フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



(写真は『ラブシャッフル』の主要登場人物8人)

 1~3月期のテレビドラマについては、先日すでにコメントを書いたのですが(→
「1月~3月期のテレビドラマ」 )、その後の展開でかなりドラマの印象が変わったものもあるため、再度コメントを書いてみたいと思います。
 ちなみに、番組名の右の数字は、中盤までの平均視聴率です。今回はどのドラマも視聴率がとれずに苦しんでいて、その中でなんとか視聴率がとれているのは、①位『ヴォイス』 ②位『キイナ』 ③位『メイちゃんの執事』とのことです。

          
『ヴォイス』 (月9、フジ)  15.7%
 前回は「医学生もの」と「謎解きもの」の合体と書きました。
 私はそれほど面白いとは思わないのですが、
 けっこう〈人情話〉というか〈泣ける話〉になっているので、
 人の死が扱われているわりには後味がいいです。


『メイちゃんの執事』 (火9、フジ)  14.0%
 前回は「少女マンガモード全開」と書きました。
 その路線をまっしぐらです。


『トライアングル』 (火10、フジ)  12.0%
 前回は「豪華キャストとおおげさな音楽」と書きました。
 これだけお金をかけたわりにはどうなんでしょうか。
  (3月11日追記)
  ここに出てくる刑事たちは25年前の事件のことばかり捜査している。
  それって「時効警察」じゃないのか?
  桐山くんは休みの日に趣味で捜査しているけど、
  ここの刑事たちは本業の仕事を全然してなくてまずくないのか?

『神の雫』 (火10、日テレ)  6.8%
 私はワイン好きなので、けっこう喜んでみています。
 しかし、視聴率は惨敗。マニア向けで、亀梨君あやうし。

『キイナ』 (水9、日テレ)  14.9%
 私は「謎解きもの」に興味が持てないのですが、
 オカルト味とコミカルな味を両方加えているのが成功の要因でしょう。


『Q.E.D.証明終了』 (木8、NHK)  5.4%
 がんばれ高橋愛!一人でハロプロを背負って立ってくれ。
 しかし、燈馬君は何でも知ってるけど、「天才少年」と「物知り」は違うぞ。

『ありふれた奇跡』 (木10、フジ)  11.0%
 前に「その後は淡々としたストーリーで何も起こらない」と書いたが、
 書いた後から、いろいろなことが起こったり、秘密が明かされたりした。
 ドラマ好みの大人のための作品なので、視聴率は仕方ないでしょう。
 私はいい作品だと思います。


『ラブ・シャッフル』 (金10、TBS)  9.3%
 前回は「リアリティなんて超越した浮かれ具合を楽しむドラマ」と書いた。
 実に面白い。これがこの低視聴率とは驚き!
 脚本が「あて書き」(演じる俳優を意識して、そのキャラに合わせて書く)
 になっており、それぞれの俳優の個性が実によく発揮されている。


『銭ゲバ』 (土9、日テレ)  10.6%
 松山ケンイチがきれいすぎて、原作のイメージにあわないものの、
 時代を越えてこの作品を蘇らせたことには敬意を表したいと思います。 

『RESCUE』 (土8、TBS)  11.3%
 その後、見るのをやめてしまったので、追加コメントがありません。

『本日も晴れ。異状なし』 (日9、TBS)  8.7%
 これも、見るのをやめてしまいました。ごめんなさい。 

前回は、「私の好みのベストスリー」を次のように選びました。
 ①『ラブ・シャッフル』
 ②『ありふれた奇跡』
 ③(該当なし。ワイン好きなので『神の雫』)
これについては今も変わっていません。
しかし、私の好みは多くの視聴者とかなりくい違うことがよくわかりました。
          



コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )





 メール(電子メール)というものが普及して、多くの人とのコミュニケーションが便利になりました。もちろん、メールの便利さに頼りすぎて、人間関係の努力が足りなくなるという問題も起こりますが、メールの普及には多くの利点があることは確かです。
 その一方で、迷惑メールというものは後を絶ちません。しかも、自分自身のメールアドレスから迷惑メールが来るというのは、特に感じの悪いものです。
 私も以前に自分のPCアドレスから迷惑メールが来ることについて書いたことがありますが(→
「自分のアドレスから迷惑メールが」 )、最近は私の携帯電話のアドレスから迷惑メールがよく来ています。しかも、PCアドレスのときと同様に、今回も内容は英語で書かれたエッチ系のメールばかり!
          
 そのメールというのは、「She wants you to shoot in her mouth
」 「Women hate parters with small tools」 「Chicks will want you bad after this」 「She'll thank you every naight」などのようなものです(日本語訳したくなくなります)。こういうメールが自分の携帯アドレスから不特定多数の人にばらまかれていると思うと、かなり嫌な気分です。
 私はPCに来たメールを携帯にも転送して、携帯でメールをチェックしています。しかし、携帯では内容をチェックするだけで、携帯からメールを出すことはほとんどありません。ですから、もし私の携帯アドレスから変なメールが届いても、私が出したのではありませんから、どうぞ私を疑わないでください。
 それにしても、こういう迷惑メールが無くなるのが一番よいことなので、早くそうなってほしいと思います。



コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )





 2010ワールドカップ南アフリカ大会のアジア最終予選がおこなわれており、現在その半分が終了したところまで進んでいます。
 2月11日(水)には、その第4戦のオーストラリア戦が横浜日産スタジアムでおこなわれ、結果は「0対0」の引き分けでした。この日は中央大学の入学試験期間だったため、会場に行くことはできず、テレビの前で応援していました。
 ところで、この試合の結果に関しては、既にいろいろなことが言われています。その最たるものは、岡田武史監督の解任を求めるような報道です。解任までいかなくても、先日の引き分け試合を「情けない試合」「負けに等しい引き分け」「勝ちに出る戦術がない」といった批判がマスコミに流れています。
 たとえば、サッカー評論家・セルジオ越後氏の次のような論調がそれにあたります。

セルジオ越後 「ちゃんとサッカーしなさい」  2009年02月12日

勝つための選手交代なし/W杯予選(抜粋)
<W杯アジア最終予選:日本0-0オーストラリア>◇11日◇A組◇日産スタジアム

 この引き分けは負けと同じ。オーストラリアは最初から無理をせず、引き分ければいいというアウェーの戦いだった。確かに日本はチャンスをつくったけれど、相手が引いてチャンスができただけ。決定的といえるのは遠藤の1本。1カ月も準備してきたのに、1日しか全員で練習していない相手に分けた。とても満足できる試合じゃないね。

 一生懸命ボールを追いかけて、相手DFのミスを誘う。アジア相手にはいいけれど、世界基準ではミスをしない。それでも、ずっと続けた。工夫がないよ。もっと勝つために動いて欲しかった。交代もポジションが同じ選手を入れ替えるだけ。勝つための交代じゃない。ホームだし、無理しても勝ちにいかなきゃ。

 確かに勝ち点1は加えて南アフリカには前進した。岡田監督も引き分けでいいと思ったんでしょ。でも、日本が目指しているのは世界ベスト4。本当に世界を目指すなら、ここで世界での力を試さないでどうするの。アジアの予選を2位突破して、世界のベスト4にはなれないよ。目標を訂正しなきゃいけないね。監督は「あとは精度を上げるだけ」というけれど、精度が上がらないのが問題よ。

 試合後も、サポーターからはブーイングも起きなかった。みんな、オーストラリアの方が上だと認めているんだよね。どこかに、W杯に行ければいいというムードがある。もう3回も行ったよ。もう、行くだけはいいでしょ。勝たなければいけないムードにならないと、また1次リーグで負けて帰ってくるよ。(日刊スポーツ評論家)

 言ってることはよくわかりますし、同感する部分も多くあります。また、その国のサッカーが強くなるためには、こうした批判も必要だと言えるでしょう。しかし、しょせんは評論家(部外者)の立場からの発言であって、要するに飲み屋でくだを巻いているオヤジたちと大差ありません。
 3回ワールドカップに出たからと言って、今回も出られるとは限らないし、ワールドカップ予選はそんなに甘くない。そして、もし今回ワールドカップ出場を逃すようなことがあったら、日本のサッカー界にとってどれほど大きな損失になるかはかりしれない。そんな状況で、カウンターを食うリスクをおかして何が何でも勝ちに出るサッカーをするべきか。それを求めるのはセルジオ越後氏が「御意見番」ではあっても、日本サッカーの「部外者」でしかないことの何よりの証しでしょう。

 私の結論から言えば、岡田ジャパンの戦い方はけっして間違っていないと考えています。
 ただし、オーストラリアに引き分けてよかったとは言えません。今回の試合の前まで、オーストラリアと日本はともに3試合を終わって、オーストラリアは3戦全勝のグループ(5チーム中)1位、日本は2勝1分けで2位。グループ2位までは無条件でワールドカップ本大会に参加できます。そういう状況で、今回のオーストラリア戦にはいろいろな思惑が交錯しました。
 日本は2位であり、ホームの試合ということで、たしかに勝つことが求められていました。それに対してオーストラリアは1位でアウェイの試合ですから、引き分けでも悪くないという状況でしょう。その意味では、オーストラリアの狙い通り、引き分けに持ち込まれたとも言えます。つまり、今回の引き分けは、日本にとっては不満の残る引き分け、オーストラリアにとってはまずまず満足のいく引き分けだったと言えます。

 しかし、それなら誰が監督をして、どんな選手でどんな戦術をとったらオーストラリアに勝てたのか。それは簡単には答えられません。ただ、少なくとも内容的には、完全にオーストラリアを上回る試合をしていたことは間違いありません。
 「内容で上回っていたのに勝てなかったのがいけない」と言えば、それはその通りです。「公式戦は結果がすべて」です。いくら内容で上回っても、勝てなければ意味がありません。
 しかし、監督を変えても、戦術を変えても、それで勝てるという根拠は何も見あたりません。だいいち、オーストラリアとの対戦ということで言えば、ジーコジャパンはドイツワールドカップで対戦して「1対3」で敗戦。オシムジャパンはアジアカップで対戦して引き分け(PK勝ち)。それくらいオーストラリアは強い相手であり、感情的に監督に不満をぶつけても、何も状況が改善されるとは言えません。
 では、岡田ジャパンの特徴とは何か。それは全員守備を徹底させ、前線から相手のボールを追いかけて攻撃的な守備をおこない、できるだけ自陣での守備の時間を減らす。そして、球を奪ったらすばやいパス交換からシュートに結びつけるという戦術でしょう。
 このような岡田ジャパンの戦術の特徴は、フォワードの起用のしかたに顕著にあらわれています。
 ジーコがワールドカップに選んだフォワードは高原・柳沢・玉田・巻。オシムも高原と巻を起用することが多かったと言えます。これに対して、近頃の岡田監督は玉田・田中(達)・大久保の起用が目立ちます。オールラウンド型の高原や長身で当たりの強い巻ではなく、いずれも身長の高くない3人のフォワード(または攻撃的MF)を起用していることからも、岡田ジャパンがスピードと運動量と連動性を重視していることがよくわかります。
 巻の運動量と献身的な守備はFMとしては驚異的であり、私は彼も重要な選手だと思いますが、岡田監督はドリブル突破などのスピードと足下のテクニックにすぐれた選手を起用したいと考えているようです。
 私は、このような岡田武史監督の目指すサッカーは間違っていないと考えます。たしかに、アジアの格下チーム相手であれば、クロスを放り込んで高さで圧倒するサッカーが通用する場合もあります。しかし、そういうサッカーはアジアの中でも強豪国(たとえばオーストラリア)には通用しないし、世界の強豪国にはもっと通用してきませんでした。
 そんな状況の中で、攻撃の高さは捨てても、スピードと運動量と連動性で上回ろうとするサッカーが、少なくとも先日のオーストラリア戦では十分に通用していることが見てとれました。
 もちろん、今回の試合が「日本のホームでおこなわれている」「オーストラリアが引き分けでもいいという試合をした」という点もありましたので、一概に日本の出来がよかったとばかりは言えません。しかし、それならどんな方向性を目指したら日本がもっと強くなるのか。そのコンセプトを明確に説得力ある方法で示している人は、私の見る限り誰もいません(少なくともセルジオ越後やラモスの精神論にはヴィジョンがない)。
 「チャンスは作ったが点は取れなかった」。これは監督を代えたら解決する問題ではありません。であるなら、私は今の岡田武史監督のコンセプトで、日本がその日本らしいサッカーを追究していくことを望みたいと思っています。
 岡田ジャパンの次のワールドカップ予選試合は、3月28日(土)埼玉スタジアムで行われる対バーレーン戦です。
 


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




(写真はジョルジュルーミエ・シャンボール レ・ザムルーズ04年)

1~3月期のテレビドラマも、だいたい3回か4回目の放送が終わりました。恒例のテレビドラマ評を書いておきましょう。

『ヴォイス』 (月9、フジ)
 「医学生もの」と「謎解きもの」の合体。
 「謎解きもの」としてのストーリーはよくできていると思うが、
 私は「謎解き+α」がもっとほしい。

『メイちゃんの執事』 (火9、フジ)
 「少女マンガ」モード全開。自分のために何でもしてくれる
 
(命までかけてくれる)イケメン執事に胸キュン……らしい。
 でも、そんなに人に幸せにしてもらいたいですかねえ。

『トライアングル』 (火10、フジ)
 これでもかと次々に出てくる豪華キャストとおおげさな音楽。
 「謎解きもの」には興味がないが、好きな人にはたまらないかも。

『神の雫』 (火10、日テレ)
 私はワイン好きなので、ワインに関する蘊蓄番組として面白い。
 ワイン評論家・遠峰一青(とおみねいっっせい)のワイン描写に注目。

 ※次がワイン描写の実例。
  ワインは「ジョルジュ・ルーミエ シャンボール レ・ザムルーズ」02年
  (いやあ、このおおげささには笑った笑った。)

  まだ若々しく乙女のようなみずみずしさ
  しかし恵まれたヴィンテージがもたらす
  充実感がグラス一杯に溢れている
  おお!これこそが神崎先生の表現した
  甘い花と野生の赤い果実の香り
  恍惚が私を惑わし手招きする
  この深き原生の森へと踏み込め!
  おお森だ!思った通りこのワインの奥には
  澄み切った奇跡の森が待っているに違いない
  なんと素晴らしい光景だ
  これはまるで完璧なる一枚の絵画だ
  一部の隙もない芸術だ
  美しい あまりに美しい
  その光景に私は…ただそれを眺めているだけ…

 ああ、ワインが飲みたくなる……。

『キイナ』 (水9、日テレ)
 実際の事件をもとにした難事件捜査がテーマ。
 今クールは「謎解きもの」が多くて、私は興味が持てないが、
 
一見ありえないことが何故起こるのか、という設定は面白い。

『Q.E.D.証明終了』 (木8、NHK)
 これも一種の「謎解きもの」だが、謎解きは全然たいしたことない。
 むしろ
若者向け娯楽作品としてみれば、けっこう面白い。
 そう思ってみれば、高橋愛のセリフが棒読みでも気にならない。

『ありふれた奇跡』 (木10、フジ)
 設定(物語の冒頭)はちょっとあり得ない話。
 ただ、その後は淡々としたストーリーで何も起こらない。
 前クールの倉本聰『風のガーデン』同様に、
 山田太一という大物脚本家ならではの展開の少ないドラマ。
 しかし、なぜか私は毎回楽しみに見ている。


『ラブ・シャッフル』 (金10、TBS)
 毎回目新しい企画で意表をつく野島伸司の脚本。
 野島自身が「こういう時代だからこそ脚本家は裸踊りするしかない」
 と語るように、バブル時代のような浮かれた雰囲気で展開する。
 「リアリティ」なんて超越した浮かれ具合を楽しむドラマとして◎。

『銭ゲバ』 (土9、日テレ)
 私の子どもの頃の漫画を原作にした作品。
 時代を現代に移しているので、原作の意味がかなり変わっているが、
 不況・格差・派遣切りといった風潮で別の意味を帯びている。

『RESCUE』 (土8、TBS)
 『海猿』とか『ブラッディ・マンデイ』とかに似てて、既視感がかなり。
 しかし、なんで主役はジャニーズでないといけないんでしょう。

『本日も晴れ。異状なし』 (日9、TBS)
 『Dr.コトー診療所』の警官版で、本当になにも異状なし。
 もともとの日曜劇場は健全な主婦向けの話が多かったので、
 本家路線に回帰したということでしょうか。 

私の好みでベストスリーを選べば、次のとおりです。
 ①『ラブ・シャッフル』
 ②『ありふれた奇跡』
 ③(該当なし。ワイン好きなので『神の雫』)
          
 ちなみに私は『神の雫』の遠峰一青の「ひとり芝居」が楽しみ。
 (「お前はイッセー尾形か」と突っ込みを入れたくなりました)



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )