フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 TBSテレビの情報番組『サンデーモーニング』(毎日曜朝8時)にビデオ出演しました。
            
 この番組の最後に「風をよむ21」というコーナーがあり、8月25日(日)放送分では高視聴率をあげているテレビドラマ『半沢直樹』を取り上げました。それに関するインタビューがありましたので、テレビドラマが多くの人の気持ちを反映しやすいメディアであることや『半沢直樹』に新しい希望や勇気を見たいと期待が集まっていることをコメントしました。
            
 視聴率がテレビドラマを評価する唯一の基準ではありません。たとえば今クールでは、『半沢直樹』と同じ池井戸潤原作のドラマ『七つの会議』(NHK)が放送されました。視聴率で言えば『半沢直樹』の圧勝だったとしても、善悪を単純に分けるのではなく、組織のあり方そのものをとらえようと試みた『七つの会議』は、その重厚さにおいておおいに評価すべきドラマでした。視聴率とは異なる観点からテレビドラマを考察する視点も、私たち研究者は持たなければいけません。
 ただ、その一方で高視聴率をあげるドラマには、人びとの心をつかむものがあるのもたしかです。そういう作品の根底には何があるのか。そのような課題を明らかにすることも、今後のテレビドラマ研究・フィクション研究が果たすべき重要な役割だと思っています。
           



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 中国語版の映画『101回目のプロポーズ~SAY YES~』を見ました。主演は日本でもおなじみのリン・チーリンとホアン・ポー。原作の星野役を演じた武田鉄矢が映画にも出演していたり、主題歌に原作と同じ『SAY YES』(チャゲ&アスカ)が使われていたり、原作へのリスペクトが随所に感じられる映画になっています。
            
 映画を見たと書きましたが、この映画の日本封切は2か月近く先の10月19日。まだ封切前の映画をどうして見たかというと、この映画へのコメントを映画の宣伝を担当する会社から依頼されたので、封切り前にお先に見させてもらったというわけです。
            
 この映画の原作は、言わずと知れた野島伸司脚本の大ヒットテレビドラマ(1991年、フジテレビ系)です。私は昨年度、今年度と勤務する大学でテレビドラマ論の講義をしており、昨年度は野島伸司と岡田惠和を中心とした脚本家論を講義しました。
 その関係もあり、原作のテレビドラマ『101回目のプロポーズ』は何度も繰り返し見ました。それだけ原作を見ている私ですから、今回の映画を見れば、いろいろと原作から削除されている場面や、原作から改変されている箇所が目につきます。こういう場合、映画が原作のダイジェストにすぎないと感じたり、原作の良さが活かされていないと感じることが多いのは、そのような理由によります。
            
 ところが、今回の映画は原作を繰り返し見ている私が見ても、落胆することがありませんでした。それどころか、あらかたのストーリーを知っていながらもう一度楽しむことができた映画でした。
 封切前の映画ですから具体的には書きませんが、原作とは二人の出会い方や愛の表わし方が違っています。その違いがあるのになぜそのように楽しめたのかと考えると、それは約100分という短い時間の中で物語が展開しているからこそかもしれません。そのために、原作に描かれていた「一途な愛」の姿がより凝縮され、より純化され、原作以上にドラマティックに描き直されていたという印象を強く持ちました。
 特に、原作で星野がバーのピアノを弾く場面や、工事現場で花嫁姿の薫にナットの指輪をはめる場面を、映画版ではどのように描き直しているか。そこはこの映画の見せどころであり、必見の場面です。

            
 この映画『101回目のプロポーズ~SAY YES~』を多くの人が見て、原作とここが違うとか、ここが面白いとか、テレビドラマや映画をめぐる会話が増えることを、フィクション研究者として心から望んでいます。
            



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  メイン肉料理「鶏の香草のパン粉焼き」


 大田区上池台(最寄駅は東急池上線長原駅)にあるフレンチ・ビストロ『グロゼイユ』に行ってきました。
          
 ランチコースは、A(840円)、B(1575円)、C(2100円)、D(3360円)の4種類があり、初めて行くお店なので、前菜・スープ・魚料理・肉料理・パン・デザート・コーヒーが全部つく「Dコース」を試してみました。
 一言でいうなら、コストパフォーマンスの実にいいお店です。ランチの時間とはいえ3360円でこれだけの品数があり、しかもそれぞれの料理が十分な手間のかけられた、しっかり作られた料理になっているのは驚きでした。正直言って、町の商店街のはずれにある小さなビストロで、これだけのお料理が食べられるとは思いませんでした。グラスワインも525円、ソフトドリンクも315円と、かなりリーズナブルです。
           
 店の外観や内装は「町の洋食屋さん」といった雰囲気ですから、その点を期待することはできません。ですから、接待とか高級感のあるデートとかをしたいという人は、別のお店、別の地域を選ぶ方がいいでしょう。しかし、気どらないで美味しいものを食べたいという人にならお薦めしたいお店でした。
           
 余談ですが、テレビ東京の深夜番組『孤独のグルメ』はシーズン3となり、絶好調です。主人公の井之頭五郎の行く店は庶民的なようですが、五郎は合計すると一人でかなりの金額を一度に使っています。それなら一度こういう店に来てみてほしいと思いました。

 私も、ぜひまた行ってみたいと思っています。

 ⇒ 『レ・グロゼイユ』

          

  
  オードブル盛り合わせ 4種類食べられるのが嬉しい
  (キッシュ・パパイヤの生ハム巻き・トマトとポテトサラダ・サーモンのマリネ)

  
  冷たいコーンポタージュ
  (ピンクペッパーがアクセントになっている)

  
  魚料理 ホタテのポアレ
  (海老の味とダシがきいたアメリケーヌ・ソースが美味しい)

  
  デザートも4種類味わえて楽しい
  (レアチーズケーキ・生チョコ・オレンジタルト・白桃とバナナのソルベ)




<p><a href="http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/13088443/" rel="tabelog c4ee0cc9a8ffd40304dc4082debe694886688faf">グロゼイユ</a> (<a href="http://tabelog.com/rstLst/RC021101/">フレンチ</a> / <a href="http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/R7081/rstLst/">長原駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131712/R7912/rstLst/">旗の台駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/R5569/rstLst/">洗足池駅</a>)
<br />昼総合点<span style="color: #FF8C00;">★★★★</span><span style="color: #A9A9A9;">☆</span> 4.5
</p>



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 テレビドラマの現状について、いくつかの新聞や雑誌の取材に協力しました。
          
 7~9月期のテレビドラマの中では、『半沢直樹』(TBS系)の視聴率が好調です。他にも高視聴率ドラマが多くありますし、『Woman』(日本テレビ系)のように内容は暗くて重いながらも、じわじわと視聴率を上げてきたドラマもあります。また、4~9月放送のNHK朝ドラ『あまちゃん』の視聴率・評判はともに絶好調です。
 こうした状況を受けて、「なぜ現在のテレビドラマにヒット作品が多いのか」「テレビ視聴者がドラマに帰ってきているのではないか」という切り口で、多くのメディアから取材がありました。
           
 早かったのは女性週刊誌『女性セブン』で、視聴者の志向がバラエティからドラマへ移行してきたという観点から取材を受けました。この内容は、8月15日号(31号、発売は7月25日)に「バラエティからドラマへ! 志向はなぜ変わった?」という7ページの特集として掲載されており、私のコメントもかなり大きく取り上げてくれました。
 私は研究者ですから、どの番組に対しても客観的であることを心がけていますが、テレビドラマを研究対象としてもっと取り上げていきたいということは考えています。ですから、ほめるにしてもけなすにしても、7ページものスペースを割いてメディアがテレビドラマを論じてくれるというのは、おおいに歓迎したい出来事でした。
           
 次に取材があったのは『日本経済新聞』で、こちらは「ドラマ視聴率 復調の兆し?」という記事として8月12日夕刊の「夕刊文化」欄に取り上げられました。日経新聞は、テレビドラマ視聴率が上がっていることの要因を追究したいという問題意識が根底にあり、私の「現状は1990年代後半に似ている」という意見を紹介して記事をまとめてくれました。
 日経新聞は、毎回取材がたいへん詳しいことで有名です。今回も記者さんが私の勤める中央大学多摩キャンパスを訪ねてきてくれたので、そこで1時間以上の取材面談をしました。わずかなスペースの記事をまとめるのに、これほど詳しく話を聞くのかと、毎回驚かされます。
           
 また、『サンデー毎日』が『あまちゃん』に関する記事をまとめるということで、私に取材がありました。近く8月20日に発売される号(9月1日号)で、すっかり国民的人気となったこのテレビドラマと主人公について記事「「あまちゃん」はこうなる!」が掲載されます。
           
 他にも、共同通信社が『半沢直樹』に特化した記事を配信するということで、私が取材に協力しました。『家政婦のミタ』以来とも言えるような視聴率を記録しているこの作品について、「どこが視聴者に受けているか」「この作品の社会的意味は何か」という2点を中心に尋ねられたので、私の意見を伝えました。この記事も、配信された各メディアの判断で、使用されることと思います。(8月21日追記。「信濃毎日新聞」「西日本新聞」など各社が記事を掲載していました)
           
 上にも書いたように、私は研究者ですから特定の主張や好みで作品を論じることはしません。その一方で、テレビドラマ全体ということで言うなら、テレビドラマを対象とする研究はまだまだ不十分だという意見を持っています。その意味では、もっとテレビドラマを多くの人が論じ、ああだこうだと議論しながら、その意味を考えていくような文化が根付いていくことを願っています。
           



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 『東京人』に随筆を書きました。
          
 『東京人』は、都市出版社から発行されている月刊誌で、その趣旨は次のように説明されています。

月刊「東京人」では、 東京を舞台に生きるヒト"東京人"のあり方を模索し、彼らが創り上げていく歴史・文化・風俗・建築物・文学・風景など東京という舞台が生み出す様々な事象を、毎号の特集で探っていきます。

 毎号、巻頭近くに3本の随筆が掲載されており、その枠の依頼をいただきました。原稿用紙3枚程度の短い随筆ということと、掲載誌の東京という都市にかかわる月刊誌だということを考え合わせて、「土地の記憶」という文章を書きました。
 この「土地の記憶」という概念は、私が文学研究者として影響を受けた一人である、故・前田愛(元立教大学教授)の研究から思い起こしたものです。前田愛は、その著書のあとがきで「場所の記憶」という言葉も使っていますが、前田の死後、『立教大学日本文学』の前田愛追悼号に、瀬戸内寂聴が「土地の記憶」という言葉で前田を追悼していたので、今回は「土地の記憶」という語を用いました。
 土地には、現在見えるものだけではなく、その土地にまつわる歴史が一体となってその場所の意味を形成している。それが私の理解した「土地の記憶」の概念です。そして、街を歩いているときに、「土地の記憶」は突然よみがえる…。そんな街の力に関することを書いてみました。

           
 関心のある方は『東京人』を御覧いただきたいと思いますし、一定期間が経過したら、私のウェブページの方にもこの随筆を掲載したいと思っています。




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 先日お知らせした、作家・堂場瞬一さんとの対談が、「CHUO ONLINE」にアップされました。
            
 堂場さんは、刑事鳴沢了シリーズや高城賢吾シリーズなどの警察小説や、多くのスポーツ小説を書いている著名な作家です。二人で、現代のフィクションのあり方や、小説メディアと映像メディアの関係などについて語り合いましたので、ぜひお読みください。

 対談ページはこちら
  
→ 堂場瞬一×宇佐美毅 小説とテレビドラマに見る「今」という時代
  → 堂場瞬一×宇佐美毅 小説とテレビドラマに見る「今」という時代

  堂場さんのウェブページはこちら→ 「堂場瞬一with中央公論社」 
            



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(名物の豆水豆腐)

 東京芝にある「うかい亭」で会食しました。
            
 大学院時代の恩師が亡くなってもう23年になりますが、その後も毎年、恩師の奥さまを囲んでこの時期に会食をしています。
 恩師が亡くなっているのに、その奥さまと会食を続けているのは不思議な感じもしますが、それは、私たち大学院生が恩師の家によく出かけていき、恩師の奥さまにもお世話になっていたことがあるからです。その意味では、私たち当時の大学院生にとって、恩師の奥さまという間接的な関係ではなく、奥さまに直接お世話になっていたような感覚を持っていたのでした。
            
 毎年会食の場所は変わり、今年は東京芝の東京タワーに隣接する「うかい亭」でした。「うかい亭」は他にも何か所がありますが、私は初めて利用しました。芝の店は豆腐料理が中心で、料理は質素ですが、いずれも上品に出来上がっています。敷地も広くて緑が多く、他所から移設したという木造の建物も心地よい空間を作っていました。
            











<p><a href="http://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/13019665/" rel="tabelog ac77a79d3384cb27f7041531d930885fdc109724">とうふ屋うかい 東京芝店</a> (<a href="http://tabelog.com/rstLst/RC010101/">懐石・会席料理</a> / <a href="http://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/R140/rstLst/">赤羽橋駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/R4678/rstLst/">芝公園駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130704/R2744/rstLst/">神谷町駅</a>)
<br />昼総合点<span style="color: #FF8C00;">★★★★</span><span style="color: #A9A9A9;">☆</span> 4.5
</p>










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