フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 首都圏にある一つの健康ランドが閉館することになりました。私は、新型コロナウイルスの影響が出てから後は行っていませんが、以前によく行っていたので、とても残念です。
 私がこの健康ランドに行くときは、毎回宿泊して2、3日滞在していました。のんびりしに行くのではなく、ノートPCを持ってまとめて仕事をしに行っていました。「庶民的」を絵に描いたような、まったくおしゃれさのない施設でしたが、その健康ランドでは大浴場がほぼ1日じゅう開いていましたし、建物内にはレストランもバーも漫画コーナーもスポーツジムもありました。ですので、そこにいる間の私の生活としては、「仕事→運動→仕事→大浴場→仕事→食事→仕事→大浴場→仕事→睡眠」といった感じでした。本当は仕事抜きで滞在できればもっとよかったのですが、それはできませんでした。それでも仕事の合間にいつでも運動や入浴ができるのは、それはそれで幸せなことでした。
 昔の文豪は、湯河原や修善寺の旅館にこもって小説を書きました。私は文豪ではないので、それよりは10段階くらい庶民的な施設になりますが、仕事をしに健康ランドにこもることは、わりとよくあることでした。そういう施設がなくなってしまうことはとても残念です。
 そこがなくなっても他があるじゃないかと思われるかもしれませんが、いくら調べても同様な場所はないようです。お台場の大江戸温泉物語のような少しおしゃれな若者向きの施設になるか、ホテルの併設のない仮眠スペース程度の健康ランドか、あるいはビジネスホテルに共同浴場が付いているような場所しかないようです。
 気に入った場所がなくなるのはとても悲しいことです。そういえば、「気に入った場所がなくなる」ということについても書きたくなり、忘れられない多くの場所が数多く頭に浮かんできましたが、それはまた別の機会に譲りたいと思います。

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 1~3月期のテレビドラマについては、以前にこのブログに簡単な感想を書きました。ただ、それは1~2回見ただけの印象だったので、その後見続けてみると、ずいぶん印象が変わる作品がありました。
 その代表は『天国と地獄』です。初回を見ただけの段階では、正直何をしたいのかよくわかりませんでした。このブログには「数々の名作ドラマを放送したTBS日曜劇場が、しかも数々のヒューマニティあふれる脚本を書いてきた森下佳子が、使い古された単なる入れ替わりものを制作するはずがありません。」と書きましたが、見続けてきてようやく作品の雰囲気、テイストのようなものが理解できてきました。SF要素やユーモラスな要素もありながら、数奇な運命に翻弄される人たちのそれぞれの懸命な姿が描かれています。森下佳子の脚本の根底にあるのはヒューマニティだと私は考えていますが、それでも原作のある作品では、『白夜行』のようなミステリー要素や、『仁―JIN』のようなSF要素も描いてきています。その意味では、森下脚本の重要な要素が総動員されているのが、この『天国と地獄』という作品だという印象を強くしました。

 もうひとつ印象が変わったのは『知ってるワイフ』です。以前のこのブログでは、初回は「重苦しい」し、「タイトルで損をしている」と書きました(タイトルは原作を尊重しているので仕方ないですが)。しかし、見続けているうちに、脚本の橋部敦子の特徴が前面に出てきた気がします。橋部敦子といえば、『僕の生きる道』という著名なドラマシリーズを手がけていますし、私は橋部の作品の中で『遅咲きのヒマワリ』を特に高く評価してきました。人の生き方について誰よりも深く考えさせるという橋部の作風が、次第に表面に出てきていると感じます。『天国と地獄』同様に、あり得ない出来事に戸惑いながらも、その事象を通じて自分の生き方を問い直す人間の姿が、回を追うごとに深く追究されていきます。逆に言うと、タイトルと事前広報の少なさと初回の雰囲気で損をして、せっかくの良作が多くの視聴者に見てもらえなかったのではないか、とたいへん残念に思います。見続けていてようやく良さの出てくる作品なので、最初から見ない、あるいは初回で脱落してしまった視聴者が多いのではないかと感じました。



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 現在、私が勤める中央大学の入学試験期間となっています。私が学部長を務める文学部の入試日は2月10日(水)。その後も他の学部の入試が実施され、入試が終わればその後の採点や合否判定、合格発表などが続きます。(写真は文学部入試が終了し、帰宅していく受験生たちのようすです。皆さん、おつかれさまでした。実力を発揮して、普段の努力が報われていることを願っています。)
 それやこれやの仕事に追われていて、「できるだけ週1回(なるべく土日)」に更新するはずのこのブログを、1回スキップしてしまいました。1~3月期のテレビドラマについても中盤にさしかかり、初回の印象から変化した作品もあります。そのことも書きたいのですが、残念ながら次週とさせてください。

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