味しい料理と歌とママとの会話で、訪れた客は次第に癒やされていきます。
 まずは原田知世の起用にはうならされました。いくつになってもどこか浮世離れした雰囲気を持っていることは、原田知世ならではの持ち味なのかもしれません。原作がそういう言葉遣いになっているのかもしれませんが、ママ(原田)が客に向かって「あんた」と呼びかけるのが、私には少し違和感がありますが、それを差し引いても、この不思議なスナックの話には引きこまれます。
 原田知世の浮世離れといえば、『運命に、似た恋』(NHK、2016年)という恋愛ドラマの主演をしたのも原田でした。原田は当時48歳。私はこのドラマをけっこう気に入って、かなり真剣に見ていました。ところが、若い女性から原田演じる主人公のことを指して、「色ボケしたおばさんの話?」と言われて愕然としたことがあります。たしかに、48歳でベタな恋愛ドラマの主人公を演じることは普通はないのかもしれませんが、それができてしまうのが原田の特長ではないでしょうか。
 その原田が、今回は不思議なスナックのママ役を演じるとは。さすがテレビ東京深夜ドラマと思わせるキャスティングです。このところ私は、テレビ東京の深夜ドラマにすっかりはまっています。


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