フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 





 私が勤める中央大学(文系)の授業時間が、今年から10分延びて100分となりました。そのことも多少は影響して(多少ですが)、今年から授業中に授業支援システムを使ったアンケートを適時実施することにしました。
 今までは、授業の中で「この小説を読んだことある人?」とか言って、履修者に手を上げてもらうくらいがせいぜいでした。しかし、それでは「Yes」「No」の二択しかできませんし、質問内容によっては学生の側の遠慮というのもあります。そこで、responというシステムを使い、学生が自分のスマホを経由して、私の質問項目に回答する時間を設けることにしました。
 今年の前半期の講義科目のテーマは「テレビドラマ脚本家」です。まだ授業が始まったばかりなので、授業内容に基づく質問というよりは、これまでのテレビドラマ視聴傾向を尋ねてみました。その結果の一部がこちらです。
 アンケートの対象者は私の講義科目履修者で、この日の出席者は135名です。135名という数字は、アンケートのサンプル数としては十分とは言えませんが、それでも一定の傾向を見ることはできます。たとえば、冒頭のアンケート。一般には「現代は恋愛ドラマ不毛の時代」「現代の若者は草食的」ということがしばしば言われていますが、このアンケートでは、現在全盛の推理ものジャンルにほぼ近いくらいの人数が、恋愛ドラマを見ると回答しています。こうしたことを通じて、世間一般のイメージが本当なのかどうかということを、これからも大学生アンケートを通じて検証していきたいと思っています。
 以下、いくつかのアンケート結果を示しておきます。



※テレビを見る時間の多さは、ほぼ4分の1ずつに分かれました。




※テレビのジャンルとして「ヴァラエティ・お笑い」が強いというのは、世間のイメージ通りかもしれません。ただ、ドラマも健闘しているという印象です。




※大学生アンケートということもあるのか、SNS等でも話題になったことがあるのか、『3年A組』視聴者が多いいという結果でした。私の一押しは『義母むす』なんですけどね。



※朝ドラ、帯ドラ、大河ドラマで質問してみました。キャストが若者向けのためもあってか、『半分、青い。』が強いという結果でした。大学生に『やすらぎの郷』を見てるか聞くのは、ちょっと無理でしたかねぇ。



※テレビドラマに限っての質問ですが、「録画視聴」がかなり多いことに驚かされました。オンデマンド視聴も浸透しつつあることがわかります。


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 4月から6月にかけてのクールのテレビドラマが放送されています。まだ初回だけの作品も多いのですが、始まった主な作品について、先週に続いて簡単な感想を書いてみましょう。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

 パーフェクトワールド     (フジテレビ、火曜21時) 6.9%
 原作は有賀リエの漫画。昨年映画化されたのに続く映像化作品です。現代は恋愛ドラマが人気のない時代と言われ、実際に初回視聴率も6%台でした(ただし、関西地区では10.3%)。しかし、私が古い世代の人間だからか、この作品の初回をたいへん興味深く見ました。
 高校時代に同級生だった2人、建築士の鮎川樹(松坂桃李)とインテリア会社勤務の川奈つぐみ(山本美月)。樹は大学生のときに事故で下半身不随となっています。この設定から思い出されるのは『ビューティフルライフ』(2000)でしょう。美容師役の木村拓哉と車椅子生活の図書館員である常盤貴子の恋愛ドラマで、高視聴率をとった大人気ドラマでした。
 初回を見る限り、『ビューティフルライフ』との共通点は数多くあります。しかし、もちろん共通点だけではありません。『ビューティフルライフ』は障がいを持つ人の恋愛の難しさを描いてはいますが、基本的にとても「綺麗」なドラマでした。「困難」はあってもその困難なところがまた美しく描かれていました。それに対して『パーフェクトワールド』では、樹の排泄の失敗を描く場面があるなど、けっして綺麗な描かれ方だけがされているわけではありません。詳しくは省きますが、1990年代は、障がいを持つ人物を主人公とするドラマが数多く制作され、放送された時代でした。それから20年ほどが経ち、障がいに対する社会の理解も考え方も進みました。1990年代の障がいを持つ人物を描くドラマには、障がいの困難に注目するという大きな意義があったものの、「障がい者=困難を乗り越えてひたむきに努力する人たち」というステレオタイプに描いた一面も否定はできません。テレビドラマですから、「美男美女だから」という一面はどの作品でも避けられませんが、たとえば排泄の困難といった内容までふみこんで描いているところは、1990年代のドラマとは異なった社会のあり方を反映しているものとして、私は肯定的に評価したいと思いました。

 
  わたし、定時で帰ります。     (TBS系、火曜22時) 9.5%
 原作は朱野帰子の小説。主人公は、けっしていいかげんに仕事をするわけではなく、集中して仕事をして、毎日定時に会社を出て、自分の生活を楽しむ女性・東山結衣(吉高由里子)です。その周囲には、旧来の仕事の考え方から少しも変わらない上司や先輩社員と、逆に周囲と協調できない若いモンスター社員らがいます。たしかに長時間労働の是正や働き方改革がいわれる時代にふさわしい、現代的課題を扱った作品になっていると思います。
 たしかにそうなのですが、初回を見る限りはまだその魅力が十分に伝わってきません。私は、働き方改革なんてどこの話?という猛烈な働き方を自分がしていますが、もちろん、ドラマに登場する古い考え方の上司には共感しません(というより今どきこんな上司がいたらアウトでしょう)。一方で、モンスター社員なんてものにも少しも共感ができません。といって、主人公がその間のちょうどよい存在とも思えませんでした。また、実際に残業せざるを得ないで働いている多くの視聴者は、どのような気持ちでこのドラマを見るのかとも感じました。『ドクターX』や『ハケンの品格』のように、悪役と主人公を明確に二分するのは単純すぎるとしても、初回だけではまだ痛快さ、心地よさまでは感じませんでした。次回以降の展開に期待したいと思います。

 俺のスカート、どこ行った?   (日本テレビ系、土曜22時)
 学校の型破りな先生を主人公とするドラマ作品は、これまで数多くありました。この作品もその一つ。では、どのように型破りかというと、主人公は52歳のゲイの女装家なのです。そこで、偏見や無知を持って先生に接する生徒たちと向き合い、生徒たちの目を開かせていく…というストーリー。
 近年、男性同性愛者を描くテレビドラマ作品が増えてきました。以前は男女ともに同性愛者を描くことは、テレビの世界では避けられてきました。それが近年になり、いわゆる「おねえタレント」が大量にテレビに出演するようになり、ドラマでも『おっさんずラブ』がヒットするなど、男性同性愛がタブー視されなくなってきました。とはいえ、男性同性愛はほとんどの場合、「笑いがとれる」存在として描かれています。つまり、女性同性愛は陰湿でテレビ向きではない、男性同性愛は笑いがとれるのでテレビ向き、ということになるのでしょうか。だとしたら、それでいいのかという疑問は残ります。
 一般論はそのくらいにして、この作品に戻りましょう。たしかに、ゲイの女装家の先生が生徒たちを変えていくところには期待ができます。ただ、ドラマですから、誇張や演出は多くあります。実際の学校だったら、してはいけない行為や言ってはいけないセリフがたくさん出てきます。フィクションですから、そのデメリット以上にドラマとしての楽しさと偏見を解消していけるメリットがあれば、それはそれで許されることでしょう。この作品にそれだけの価値、フィクションであることの誇張を超える意義があるか、それを今後も見て、確かめていきたいと思っています。 

 東京独身男子  
(テレビ朝日系、土曜23時) 5.7%
 銀行員の石橋太郎(高橋一生)、審美歯科医の三好玲也(斎藤工)、弁護士で事務所経営者の岩倉和彦(滝藤賢一)の独身3人男を描くドラマ。自分たちは高スペックであると自認し、「結婚できない」のではなく、「AK男子(あえて結婚しない男子)」ととらえています。というと、いわゆる「独身貴族」といった、金もあり、仕事もあり、外見もよく、恋愛も自由、という優雅な人たちをイメージしますが、3人それぞれに問題も抱えていて、「高スペックだけどちょっとイタい男たち」です。
 面白いのですが、初回の感想としては焦点がやや明確でないように感じました。簡単にいえば、かっこよく見せたいのか、かっこ悪く見せたいのか、判断に迷いました。たぶん両方なんでしょう。「高スペックだけどちょっとイタい男たち」なんですから。ですけど、そうなると憧れていいのか、笑っていいのか、気持ちがすっきりしないんですよね。私の好みとしては、もっと徹底して笑わせてくれた方がいいのに、と思いました。

 ミラー・ツインズ Season1   
(フジテレビ系、土曜深夜時) 3.9%→2.9%
 東海テレビ・WOWOW共同製作連続ドラマで、Season 1がフジテレビ系、Season 2がWOWOWで放送予定だそうです。うーん、地上波を見せておいて、続きは有料放送で、というのは近年ときどきありますし、その戦略はよくわかりますが、視聴者の都合を考えるとどうなんでしょう?
 話の中身としては、幼い双子の兄弟のうち兄だけが誘拐されて行方不明になり、その20年後を描くという設定。弟・葛城圭吾(藤ヶ谷太輔)は警察官になり、事件を捜査するうちに兄・葛城勇吾(藤ヶ谷太輔=二役)が生きていることを知る…という展開。韓国ドラマっぽい、というのか、あり得ないような展開ながら、その強烈さに視聴者を引き込もうとする作品になっています。自分だけ誘拐されたから、弟に復讐しようとするのかよ、とか、2人の間で復讐の手助けをする女(倉科カナ)何考えてるんだよ、とか。ツッコミどころは満載ですが、それは織り込み済みなのでしょう。それでもついてきてくれる視聴者向けのドラマです。

 あなたの番です  (日本テレビ系、日曜22時半) 8.3%
 日本では1クールといって、ドラマを3か月単位で放送することが通常ですが、この作品は2クール連続・半年間の放送。テレビドラマは人気が出るかどうかの当たり外れが激しいので、視聴率がとれなかった場合に話の途中で打ち切れないテレビドラマは、長期間放送しにくいという事情があります。ですので、最初から半年間放送とするのは珍しいことで、テレビ局にとってはかなりの冒険となります。
 話は、新婚夫婦がマンションに引っ越してくるところから始まります。そこで住人たちの「交換殺人ゲーム」に巻き込まれるというミステリードラマ。まず感じるのは登場人物が多いこと。交換殺人がテーマで、かつ半年間の長期放送ですから、必然的に登場人物が多くなるのでしょう。ただし、近年のテレビドラマでは、一話完結でわかりやくすくてテンポが速いものが好まれています。それに逆行するような作りになっているところが、面白いところでもあり、心配なところでもあります。
 もう一つ感じるのは、主人公夫婦に原田知世と田中圭を起用しているところ。2人とも、ミステリーとか殺人とかには似合わない穏やかの雰囲気を持つ俳優です。そこは十分に計算済みでしょう。むしろ、年齢差があるとはいえ、普通の穏やかな夫婦が信じられない世界に引き込まれていく。そういう展開にこそ、非日常を日常的に見せる仕掛けがあるように思います。


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 4月から6月にかけてのクールのテレビドラマが始まりました。まだ初回だけの作品が多いのですが、始まった主な作品について、簡単な感想を書いてみましょう。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

 ラジエーションハウス    (フジテレビ、月曜21時) 12.7%
 原作は、横幕智裕(作)モリタイシ(画)の漫画。医師免許を持ちながら診療放射線技師として働く五十嵐唯織(窪田正孝)ら、技師たちの活躍を描く作品です。勧善懲悪とまでは言いませんが、「傲慢な医師たち」と、それを支える「確かな技術と患者への熱い思いのある技師たち」という対比が明確で、エンターテイメント作品としてはよく出来ていると思います。医療ドラマは多くあるとはいえ、放射線技師たちに着目したところにオリジナリティがあります。ただ、「医師」と「技師」を対比しているのに、主人公は「医師の資格を持ち、医師としても将来を嘱望されたながら、技師として活躍する」っていうのはどうなんでしょうか。それなら、結局「技師」としてだけの人よりも「医師」の方が偉いということになりませんか。 そこは見続けて確かめていきたいと思います。

 白衣の戦士!     (日本テレビ系、水曜22時) 10.3%
 元ヤンの新米ナース・立花はるか(中条あやみ)と、指導係の先輩ナース・三原夏美(水川あさみ)のコンビを描いた病院ドラマです。はるかは、熱意はあるが要領が悪くて失敗も多い。そのはるかがしっかり者の夏美に叱られながら、一緒に患者と向き合っていきます。いわゆる「安心して見られる肩のこらない娯楽作品」で、見ていて外れはない作品です。とはいえ、あちこちで指摘されているように、観月ありさと松下由樹の出演で人気となった『ナースのお仕事』と似すぎていt、新鮮さはありません。たしかにそうなんですが、『ナースのお仕事』のパート4は2002年の放送。その後の単発放送はあるものの、連続ドラマ最終作からはもう17年。この作品を知らない若い視聴者も多いので、いくら似ててもいいのかもしれません。

緊急取調室3  (テレビ朝日系、木曜21時) 15.2%
 人気作品の第3シリーズなので、もう説明は必要ないでしょう。天海祐希演じる真壁有希子を中心とする緊急事案対応取調班の活躍を描きます。タイトル通り、取調室の中の警察官と容疑者の緊迫の対決が見もの。真壁の周囲を固めるのは、田中哲司、でんでん、小日向文世、大杉漣らの個性的な中高年男性たちでしたが、大杉が亡くなり、今シリーズからは代わって塚地武雅が加入。先日まで放送された『メゾン・ド・ポリス』と同じくオヤジたちがそろったドラマですが、本家はこちらです。テレビドラマは映像を見せるもの。だとすれば、派手なアクションなどがありませんが、その分、濃いオヤジたちがそろった絵は、それだけで十分な見ものです(「見もの」です。「見世物」じゃないですよ)。自白偏重の捜査のあり方を見直すというのが現代社会の趨勢ですが、ここでは自白がさせることがメイン。いいじゃないですか。どうせ時代遅れみたいなおじさんたちばかりなんですから(笑)、思い切り自白重視の捜査を見せてください。

 ストロベリーナイト・サーガ  (フジテレビ系、木曜22時) 7.8%
 原作は誉田哲也による警察小説。それを単発放送、連続放送、映画などで、いくども映像化されてきました。これまでは姫川玲子を竹内結子が演じてきましたが、今回は二階堂ふみが演じ、亀梨和也とW主演となります。しかし、ドラマ研究者なのに申し訳ありませんが、私はグロテスクなものや残酷なものが大の苦手です。それでも初回は我慢して見ましたが、「こういうのが好きな人もいるんだなあ」というのが正直な感想です。そんな中で、二階堂ふみの芸達者には感心しました。大河ドラマでは『軍師官兵衛』では、淀君を思い切り悪女として演じたと思えば、『西郷どん』では、奄美大島の純朴で一途な娘を演じて、まったく異なる面を見せました。どちらもこの人ならではと思わせる演技力はさすがです。『この世界の片隅に』の遊女役もまた見事でした。その演技力はすごいと思いますが、やはり来週から続けて見るのかなあ、と思うと、グロいのはちょっとつらいです。仕事もたいへんなので、やはりテレビには癒やしがほしいなぁ~(私の心の声)。

 インハンド    (TBS系、金曜22時) 
 原作は朱戸アオの医療漫画。右手が義手の昆虫学者・紐倉哲を山下智久が演じ、彼の助手になる医師・高家春馬を濱田岳が、女性官僚・牧野巴を菜々緒が演じます。確かにこの組み合わせは魅力的ですが、この設定には既視感が強くあります。理系の天才研究者と振り回される助手、そして女性公務員という組み合わせは、もはや『ガリレオ』ですっかり見慣れてしまっています。ただし、違うのは、主人公が寄生虫学者だということ。うーん、『ガリレオ』の物理学者と比べると、寄生虫って気持ち悪いわぁ(苦手が多くてすみません)。毎回、いろんな寄生虫が出てくるんでしょうか。おえ~。私は、そうでないことを願っています。

 きのう何食べた?  (テレビ東京系、金曜深夜) 3.2%
 原作はよしながふみの漫画作品。弁護士・筧史朗(西島秀俊)と美容師・矢吹賢二(内野聖陽)のゲイカップルの食生活が描かれるドラマ。テレビ東京の深夜枠には意欲的で興味深い作品が多く放送されてきましたが、それにしても、この枠で西島秀俊と内野聖陽がゲイカップル役で出演するとは驚きです。ここからはまったくの推測ですが、俳優にとって「はまり役」「イメージ通りの役」ではなく「意外な役」を演じたいという強い欲求があるのではないでしょうか。そういえば、村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくる五反田は二枚目俳優で、依頼されるのはさわやかな青年役ばかり、職業は医者とか教師ばかりを演じさせられて嫌になると嘆いていました。プライムタイムの予算も多くかかっている作品では冒険できないが、この枠なら「イメージ通り」ではない役をやらせてくれる。そんな試みの場になっているのが、このテレビ東京系の「ドラマ24」枠なのではないかと思っています。


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 『毎日新聞』 2019年4月6日夕刊にNHK連続テレビ小説 時間早めて視聴率回復 朝ドラ「なつぞら」で通算100作 高い自由度、大胆な脚色もという文化特集記事が掲載され、そこに私のコメントも掲載されました。
 今回放送されている 『なつぞら』 は、「朝ドラ」(正式名称は「連続テレビ小説」)の記念すべき100作目。このことから、各メディアで「朝ドラ」を考える特集がなされています。今回の『毎日新聞』記事もその流れにありますが、かなりの字数を割いていて、新聞としては「朝ドラ」の歴史と現在を詳しく考察しているところに特徴がありました。その記事内容は、『毎日新聞』やそのデジタル版に譲りたいと思います。

 さて、その記念すべき100作目である『なつぞら』は、今のところ好調にすべり出しているように感じます。内容は、戦災孤児である主人公・奥原なつが、父親の戦友に引き取られ、北海道の農場で暮らすところから始まります。「朝ドラ」は、1961年から始まっていることもあり、「朝ドラ」の歴史と日本の戦後史は重なり合うところが多くあります。記念すべき100作目となる「なつぞら」では、その戦後史が強く意識されているようです。
 また、主人公はやがてアニメーターという職業に就きます。スタジオジブリの人気や一昨年の『君の名は。』の大ヒットで知られるように、今やアニメーションの世界は日本の花形産業といってもいいでしょう。しかし、なつが飛び込むのはまだ創生期のアニメ産業。戦災孤児が、生活にも困る中から成長し、アニメ産業とともに夢をかなえていく…。まさに日本の戦後の復興と成長が、主人公にそのまま重なるように描かれることでしょう。

 その他にも、フルアニメーションのタイトルバックは「朝ドラ」では初めてですし、スピッツの曲も加わって、朝から癒やされます。ドラマとスピッツといえば、私は『白線流し』の頃からのファンなので、その点でも嬉しくドラマを見ています。内村光良のナレーションは悪くはありませんが、特に良いとも思えないのが、唯一弱点でしょうか。まさかNHKコント番組のメインキャストだから、内村さんをナレーターに起用したわけではないですよね。

 次週からは主人公なつのキャストに広瀬すずが登場します。今後も、なつの成長を楽しみに見守りたいと思っています。


(タイトルバックはほのぼのしたアニメーション)

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