
学生たちと一緒に企画・編集した本が出版されました。それがこの本です。
学びの扉をひらく(上)
学びの扉をひらく(下)
といっても、これには説明が必要だと思います。以下に、私の挨拶文を添付させていただきます。大学の授業で学生と一緒に本を作るというのは、私にとっても初めて経験でした。この本が多くの場所で活用されることを心から願っています。
皆さま、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
文学部では、教育力向上推進事業の採択を受け、「特別教養(実践的教養演習)」という授業科目を2020年度から開設しました。2021年度は「時間・記憶・記録」という年間テーマのもとに、文学部学生だけではなく、他学部学生も加わって「出版」「イベントの実施」「動画の発信」の活動をおこないました。今回は「出版」部門の成果をお届けします。
今回出版した『学びの扉をひらく―時間・記憶・記録―』は、文学部専任教員3名と学生14名(文学部10名、他学部4名)が共同で企画・編集をおこなった本です。この本は、文学部が多様性の強い学部であることが背景となっています。文学部は、人文科学系・社会科学系の諸学問を包含していて、さらに一部は自然科学にも通じる学問分野を備えています。これは文学部の強みであるのと同時に、文学部がどのような学部なのかが外から見えにくいという弱点にもなりかねません。そこで、私たちは、年間統一テーマのもとに、文学部の諸学問分野の「知」を結集することで、いかに豊かな学びが可能なのかをこの本で示したいと考えました。そのために、文学部の14のセクションの学問分野から統一テーマにアプローチする文章を掲載し、さらに理工学部のお二人の先生にも寄稿いただくことによって、文学部のみならず、大学の学問の多様性と可能性を示す入門書にすることを目指しました。
本の構成や章立てから装丁まで、授業の中で学生たちと教員とが話し合って案を練りました。また、先生方からいただいた文章それぞれに学生たちの担当を決め、細かい校訂作業もおこないました。さらに、学生たちが先生方の文章ごとに一人ずつコラムを掲載し、先生方の専門研究者としての知見とこの本を読んでくださる一般読者の間をつなぐ役割を、このコラムが果たすように配慮しました。こうした試みによって、本書は、既に専門分野に進んでいる方には、その学問分野を見つめ直し相対化する機会になると考えています。また高校生の皆さんなど、これから進むべき道を決めようとする方にとっては、その進路選択の重要な契機になるものと考えています。
以上のように、この『学びの扉をひらく―時間・記憶・記録―』は、大学などにおける教科書や参考書、高等学校などにおける課題図書や進路選択のための資料を、主な活用方法として想定しています。皆さまそれぞれのお立場から、本書を採択、活用していただければ、本書を企画・編集した学生・教員一同にとってこの上ない幸せです。どうかご活用のほど、よろしくお願いいたします。
※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。