フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 




 テレビでですが、映画 『フラガール』『僕の彼女を紹介します』を見ました。
 たまたま番組改編期に放送していたというだけで、二本の映画に特に関係はありません。しかし、見てみると、この二本の映画が対照的な一対の映画に見えてきました。
          
 『フラガール』は日本映画。炭鉱が閉鎖される代わりにハワイアンセンターを作ろうとしたいわき市の実話を元にした映画です。一方、『僕の彼女を紹介します』は韓国映画。ヒットした『猟奇的な彼女』のスタッフ・主演女優によって再度作られた作品です。
 しかし、私が対照的と感じたのは「日本映画/韓国映画」「実話/フィクション」「単発映画/ヒット作の系列作品」といったことではありません。私が感じたのは映画を見る人たちの期待をどのように受け止めるのか、といった点です。

 【ここから映画の結末などネタバレがありますから御注意ください】
 この点で言えば、『フラガール』は徹頭徹尾、見る人の期待を受け止め実現して見せています。炭坑の閉鎖によって暗くなる町の人々、そこから何とかハワイアンセンターで町の再生をはかろうとする努力、そのために必死で練習する女性たち、町の人々の偏見と反対、親と一緒に引っ越して去っていく仲間との別れ……そして最後に歓喜のフィナーレと、まさに絵に描いたようなオーソドックスな展開をたどります。
 以前、『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』の矢口史靖監督が、観客の期待をはずさない映画を作るという映画観を語っていましたが、この『フラガール』(監督は李相日)にもそういう映画観を感じることができます。
 さて、一方の『僕の彼女を紹介します』は対照的です。この映画は、熱血かつ乱暴な女性刑事ギョンジンと高校教師ミョンウの恋愛が話の基本線です。しかし、私にとっては意外なことが山ほどありました。
          
 最初の方の銃撃シーンからして「ありゃ?」という感じでしたし、ミョンウが死にかけて生き返ってきたと思ったら次に本当に死んでしまう(まだ映画の中盤なのに!)というのも意外でした。また、ギョンジンの双子の姉妹の話が後でつながると思っていたのもはずされてしまいました。さらに言えば、「お笑い」「泣かせ」のバランスとかつなぎ方が私の感覚とは全然違っていました。その意味では、見る前の私のイメージとはかなり異なる映画でした。
 では、期待通りの映画と期待をはずされた映画とどちらがよかったかと言えば、なかなか決めかねる、そこが難しいところです。
 特に『僕の彼女を紹介します』は期待をはずされたものの、それとは別によかったところもたくさんありました。たとえば、カメラワーク。回転しすぎではありますが、少なくともよく宣伝に使われている場面、ミョンウが車でギョンジンの周りを回って、ギョンジンが撃つまねをするところはなかなか印象的です。また、ミョンウを死なせて絶望的になったギョンジンが暴走車を銃撃して、その車がギョンジンの脇を横転しながら突き抜ける場面もかっこよかったです。
 さらに、小指の約束の挿話や「ごめん」を言わない女性という伏線がすべて最後に生きてくるという作りにも感心しました。「こんなのありえない」とけちをつけることはいくらでもできるけど、それでも「期待をはずされるのも悪くない」と思った映画でした。
 



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 以前に、小学校時代に読んだ本のことを書いたことがあります。→ 「『ゲンのいた谷』のこと」
 このときに書いたことですが、この本を読み聞かせてくれたのが、当時の担任だった八島正秋先生でした。この八島先生のことをブログに書いてから気になって、いろいろ調べてみたところ、この八島先生の仕事をまとめた本が出ていることがわかりました。
 20年以上前に出版された本ですが、出版元に問い合わせてみたところ、今でも手に入るとのことでしたので、取り寄せて読んでみました。この本のことを少し詳しく書いてみたいので、私の公式ホームページに掲載しました。私の個人的な思い出の部分も大きいのですが、見ていただけるなら幸いです。
 → 「八島正秋先生のこと」



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 柿の季節なので、柿を使った料理を作ってみました。
 豚肉はリンゴやパイナップルなどの甘い果物と相性がいいので、季節にあわせた柿のソースを試してみました。おろした柿とホワイトソースを軽く煮込んでソースを作っておき、それから、白ワインに少し漬けておいた豚肉をソテーして、先ほどのソースをかけます。柿の甘さがポークと合ってなかなか美味しいと思いました。
 ただ、柿の実(固形)を残しておかないとなんのソースだかよくわからないところがちょっと……。柿の果汁分はさっとあたためる程度で、あまり煮込まない方がよいようでした。



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 昨日は体育の日でしたが、私は近頃、あるトレーニング・ジムにときどき行っています。
 昨年少し体調を崩してしまい、それから運動するように心がけ、いろいろ試した結果、このトレーニング・ジムにたどり着きました。
 「運動しないと太ってしまう」という方がよくいるのですが、私の場合は逆で、運動をしないと胃腸が働かなくなってものが食べられなくなることがあります。昨年胃腸の具合をかなり悪くした時期があったことから、できるだけ運動するように心がけています。
          
 以前はジョギングだのトレーニング・ジムだのは大嫌いでした。バレーボールとかテニスとかゴルフとか、とにかくゲームの楽しさがないものには全く興味が持てませんでした。しかし、そういう種類の運動は、場所やら相手やら都合のいい時間やら、いろいろと面倒もつきまといます。その点で、トレーニング・ジムというのは自分の都合のよい時間に好きなだけ運動ができるので、続けてみると「これはこれでいいもんだ」と思うようになってきました。
 ところで、私が行っているトレーニング・ジムというのは、高い年会費や毎月の会費を払うようなところではぜんぜんないので、いろんな人が気軽にやってきます。筋トレしたり、エアロバイクをこいだりしているとヒマなので、他の人を何となく(見るつもりでなくても)見てしまうのですが、なかなかユニークな人たちがやってきます。
 たとえば、いつもダンスの腕の形をしている人。私は心の中でひそかに「ダンスじいさん」と呼んでいるのですが、右手を伸ばして高く上げ、左手を女性の背中に回すかのように肘から曲げています。そして、その姿勢のままトレーニングルームを歩いたり、鏡に向かったり、時にはその姿勢のままでランニングマシーンの上を歩いているのです。
 あるいは、もうかなりの年配の方なのに異常に筋骨隆々の体をしている人。こちらもひそかに「マッチョじいさん」と心の中で呼んでいます。この人は、これ見よがしにひどく小さなタンクトップと言うかランニングシャツを着てくるのです。真夏でもないのにタンクトップ、それもまるで小学生の女の子が着るような小さいシャツを着てトレーニングルームに入ってくるので、どう見ても体のすごさを見せたくて仕方がないのだと思われます。
          
 あそこまでにはなりたくないものの、私もせっかくトレーニングジムに通っているのだから、少しくらいは筋肉をつけようかとは思います。特に、昨年胃腸の調子を悪くしてかなり痩せた時期もあったことから、あんまりみすぼらしい体型にもなりたくないなと感じることがありました。
 まあ、またそれにも飽きて違う運動を見つけるかもしれませんが、そんなわけで、しばらくはこのトレーニングジム通いをしてみようかと思っている今日この頃なのでした。



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 女子サッカーのワールドカップ中国大会が閉幕しました。
 この大会の日本の開幕戦(対イングランド戦)を観戦してきたことから、以前にそのことを書きました(→「なでしこジャパンin上海」)。今回、大会が閉幕したのを機会に少し書き足しましたので、その部分だけブログに再掲したいと思います。
          
 日本は初戦(対イングランド戦)の後、アルゼンチンに1対0で勝利しましたが、前回優勝国ドイツに0対2で敗れ、グループリーグ突破はなりませんでした。しかし、日本が敗戦したドイツが決勝でブラジルを破って優勝。日本も優勝国に1敗しただけですから、おおいに健闘した大会だったと言えます。
 ところで、試合の結果とは別に、あることで日本チームが話題を提供しました。日本チームがドイツに敗戦し、開催地中国を去ることが決まったときに、用意してきた「ARIGATO 謝謝 CHINA」と書かれた大きな横断幕を観客席に掲げて頭を下げ、ホスト国の中国とその観客に感謝の気持ちを表現したのでした。このことは中国の、特にネット上でかなり話題になったようです。
 私も上海の虹口足球場で体験しましたが、地元中国の観客の多くは日本の相手国を応援していました。いわば「日本には勝たせたくない」という雰囲気が会場を覆っていたのも事実です。それに対して日本チームが感謝の意を示したことで、中国の人たちの間では複雑な反応が起こりました。「彼女たちは感情を乗り越える勇気を持ったが、我々は以前のままだ」と日本チームを賞賛する意見があった一方で、「日本の宣伝活動に感動するなど中国の恥だ」と反発する声もあったということです。
 どんな行動にもよい面と悪い面がつきものです。ただ、ホスト国とその観客に感謝の気持ちをあらわして去る、そういう日本チームの行動を見て、私はとてもすがすがしい気持ちになりました。まず相手を敬う気持ちを持つ。そういう心がけを私も持ちたいものだと思いました。
          



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