これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

1Q84 BOOK3

2010年07月07日 15時26分25秒 | 読書
返却日ぎりぎりで読み終わりました。
3冊合計で1500ページ以上、読了したことになりますが
一つのお話でこんなに長編だったのは初めてです。

結局、終わったんだが終わっていないんだか
よく分からない終わり方で、
作者も先日、インタビューで続編があるともないとも
どっちつかずの話をしていました。
たった9ヶ月間の話でしかないし
書こうと思えば、「1Q85」でも「1Q83」でも
どうにもなるような形だし、
主人公自体を変えてしまう手もないこともないです。

村上作品は他に「海辺のカフカ」しか読んだことがありませんが
それよりは好きな小説でした。
どちらも大枠からいうとファンタジー小説になるんでしょうか、
パラレルワールドの要素もあるからSFっぽいところもあるし
ところどころは官能小説っぽいところもあって
捉えどころがない感じです。

ファンタジーはファンタジーでいいんですけど
そこかしこで変にリアルで、
あれだけ天吾と青豆がお互いに切望してた再会ができて
結局やることはSEXという
まぁ当たり前と言っては当たり前なんですけど
中学生には薦められないような感じで
それは百歩譲るとしても
天吾も青豆もお互いこの人しかいないって思っているのに
それぞれ肉体関係を結ぶ相手が何人もいるっていうのが
どうにも解せないんですけど、
それだけ人間は弱いということを示唆しているのでしょうか。

ストーリー的にはそんなに好きな話でもないのに
最後まで読めたのは、文章力が優れているからといっても
過言ではありません。
技術的なことはさっぱり分かりませんが
文章力の劣る小説と違うことは一目瞭然です。
全編を通して、定期的に格言めいたセリフが入ってきて
それもいいアクセントになっています。

「BOOK3」で一番好きなそれは
「いったん期待が生じると、心はそれをきっかけに独自の動きをとり始める。
そしてその期待が裏切られたとき人は失望するし、
失望は無力感を呼ぶ。心の隙が生まれ、警戒が手薄になる」
というセリフです。
期待(希望)と失望って表裏一体で
裏切られたときの状態をうまく表現していると思います。
「独自の動きをとり始める」って
本当に勝手に色んなことを考え始めるんですよね、
これをコントロールするのはとても困難です、
期待しなければ、こんなに傷つくことはないのにと
頭では分かっちゃいるんですけどね。

これを機に「ノルウェイの森」とか読み始めるのも手かもしれませんが
中々そういう気にもなれないですね。
何回も言うことですが、この小説が何百万人が読んで
面白いと思う小説だとはとても思えないんですけどね。
これなら東野圭吾の方が万人に分かりやすい内容でしょうけどね、
小説としての出来不出来、完成度は別にして。
でもこんな話を思いつくのは素直にすごいと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿