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Thinking tool box

音楽のある風景っていいね。

2005-02-09 12:26:47 | ◎聴
保坂和志さんが『音楽のある風景』のファンだったなんて驚いた。感涙ものだ。いきおいあまってBBSにコメントなんかしてしまいましたよ。

『音楽のある風景』は、いちおうTVプログラムということになっているけど、ようは懐かしCD-BOXセット通販のインフォマーシャル(≒PV)だ。ご存じの人もかなり多いにちがいないし、あまつさえ「毎週見入っているよ」という人もいるかもしれない。
東京ならテレビ神奈川など、関西なら京都テレビやサンテレビなどのUHF局やCS局、BS局などあまり人目につかないチャンネルの人目につかない時間帯にこっそり放映されている。

洋楽・邦楽問わず、ポップミュージックからクラッシク、インストまでいくつかのCDが紹介されているのだが、ポップミュージックについてはおおむね6枚セットくらいのCDの主要な曲を、おおむねその曲が流行った当時のドキュメント映像をながしながら紹介していき、全曲一覧紹介ののち、いまからフリーダイヤルでお申し込みを受け付けます、となる。なんのことはない。

保坂さんによると、

「ヘイ・ポーラ」をバックに、ベトナム戦争で川に浮いている米兵の死体が映ったり、 弘田三枝子の「人形の家」をバックに三島由紀夫が自衛隊で演説している映像が流れたり、 最近ではわたしが一番楽しみにしているテレビ番組です。

tvkが見られる人は、一度見てみてください。
テレビって、低予算で作る方が絶対に面白い。タレントが出てきて、しゃべったりしないから。 それにしても、わたしは昔の音楽と昔の映像に弱い。。。。


ということで、わりと心酔されているように思える。
楽曲と映像のマッチングが妙に気持ちよく、かなり懐かしくゆったりした気持ちになるし、当時の世俗風俗がいとおしくすらなるのは、まさに彼が感じるとおりだ。

たとえばわたしが好きなのは、まず『MY GIRL』。「1950年代から1960年代の古きよきアメリカを代表するロックンロールやコーラスグループの名曲、そして懐かしい映画音楽まで合計140曲を収録」。つまりほぼオールディーズだ。「ロック・アランド・ザ・クロック」「オンリー・ユー」「ボーイ・ハント」「マイ・ガール」「アンチェインド・メロディ」から「エデンの東」「ムーン・リバー」まで。そして、曲紹介中の背景に、アメリカの同時代の社会現象、政治、風俗にまつわる映像が流れる。それは、ベトナム戦争での絨毯爆撃だったり公民権運動のワシントン大行進だったりするし、「ティファニーで朝食を」のフィルムだったりする。

もちろんこの頃にわたしは物心がついていたわけではないので、ほんとうは懐かしいわけでもなんでもないのだが、ここはやはり音楽というものの力技なのか、無意識のうちに埋め込まれたかもしれない「あの頃」感覚が覚醒する。とりわけ、ベトナム戦士やアポロ宇宙飛行士の映像を背景に、60年代の終盤に一気になだれこむ、「煙が目にしみる(プラターズ)」、「明日なき世界(バリー・マクガイア)」、「この素晴らしき世界(ルイ・アームストロング)」、「青い影(プロコル・ハルム)」あたりの編集は圧巻だ。

さらに、70年代を中心とした日本のフォーク アンド ポップスを収録した永久保存盤と銘打たれる『FOREVER YOUNG』。「青春の影」「 我が良き友よ」「今はもうだれも」「傘がない」「大阪で生まれた女」「22才の別れ 風」「なごり雪」「あゝ青春」「卒業写真」「『いちご白書』をもう一度」などが、それこそ68年のやや激しい映像から、オイルショックのトイレットペーパー・パニック、たけのこ族の映像までを背景に流れる(三島由紀夫の演説などもあったと思うが、年代的にもこちらは違うCD-BOXの映像だろう)。
こちらは、わたしが小学生くらいの頃の話で、じっさいにこれらのポップ・ミュージックやフォークソングを口ずさんでいたし、社会の映像もおぼろげながら記憶にあるものが多い。ひょっとしたら、最後の走馬灯を見るという感覚に近いのかもしれない。

いずれも、もし、これら映像とセットになったDVDなら、迷わずフリーダイヤル、というところだろう。

しかし、これは掲示保坂にも書き込んだのだが、いかんせんあくまでもCD通販のテレビショッピングであり、かつ同じ内容が何回もリピートされているため、無言で見入っていると、家人からは「またや」と厭きれられ、「あほや」と罵倒されることになる。

ずっと「でもなあ…」と、呟き続けていたのだが、この感覚がひとつの感覚として立派に世の中に存在することが立証でき、しかも、その証人が保坂さんであるという事実が強い味方となり、これからは堂々と忘我の時間を過ごせることになるのはなによりだ。どうだ参ったか。

ただ、最近は『浜ちゃんと。』(※)と時間帯がかぶっていて、いささか迷いどころではあるが。


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(※)『浜ちゃんと。』は、関西地区では、一週早いものが、日テレローカルの読売テレビで放送されています。


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