何度かこのBLOGでもふれてきたが、ぼくはブルース・スプリングスティーンのどちらかというと熱烈なファンとして分類される。たとえば、The E-Street Bandとの唯一の来日ツアーも大阪城ホールで見ていたり(残念ながら、The Ghost of Tom Joad ツアーにはいけていないが)、『Live 1975-85』をはじめとするいくつかのアルバムをLPとしてもっているし、『Tracks』といったちょっと高めのアルバムやDVDも発売されるやいなやなんの躊躇もなく買ってしまう。少しはブートも漁っている。
ブルースというと、ある年代の人たちにとっては『Born in the U.S.A』の印象が強く、ともすればただその曲名だけで、マッチョなアメリカニズムと誤解している人もおおいと思うが、実際はまったく逆で、純粋なロックンローラであり、グローバリズムなどとは無縁の市井の市民の立場に立つ人である。
もちろん、ケリーを擁護するといった派手なパフォーマンスや、「VOTE FOR GHANGE」といったポリティカルな活動は、個人的にはどうか?と思ってしまうが、その端緒はセプテンバー・イレブンを契機とするアメリカの立ち位置の否定であり、この点での活動や声明の一貫性はブルースらしい。
以前に、LPならきっと擦り切れているほど聴いているだろうと書いた『The Rising』も、911が大きなモチーフになっているが、ワールドトレードセンターに立ち向かう消防士を称える曲がある一方で、自爆に向かうテロリストの苦悶を静かに強く描いたと推測できるような曲もあり、そのバランス感覚は秀逸であり、ドラマタイズは感動的である。
そのブルースのニューアルバムのニュースが飛び込んできた。『The Rising』以来の新譜は『Devils & Dust』。最近はおおむね「いきなり発表」ということが多かったのだが、今回もそれに違わずほんとうに突然の、そしてうれしいニュースとなった。
プレスリリースやAP通信を主なソースとしたソニー・ミュージック・エンターテイメントの発表にとよると、
◎ブルースの通算19枚目となるアルバム『Devils & Dust』がUSで4月26日発売となることがオフィシャルのプレスリリースでいきなり発表になりました。
◎今回はEストリート・バンドとのレコーディングではなく、レコーディングメンバーは基本的にスティーヴ・ジョーダン(drums)とブレンダン・オブライエン(bass)。
◎1995年の『The Ghost of Tom Joad 』と似ている部分があるようで実際に数曲聞いたAPの記者によると『The Rising』と比べて、静かでよりアコースティックな作品でペダルスチールギター、ハーモニカ、バイオリンなども入り、民族的なアレンジメントもあり
とのことで、すでに収録曲も発表されている。いくつかは『The Ghost of Tom Joad』でもれたものであり、いくつかは『The Ghost of Tom Joad』ツアー中にできあがったものであり、またいくつかはイラク戦争を契機としてかかれたものということだ。
1. Devils & Dust
2. All The Way Home
3. Reno
4. Long Time Comin'
5. Black Cowboys
6. Maria's Bed
7. Silver Palomino
8. Jesus Was an Only Son
9. Leah
10. The Hitter
11. All I'm Thinkin' About
12. Matamoras Banks
ブルースによると、今回のアルバムは「かなりの部分は西部、特に田舎の生活が舞台」とのことであり、これを受け、各ソース(orソニー)は、『The Ghost of Tom Joad』と似たアルバムと称している。(このあたりの詳細は、AP通信によるUSA TODAYの記事で確認できる)
つまり、より内省的なアルバムということになる。AP通信でも触れられているが、ブルースは、過去、おおむね大きな活動のあとに、この手の内省的な(アコースティックないしはアンブラグド)アルバムを発表するということを繰り返してきた。『The River』のあとの『Nebraska』、『Born in the U.S.A.』のあとの『Tunnel of Love』、久しぶりのThe E-Street Band再結成後の『The Ghost of Tom Joad』、そして今回『The Rising』のあとの『Devils & Dust』。このクールダウンの関係は面白いし、これが巧みに実践できるアーティストはそういないだろう。
じっさいのところ『The Ghost of Tom Joad』の精神性は、過去の『Nebraska』や『Tunnel of Love』に比べてわかりにくいところがあり、ぼく自身も聞き込んでいるとは言いがたく、その点で新しい『Devils & Dust』のニュースについても判断が難しいところではある。
また、じつは、ぼくがブルースを好きな理由は、E-Street Bandに負うところも多く--とりわけMax Weinberg のドラム(※1)、そういった点で少し残念でもあるのだが、たとえそうであっても「Paradise」や「Racing In The Street」、「Drive All Night」といった内省的なバラードは依然として揺ぎなく、もし『Nebraska』のようなシャープさや、『Tunnel of Love』の優しさを魅せてくれるのであれば、そこへの期待感はずいぶん高まる。
現在、アルバムツアーは未定だそうだが、ブルースによると、「アコースティックなものになる。小さな会場を回りたいと思っている」とのことだ。最近は(SMEの署名運動などにもかかわらず)なかなか来日が実現せず、なかばあきらめ気味ではあるが、The Ghost of Tom Joad ツアーのリベンジもあるし、もし来日が叶えばぜひチケットを入手したいものだ。きっと、昨年のJackson Brownのソロ・アコースティック・ツアー以上に素晴らしいものとなるだろうなあ(※2)。
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(※1)「The Ties That Bind」とか「My Love Will Not Let You Down」のドラムワークはものすごく気持ちいいですね。あのくそ真面目ぽい顔からは想像できない迫力です。そういえば、振り返ってみれば、ぼくはドラムにひかれることが多く、たとえば、QUEENが好きなのはロジャー・テイラーがいるからだし、The Policeはスチュワート・コープランドだし、そしてカシオペアは神保彰だし。このあたりは、昨日のエアロの話とつながるのかね。
(※2)なかなかにリラックスした雰囲気でよかったです。旧聞ですがセットリストやコンサートのもようは、こちらの方がくまなくまとめていらしゃいます。考えてみれば1989年の「World In Motion Tour」以来、毎回ツアーに行っているんですよね。ジャクソン、今年はこないのかなあ。
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↑今日も、本の話がなくすみません。
↑許そう、という殊勝な方は、
↓本&読ランキングに1クリックを。
ブルースというと、ある年代の人たちにとっては『Born in the U.S.A』の印象が強く、ともすればただその曲名だけで、マッチョなアメリカニズムと誤解している人もおおいと思うが、実際はまったく逆で、純粋なロックンローラであり、グローバリズムなどとは無縁の市井の市民の立場に立つ人である。
もちろん、ケリーを擁護するといった派手なパフォーマンスや、「VOTE FOR GHANGE」といったポリティカルな活動は、個人的にはどうか?と思ってしまうが、その端緒はセプテンバー・イレブンを契機とするアメリカの立ち位置の否定であり、この点での活動や声明の一貫性はブルースらしい。
以前に、LPならきっと擦り切れているほど聴いているだろうと書いた『The Rising』も、911が大きなモチーフになっているが、ワールドトレードセンターに立ち向かう消防士を称える曲がある一方で、自爆に向かうテロリストの苦悶を静かに強く描いたと推測できるような曲もあり、そのバランス感覚は秀逸であり、ドラマタイズは感動的である。
そのブルースのニューアルバムのニュースが飛び込んできた。『The Rising』以来の新譜は『Devils & Dust』。最近はおおむね「いきなり発表」ということが多かったのだが、今回もそれに違わずほんとうに突然の、そしてうれしいニュースとなった。
プレスリリースやAP通信を主なソースとしたソニー・ミュージック・エンターテイメントの発表にとよると、
◎ブルースの通算19枚目となるアルバム『Devils & Dust』がUSで4月26日発売となることがオフィシャルのプレスリリースでいきなり発表になりました。
◎今回はEストリート・バンドとのレコーディングではなく、レコーディングメンバーは基本的にスティーヴ・ジョーダン(drums)とブレンダン・オブライエン(bass)。
◎1995年の『The Ghost of Tom Joad 』と似ている部分があるようで実際に数曲聞いたAPの記者によると『The Rising』と比べて、静かでよりアコースティックな作品でペダルスチールギター、ハーモニカ、バイオリンなども入り、民族的なアレンジメントもあり
とのことで、すでに収録曲も発表されている。いくつかは『The Ghost of Tom Joad』でもれたものであり、いくつかは『The Ghost of Tom Joad』ツアー中にできあがったものであり、またいくつかはイラク戦争を契機としてかかれたものということだ。
1. Devils & Dust
2. All The Way Home
3. Reno
4. Long Time Comin'
5. Black Cowboys
6. Maria's Bed
7. Silver Palomino
8. Jesus Was an Only Son
9. Leah
10. The Hitter
11. All I'm Thinkin' About
12. Matamoras Banks
ブルースによると、今回のアルバムは「かなりの部分は西部、特に田舎の生活が舞台」とのことであり、これを受け、各ソース(orソニー)は、『The Ghost of Tom Joad』と似たアルバムと称している。(このあたりの詳細は、AP通信によるUSA TODAYの記事で確認できる)
つまり、より内省的なアルバムということになる。AP通信でも触れられているが、ブルースは、過去、おおむね大きな活動のあとに、この手の内省的な(アコースティックないしはアンブラグド)アルバムを発表するということを繰り返してきた。『The River』のあとの『Nebraska』、『Born in the U.S.A.』のあとの『Tunnel of Love』、久しぶりのThe E-Street Band再結成後の『The Ghost of Tom Joad』、そして今回『The Rising』のあとの『Devils & Dust』。このクールダウンの関係は面白いし、これが巧みに実践できるアーティストはそういないだろう。
じっさいのところ『The Ghost of Tom Joad』の精神性は、過去の『Nebraska』や『Tunnel of Love』に比べてわかりにくいところがあり、ぼく自身も聞き込んでいるとは言いがたく、その点で新しい『Devils & Dust』のニュースについても判断が難しいところではある。
また、じつは、ぼくがブルースを好きな理由は、E-Street Bandに負うところも多く--とりわけMax Weinberg のドラム(※1)、そういった点で少し残念でもあるのだが、たとえそうであっても「Paradise」や「Racing In The Street」、「Drive All Night」といった内省的なバラードは依然として揺ぎなく、もし『Nebraska』のようなシャープさや、『Tunnel of Love』の優しさを魅せてくれるのであれば、そこへの期待感はずいぶん高まる。
現在、アルバムツアーは未定だそうだが、ブルースによると、「アコースティックなものになる。小さな会場を回りたいと思っている」とのことだ。最近は(SMEの署名運動などにもかかわらず)なかなか来日が実現せず、なかばあきらめ気味ではあるが、The Ghost of Tom Joad ツアーのリベンジもあるし、もし来日が叶えばぜひチケットを入手したいものだ。きっと、昨年のJackson Brownのソロ・アコースティック・ツアー以上に素晴らしいものとなるだろうなあ(※2)。
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(※1)「The Ties That Bind」とか「My Love Will Not Let You Down」のドラムワークはものすごく気持ちいいですね。あのくそ真面目ぽい顔からは想像できない迫力です。そういえば、振り返ってみれば、ぼくはドラムにひかれることが多く、たとえば、QUEENが好きなのはロジャー・テイラーがいるからだし、The Policeはスチュワート・コープランドだし、そしてカシオペアは神保彰だし。このあたりは、昨日のエアロの話とつながるのかね。
(※2)なかなかにリラックスした雰囲気でよかったです。旧聞ですがセットリストやコンサートのもようは、こちらの方がくまなくまとめていらしゃいます。考えてみれば1989年の「World In Motion Tour」以来、毎回ツアーに行っているんですよね。ジャクソン、今年はこないのかなあ。
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↑今日も、本の話がなくすみません。
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