そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月23日(月)キャンパス小説

2014年06月23日 | 校長は日々是口実

  柚木麻子のこの作品、あっという間に読んじゃったが、「馬場にある、世界一まずい居酒屋」(p95)の『一球』が、少し先では「文キャン近くの『一球』」(p115)になっているのは腑に落ちない。要するに、『一球』のモデルが「一休」ということなのであろう。「一休」は、ジャック・デリダが来日した際に、高橋允昭先生が連れて行って焼き鳥を食わせたという都市伝説があるが、これは嘘…と允昭先生のご子息である同僚教授T氏に聞かされたことがある。私は允昭先生にフランス語を習ったけんね。しかし、当時は本当に、第二外国語をめちゃくちゃやらされたものである(でも、フランス語を使った体験は、ヘルシンキで2度、平壌で1度だけ。あとは、今校長を務めるの高校の職員会議の合間にフランス語で呟いたら、イギリス人教師のG先生にニヤリとされたくらいだ)。

  修士課程の演習をやっとこさ水準に持ち上げ、枕草子の諸本論なんて、昔々U教授の代講でやらされていてよかったと思った。学生の研究会も丁寧な調べで、必要なことは全部網に入っていたが、「萩」と「荻」とが混同されていたのには笑った。まあ、一度恥をかけば、一生間違うことはない。

  研究会の後の飲みは、男ばかり5人で「かわうち」へ。明日も」「かわうち」である。青森に宮城と東北勢2名、九州は佐賀が1名(彼は渋谷神道大学)、あとは神奈川と私めは島根で、最初っから日本酒のみでぶっ飛ばす。大将に、今日はずいぶん飲まれましたなあ、1.5升ですぜ!と言われた。皆、水のようにするする飲むからなあ。私の周辺には、日本酒党ばかりが集まってくるみたいだ。

  地下鉄に乗ろうとしたら、A学部長殿に声を掛けられた。もう「死に体」学部長なので、気楽な格好をしておられた。こちらはといえば、校長職の後任者をめぐって最終局面にあり、いささかへこたれ気味なので、癪に障ったが黙っておった。学校法人の部長殿から、ご苦労さま、あなたの功績は小さくないとか言われたのが、せめてもの慰めである。


6月23日(月)欠席者ゼロ!

2014年06月23日 | 校長は日々是口実

  さる方面の圧力に、結局は屈することにして、元の文章の一部を修正するよう担当者に指示する。幸いすぐに処理してくれたので、関係諸方面に報告。これで波風が治まればオンの字だけど…。

  朝いち演習は、欠席者ゼロであった! 月曜の、9:00開始の科目で、受講者が27名も居て、一人も休まないのは、異常である。この大学は、いったいどうなってしまったんだろう? 今日から新しいテクストに入る。まず作者と作品について、概略の解説を2人の担当者に発表してもらった。この作品に関しては、一番たくさん論文を書いているのは、何を隠そうこの私なのだ。大学の専門の授業は、オリジナリティ第一。その点、このテクストを取り扱っていれば、第一人者=私による、日本で最高水準の授業ということになるからね。(笑) 自分の論文をプリントして配布して補足資料とする。

  昼食はついついN坂をのぼった。「高七」の前は既に6~7人待っている。その後から入ってカウンターの端に座り、さっと大将に掻き揚げ付きをお願いする。本日の「高七」は、大繁盛である。カウンターの隣には、小さな男の子を連れたお母さんが座った。「高七」には子供連れの客が実に多い。いかに「大衆的」な店か…という証左だが、これほどコストパフォーマンスの高いお店も滅多にあるまい。

  土曜日に、読もうと思って買った柚木麻子の小説を、酔った勢いでOさんに差し上げてしまったので、また1冊購入した。

  博士課程の研究指導は、UちゃんのN協会大会での下発表の下発表。まあ、おうた文学会などとは違う客層の学会だから、そのことを意識して構成し直すことだな。柚木麻子の小説をみて、これ切ないですよね…と、Uちゃん。たしかに、切ない。