フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 神奈川県立相模原高校と埼玉県立所沢高校の生徒さんを対象に、教養講座として特別授業をしてきました。場所は中央大学です。
 近年、こうした高校と大学の連携授業が増えてきています。以前は「進路指導」とか「就職指導」という表現で、卒業という「出口」に絞って指導をおこなっていました。現在は、「出口」だけではなく、それを含めた自分の人生全体を計画していくという意味で、「キャリア教育」「キャリアデザイン」といった表現が使われるようになっています。
 そのため、高校と大学に限らず、卒業後の進路先となる学校や社会体験などを重視するようになっています。そのため、私のような大学教員も、高校生の前で授業をする機会が増えてきました。今回の相模原高校と所沢高校の生徒さんに授業したのも、そういう趣旨と考えています。
               
 ただ、こうした特別授業も、ただすればそれでいいというわけではありません。私たち大学教員の側も、1回きりの授業で大学の勉強のエッセンスが伝わるように工夫しなければいけませんから、通常の大学の授業とは異なる配慮が必要になります。
 また、高校側も、生徒さんたちが大学の授業を体験して何を考え、それをどう人生設計に結びつけていくか指導する必要があります。その点で、高校の中には、「他の高校もやってるからウチも一応それらしいことをしておかないと」というだけで、形だけ大学の教員の話を聞かせてあとは何もしない、という学校がないわけではありません(そういう学校は話してみればすぐわかります)。
 その点、今回授業に来ていた相模原高校と所沢高校の生徒さんたちは、話を聞く態度も立派ですし、意欲を持って来てくれているのがよくわかりました。また、両校ともに「高大連携教育」という意識のもとに、総合的な取り組みをしていることを知りました。
 たとえば、相模原高校の場合、「総合的な学習の時間」という単位として設定しており、①大学の「学部・学科ガイダンス」を2講座以上、 ②大学授業を体験する「教養講座」を3講座以上、 ③やや専門的な授業を体験する「演習講座」を1講座以上、受講し、さらにその内容をノート・レポートの形で提出して、プレゼンテーションに備えるとのことでした。こうした取り組みをしてもらえるなら、私たち大学教員にとっても、協力させていただく甲斐がおおいにあるという気がします。
               
 1回だけの特別授業というのは、担当する私たち大学教員にとってたいへん難しいものはありますが、高校のこうした熱心な取り組みに対しては、今後もぜひ協力させていただきたいと感じました。





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