フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 静岡県三島市のキャラクター、みしまるくん&みしまるこちゃんです。
          
 どちらも三島市にちなんだキャラクターで、みしまるくんは三島銀杏の木の妖精、みしまるこちゃんは三島桜の木の妖精だそうです。
          
 このキャラクターは、三島市を舞台とした宮藤官九郎脚本のテレビドラマ『ごめんね青春!』(TBS系、2014年10~12月放送)に登場してきました。私もテレビドラマ研究者として、一度はみしまるくん&みしまるこちゃんに会っておく必要があると思い(?)、この日の対面となりました。
          









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(卒業式のようす)

 私が勤める中央大学で、2014年度の卒業式がおこなわれました。

 今回卒業する学生たちの多くは4年前の2010年に入学しました。2010年は3月11日に東日本大震災があり、その直後の行事・式典が自粛されたため、中央大学でも卒業式と入学式はおこなわれませんでした(卒業生を送る教職員の自主的な会や入学生のためのガイダンスはおこなわれました)。
 ですので、今回卒業する多くの学生は、入学式を体験せずに入学した人たちです。
 中央大学でその学生たちの卒業式に、特別企画として、復興支援ソング『花は咲く』の合唱がおこなわれました。



(特別企画『花は咲く』の合唱)

 東日本大震災の後の復興は、必ずしも思うように進んでいない部分があり、今もその傷跡に苦労をしている人びとおおぜいいます。しかし、震災の直後に入学してきた学生たちがこの日、大学を卒業していったように、震災の跡からすべての人たちが立ち直り、そして羽ばたいていってくれることを願っています。


(ゼミの学生たちと)



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 中央大学大学院が博士学位を授与する式がおこなわれました。今回は、法学・経済学・商学・文学・総合政策学の5研究科において、2014年度後半に博士号を取得した34名への授与式でした。

 博士学位は、大学が授与できる最高の学位です。以前は、日本の文系だけ他国に比べて極端に博士学位を高いレベルに設定し、学位を受ける人を制限していましたが、近年は他国並みに学位を授与するようになりました。
 それによって、博士学位が長い研究の積み重ねの後、研究キャリアの最後の段階になって得られるものという意味から、研究者として出発する資格を得るという意味へと変化してきました。そのような変化があるとはいえ、博士学位の重要性が変わったわけではありません。

 この日も、私が所属する文学研究科から、国文学・中国言語文化学・東洋史学・心理学の分野で6人の大学院生が博士学位を授与され、研究者として出発することになりました。中央大学が最高の学位を授与したという名誉を持って、これからの研究生活に向かってほしいと思っています。

※校務多忙のためブログ更新が滞っており、なんとか週1回(土日)の更新を心がけています。



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 村上春樹の小説や著作を考えるための、合同の研究会が動き始めました。

 私は、千田洋幸さん(東京学芸大学)との共編著として、これまで『村上春樹と一九八〇年代』 (2008年、おうふう)『村上春樹と一九九〇年代』 (2012年、おうふう)という2冊の村上春樹研究書を出版しています。いずれも、編者である千田洋幸さんと私と研究上の関係の深い多くの執筆者に、村上春樹に関する論文を書いていただいた論文集でした。

 その続編『村上春樹と二十一世紀』の刊行を目指して、執筆者による研究会を始めました。まずは、2月14日(土)に中央大学で、3月8日(日)に東京学芸大学で、それぞれ3~4名の執筆予定者が、各自の取り組んでいる課題に関して発表をおこない、出席者と質疑応答や討議をおこないました。

 過去2冊の研究書においても、執筆者同士で刺激し合い、原稿を読み合うことはありましたが、研究会活動という点ではやや物足りなく感じることもありました。今回はシリーズの一応の完結編ということで、十分な共同研究をおこなった上で研究書をまとめたいという気持ちもあり、まずは2回の研究会の機会を持ちました。
 
みなそれぞれ仕事を持っていますので、毎回執筆者全員が集まるというわけにはいきませんが、来られるメンバーで、毎回入れ替わりに発表・質疑・討議をおこなっていくことになるでしょう。

 今後もこのような研究会を続け、その成果を『村上春樹と二十一世紀』へと結実させていきたいと考えています。


 
※このブログはできるだけ週1回、土日に更新することを心がけています。ga

 



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 東日本大震災から、今日で4年が経ちました。あらためて、犠牲になった方たちの御冥福をお祈りしたいと思います。

 写真は震災から1年半経った、2012年9月当時の石巻市海岸沿いのようすです。この写真は、日和山という小高い場所から撮影しました。ここは、震災時に多くの市民が避難した場所です。逆に言えば、ここに避難してくれば助かったはずの多くの命が、実際には失われました。
 石巻を訪れた時のことは、その当時このブログにも書きました。

  ⇒ 「プロジェクト結の活動」

 また、震災から3年あまりが過ぎた昨年6月には岩手県の久慈市や宮古市にも行ってきました。他にも、比較的被害は少なかった仙台市や山形市などにも行きました。被害の大小はあれ、いずれも何らかの傷を負いました。そして、どの地域でも復旧・復興が進んでいる部分と、必ずしも進んでいない部分があります。
 私はフィクション研究者ですので、小説・映画・テレビドラマなど、さまざまな作品でも、直接・間接に震災とそこからの立ち直りが描かれていることを目にしています。それぞれの創作者が、懸命にあの大震災を受けとめようとしています。
 震災から4年経ち、あの震災の記憶を風化させず、今後のために活かしていくことが、僅かながらも私たちにできることだと思っています。




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 1~3月期ドラマに関して、半分の作品にしか感想を書いていませんでしたので、まだ書いていなかった作品に関する感想を書いておきましょう。
 いつも通り、ドラマ名の後に今までの視聴率を示しておきます。(ビデオリサーチ社、関東地区)
          
『銭の戦争』
 (フジ、火10)  11.9%→12.1%→13.1%→12.6%→11.9%→14.4%→12.6%→14.0%

 父親の会社が倒産、借金を残して自殺したために、会社もやめざるを得なくなり、大きな借金を抱えたエリート男性を草剛が演じています。
 この作品は、パク・シニャンが主人公を演じた韓国ドラマのリメイク作品です。日本と韓国のドラマには影響関係がありますが、その影響のあり方は対照的です。日本では韓国のテレビドラマが(吹き替え等の配慮はありますが)数多く放送されています。一方で韓国では、日本のドラマ作品そのままの放送は少なく、日本のドラマを韓国でリメイクすることが多くなっています(『101回目のプロポーズ』『家政婦のミタ』など)。
 その中で、この『銭の戦争』は、比較的少ない韓国ドラマ作品の日本リメイクです。「貧富の差」は韓国ドラマの定番のテーマで、それだけに原作はかなりドギツイ描写がありましたが、それに比べると日本版はわりあいに品がよく、日本のドラマらしい作りになっています。
 主人公役の草剛はいい人を演じることが多いものの、『任侠ヘルパー』でのヤクザを演じた作品もあります。エリート会社員からどん底に落ち、そこから復讐のために立ち上げる難しい役を演じるには、最適の配役と言えるでしょう。
 ヒロインは大島優子で、AKB卒業後初めての連ドラヒロイン。アイドル出身ながら、女優としては派手な役よりも庶民的な女性役の方が似合うので、今回の役(主人公の恩師の娘で、質素に暮らしている役)は大島優子にふさわしい役だったと思います。
          
『DOCTORS 3』 (テレ朝日、木9)  14.6%→14.4%→13.3%→16.9%→14.3%→12.5%→13.2%

 前クールの『DOCTORX』とともに、テレビ朝日の「医療ドラマ」の定番にして鉄板の作品です。
 善悪をわかりやすく描き分ける構図と、戯画化されたキャラクターによって、すっかり安定的な娯楽作品として定着しました。
 『DOCTORX』と『DOCTORS』を主人公像で比べると、「女性/男性」、「手術オタク/医療の理想」、「一匹狼で単純/信頼され戦略を持つ」といった違いがあります。『DOCTORX』の方がより明快でスカッとする構図と言えますが、こちらの『DOCTORS』の方が主人公の意図や戦略を楽しむという見方ができる作品になっています。
 さすがに、2クール続けての「医療ドラマ」で後半に多少の飽きがくる人もいると思われますが、根強い人気作品として、今後も続編が作られていくものと思われます。
        

『美しき罠 残花繚乱』 (TBS、木9)  7.2%→7.5%→5.8%→4.6%→7.5%→7.4%→6.1%→5.9%

 ドロドロのドラマです。
 主人公のりか(田中麗奈)は30歳をすぎた独身。会社の妻子ある上司と不倫関係にありますが、その上司夫婦から紹介された独身男性と結婚することに。しかし、その男性は上司の妻への恋愛感情を捨てきれない…といった設定の話です。

 このドラマを見ていて感じることは、この手のドロドロのドラマがなぜ現在の日本ではなかなかヒットしないのかということです。お隣のドラマ大国・韓国であれば、この手のドロドロのドラマは数多くあり、根強い人気を得ています。しかし、日本では、この手のドラマは「昼ドラ」的という感想のもとに、低く見積もられてしまうことが多いようです。
 私は自分の著書にも書きましたが、これは感情表現に関する国民性やフィクション観とも関係があるのではないかと考えています。これは難しい話になりますので、詳しくは『テレビドラマを学問する』(中央大学出版部)を御覧ください。

        

『ウロボロス』 (TBS、金10)  12.0%→10.4%→9.8%→10.1%→9.2%→10.6%

 児童養護施設で一緒に育った龍崎イクオ(生田斗真)と段野竜哉(小栗旬)。しかし、施設の柏葉結子先生(広末涼子)が殺されるという体験を経て、その復讐を誓う。それから15年後、イクオは警察官に、竜哉はヤクザにになり、復習すべき相手をさがすうちに、警察の闇を知っていく…。
 このような設定に、生田と小栗という当代きってのイケメン俳優2人をそろえて期待を大きかったのですが、視聴率はそれほど取れていません。
 テレビドラマはわかりやすさが重要で、狙いが絞られている方が支持されやすいという大きな傾向があります。復讐に焦点をあてたハードボイルドなのか、二人のイケメンのかっこよさを見せるドラマなのか、日比野美月を含めたラブストーリーなのか、小ネタを入れたコメディ含みの謎解きものなのか。
 現状はいろいろ楽しめるというお得感があると同時に、多様な要素をやや詰め込みすぎな印象があります。
 ちなみに、生田斗真の良さは『遅咲きのヒマワリ』のような平凡な男性役の時の方が、より活かされているように思います。
          

『学校のカイダン』
(日テレ、土9)  10.6%→8.4%→10.6%→8.7%→10.3%→9.5%→7.6%

 「学校の怪談」話かと思わせておいて、実は「学校の階段」、つまり「スクールカースト」と言われる学校内のヒエラルキーをテーマにしたドラマです。転校したてで無理やり生徒会長にされ、実際にはいじめられる主人公・春菜ツバメ(広瀬すず)が、謎の卒業生(神木隆之介)の助けを借りながら、次第に周囲に認められ、さらには周囲を変えていくというストーリーです。
 このドラマは、見る人の年代にかなり左右されそうです。この土曜日9時の時間帯は、「小中学生(あるいは高校生くらいまで)とその親が一緒に見られるドラマ」という傾向がある時間帯です。このドラマの場合、中高生の気持ちに寄りそう部分ではたいへんよく出来ていて、中高生なら「わかる、わかる、そうなんだよなあ」という気持ちになれることが多いでしょう。しかし、親世代が共感して見られるかどうか。過去とは異なり、きわめて現代的な学校と生徒関係のあり方だけに、親世代の支持はとりつけにくい気がします。
 長所と短所は裏表。まずは現代的な生徒たちのあり方を描いたことの方を評価するべきでしょう。

          

『流星ワゴン』
(TBS、日9) 11.7%→11.1%→9.6%→8.3%→9.0%

 仕事も家庭も悲惨な状況に陥ってしまっている永田一雄(西島秀俊)は、一台の車に出合い、その車に乗って自分の過去にタイムスリップするというストーリー。
 『とんび』以来、久しぶりの重松清原作のTBSドラマ。しかも、スタッフは『半沢直樹』のチームが再集結。ということで、かなり力のこもった作品になっています。そのわりに視聴率という結果になっていないのは、やはり少し明快さに欠けることが原因になっている気がします。
 近年、テレビドラマで成功したタイムスリップものと言えば、『JIN―仁―』などがあげられますが、『JIN―仁―』は現代の医師が幕末に行ってしまい、ほとんど現代に戻ってくることがありませんでした。その意味では、「現代人が幕末でどのように生きるか」という作品の焦点が明快です。
 『流星ワゴン』の場合は、時間があちこちに飛びますし、1回ごとに話が解決・完結するわけでもありません。過去にタイムスリップしたことの影響も、毎回必ずしもわからずに進んでいきます。その意味では、同じタイムスリップものと言っても、『JIN―仁―』とは印象がかなり異なります。
 同じく車に乗って時間をさかのぼる話という意味では、前クールの『素敵な選TAXI』も似ています。『素敵な選TAXI』は毎回ゲストを迎え、1話完結でわかりやすく作られていたのに比べると、『流星ワゴン』はやや作りが高度な分、わかりにくくなっています。また、原作があるので、『流星ワゴン』の方が先にあった作品なのですが、先に『素敵な選TAXI』が放送されている分、視聴者には既視感を持たれたことでしょう。その点で、『流星ワゴン』が損をした面もあったように思います。
          


(自戒のことば)
校務多忙でブログの更新が滞ることが多いため、週1回は更新することを心がけています。



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