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ロサンゼルス市警かどこかで、朝出署したばかりの肥えた黒人の巡査が、慌しく動き回る人波をかきわけ、まずサーバーに立ち寄り、常備されているコーヒーを大きめの紙コップたっぷりに注ぎ、机につく。そして、おもむろに紙ぶくろから取り出した、ダンキンドーナッツをほおばりながら、コーヒーをぐいぐいやる。その瞬間、わたしは家人にコーヒー淹れようか、と宣言するわけだ。
『BRUTUS 3/15 COFFEE AND CIGARETTES』は、さまざまな人たちから冷遇され罵倒されながらもタバコをやめられない人、とりあえずコーヒーがなければ、ものごとを始めることができない人にとって、なんともうれしい一冊となっている。
まずコーヒー。各界の著名人を引っ張り出してくるやり方はあいかわらずだが、約70名のコーヒー好きが紹介する70のカフェ&豆は情報としてはとても有用。くるりの岸田繁の紹介する京都の「名曲喫茶 柳月堂」、スタジオではコーヒーをがぶがぶ飲むという冨田ラボ恵一の「AINA」、真鍋かをりのベトナム料理店「セラドン渋谷西武」、井川遥の「葛珈琲店」、そして板尾創路の「NESCAFE Excella」(「現場に行くと「コーヒー飲みたい」ゆうて、しきりにお湯を探してたんです」)(※1)などなど。さらには、東京のテイクアウトコーヒー徹底比較、うまいコーヒー図解など。その瞬間、コーヒー淹れたくなること間違いなし。
そしてタバコ。冒頭のブルース・ウィリス含む「映画」の中のタバコ、「漫画」の中のタバコ、「レコジャケ」の中のタバコ(「The Nightfly」とか「Middle Man」とかね)、そして高橋源一郎による「小説」の中のタバコ。養老孟司の語る「禁煙運動」の課題、内田師匠の使いまわしタバコエッセイ。さらには、ジャームッシュによる、NY愛煙家事情。これでもかこれでもかのスモーカーの写真。その瞬間、喫煙場(非常階段踊り場)に向かいたくなること間違いなし。と、同時に、虐げられる日々に、強い勇気を与えてくれるわけだ(※2)。
まあ、これみて目くじら立てておこる武闘派の嫌煙運動家さんもいるかもしれないけれど、そこは養老先生の言うように「そもそも、タバコは趣味趣向の問題であって、肩の力を入れて議論するようなものではないんです。万事適当がいいんですよ。まじめになって酒の害がどう、タバコの害がどうなんていう必要はない」と気楽に構えていただき、少しでも例の壁を低くしていただけるとうれしく思うしだいです。ルールは守りますので、なにとぞ酌量ください。
いずれにしても、コーヒーとタバコの旨さを余すところなく伝えるこの一冊。もちろん、食い足りない部分も突っ込みどころもあるけれど、10年ほど前、毎号わたしを驚かせてくれた「BRUTUS」らしい「BRUTUS」とはいえるかもしれない。さ、淹れに行こ、吸いに行こ。
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(※1)板尾さんは、『魁!!クロマティ高校/THE MOVIE』の演出・構成・出演をしているらしい。きっとバカバカしいものだろうけど、いちおう見たいなあ。(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で先行公開。劇場は夏らしい。)
(※2)しかし、「BRUTUS」では、癌におかされた肺やニコチンで死んだ動物の写真などの印刷が義務づけられたブラジルのタバコのパッケージも紹介されており、この強烈なフィアアピールにはさすがに参った。もし、こんなパッケージデザインになったら、きっとタバコをやめると思う。
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養老氏の言うように酒もタバコも
趣味嗜好の物。その事で議論するとはもってのほかですなぁ。
しかも酒飲みながらとは…。
私目が覚めました。
以後この反省を活かします。(笑)
ところでもうひとつのヒットは
冨田ラボのコーヒーがぶ飲みですか?
(sou)
もうひとつは、ドナルド・フェイゲンだったんですけど…。
あ、そういえば、いい音楽発見しました。ご存知かもしれませんが、Jack Johnson。以下のサイトで、1曲だけ試聴できますが、いままで知らなかったことがちょっとショックでしたね。きっとこの一枚買うと思います。
http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/jack_johnson/