フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 





 先週に続いてですが、授業でとったアンケートについて書きます。2週間にわたって、いわゆる「恋愛ドラマ」の歴史について講義をしました。その中で、学生たちが「恋愛ドラマ」をどのくらい見ているか、尋ねてみました。また、「恋愛もの」をドラマで見るか、それとも漫画、アニメ、映画などで見る方が好まれるのか、そういうことを尋ねてみました。そのうちの2問だけ紹介します。いずれも、私の予想とは少し違うところがありました。

 一般的には、現代は「恋愛ドラマの人気がない」と言われていますが、私の授業を履修している学生たちの中では、一定の人気があるようです。また、テレビドラマの世界では「恋愛もの」の人気が低いものの「少女漫画や映画などでは根強い人気がある」という予想も成り立つと思ったのですが、このアンケートの結果では、それほどの差はありませんでした。
 以前にも書きましたが、まずは「大学生たち」という範囲を限定していることで、このアンケートの内容に影響が生じている可能性はあります。また、「テレビドラマに関する授業を履修している学生たち」という、さらにもう一つの重要な条件が加わっているので、そこでもアンケートの内容に影響が出ているのかもしれません。
 以上のような可能性はあるものの、一般に思われている「若者の恋愛ドラマ離れ」という傾向は本当のことなのか、もう少し検討してみる余地があるように思われました。



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 多くの大学同様、私が勤める中央大学でも、集合型の授業ではなく、いわゆるオンライン授業がおこなわれています。オンライン授業とは、ライブ型・リアルタイム型だけの方法とは限らず、課題学習型なども組み合わせながらおこなっています。

 さて、私の担当する授業は、学部1、2年生向けの講義から、3、4年生のゼミ演習や大学院演習など、さまざまです。その中の学部1、2年生向け講義科目は、ライブ型・リアルタイム型で実施しています。例年以上に履修者が多く、現在234名が登録していますし、毎回その大半が出席してくれています。私の講義科目は毎年朝9時からの1限に入っているので、「朝9時までに通学するのはつらいけど、家で授業を受けられるなら1限でもいいか」と思ってくれる学生が、今年は多いのかもしれません。

 その講義では、毎回なんらかのアンケートをとっているのですが、最近「専業主婦/専業主夫」希望に関するアンケートをとりました。テレビドラマに関する授業をしていることの関係で実施したアンケートですが、その背景や詳細はここでは省きます。ただ、専業主婦願望については「(株)ユーキャン(株)アイシェア 共同意識調査(2010年)」という有名なアンケートがあるので、それにならいつつ、大学向けにアンケートをとってみました。
 そこではたいへん興味深い結果が見られました。女子学生についていえば、なんらかの形で将来は専業主婦になりたいという人が、半数を越えていたことです(約54%。「経済的に余裕があれば」「子どもができたら」などを含めて)。ちなみに、同じアンケートを男子学生にもしたところ、約17%が専業主夫になりたい(同じく「経済的に余裕があれば」「子どもができたら」を含めて)と回答しました。
 女子学生の専業主婦希望はもう少し少ない、と私は予想していました。それは、先に示した共同意識調査が「働いている独身女性」向けであり、しかも10年も前の調査だからです。私のアンケート対象はこれから社会に出て行こうとする女子学生であり、しかも共同意識調査から10年も経っているので、専業主婦希望はそのときよりも減っているのではないかと予想したのです。しかし、問いのしかたが違うとはいえ、共同意識調査とほぼ同様の数字が出たことは意外でした。こうした興味深い数字の意味を、今後も考えて続けていきたいと思っています。

   

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 新型コロナウィルスの影響が各方面に出ています。大学もその影響を受けていますし、私たちの仕事の負担も増しています。しかし、大学の教員どころではない大きな影響に苦しんでいる人がおおぜいいるので、私のように仕事があり、在宅勤務の時間を多く持てるだけ幸運なのかもしれません。

 さて、そのような状況の中で、私が研究対象とするテレビドラマは新作の放送ができず、再放送になっている枠がたくさんあります。そこで感じたのは、もう一度見たいと思える作品と、面白かったけど一度見たら見直さなくてもいいと感じる作品がある、ということでした。
 たとえば、今のテレビドラマ脚本家の中では坂元裕二の脚本は練りに練られている、という印象があります。私は多くの仕事を抱えながらテレビドラマを見ているので、申し訳ないながらパソコン仕事などをしながら耳だけテレビドラマを聴いている、ということがほとんどです。そうでもしなければ、これだけ多くのテレビドラマ作品が放送されている中で、これだけ多くのテレビドラマを見続けることはできませんし、そんな中で「テレビドラマ研究者」を名乗ることもできません。
 しかしながら、そういうテレビドラマの受容のしかたをしていると、作品の重要な特質を見落としてしまうことがあります。その点は申し訳ない気持ちです。今回、新型コロナウィルスの影響で新作ドラマが放送できず、「再放送ばっかりだ」というご不満も多くの視聴者にあるようですが、一方で、「二度見ても面白い作品はやはりよい作品だ」ということをあらためて知ることができた、という気もしました。たとえば『仁―JIN―』などが再放送でも高視聴率をとったことは、そのことを示す好例です。しばらくは新しいドラマを見ることが少ない状況が続きますが、再放送をそのような前向きの、肯定的な視点から見直してみたいと思っています。

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