フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 サッカーワールドカップ・カタール大会が進行しています。日本はドイツに大金星をあげながら、第2戦でコスタリカに敗戦。第3戦がスペイン戦ということを考えると、かなり苦しい状況に追い込まれています。
 さて、このブログでもたびたび取り上げてきたように、私はスポーツ好きで、サッカーについてはかなりの熱心なファン、サポーターでもあります。サッカーというよりもスポーツ全般が好き、あるいは囲碁・将棋などを含めた勝負ごと全般が好きなのだろうと思います。
 その場合の勝負ごととは「真剣勝負」に限ります。勝って得られるものと負けて失うものの差が大きければ大きいほど、その震えるような「真剣」さにひかれます。見るスポーツでもっとも好きなのはラグビーとボクシングですが、サッカーは長年応援してきました。10歳のときのメキシコオリンピックで日本が銅メダルを獲得して以来の、日本サッカーサポーターといってもいいと思います。
 このブログでもサッカーのことをたびたび取り上げてきました。ざっと振り返ると次のような記事を書いてきました。他にも書いていたのですが、旧ホームページが閉鎖されたため、見られません(再掲載することもできるのですが、さぼっています)。ここ10年ほどは行政職などの仕事に多忙を極め、サッカーを見ることすらできず、あまり記事を書いていませんが、その前はかなり頻繁にブログにサッカーを取り上げていたのでした。また、そういう、サッカーを楽しめる日々が来るといいなあ…とねがいながら、ワールドカップ・カタール大会を見守っていきたおt思っています。
 

祝!W杯出場決定   2013年6月6日

おめでとう!なでしこジャパン  2011年7月19日

サッカー公式戦と日本サッカーの今後  2011年7月4日

サッカーアジア杯優勝  2011年1月31日

ワールドカップ現地体験記   2010年7月16日

神よ、アフリカに祝福を   2010年7月6日

W杯はまだ続く   2010年6月30日

サッカー監督論・岡田とオシ   2010年6月25日

私が選ぶW杯代表メンバー  2010年5月9日

W杯最終予選を振り返る   2009年6月30日

入れ替え戦の生中継が見たかった   2008年12月14日

北京五輪予選サッカー最終戦を見る 2007年11月22日

女子ワールドカップ閉幕   2007年10月1日

アジアチャンピオンズリーグ  2007年5月23日

サッカー五輪予選・対シリア戦を見る 2007年3月29日

『敗因と』を読む 2007年1月19日

高校サッカー決勝を見る 2007年1月8日

Jリーグ入れ替え戦の「すごさ」  2006年12月9日

ナビスコ杯決勝を観戦   2005年11月6日


 


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 『チコちゃんに叱られる!』をよく見ています。いつもながらの「ながら視聴」で、テレビ番組をじっくり見ている時間はないのですが、録画した番組を流しておきながら仕事をする毎日です。
 そんな中でこの『チコちゃんに叱られる!』は、なかなかためになります。自分の知らない分野のこと、知っている分野のはずなのに盲点になっていることなどを知らされ、毎回勉強になっています。ただ、そんな中で大きな不満が一点あります。それが、問いへの回答のしかたです。たとえば次のような回答です。

10月7日(金)
Q みそ汁はなぜモヤモヤしている?
A おわんの中でいわし雲が発生しているから

10月21日(金)
Q サツマイモは焼くとなぜ甘くなる?
A 「かめばかむほど甘くなる現象」と同じことが起こるから

Q おやつはなぜ3時
A おやつが3時なのは3時がおやつだから

 バラエティ番組ですから、あまり堅苦しいことを言うつもりはありませんが、こういうわけのわけらない回答をする方が、見ている人にとって楽しくなるのでしょうか。「みそ汁」と「サツマイモ」の回答は、「~と同じようなことが起こっている」という内容ですが、これではまったく答えになっていないことは明らかです。大学入試の問題で、「なぜ~なのか、その理由を答えなさい」と問われて、「~と同じようなことが起こっているから」と回答したら、もちろん0点です。「おやつ」の回答は、「おやつ」が「お八つ」つまり「八時(やつどき)」から来た言葉であり、「八時」は今の午後3時だという回答です。しかし、なぜ今の午後3時におやつを食べるようになったのかという説明はほとんどありませんでした。う~ん、それも入試の回答だったら0点でしょう。
 大学入試など真面目な質問と一緒にするなという話ではありますが、さきほど書いたように、問いをはぐらかし、人をまどわすようなこういう回答のしかたをしたら、番組が楽しくなるのでしょうか。私にはそういう気がまったくしません。むしろモヤモヤ(うまいぞ!みそ汁からの連想か)がつのります。楽しく見ている番組だけに、もう少し本質を外さない回答のしかたをする方が気持ちよいように思います。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




 都内の高校からの依頼で、高校2年生向けの特別授業をしました。
 私たち大学の教員は、高大連携や高校の進路選択の関係で、こうした高校生向け特別授業をすることがあります。また、近年は高校の探究学習が必修化されているため、そのときだけの単発授業ではなく、高校生が主体的に活動する一環としての特別授業をすることも増えてきました。今回もそうで、あらかじめ複数の大学の多くの教員が、それぞれの専門分野に沿った課題と説明動画を高校生に提示しておくというプログラムでした。高校生はその提示された課題と動画を受け取って課題について考えておき、その上でそれぞれの希望する大学教員の特別授業を受けに来るという流れになっていました。写真は、その最後の特別授業のようすです。
 この担当の依頼をいただいたので、私は「フィクションと呼ばれる作り話があることの意味を考えてください」という課題を提示しました。このコースを選んでくれた高校生たちから、それぞれが考えたことを事前に受け取っていましたし、当日の授業の中で、また授業の後の質問などで、高校生たちが熱心に考えてくれたことがよくわかりました。この特別授業の準備のために費やした時間や労力はけっして小さなものではなく、正直にいえばけっこうたいへんでした。しかしながら、高校生たちが私が出した、けっしてトレンディでもお金が儲かりそうでもない課題について、とても真剣に考えてくれたことを嬉しく感じました。
 私がこの課題を出した意図のひとつは、「世の中の課題のほとんどは唯一の正解があるわけではない」ということを知ってもらうためです。将来どのような進路に進んだとしても、自分の力で考えて対処することを大切にしてほしいので、そのような願いをこめてこの課題に取り組んでもらいました。労力はかかりましたが、高校生たちの熱心な姿勢に接することができて、労力をかけた甲斐があったと感じました。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




(白・芝野挑戦者の136手目。まさか黒大石がこの後全滅するとは…)

 第47期囲碁名人戦7番勝負が終了しました。このブログでは、10月の間ずっとテレビドラマについて書いてきたので、11月初回の今回は、テレビドラマとは別のことを書こうと思います。

 さて、今年の囲碁名人戦7番勝負は、囲碁界の第一人者・井山裕太名人・本因坊・王座・碁聖(33歳)に、芝野虎丸九段(22歳)が挑戦するという構図でした。年齢がほぼ10歳違うとはいえ、芝野挑戦者は、3年前に19歳で、史上最年少の名人になったこともある実力者です。今回の結果は、4勝3敗で芝野挑戦者が名人位を奪取しました。その第7局はたいへんな激戦で、歴史に残る名局でした。私はこの第7局のみならず、すべての対局の you tube 中継をパソコンでずっとつけっぱなしにしていました。あいかわらずの「ながら仕事」で、パソコン内の小さなウインドウに囲碁中継をつけておきながら、自分の仕事をする日々でした。
 第47期囲碁名人戦は碁の内容も素晴らしかったものの、それだけではなく、私は囲碁名人戦スポンサーである朝日新聞の運営にもおおいに感謝しています。今回の7番勝負の棋譜や解説だけではなく、それぞれの対局をドキュメンタリー作品としての人間ドラマのように報じていたことが、私は素晴らしいと感じました。各対局の2,3日後の朝日新聞紙面に大きなスペースをとり、重要な局面をピックアップして解説しているばかりではなく、それぞれの対局の解説者や立会人から1人を選び、そのインタビューにかなりの字数をとって掲載していました。その文章は実に味わい深いものでした。
 たとえば、第1局の立会人を務めた趙治勲名誉名人は、インタビューの中で、芝野挑戦者に対して「辛抱が過ぎた」「内容がよくても勝たなくてはだめだ」と厳しい言葉を投げかけました。そして、「虎よ、勝て。自分のため、井山のため」を檄を飛ばしました。第1局が終わったとはいえ、まだ7番勝負が続いているのに、第1局の立会人が片方の棋士に檄を飛ばすというのは異例のことです。しかし、かつて7大タイトルを独占し、国民栄誉賞を受賞した井山裕太名人にいつまでも若手が負け続けていてはいけない、井山名人にためにも彼を脅かす若手の台頭が必要だ、という危機感からの言葉だったのでしょう。だからこそ、趙名誉名人の檄は心に響きました。
 また、第6局の新聞解説は一力遼棋聖(25歳)が務めました。この名人戦まで、囲碁界の7大タイトルのうちの4つを井山裕太名人が保持していましたが、棋士の序列は棋聖保持者が最高位になります(対局のときにどちらが上座に座るか、対局場はどちらのホームでおこなうか、などが棋士の序列によって決まります)。現役最高位の棋士が新聞解説を務めるというのは、そうそうあることではありません。しかも、一力は昨年の名人戦で井山名人に3勝4敗で敗れています。一力は、挑戦者として名人戦に登場したかったはずで、挑戦者ではなく解説者として名人戦の舞台に立ち会うことは無念だったことでしょう。しかし、だからこそ一力は解説者を引き受けたのだと私は思います。挑戦者になれなかった悔しさを噛みしめながら、第三者だからこそわかることを体感しようとして、一力は名人戦に立ち会ったはずです。そして、そこで感じたことが、朝日新聞にインタビュー記事として掲載されていました。そこでは、自分の決意を語ると同時に、自分と同じく、井山という高い壁にはねかえされ続けた芝野挑戦者へのエールが語られていました。
 ちなみに井山名人は、この2年間でタイトル戦で13回カド番(あと1つ負けたらタイトルを奪われる、敗退するという状況)になり、そのうち12回勝利しています。13戦の相手はすべて一力と芝野です。その状況で、カド番の勝率が9割を越えるというのは異常なことです。いつもそんなに強いならカド番に追い込まれるはずがないのですから、カド番13戦12勝というのは驚異的な勝率です。そして、そのただ1回負けているのが、今年3月におこなわれた棋聖戦第7局であり、相手は一力(当時)挑戦者でした。一力は、井山を6回カド番に追い込みながらすべて敗れ去り、7度目の正直で井山から棋聖を奪取しました。その経験をふまえて一力は、立場の似ている芝野に勝ってほしいと語り、「芝野さんの7度目の正直を見守りたい」とエールを送りました。井山名人を仇役のように扱って申し訳ないですが、それだけ井山が囲碁界の高い高い壁になっているということです。こうした状況で一力が語った内容は、趙名誉名人のインタビュー記事に劣らない読みごたえがありました。
 こうした朝日新聞の記事を読んできて、私は囲碁という世界を少しでも理解できて本当に幸せだと思いました。また、新聞記事だけではなく、対局中のyou tube 中継もずっとつけっぱなしでした。こうした記事を多く載せてくれて、対局の同時中継もしてくれた朝日新聞には、心から感謝したいと思います。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 10~12月ドラマがほぼ出そろいました。今回は、今クールドラマでまだ感想を書いていない作品について、ここまで見た感想を書いていきます。今回が4回目で、今クールのドラマについては、今回が一応の最終回です。

エルピス―希望、あるいは災い―(フジテレビ系 月曜22時) 初回視聴率8.0%

 スキャンダルで落ち目になったアナウンサー(長澤まさみ)とバラエティ番組の新米ディレクター(眞栄田郷敦)が、報道局員(鈴木亮平)の協力を得て冤罪事件に挑む…という設定。周囲の誰もが冤罪事件報道を敬遠する中で、何とかその壁に立ち向かっていく話です。これは民放では珍しい硬派作品! 言い換えれば、華やかさはありません。こうした企画が制作・放送されることになった経緯は、下記の記事に詳しく書かれています。これはもう視聴率は度外視していいじゃないですか。「民放でも骨のある作品を制作するぞ!」という意気込みを見せてほしいと思います。

脚本家・渡辺あやが語る『エルピス』制作の舞台裏「長澤まさみさんの存在感が大事な要素に」 - フジテレビュー!! (fujitv-view.jp)


霊媒探偵・城塚翡翠(日本テレビ系 日曜22時半) 6.4%→4.8%

 死者の魂を呼び出せる霊媒師(清原果耶)が推理小説作家(瀬戸康史)の協力で謎を解決していくドラマ。霊媒で真実はわかるが証拠がない。そこで推理小説作家の論理的思考という手助けを受けて、二人で真実を明らかにしていきます。という目論見なのですが、見ごたえがあるかというとどうでしょうか。霊媒のオカルト要素と本格推理要素の両方を楽しめてオトクと感じるか、両方とも中途半端と感じるか、これは好みによるかもしれません。私はもうひとつ楽しめませんでした。


ジャパニーズスタイル (テレビ朝日系、土曜22時半) 

 30分ノンストップのシットコム(シチュエーション・コメディ)というのがうたい文句。主演の仲野太賀は若き演技派との触れ込みで、それは私もそう思います。また、脚本の金子茂樹は、『俺の話は長い』(2019)『コントが始まる』(2021)など、設定はやや地味ながら、心に残る佳作を書いてきた人。これは期待できますし、実際に初回は、登場人物の豪華さもあって、視聴者を飽きさせずに展開していました。
 ただ、舞台に近いドラマの作りというのは、ハードルがかなり高いと思います。たまにNHKなどで放送されている(視聴率度外視の)演劇作品を見ることがありますが、演劇は舞台で見るものであって、テレビを通してみるものではありません。舞台は制約が多いなかで演じるところにかえって面白みがありますが、それを自由なテレビに持ってくると、その制約が目立ってしまいます。つまり、舞台で面白い作品でもテレビで見て面白いとは限らないのです。テレビ創成期にはほぼ舞台作品のようなコメディがよくありましたが、その後テレビ作品は進化に進化を重ねてきました。例をあげれば『HR』(2002~2003年、三谷幸喜脚本)のような話題作もありましたが、テレビで演劇的な作品が成功するのはかなり難しいことです。その高いハードルを越えてくれるかどうか、期待して見続けたいと思います。


束の間の一花(日本テレビ系、月曜深夜) 

 「一つの花」という意味かと思ったら、その意味もかけているのでしょうけど、ヒロインの名前が「一花(いちか)」というのでした。ヒロインの女子大生と大学の若い非常勤講師が、ともに余命宣告をされるという話です。
 私は大学の授業では、年によっては「余命宣告もの」というジャンルのテレビドラマの話をすることがあります。『僕の生きる道』(2003)を代表作とする余命宣告ドラマに共通する意義を考えることがその場合の目的で、『高校教師』(1993年の真田広之・桜井幸子版ではなく、2003年の藤木直人・上戸彩版の方)など多くの余命宣告ドラマを考察に含めています。ただ、主人公2人の両方が余命宣告されるという作品は、私の知る範囲にはありません。1人でもめったにない出来事なのに、2人ともというのは「やりすぎ」じゃないか、ということでしょう。ただ、今回は、恋人同士になってからの余命宣告ではなく、別々の宣告を受けた後に2人が距離を縮めていくので、その点ではまだ許容されるかもしれません。
 初回、2回を見た限りは、その希有な設定を売りものにするような作品ではなく、丁寧な人物の描き方に好感が持てました。余命宣告がなかったとしても見る価値のある作品と思えるので、そこに余命宣告の影響がこれからどのように加わってくるのか、私は期待しています。

最初はパー(テレビ朝日系、金曜23時台) 

 お笑い養成所を舞台に、お笑い芸人を目指す若者たち(中には若くない人もいますが)を描くドラマ。秋元康の企画・脚本作品です。秋元康の企画作品は、これまでにもたくさん見てきました。どれもすべて高評価とまでは思いませんが、どれもすべて目の付け所がさすがだと思いました。今回もそうで、この設定には引きこまれました。ただ、お笑いがテーマなのに全体のトーンが明るくなくて、むしろ昔のスポ根のようです。そのせいかもしれませんが、私は登場人物たちにもあまり共感できませんでした。お笑いがテーマであれば、『べしゃり暮らし』(2019)の方が、深夜ドラマではあるものの、青春群像劇的な明るさと切なさがあって私の好みでした。


silent(フジテレビ系、木曜22時) 

 この作品については、初回を読んだ時点で既に「こういう『こてこてのラブストーリー』の方が心地よい」「おおいに期待したい」という感想を書きました。その後、視聴者の評判もいいようですし、私もこの作品を評価しています。脚本の生方美久はまだ若い脚本家で、坂元裕二や信本敬子の影響を受けているそうです。それを知って、私はとても納得しました。『白線流し』(1996-2005)や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)の雰囲気が、この『silent』という作品のすみずみにまで流れています。このことは、いずれあらためて書いてみたいと思っています。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 10~12月ドラマがほぼ出そろってきました。今回は、今クールドラマでまだ感想を書いていない作品について、ここまで見た感想を書いていきます。

アトムの童(TBS系 日曜21時) 初回視聴率8.9%

 つぶれかけたおもちゃ製作会社「アトム玩具」。しかし、アトム玩具は、他社にはない愛情と熱意をおもちゃ傾け、特許をとった技術もある。そこへおもちゃを利益の道具としか考えない大企業が買収に乗り出す…という話。あれ? これって、『下町ロケット』など「日曜劇場」の定番設定じゃないですか。いくら「日曜劇場」の枠の特色があるといっても、似たような作品が多すぎませんか。
 と思ったのですが、第1回を見てみたら、自分でも意外なほど引きこまれてしまいました。理由の一つは「おもちゃ」という設定。作るものが靴であっても、ロケット部品であっても、そこにかける愛情は変わらないはずでしょう。しかし、「おもちゃ」という子どもの遊びだからこそ、それに賭ける大人の愛情の純粋さに胸が熱くなります。もう一つは配役。小さな製作会社の頑固社長に風間杜夫、仇役になる大企業の悪徳社長にオダギリジョー。この配役がたまりません。風間は若い頃はオダギリのようないけすかない2枚目を演じることが多かった俳優ですが、年とって頑固親父役が似合うようになり、オダギリと対決することに感慨深いものがあります。

 ということで、「似たような設定ばかりじゃないか」と文句をいいながら、結局見てしまいそうです。


君の花になる(TBS系 火曜22時) 初回視聴率6.5%

 売れないアイドルグループ7人と、その共同住居の寮母になった元教師の女性(本田翼)の話。設定からもっとドタバタのコメディを想像していたら、実際はけっこうシリアスな作りになっていて驚きました。しかし、設定やセリフにリアリティが感じられないのにシリアスっぽく描かれてもなあ…という印象を持ちました。この設定なら、いっそ思いきりノウテンキな明るいコメディにしてくれればよかったのに、と私は思いました。
 ところで本田翼は、演技力がどういういわれることもありますが、演じる役どころによってはとても魅力的な女優さんだと思います。『恋仲』のようなシリアスなヒロイン役よりも、『ゆうべはお楽しみでしたね』のような、ちょっとぶっ飛んだ役のコメディの方が、魅力が発揮される女優さんだと私は思っています。その意味からいうと、今のところこの作品の役は、あまりはまっているとは思えませんでした。


トラベルナース (テレビ朝日系、木曜21時) 初回11.9%

 テレビ朝日の放送、中園ミホの脚本、エグゼクティブプロデューサーは内山聖子…とくれば、これはもう『ドクターX』制作陣の新作として捉えるべきでしょう。しかも舞台は病院。とはいえ、第1回を見てみれば、『ドクターX』との共通点と同時に相違点も見えてきます。舞台が病院であっても、今回の主人公(たち)は医者ではなくナース。その意味では、『ドクターX』のように、天才的な技術をもって外科手術をしまくる…という展開はありません。しかし、『ドクターX』と共通するのは「権威を捉え直す」こと。もっといえば、「権威をぶっこわす」ことです。その点からいえば、医師が医師の権威をくつがえすよりも、ナースが医師の権威をくつがえす方が「より過激」であることは疑いないこと。しかも、今作では主人公が二人配され、この二人は「意識高すぎ直球ナース(岡田将生)」と「ミステリアスな変化球スーパーナース(中井貴一)」とのこと。この二人が病院を舞台に暴れ回る、今後の展開を期待したいと思います。

クロサギ(TBS系、金曜22時) 

 黒丸・夏原武の漫画作品が原作で、2006年にドラマ化、2008年に映画化された作品の新映像化です。私には山下智久主演のドラマ作品の印象が鮮明に残っていて、今回の再ドラマ化には期待をしていました。また、「お上の権威に頼る」のではなく、悪には悪で対抗するという「必殺」シリーズ同様の設定には、おおいに興味をひかれます。実際に第1回を見てみると、面白いとは思うのですが、何かぴんときません。その理由ははっきりしないのですが、主人公に次ぐ重要人物である、法学部の女性学性(黒島結菜)の存在意味があまり感じられないせいかもしれません。「詐欺師のプロ中のプロに対して、一方に善良でまっとうな感覚の持ち主を配置する」という意味だろうとは思うのですが、ごく普通のことを大声でがなりたてられてもなあ…という印象です。主人公の黒崎から「キャンキャンうるさい」と言われるのですが、私も同感。『ちむどんどん』に続いて、せっかくの黒島結菜の無駄遣いではないかと感じてしまいました。

Sister(日本テレビ系、木曜24時) 

 お~、これは久しぶりのドロドロ劇ですね。姉(瀧本美織)の婚約者(溝端淳平)を妹(山本舞香)に紹介したところ、その婚約者は妹の初恋の人だった……という話。ああ、ここから姉妹と男性の三角関係が始まるのかと思ったら、第1話最後に姉の本性(たくらみ)が垣間見えるという展開。ますますドロドロした話に進んでいきそうです。裏表のあるミステリアスな姉役を演じるのが瀧本美織。う~ん、芸能界で一番人のよさそうなイメージの女優さんなので、この役にまるで似合いませんが、そこが逆に役にはまるか。つまり表の顔は絵に描いたようないい姉、実は…という人物に見えるか。そこに注目して見ていきたいと思います。


ボーイフレンド降臨!(テレビ朝日系、土曜23時) 

 35歳の女性2人の前に、記憶喪失になった23歳のまぶしいイケメン青年が突然あらわれる…という話。私はあまり興味が持てませんが、こういう設定に胸キュンする女性視聴者が多ければ、これはこれでいいんじゃないでしょうか。とはいえ、ターゲットが明確すぎると、そのターゲットの視聴者から、「私たちは〈こういうものが好き〉って決めつけられているみたいで不愉快」という反応が返ってくることがあるので、そこが難しいところです。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 10~12月ドラマの多くが始まっています。先週に続けて、今クール作品の感想を書いていきます。今回は先週書いていないプライムタイムの1作品と深夜時間帯の作品について、感想を書きます。

PICU 小児集中治療室 (フジテレビ系 月曜21時) 初回10.3%

 北海道知事が先頭に立ち、北海道に小児専門の集中治療室を作ったものの、医師・看護師すら満足に集まらない、さてこの治療室をどうするかのか…というところから出発するドラマ。主人公は、たいした目的意識もなく医師になり、人当たりがいいだけの未熟な青年医師(吉沢亮)。見どころは「組織として完成していく過程」と「個人として成長していく過程」が重ね合わされているところだと、私はみています。いくら最初とはいえ、知事が先頭に立って組織を作ってこんなんですか?絵に描いたようなダメ医者がそんなに急に気持ちを入れ替えますか?と、疑問に思うところもないわけではありませんが、だからこそ、ここから組織と主人公がどのように変わっていくのか、期待を持って見ていくことができそうです。


孤独のグルメ・10 絶メシロード・2(テレビ東京系) 

 シリーズものの2シーズン目以降は、原則としてこのブログでは取り上げていません。とはいえ、テレビ東京系「深夜飯テロもの」は、もはや一大ジャンルであり、少し感想を書いておきます。
 私は「深夜飯テロもの」が好きで、これまでもほとんど全部の作品を見てきました。しかし、何でもいいとうわけではありません。たとえば前クールまで放送されていた『ザ・タクシー飯店』は、町中華という限定で興味が薄れ、さらに食べる役者さんの口の回りの髭が鬱陶しくて、あまり好きになれませんでした。もっと以前に放送されていた『ゲキカラドウ』は、自分が辛い食べものをあまり好まないので、これもすぐ離脱してしまいました。
 その点、元祖「深夜飯テロもの」の『孤独のグルメ』は、このジャンルの定型を作ったともいえる作品で、料理のジャンルも何でも来いのオールラウンドプレーヤーです。オールラウンドすぎて、今となっては特徴がやや薄いという印象もなくはありませんが、やはりこの作品を抜きにして「深夜飯テロもの」は語れないことも確かです。一方の『絶メシロード』は、都内から車中泊で出かけることや、昔ながらの食堂や洋食店などに限定している点が特徴です。とはいっても、飾り気のない食事を一人で思いのままに食べるという、『孤独のグルメ』の精神をもっとも正統に引き継いでいる作品といえるでしょう。料理だけではなく、食堂の歴史や店の人の語りにも味があります。店主役やおかみさん役のキャストにも毎回味があり、その点でも『孤独のグルメ』を彷彿とさせるところがあります。


北欧こじらせ日記 (テレビ東京系、火曜深夜) 

 勤務先が倒産してしまった若い女性社員。フィンランドが大好きな彼女は、日本にいながらにして北欧風の暮らしすることで生き方を見直していく…という話らしいのですが、私にはピンときません。今さら生き方を見直す余地のない私のようなおじさんには、何が面白いのかわかりませんでした。ごめんなさい。
 話はそれますが、私はヨーロッパ20カ国以上に行っていますし、北欧にもデンマーク、ノルウェー、スウェーデンに行っています。ロシアにも(モスクワだけですが)行ったことがあります。しかし、フィンランドには行ったことがありません。北欧でフィンランドだけユーレイルパスが使えなかったから、それで行かなかったように記憶しています(周辺国に行ったのは1990年代のことですので、ユーレイルパスに関する記憶もやや曖昧ですが)。他国に行った頃には、またすぐフィンランドにも行けると思っていましたが、いつのまにかそう思ってから30年近くが経ってしまいました。私がフィンランドに行ける日は、これから先に来るのでしょうか。

夫婦円満レシピ(テレビ東京系、水曜深夜) 

 セックスレスに悩む夫婦が、他の夫婦と一時パートナーを交換することで嫉妬心をかきたて、セックスレスを解消しようとする話。原作漫画は未見ですが、テレビドラマを第2回まで見る限りでは、何を焦点に見ればいいのか迷ってしまいました。設定と放送時間帯からいって、性的好奇心をあおるような興味本位な作品になってもおかしくないのですが、そこまできわどい作品でもありません。セックスレス夫婦の悩みや心の中が丁寧に描かれているかというと、第2回までではそこまで評価できるとは思えませんでした。その点では、過去の作品ですが、エッセイ『夫のちんぽが入らない』をドラマ化した、フジテレビ作品に軍配が上がるように思います。

帰らないおじさん(BS-TBS系、木曜23時) 

 BS放送の作品ですが、少しだけ感想を書いておきます。会社員の男性(光石研)が、仕事帰りに公園に寄り、おじさん仲間(高橋克実・橋本じゅん)と一緒に子どものような遊びをして、家になかなか帰らないという話。子どものような遊びとは、「棒を投げて向いた方に歩いていく」とか、「昔なつかしい野球盤で遊ぶ」とかです。見ていて面白いかというと、ほとんど面白くありません。しかしながら、すでに見たようなドラマばかり多くなる昨今、こんな作品を作って放送していることに驚嘆します。だって、おじさんが3人集まって子どもの遊びをするだけの番組ですから、よくこんな作品を制作して放送したもんです。その意欲に座布団1枚!


※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 10~12月ドラマ放送が徐々に始まっています。何回かに分けて、その感想を書いていきたいと思います。ブログを書く時間が十分とれないので、まず今回はプライムタイム作品で、放送が始まっているものから簡単に感想を書くことにさせてください。


ファーストペンギン 
(日本テレビ系 水曜22時) 初回8.9%

 それまでまったく関係のなかった漁業の世界に飛び込み、その仕組みを変えようとしたシングルマザーの実話を映像化したドラマ作品です。派手な見栄えする題材とはいえませんが、初回を見たら引きこまれました。
 これは一種の「ミニ朝ドラ」といえなくもありません。朝ドラの一つの典型は、「男性ばかりの職業に挑戦して成功したパイオニア的女性」というものです。その意味で、この作品の根底にはNHK朝ドラの精神がこめられています。朝ドラほどの放送時間が確保できない以上、朝ドラのように、主人公の子どもの頃から丁寧に描き出すというわけにはいきませんが、それでも、現代の視聴者に応援してもらえる要素は十分含まれていると感じました。

親愛なる僕へ殺意をこめて(フジテレビ系、水曜22時) 初回4.5%

 凶悪な殺人事件から15年。その殺人犯の息子が大学生になるが、自分が二重人格であることに気づき、自分の知らないうちに殺人を起こしているのではないかと疑い始める…という話。設定には興味ふかいものがありますが、いかんせん拷問だの猟奇殺人だのと、話と映像が気持ち悪すぎます。私はこの手のグロい描写が苦手なので、初回だけでもはや離脱しそうです。
 ということでこの作品から外れた思い出話ですが、この手の多重人格を題材にしたミステリーというのは昔からありました。私がもっとも印象深い作品は『私という他人』(1974年、TBS系)でした。当時高校生だった私は、その原作本の日本語訳をわざわざ手に入れて読んだほど、強い関心を持ちました。三田佳子が、一人の主人公を全く異なる人物のように演じ分けて、俳優の演技の凄さというものを思い知らされた作品でもありました。単なる謎解きでも、視聴者を気持ちわるく感じさせるのでもなく、画面の迫力そのもので視聴者をひきつけていました。こうした作品だったら見てみたいと今でも思います。

silent (フジテレビ系、木曜22時) 初回6.4%

 高校時代に恋人同士だった紬(川口春奈)と想(目黒連)だが、突然想の方から別れを切り出す。そして8年後、紬は同じ同級生だった湊斗(鈴鹿央士)と恋人同士になっているが、想が聴覚を失っていたことを湊斗が知る……という話。近年珍しい正統派の恋愛ドラマです。
 実らなかった初恋、難病、隠されていた別れの理由、年月を経てからの再会、同級生同士の三角関係……。ああ、これはもう「こてこてのラブストーリー」という他ありません。私は古い世代の人間なので、「恋愛ドラマなのか何なのかわからないような恋愛ドラマ」って、あまりピンときません。ドラマ研究者としては、そういう作品の方が現代的だということはよく論じているのですが、自分自身は、こういう「こてこてのラブストーリー」の方が心地よい気がします。現代視聴者にはそれほど支持されないかもしれませんが、私はおおいに期待したいと思っています。

祈りのカルテ(日本テレビ系、土曜22時) 

 知念実希人原作小説のドラマ化作品。主人公は、「知識も技術もない研修医だが人の顔色を読むことはうまい」という人物。その主人公(玉森裕太)が患者に寄り添い、患者の心の謎を解き明かす話です。「ハートウォーミング・ミステリー」と呼ぶそうで、たしかに初回を見る限り、その看板に偽りはありませんでした。いささか都合がよすぎるというか、「そんなの他の誰も気がつかなかったの?」「患者さん、そんなに簡単に心境が変わるの?」と疑問に感じなくもありませんが、見終わって心地よさが残ることは確かです。私は「動機や人間性を軽視した高度な謎解き比べ」にはいささかうんざりしているところがあり、人間の心の中を重視したこういう作品なら、見続けていけるような気がしています。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )










 事情があって、3日連続で外食をしました。
 ただ、一人で夜に和食系のものを食べようとすると、居酒屋さんのようなところになりやすいんですよね。私は外でお酒を飲まないので(家でもあまり飲みませんが)、居酒屋さんのようなところにはあまり行きません。「天狗ダイニング」は食事だけでも平気なのでわりと好きですが、今回はそういう場所がありませんでした。
 というわけで、いわゆる「ご飯屋さん」「定食屋さん」のようなところに3日連続で行きました。結果として、1日目は「鯖(さば)塩焼き、豚汁」、2日目は「鯖塩焼き、すき焼き煮、天ぷら、チキンとオクラ」、3日目は「鯖塩焼き、茄子味噌炒め、冷や奴」になりました。なんだこれ、3日とも鯖(さば)塩焼き食べてるじゃないか!
 特に意図したわけではないのですが、フライや唐揚げなどの揚げものを入れず、わりと家庭的なご飯を食べようと思ったら、結果的に3日間とも焼き魚を食べることになりました(「天ぷらという揚げものが入っているじゃないか」というツッコミを入れないでください)。外食を自らすすんでしたいわけではありませんが、気持ち的にはわりと満足した、よい食事ができたと思っています。ちなみに、茄子味噌炒めという料理は10年ぶりくらいに食べたような気がします。味がやや濃いめではありましたが、炒めた茄子の心地よい食感を久しぶりに味わいました。美味しかったです。
 また、一人で外食をすることがあれば、こういう「ご飯屋さん」「定食屋さん」のようなところに、また行こうかなと思っています。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。





コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 このブログに何度か書いたこともあるテレビ深夜番組に、今週も出演します。文才のある芸人さんが文章を書いて競い、私がその判定をします。このシリーズも今回が最終回で、「第1回文才王決定戦」として、これまで高く評価された文章を書いた3人の芸人さんが、新たな文章を書きます。
 『お願い!ランキング そだてれび』(テレビ朝日)
  9月27日(火)24時45分~ ※日付は水曜日

------------------------------------------------------------------------------------
 私が勤めている中央大学文学部国文学専攻には国文学会という組織があり、その研究発表会がおこなわれました。今年は久しぶりに対面開催となりました。
 この発表会では、学会員なら誰でも発表できますが、通常はその年度に修士論文を提出する予定の大学院生が発表することになっています。今年度の発表者は修士論文提出予定者8名。プログラムは下記の通りです。

 研究は一人で黙々とおこなうという一面はあります。研究分野にもよりますが、「個」の力と努力が必要なことは言うまでもありません。しかし、その一方で、多くの人の知恵を借りることが大切な場合もあります。大学院生であれば、指導教員から指導を受けることはもちろん、他の教員から、大学院の先輩・後輩から、多くのアドバイスをもらうことも必要です。
 この国文学会研究発表会はそのような機会です。8人の大学院生たちがこの機会に多くの有益な助言を受け、各自の研究成果へと結び付けていってくれることを願っています。

 花散里論 ─橘とほととぎすの持つイメージについて─
  三浦 香乃 (博士前期課程)

 和泉式部の身体表現と四季詠について
  飯塚 瑞乃 (博士前期課程)

 「銀の匙」論 ―「東京朝日新聞」という媒体の作用をめぐって

  田井 康平 (博士前期課程)

 谷崎潤一郎「美食倶楽部」における幻想の根源

  四井 万緒 (博士前期課程)

 夢野久作の思想の流れ ―海外背景の作品群に基づいて―
  李 兆青 (博士前期課程)

 日本文学におけるピュグマリオン・コンプレックスの描写
  家村 文響 (博士前期課程)

 澁澤龍彦『唐草物語』における語りの構造
  阿部 菜々香 (博士前期課程)

 『1Q84』におけるシステムの危険性と対抗方法をめぐって

  趙 淳青 (博士前期課程)



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 私は文学研究者・テレビドラマ研究者であり、フィクション作品全般を研究対象としています。膨大なドラマ作品を見るのに専念する余裕がないので、私は仕事をしながら耳だけドラマの音を聞いている時間が長くあります。本当はそんな「ながら視聴」ではなく、ドラマを見ることに集中したいのですが、残念ながらそういう余裕がありません。そんな中で、ドラマなどのフィクション作品以外にもテレビを見ることはあり、ドキュメンタリー作品を耳で聞きながら仕事することもあります。
 NHKのドキュメンタリーといえば、その名も『NHKスペシャル』が以前は思い浮かびましたが、近年は『アナザーストーリーズ』と『映像の世紀』の出来がすばらしいと思っています。この2つのシリーズについてはあらためて書きたいと思いますが、どちらも見ごたえのあるドキュメンタリー作品で、勉強になることが多々あります。『アナザーストーリーズ』は、硬派の内容もあれば、文学、芸能、音楽などのテーマもあり、その多様さが大きな特徴です。一方の『映像の世紀』は政治面などを中心とした歴史的資料が多く用いられているのが特徴です。中でも、今週放送された「9・11同時多発テロへの点と線」は出色の出来映えでした。これほど見ごたえのあるドキュメンタリー作品は、そうそう見られるものではないとまで感じました。
 ただ、好みの問題もあるとは思いますが、多少不満に思う作品もあります。ドキュメンタリーというよりは科学番組なのかもしれませんが、近頃よく放送されている『コズミックフロント』のことは、いまひとつ好きになれません。私は、宇宙にも関心があるのですが(これについてはいずれあらためて書きたいと思います)、『コズミックフロント』は、関係者の証言部分がやたらに長くて退屈です。私は最先端の知識を凝縮して知りたいのであって、関係者が「そのとき私は息を呑みました」とか「やった、歴史的瞬間だと思いました」とか、そういう証言ばかりに時間をとられていて、まるで『プロジェクトX』の宇宙版を見せられているようです。(『プロジェクトX』は嫌いじゃありません。しかし、懐古趣味という一面はあります。懐古的な科学番組というのは私の好みに合わない、という意味からのたとえです。)
 そういう不満な場合もありますが、ドキュメンタリー作品についてはNHKの独壇場といえると思っています。NHKにはNHKでないとできない番組を制作してほしいし、そうでなければ単なる民業の圧迫になるだけだ、というのが私の持論です。その意味では、ドラマ作品とともにドキュメンタリー作品の分野では、NHKの存在はきわめて大きいと私は考えています。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 以前にもここに書いたことのある『お願い!ランキングそだてれび』(テレビ朝日)の「文才芸人」コーナーに毎回出演させてもらっています。次回放送は明日9月13日(火)24時45分~です。(日付は水曜日になります)
 文才のある芸人さんが400字程度の文章を書いて競い、その勝敗の判定や文章へのコメントをするのが私の役割です。今回は総集編で、これまで文章を書いた22人の芸人さんの38本の文章の中から、私がベスト5を選ぶという企画です。芸人さんの中には小説やエッセイ本を出版している人もいて、どれもレベルが高く、選ぶのがたいへんでした。ベスト5となると、もはや芸人さんの余技とは言い難い出来映えです。深夜ですが、よろしければご覧ください。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )





 今週、3年ぶりの対面ゼミ合宿に行ってきました。
 「3年ぶりの」は「対面」実施が3年ぶりという意味であって、「合宿」そのものは一昨年も昨年もおこないました。ただ、昨年までの2年間はオンラインゼミ合宿でしたので、対面で実施したのが3年ぶりだったということです。
 中央大学文学部宇佐美ゼミでは、この合宿行事をとても重視しています。所属する文学部国文学専攻では3年生と4年生の2年続きの合同ゼミが必修科目になっています。宇佐美ゼミは各学年20名以上の履修者がいることが多く、合計すると40~50名の大所帯となります。通常の授業時間だけでは研究発表や卒業論文に関する発表の時間がとれず、合宿で卒業論文中間発表をするというのが、合宿重視の第一の理由です。
 しかし、理由はそれだけではありません。宇佐美ゼミを卒業する学生の多くが「一番楽しかったのはゼミ合宿」「ゼミ合宿でみんなとの人間関係が深まった」という感想を述べていきます。そのような研究を通じたゼミ生同士の関係を深めることも、宇佐美ゼミで合宿を重視しているもう一つの理由です。



 実際に対面ゼミ合宿を実施してみて、研究面・親睦面の両方で大きな意義があったと実感できました。とりわけ、宇佐美ゼミ恒例のバレーボール大会の盛り上がり方はたいへんなものでした。はしゃぎまくっている、とでも呼びたいような学生たちの盛り上がり方を見ていると、この学生たちは「大学生らしい学生生活の時間を十分に持ててこなかったのはないか」という気持ちも湧いてきました。それは私の思い込みにすぎないのかもしれませんが、嬉しそうな学生たちのようすに接することができて、労力をかけて合宿を実施した教員としての私も報われたような気持ちになりました。



※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 書くのを忘れていましたが、その後も『お願い!ランキングそだてれび』に出演させてもらっています。文才のある芸人さんの書いた文章に対して、文学研究者の立場からコメントするのが私の役割です。当面の出演予定は下記の通りです。9月13日分からは、芸人さんたちにこれまで書いてもらった文章の中から、ベスト作品を選ぶ企画に移ります。

 『お願い!ランキングそだてれび』
  9月6日(火)24:45~
  9月13
日(火)24:45~

☆-----------------------------------------------------☆
 さて今日のテーマについて書きます。
 今から4年以上前に放送された作品ですが、『明日の君がもっと好き』というテレビドラマがありました。今日はこの作品のことを書きます。特別に高い視聴率や高い評価を得た作品とはいえませんが、私には強い印象が残っています。

 この作品は、一種の群像劇ともいえる構成をとっています。そして、描かれる誰もが、なんらかの困難を抱えて生きています。主な登場人物は下記の通りです。

松尾 亮(市原隼人)
 造園職人。妹のように育った香との結婚を勧められるが、茜に惹かれていく。
里川 茜(伊藤歩)
 社長秘書。妹に婚約者を奪われた後は不倫の恋愛を繰り返す。
丹野 香(森川葵)
 自分が同性愛者なのかわからず、性的アイデンティティに悩む。
城崎 遥飛 (白洲迅)
 エリート社員だが、幼児のときの母親の虐待から女性を愛せない。
黒田 梓(志田未来)
 茜の妹。姉の婚約者と結婚したが、香に関心を持ち始める。

 この作品がなぜそれほど印象に残っているかといえば、その提示している課題が鮮烈であるのと同時に、それが描ききれていないという惜しまれる部分もあったからです。上記のように、登場人物はみな困難を抱えて、悩みながら生きている人たちです。その人たちが苦しんで自分の生き方を見出そうともがいているようすを描き出しているところに、私は強い感銘を受けました。
 その一方で、この作品の放送回数はわずか7回。これだけの複雑な問題が設定され、重要人物の人数が多いのにもかかわらず、残念ながら消化不良のまま終わってる印象はありました。一言でいえば、大きなテーマに取り組んだものの、描こうとしたことが大きすぎて、十分に描ききれてていなかった、そういう作品だったように思います。そういう欠点も含めて、私には印象深い作品だったのです。
 脚本は、ベテラン脚本家の井澤満。この脚本家は、うすっぺらな娯楽作品は書かない方なので、この作品もその傾向が顕著に出ていました。その井澤の、おそらく最後のテレビドラマ作品がこの『明日の君がもっと好き』だったと思います。DVDも発売されておらず、今見るのが困難な作品なだけに、こういう重要な作品があったことを、ここに書きとどめておきたいと思いました。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。






コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




 全国高校野球選手権大会(いわゆる甲子園大会)で仙台育英高校が優勝しました。
 私はスポーツ好きです。するのも見るのも好きです。スポーツだけではなく、囲碁・将棋などを含めて、基本的に勝負ごととそれに関係する作戦や心理的な駆け引きが好きです。ただ、スポーツ競技が好きだからその実際の試合が好きとは限りません。以前にボクシングについて書いたように、ボクシングという競技には大きな魅力を感じますが、それを運営している団体・組織には問題が山ほどあるように思います。
 それほどまでではありませんが、高校野球には複雑な思いがあります。あの集団主義や上下関係、頭髪丸刈りに見られる前時代的な精神主義には、共感できないところが多くあります。
 それでも、東北育ちの私にとって、今回の仙台育英高校の優勝にはこみあげてくるものがありました。ただ、その理由は、仙台育英高校への親近感だけではありません。たしかに宮城県で育ち、仙台育英高校に通った友人・同級生も私にはたくさんいました。私が高校時代に部活動の練習場所にしていた宮城県営陸上競技場のサブグラウンドは、仙台育英高校や聖和学園といった、地域の高校も一緒に練習場にしていました。ですから、なおさら仙台育英高校に親近感を持っています。しかし、私が今回の優勝に感激した最大の理由は、過去の東北勢の歴史なのだと思います。
 夏の大会で過去9回の東北チームが決勝戦で敗退、春を含めれば合計12回の決勝戦敗退をしています。常に勝ち続けている者ではなく、敗れる者を応援したいと、私は思い続けてきました。1969年に太田投手を擁した三沢高校、1971年に田村投手を擁した磐城高校、1989年に大越投手を擁した仙台育英高校、2003年にダルビッシュ投手を擁した東北高校、2018年に吉田投手を擁した金足農業高校など、東北チームが決勝で敗退するたびに、東北育ちの私は残念な思いをしてきました。その思いがあるからこそ、今回の仙台育英高校の優勝にこみあげる気持ちがあったのだと思います。
 高校野球を素直に応援できない思いもありますが、一方で今回のような感動的な気持ちにさせられる力が高校野球あることも、感じざるを得ませんでした。これからも高校野球を、複雑な思いと一緒に見続けることになると思いました。

※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜日)の更新を心がけています。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 前ページ