今回もテレビドラマへの勝手な感想を書いていきます。今回は、前回(1週間前に)書いた後に始まったプライムタイムの作品と、注目される遅めの時間帯作品について書きます。今回は、作品のうたい文句(キャッチコピー)を番組HPなどから最初に引用してみました。なお、放送されている作品数が多いので、このブログでは原則として、続編やシリーズものについては省いています。ほんとはそれも書きたいのですが、そこまで手が回りません。ごめんなさい。
『春になったら』(フジテレビ系、月曜22時)
「ハートフル・ホームドラマ」
余命3か月を宣告されても治療を受けようとしない父親(木梨憲武)と、その決断を受け入れられない娘(奈緒)の話。余命宣告ものは、テレビドラマの世界では『僕の生きる道』(2003年)など多くの成功作品があり、私の授業や著書でも何度か取り上げています。また、「父と娘」というのもしばしば取り上げられる題材で、その二つのテーマを組み合わせているところがこの『春になったら』の特徴のようです。病院での延命治療よりも、残り人生の時間が短くても今まで通りの生活をしたい父親と、父親を失うことを受け入れられない娘の葛藤が初回から十分に描かれていました。「ハートフル・ホームドラマ」というには、かなり重い話です。
『グレイトギフト』(テレビ朝日系、木曜21時)
「ノンストップサバイバル医療ミステリー」
うだつの上がらない病理医(反町隆史)が、新種の球菌を発見したことから連続殺人と熾烈な権力争いに巻き込まれていきます。すごい話だなあ…と思うのですが、反町隆史がどこからどう見ても「うだつの上がらない病理医」に見えません。コミュニケーションが苦手で人と目を合せることもできない、という設定なのですが、突然仮面を脱ぎ捨てて、「今から本当の俺を見せてやる!」とか啖呵を切りそうで、本来のストーリーよりもそちらが気になって仕方ありませんでした。
『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(フジテレビ系、土曜日23時台)
「”昭和のおっさん”のアップデート大作戦」
古い常識・偏見で凝り固まった中年男(原田泰造)が、息子の引きこもりや、会社の部下たちに遠ざけられる体験を経て、自らの価値観を変えていこうとする話。これもよくある題材ではあります。シリアスに作れば、先に引用した『僕の生きる道』の続編『僕と僕の彼女の生きる道』(2004年)などに通じるテーマですし、同じコメディタッチなら、郷ひろみが主人公を演じた近年の単発ドラマ『定年オヤジ改造計画』(2022年)にも通じます。変わろうとする気持ちが生まれてくるような人なら、それまでがこれほどひどくはないだろう、という疑問もわいてきますが、そこはドラマなので不問としましょう。ちなみに、同じテーマをロマンティックに作れば、竹野内豊と麻生久美子が演じた『この声を君に』(2017年)にもなります。私の好みはこちらですね。私、ロマンティックな人間なので、てへ(笑)。
『リビングの松永さん』(フジテレビ系、火曜23時)
「シェアハウスで年の差ドキドキラブコメディ」
”恋に不器用な堅物のアラサー男”(中島健人)と”ピュアで一生懸命な女子高生”(高橋ひかる)がシェアハウスで同居する話。いかにも少女漫画的な話ですが、一方で、少女漫画をこえてよくある設定でもあります。ちなみに、新聞のテレビ欄では、「赤の他人が一つ屋根の下で、という設定自体は「陽あたり良好!」などの頃からポピュラーではあった。」(『朝日新聞』1月9日朝刊)と書かれていました。たしかに一つ屋根の下のアパート設定なら、『めぞん一刻』(1980年~1987年)やそこから影響された『ちゅらさん』(2001年)などがありました。ただし、私は朝日の記者さんよりかなり年上みたいので、ずっとさかのぼれば『雑居時代』(1973年~1974年)なんていうテレビドラマ作品もありました。石立鉄男と大原麗子、なつかしいなあ。韓国ドラマでも頻出。それだけよくある設定なので、どこでオリジナリティを打ち出すかが見ものです。
※このブログはできるだけ週1回(なるべく日曜)の更新を心がけています。